道を歩くはトロールすらも2度見するような特徴的な格好の3人組。
一人は全身にピッタリとした服を身につけた女。正直この中で一番マシな格好である。
一人は全身黒色で喪服を身につけ、背中には大剣を背負った女。まぁ、許容範囲である。
最後はチェーンアーマーに馬のマスクを身につけている恐らく女。トロールが2度見するのも納得である。
そんな奇っ怪な3人組が道の真ん中を堂々と歩いていた。
「そういえば貴方……なんで馬のマスク?」
ティアが思い出したかのように横に居る馬のマスクを被ったリリアに言う。
「…………色々あんだよ。」
そう素っ気なく返す。
「そう……ちなみに名前は?というか……ずばり2人の関係性は?」
「あ?名前はリリa」
「リリーです!」
リリアの口を抑えて話を遮るサンラク。
モゴモゴと何かを喋ろうとしているリリアを横目に
「そう……。」
とティアが言う。
そしてサンラクの手を振り解きリリアがサンラクに向かって
「何すんだよ?!」
と一言。
そしてサンラクは小声で
「アホか!自分から素性バラしてどうすんだ?偽名使え偽名を!」
そのサンラクの言葉で、なるほどとリリアが納得する。
こいつ大丈夫か……?
サンラクがそう呆れていると
「で、2人はどういう関係で?」
ティアが聞く。
「…紐だな。」
リリアが言う。
「紐ですね。」
サンラクが言う。
「紐?」
ティアが言う。
「一応、パーティメンバーみたいなものなので彼女も王城に行っても大丈夫ですか?」
サンラクがそう言う。
「一応……?」
リリアが不満そうに言うが、ここはスルーされた。
「……分からないけれど、多分。私は別に構わないし、王女様は優しいから許してくれると思う。」
ティアが答える。
「そうですか、ありがとうございます。」
随分王女様への信頼が厚いな。
「……3P…………いや、王女様も合わせれば4P…………」
そんな声がボソッと聞こえたがサンラクは聞き流した。
「そういえば貴方の名前も聞いていなかった。」
ティアがはっとしたように向き直りサンラクに言う。
「ミラクです。」
サンラクが言う。
「そう……死神だって聞いていたから随分と思っていたのと違った。」
「そうですかねぇ。」
名前だけは一丁前だが、中々に意味が蛇足すぎる。
「…………ちなみにご尊顔は見してくれない?」
「嫌です。」
サンラクは即答する。
「噂によればとても綺麗だと…………」
ティアはサンラクを見据える。
「ふむ……中々に実っておる。」
ティアはニヤニヤして虚空に向けてグーパーグーパーと両手で何かを揉むように動かす。
………………。
サンラクはそれをジト目で受け流し頭が痛くなる。
「アイツ頭大丈夫か?」
サンラクがそう呆れていると、横から馬のマスクを被ったリリアが話しかけてくる。
「……触らぬ変態に祟なしだ。一々こっちが反応しているとあっちのペースに呑まれて一気に深淵へと持ってかれるぞ。」
「なるほど…………?」
リリアはマスクの中で難しい顔をしてサンラクの言葉の意味を理解しようとする。
「……は?!私は何を…………」
ティアが我に返ったように手の動きを止める。
そして何故か2人に距離を取られている事に気付く。
「…………。」
ティアは無言で2人に近付き、そして2人は距離をとる。
「…………忍法 闇渡り……」
ティアは手で独特な印を作り
「……?!」
リリアの背後に現れる。
そして身体に巻き付くようにリリアにホールド。
そのまま抱きついて離れない。
「……後ろががら空き…………。」
「テメェ……!…………離れろ!!歩きにくいんだよ!!」
リリアが吠えるように言う。
「ここら辺は人が多い。なので私から離れないで。」
「離れる離れない以前に!お前 私から離れる気無いだろ!!」
「私達は一心同体。このまま王城までランデブー。」
「離れろ!歩きにくいわ!!」
…………これがアダマンタイト級冒険者まじ?
ここの公的機関は何してんだ?この変態を野放しにしていいわけが無いだろう?
いつか国乗っ取ってありとあらゆる名前が全て下ネタの世界になるぞ?
そうならない為にも俺がここでアラドヴァルしとくか?お?
