オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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ごめんなさい、また遅れました。┏○


テイスティング

テイスティング

「…………なぁ……ミラク…………」

 

「どうしたんだ?」

 

「服を新しく見繕ってくれた事……とても感謝している。」

 

「どういたしましてだ。」

 

「ところで何だが…………私の姿を見て何処か違和感を感じないだろうか?」

 

サンラクはリリアの姿を見る。

 

「………とても力強さを感じつつ、思わず目が惹かれてしまうような奇妙かつ魅力を感じるとても良いファッションではないか。」

 

そこに立つのはチェーンアーマーと布で組み合わされた軽装備を纏ったリリア。

 

しかし何故だろう……何処か違和感を感じるような……下半身から上半身へと目線を移動していくとピタッと視線がある場所で固定される。

 

少し長く太い立派な首。スッと伸びている高い鼻。くっきりと鉱石のように輝く黒い目。そして艶のあるサラサラとしたたてがみ。

 

今にもヒヒン!と鳴きだしそうなその半開きの口。

 

「お分かり頂けただろうか?」

 

「お分かり頂けただろうか?じゃ、ねぇッ!!」

 

リリアは自信が被っていた馬のマスクを勢いよく地面に投げつける。

 

「なんだ?俺の紐という立場の分際で、文句を垂れるのか?俺の紐という立場の分際で。」

 

「ひ、紐……?」

 

リリアが疑問符を浮かべる。

 

「おうそうだ。お前は一文無しだ。

 衣服、食事、寝床、恐らく協力するにあたって、お前は当分、俺の金でこれらを賄わざる負えない。

 現に衣服は提供したし、この宿屋の風呂を利用させてやったのも俺だ。

 つまりお前は紛れもなく紐である。」

 

サンラクは仁王立ちで凄みをきかせる。

 

まぁ、厳密には男に対して使う言葉だが…………

 

俺に限っては女の姿で男だし、色々ややこしくなるのでそこら辺はどうでもいい。

 

「うッ…………」

 

リリアは言葉の意味を理解したのか、サンラクの圧に圧倒されたのか、少し後ずさる。

 

だがしかし、ここで引いては八本指すらも倒せないと考え、重い足を一歩前へと踏み出し……

 

「チビでガキっぽいから余計に養ってる感が増すな…………」

 

サンラクがボソッと言う。

 

しかしその声の大きさは小さくとも、リリアにとってその言葉はロンギヌスの槍であった。

 

「かハッ……!!」

 

リリアのメンタルにモロに刺さった。

 

バタンとリリアは床に倒れ

 

「…………いつか伸びる……いつか伸びる……いつか伸びる……」

 

そうリリアは永遠と呟く。

 

実は背が小さい事をずっと気にしているという事は秘密である。

 

こいつ……なんて弄りやすい生態をしているんだ……。

 

サンラクはその様子をジト目で見守っていた。

 

「……話を戻すんだが…真面目な話、顔全体を隠すのにはアレが最適解なんだよ。

 マスクの種類に関しては選択肢をいくつか与えたつもりだぞ?」

 

リリアがバっと起き上がり風呂場の方向を指す。

 

「魚か馬の2択だろ?!あの魚、ちょっと臭うしたまに動いて気持ち悪いし……ほぼ一択みたいなもんだろ?!」

 

「お前プルト・サーモンさんを馬鹿にするなよ?今はアレでも生前は川の逆流に逆らって生きてきたぐらいトゲトゲだったかんな?!ブイブイ言わせてたかんな?!」

 

「知らねぇよ!てか逆になんでこんな奇抜なマスク持ってんだよ?!」

 

「…………」

 

正直、何でと言われても困るな…………

 

サンラクはしばらく考えた後…………

 

「おやすみ……」

 

思考するのを諦めた。

 

「逃げたな…………」

 

リリアがジト目で睨む。

 

「お前も明日の為に寝とけよ。金髪との話……お前もずっとここにいるつもりはないんだろ?」

 

「……あ、あぁ、もちろん着いていく……っていうか本当にこのマスクで顔を隠すのか?」

 

「別に隠さなくてもいいなら俺は構わん……」

 

「ぐっ……」

 

マスクについては色々検討したが、まだ完全に信用していない分、そんな強力な装備は渡せん。

 

そして愛用しているマスクを渡すのも却下。

 

