オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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奏でろ魂のレクイエム

 

んー、周りを見ても死体死体死体…………

 

俺以外の誰かがこれをやったって事はここに爺が居るはず何だが…………どうやら後手に回っているらしいな。

 

サンラクがセバスを見つけるため徘徊していると

 

「助けてくださーい!!」

 

サンラクの耳に声が聞こえた。

 

!!!…………あの声はクライムとかいう金髪の……………ん?いや待てよ……。

 

サンラクはある事に気付く。

 

今の音……何処から聞こえた……?……今歩いている廊下の奥……?いや、違う。明らかに方向が間違っている。

 

今の音は壁から聞こえた。恐らく一つ壁の向こうとか、そういうぐらいの近くでは無い。

 

ただ、なんていうか…………パイプに声を入れて聞こえてくる籠った声のように聞こえた………

 

サンラクは声の聞こえた壁を探る。

 

そしてコンコンと壁を叩いてみる。

 

……!!……やっぱりか……。

 

サンラクは壁の音が不自然に軽いことに気付き、剣を使って壁を壊す。

 

するとその壊した壁の向こうに道が現れる。

 

やっぱり隠し通路……

 

あの金髪……セバスと一緒に居たよな……てことはこの先に居るってことか?

 

大声で助けを求めたってことは俺以外の誰かに呼びかけているってことで…………もしかして別行動してるのか?

 

いや、でもチャンスでは?ここで金髪を助ければ自ずとセバスと接触できる訳で…………もしかしたら恩も売れるかもしれねぇな…………

 

よォし!待ってろ金髪!!この俺が今から助けに行ってやるからな!!

 

そしてサンラクは隠し通路を走っていった。

 

――――――――――――――

 

お、あそこか?

 

サンラクが通路を走りながら、奥から光が差している場所を見つける。

 

サンラクはその光の方向へと近づいていく。

 

そして同時に何かが床に落ちたようなドタンという音が聞こえる。

 

……!!……こりゃぁ……不味いか……?

 

サンラクは足を速める。

 

一体どんな様子…………

 

サンラクは光の差している出口に辿り着き、そこから外の様子を覗き込む。

 

……!!……金髪……!!

 

見れば男2人が倒れたクライムを囲んでいた。

 

1人はフードを被り剣を持っている男。そしてもう1人は特徴的なケツアゴの男。風貌と動き的に恐らくあっち系の方だろう。

 

そしてフードを被った男は剣を逆手に持ち、クライムにとどめを刺そうとしていた。

 

サンラクはそれを見て助けるべく声を出そうとする。

 

「まt」

「それぐらいにしてもらおうか……」

 

しかしその声は別の誰かの声によって阻まれた。

 

見れば先程の青髪の男。ブレイン・アングラウス。

 

どうやらサンラクはその男に先を越されたらしい。

 

またお前か……!!!

 

さっきから俺の邪魔しやがってからに!!

 

サンラクはヴェールを口に咥えてそれを引っ張り、ムキーと言った表情で憎悪を募らせる。

 

そんな時だった。

 

相対しているブレインとフードの男。

 

そしてフードの男の後ろにはケツアゴの男が立っている状態であった。

 

ケツアゴの男はサンラク目線では一番手前におり、位置的にも近かったからか、サンラクの声を聞いてかケツアゴの男はこちらを見ていた。

 

「…………?!……」

 

「あ………。」

 

ケツアゴの男とサンラクは目が合う。

 

――――――――――――――――

 

「一撃だ……」

 

ブレインは腰に携えた刀を手でなぞり、目の前に居る敵を見据える。

 

「…何……?」

 

フードを被った男達が眉間に皺を寄せてそう呟く。

 

ブレインの目の前に立つフードを被った男達。

 

”幻魔”サキュロント。八本指の警備部門のトップに立つ六人の中の一人。幻術を使い相手の視覚を惑わす。自身の分身を作ることもできる。

 

「一撃で仕留めると言ったんだ……」

 

幻術というのは厄介だが、相性で言えば俺の方が格段に有利。

 

ブレインは腰を低くして居合斬りの構えをする。

 

「ッ……!……ならばやって見せろ!!」

 

サキュロントの声でブレインへと分身達が一斉に飛びかかろうとする。

 

その時だった。

 

「待ちなさいッ!! 」

 