「?!」
サンラクが殺意を高めていると突然、目の前の進行方向に何者かが立ちはだかる。
性別は男。髪は金髪。背中にはロングボウを背負い、手には花束を抱えている。
男はサンラクの目の前で止まると
「俺と!付き合ってくれミラクちゃん……!」
片膝を地面に付け、手に持つ花束をサンラクに捧げるように差し出す。そして姿勢を低くして見えた男の顔はサンラクも知っている顔。
ヘラヘラしていておちゃらけていてチャラチャラしているアイツ。
「……ルクルット突然何処へ…………?!!ミラクさん?!!」
男の後を追ったように出てきたのは童顔で茶色の髪を持つ
「どうも〜」
ニニャであった。
サンラクは手を振り、ルクルットを無視してニニャと会話を交わす。
「お久しぶりですニニャさん」
「お久しぶりです!まさかミラクさんも王都に来ていたなんて……」
「という事は他の方々も?」
「お察しの通りである。」
ニニャを追うように出てきたのはボサボサの髭が特徴的な大柄の男、ダイン。
「こんにちは、ミラクさん。」
そして最後に出てきたのは漆黒の剣のリーダーであるペテル。
「皆さんお元気そうですね。」
サンラクが言う。
「お陰様でこの通りです。」
ペテルが自信の胸を叩きそう言う。
「あれぇ?俺の告白は無かった事にぃ?」
ルクルットが落ち込んだように言う。
「お前何処からその花束持ってきたんだよ。」
ペテルが言う。
「できる男はいつ何時だろうと女性を華やかにする為の花を持ち歩くもんだぜ?」
キメ顔でそう言う。
「さっきの兄ちゃん!告白は上手くいったかい!!」
ある屋台の中年男性がルクルットへと声を掛ける。その屋台では様々な種類の花が売られていた。
「………………。」
ニニャがジト目で睨む。
「……ペテルさん達は何故王都に?」
サンラクがルクルットを無視して話を進める。
「上京です。上京」
「まぁ、言わば観光と言えば観光みたいなものですが……」
ペテルが答え、そしてニニャが苦笑い混じりで答える。
「そう言うなって。俺達だって胸張れる位には強くなってんだぜ?」
ルクルットが言う。
「うむ。まだまだミラク殿に遠く及ばぬが、しかし、我々も日々精進し、力を付けたのである。」
ダインが言う。
「……というと?」
「漆黒の剣、
ペテルがそう言う。
ほう?つまり2つランクアップか……
「おめでとうございます!」
サンラクが拍手をする。
「ありがとうございます。……まぁ、ミラクさんには遠く及びませんが……」
とペテル。
「驚きました。まさか数日もしない内にアダマンタイトになっていたなんて」
とニニャ。
「いえいえ…ありがとうございます。」
サンラクはにこやかに返す。
「そういえば何故ミラクさんは王都へ?」
ニニャが聞く。
「……まぁ…暇つぶしと言えば暇つぶしなのですが…………」
サンラクがそのように答えようとすると、何やらサンラクの後ろから声が聞こえた。
「なぁミラク。私達も紹介してくれよ。」
「後ろに同じ。」
振り返ればそこには馬のマスクを被ったリリアとそのリリアの身体にくっついて離れないティアの姿。
初対面でこの光景を見れば間違いなく通報案件である。
「………………こちら紐とストーカーです。」
サンラクが雑に紹介する。
「「「…………?」」」
漆黒の剣一同、頭に疑問符が浮かんでいる。
「おい!その言い方だとなんか誤解されるだろ?もっとなんかあるだろ?」
「ストーカーではなく、フィアンセと呼んで欲しい。」
誤解されるも何も状況を見れば誤解も何も無く、お前らは留置所行きだよ。早く捕まれコノヤロー!
「あぁと…………まぁ、色々な理由があって一緒に行動をしているリリーと…………」
サンラクはまずリリアを紹介し、そしてティアを見る。
ティアの口から「彼ピッピでも可」と呟くのが聞こえたサンラクは
「ストーカーと書いて変態です。ディプスロとも言います。」
ニニャが第3位階使えるからプラチナでもおかしくは無いはず……それにクレマンティーヌ戦を経ているのでまぁまぁ強くはなったはず!!