で、消去法で絞ったのがあの2つ。

 

一つはお馴染みのプルトサーモン。理由は、地上では使い所が少ないという点で。

 

もう一つはバイバールから貰った愕然の馬面。なんと初期装備でしか手に入らないレアモノ。加えて確率で相手の目を逸らせるという効果付き。奇行が増えるとより確率up。

 

こいつを選んだ理由としてはあまり使わんので。なぜなら俺って見た目も気を使えるナイスガイだから。

 

ロリコンのサバイバアルも合法ロリに使ってもらえて本望だろうよ。

 

「なぁ、ミラク……」

 

サンラクが目を閉じて眠りにつこうとしていると、またもやリリアから声をかけられる。

 

「あぁ?まだ文句を垂れてんのか?そろそろ黙れねぇとこっから追い出すぞこら」

 

「いや、違う……そうじゃない。もうマスクはこれでいい。話したいのは別だ。眠る前にこれは話しておきたい。」

 

なんだ?改まって…………

 

「いいぞ、さっさと話せ。」

 

リリアはサンラクの促しにコクリと頷き喋り始める。

 

「さっき、奴隷として売られたという話をしただろう?その時に私の()()が関係して八本指に買われたとも。

 私は才能(タレント)を持っている。まぁ、才能というには少し、いや、決して良いものとは言えないが……」

 

まぁたタレントか……会うヤツら全員持ってるんだが、珍しいものと言い張るには中々に厳しいと思うようになってきてるぞ。

 

持ってない奴の方が珍しいまであるかもな。

 

「んで?言うならさっさと言え。言わないならさっさと寝させろ。」

 

サンラクはリリアを急かす。

 

「う……少しは心の準備というものをな…………………はぁ……。

 私のタレントは”毒”だ。」

 

「………………そうか……じゃおやすみ。」

 

そう言って布団を被る。

 

「少しは興味を持てぇ!!」

 

リリアは被った布団を引っ張る。

 

「おいやめろ!そんなに強く引っ張ったら布団が破けちゃうだろうが!!!」

 

「布団なんかどうでいいだろうが?!

 結構重要な事を言ったよな!!しっかり話を聞けよ!!」

 

2人とも迫真である。何処かの死に急ぎ野郎と馬面の男もこれにはビックリだ。

 

「………………どうぞ」

 

サンラクが急にスンと静かになり話を促す。

 

「……お、おう……。」

 

リリアも急に落ち着くサンラクを見て、これがやりたかっただけだろ……と内心何処かで思う。

 

「さっきも言った通り、私のタレントは”毒”。私の体液全てが毒となり、少量なら麻痺、多量で死に至らせる。」

 

ほう……?……そういえばさっきの服装で皮膚を隠すように包帯を巻いていたのは汗を吸い取るためか……。

 

「ちなみに皮膚に触れただけでも毒は回るのか?」

 

「いや、基本的には傷口から毒を入れないと回らないな。後は粘膜とか…。

 …………まぁ、奴隷として買われ……玩具として扱われずに暗殺者として鍛えられたという理由もこれで分かっただろ?」

 

なるほど……まぁ、うん。ご想像はお任せにってやつだな。何はとは言わんが知らずにやってしまったお貴族様は今頃 衆合地獄とかでお仕置されているのだろうか……。南無。

 

「……ん?」

 

サンラクは突然顔に疑問符を浮かべ、リリアをじっと見る。

 

「な、なんだよ……?」

 

そういや、毒といえば…………

 

「な、なんか言えyぶへボッ?!!」

 

リリアが困惑してサンラクに問いかけようと口を開いた瞬間、黒い手袋を付けたサンラクの手が口の中へと突っ込まれた。

 

「がはッ!!うぇ”ッ!急に何を…………」

 

突然突っ込まれた手は直ぐに引き抜かれ、そしてリリアは嗚咽する。

 

さて……この新マップの新要素である才能(タレント)とかいう能力…………最強種であるリュカオーンの刻傷(呪い)に勝てるのだろうか……?

 

サンラクはリリアの口に突っ込んで付着した唾液をひと舐め。

 

「お、おいッ?!」

 

「………………」

 

異常無し。リュカオーンWin!!!

 

「じゃ、おやすみ。」

 

「…………いやいやいやいやいやッ!!」




リリアの挿絵です

【挿絵表示】


完全に想像だしアナログです。すいません
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