オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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変態忍者

 

「〜〜〜〜!!」

 

なんだぁ?もう朝か?

 

曇ったような音が聞こえる。

 

「〜〜〜!!」

 

うるせぇなぁ、俺は休日は昼まで寝て朝まで起きる派だ。あまり俺のデイタイムルーティンを邪魔するんじゃねぇ。

 

まぁ一日中ゲームしてるから厳密には寝たっきりなんだが。

 

「〜〜〜〜〜!!」

 

ッ……!!……

 

「ッるせぇなぁッ!!!」

 

サンラクはガバッと起き上がり、ベッドから上体を起こす。

 

「貴方は力を抜いておけばいい。事が終われば私と貴方はもはや切っても切れない関係。いわば一心同体。」

 

「離れろッ…!!私はそういう趣味は持ち合わせていないッ!!!」

 

「大丈夫、先っぽだけだから先っぽ。」

 

「さっきから何言ってんだッ?!!いいから離れろッ…!!」

 

目の前で騒ぎ立てていたのはリリアと見知らぬ女。

 

見知らぬ女はリリアの体の上に乗っかっており、まるで獲物を狙う虎のように今にもリリアを襲わんとしていた。

 

そしてそれに対して、生物的本能が警鐘を鳴らしていると言わんばかりの顔で見知らぬ女から必死に逃れようと抵抗しているリリア。

 

「大丈夫。痛くはしない。正直こういうシチュエーションも有り。」

 

「何するつもりだよッ!いいからどけって!!」

 

……………………。

 

サンラクはそんな光景を見て

 

「あ、何だただの変態か…………。」

 

サンラクは二度寝する。

 

「いや待てぇッ!!そこ寝るなぁッ!」

 

「…………。」

 

「無視してんじゃねぇッ!!起きたよな?さっき起きたよな?!」

 

「…………。」

 

「私は人が居ても特に気にはしない派。むしろ興奮する。」

 

「そういう問題じゃねぇッ!!」

 

――――――――――――――――――

 

サンラクが仁王立ちしその前で正座をさせられ縄で拘束されている先程のリリアを襲っていた女。

 

「で?貴方は一体誰なんですか?」

 

サンラクが睨め付けながらそう言う。

 

先程の攻防。リリアの勝ちという訳でもなく、女の勝ちという訳でもなく……実は女がサンラクにまで襲いかかろうとした所でサンラクの素早い蹴りが女に炸裂。

 

そこで女がダウンし、サンラクの一人勝ちとなった。

 

「狭い個室。女3人。何も起こらない筈もなく……」

 

…………

 

サンラクは無言で合図を送る。

 

すると拘束された女の背後に立つ馬面を被ったリリアが女に繋がる縄を持ってそれを思いっきり引っ張る。

 

「うッ…………ぐッ………………いいッ!!」

 

それに呼応して女がそんな声をあげる。

 

…………………………こいつディプスロタイプかぁぁ…………。

 

サンラクは心の底からため息を吐く。

 

…厄介だ……。厄介が過ぎる…………最近やっとあの変態が頭からフェードアウトしてきたというのに……。

 

サンラクは頭が痛くなる。

 

「…………。」

 

さてどうしたものか……相手はディプスロ。未だアイツに対しての有効打が少ない。

 

アラドヴァルはプレイヤー相手だからこそ使える。

 

耳元でつぶやく奴は正直やりたくない。

 

サンラクがどうしたものかと考えていると

 

「……忍法 闇渡り…………」

 

女が片手で独特な印を作る。

 

すると女は個体から液体へと溶けたようにドロっと黒く変形し、姿が消える。

 

「…消えた?!」

 

リリアが言う。

 

ふむ………忍者スキルか。

 

今の形状変化……既視感があるんだよなぁ…あのいつぞやのストーカーモンスター…!

 

サンラクは剣を取り出す。

 

「ん?ミラク?なんで剣なんか……」

 

リリアが困惑したように言う。

 

闇渡りという名前と経験から考えるに…………。

 

サンラクは唐突に自信の背後へと剣を振るう。

 

「?!」

 

やはり読み通り。

 

サンラクの背後。その場所に先程消えた女忍者が居た。

 

そしてサンラクが振った剣は先程の女忍者の首元辺りで寸止めされており、女忍者は驚いた表情で自信の首にかかる剣を見据えていた。

 

「そろそろ自己紹介をしてくれませんか?でなければ斬りますよ。」

 

そう冷ややかに言うサンラク。

 

「驚いた。私も同じアダマンタイト級冒険者の筈なんだけど。」

 

女は両手を挙げて降伏のポーズ。

 

「同業ですか?」

 

「いえーす。私はアダマンタイト級冒険者、青の薔薇のティア。」

 

そう自己紹介するティアと名乗る女。

 

「は?……お前があの青の薔薇の…………?」

 

そう驚きの声を挙げるのはリリア。

 

カルマ値から悪人ではないと判断は出来たからな。念の為 攻撃はしなかった。

 

……てか噂の青の薔薇か…。

 

サンラクはスっと剣を下ろす。

 

「失礼しました。」

 

もっと強いと思ったんだが……肩透かしだな。

 

「気にしないで。私はSにもMにもなれる。」

 

…………おのれディプスロ。

 

「ちょっと待った…………青の薔薇がなんでここに…………まさかもう嗅ぎつけて……!」

 

リリアが馬面の中で焦った表情を作り、そして咄嗟に短剣を構える。

 

「…………ふっふっふっ……」

 

ティアは目を瞑り、無表情で不敵に笑う。

 

「そこに女が居た。故に侵入した……!」

 

仁王立ちでそう言う。

 

「………………は?」

 

リリアは思わず言葉が漏れる。

 

「鍵開けなら得意。そして私は女の子の匂いなら100m離れていても分かる……!」

 

「…………ん?……」

 

なんだコイツ……。

 

サンラクとリリアがジト目でティアを睨む。

 

するとティアがゴホンと咳払いをして

 

「まぁ、茶番はこれくらいにして……。

 実の所は私は王女様の使い。貴方を王城に連れてくるよう頼まれてる。」

 

何の前触れもなく、突然 そう言い出すティア。

 

……ん?…ちょっと待った。

 

コイツ サラッとめちゃ重要な事言わなかったか?

 

いきなり王女様の使い?なんで?いやもっとおかしいのは俺が王城に連れていかれるという話。

 

「えっとぉ…………何故私が王城に?」

 

サンラクがティアに言う。

 

「?……変な事を聞く。クライムとは話してなかったの?」

 

………………あぁ……

 

ちょっと待った………………。

 

サンラクはもしかして、と思った事を確認する。

 

「もしかして……クライムさんの主人って…………」

 

「この国の王女様。」

 

……Wait what?

 

サンラクの顔が固まる。

 

しかしそのサンラクの表情はヴェールで隠され、ティアはなんのその。

 

「では、王城へレッツゴー。」




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