少し怒号の籠ったような声がその部屋に響き渡る。

 

その声によりサキュロントは静止し、ブレインも声の方向を見る。

 

その声の主はケツアゴの男、名はコッコドール。八本指の奴隷部門の部門長を務める見た目はオッサンの中身は女。

 

そのコッコドールの方手にはナイフが握られ、そして片方の手で拘束されている見知らぬ喪服姿の少女。

 

喪服少女はナイフを突きつけられ、コッコドールは不敵に笑っている。

 

ブレインとクライムはそれを見て人質を取られたのだと一瞬で理解する。 

 

「フフ……形勢逆転ね!動いたらこの女を殺すわよ?!」

 

「ッ……!!……卑怯な……!!!」

 

瀕死のクライムがそう言う。

 

「ほらッ!!アンタも何か言いなさいよッ!!」

 

コッコドールが喪服少女にナイフを突きつけて言う。

 

「…………ワァ、コワイナァコワイヨォ……タスケテクダサァイ……。」

 

何故か感情の篭っていない声を上げる喪服少女だが、その事については今は誰も気にしない。

 

「さぁ、早くッ!そいつ等にトドメを刺しちゃって!」

 

コッコドールがサキュロントをせかす。

 

「……やれやれ、悪く思うなよ?」

 

サキュロントが動けないブレインとクライムへと剣を持って迫る。

 

「ッ!……」

 

ブレインは歯噛みする。

 

見ず知らずの女を助けるか、それとも自分とクライム君の身の安全を優先するか……

 

サキュロントがゆっくりと迫る中、ブレインは葛藤する。

 

どうする?

 

「ぎィゃぁァあ"ァ"ぁぁッッ!!!!」

 

…なんだ?

 

大きく醜い叫び声が聞こえた。

 

その声の主はまたもやコッコドール。見ればコッコドールの方腕が人間的に有り得ない方向へと曲がっていた。

 

「ッッ!!……こ、この(アマァ”)!!!」

 

コッコドールは曲がった腕を片腕で抑え先程まで人質に取っていた喪服少女を睨んでいた。

 

コッコドールの様子からあの曲がった腕は恐らく喪服少女がしたものなのか。

 

喪服少女はそのまま片足を地面から浮かせ、後ろへと勢いを付けるように下げ、振り子運動の如く助走を付けた片足を一気に前へと突き上げ、全ての男の弱点であり、そして大事な所である場所。つまりコッコドールの股間にクリーンヒット。

 

「オッゥ“ッッッッッッッ!!?、!!!」

 

コッコドールは声にもならぬ叫び声を上げ、同時に想像も絶するような痛みに襲われる。

 

一同の流れを見ていた男3人。

 

サキュロントは顔が真っ青となり、ブレインは顔が固まっており、クライムは額に汗をかき何とも言えぬ表情である。

 

敵味方関係なく、男として3人はコッコドールに同情していた。

 

しかし悪夢は終わらない。

 

コッコドールが自身の股間を抑えて悶絶していると、喪服少女が近くにやって来る。

 

「ッッ!ヒッ!、ヒっッ!!」

 

コッコドールは痛みに襲われながらも怯えたような声を出し、目の前の悪魔から逃れようとする。

 

しかし、そんな行動も虚しく、喪服少女は素早くコッコドールの腕を掴み、正方形の角張った鉄の箱のような物がある場所まで引っ張って移動させる。

 

そして掴んだ腕を肩へと乗せ、重心を変えるように一歩踏み出し、前傾姿勢へ。

 

コッコドールの腕を作用点に前傾となった勢いで下へと引っ張る。コッコドールは喪服少女の背中から滑らかに円運動を始め、出来上がった速度のまま射出。

 

それは思わず見とれてしまう程の綺麗な曲線を描く背負い投げであった。

 

そしてコッコドールは速度を維持して正方形の鉄の物体へと直撃。

 

コッコドールの着地点も予測されての背負い投げか、正方形の直角の所へとコッコドールの股間が無事というか有事であるが、無事着地。

 

そしてコッコドールから叫び声(レクイエム)が地下に響き渡った。

 

喪服少女はやり切った感をだして手の埃をパッパッと払う。

 

「ふぅ……去勢完了。中々に芸術点の高い手術を披露してしまった。」

 

今までの様子を見ていた3人は口をあんぐりと開け、最早理解が追いついていなかった。

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