生き別れた姉妹
「え?王城にですか?!」
そう驚いたように言うのはニニャ。
「しかし…………何故王城へ?」
というのはペテル。
「私達 結婚式を挙げるの。」
「とりあえずお前は私から離れろ……」
一同はティアとリリアの言葉を無視して話を進める。
「話せば長くなるので、色々割愛しますが……八本指の情報を頂きに王城へ……」
ん?しかし何故情報を貰うだけというのに王城へ行くのだろうか…………
サンラクはふと思う。
情報を貰うだけならばわざわざ王城へ行かなくても済む。なんなら部外者を招き入れる事はまぁまぁなリスクがあると思うんだよなぁ。
それこそもし俺が国を落とそうと企む危険人物だったり。
それに話を聞く限り王女様とも顔を合わせそうなんだよなぁ。いいのか?そんな警備ゆるゆるで。
サンラクがそんな事を考えていると、何者かに後ろから肩を叩かれる。
それに反応して後ろを向くと、そこには馬面で顔が見えないリリアが立っていた。
「お、おい……!」
リリアは小さな声で話しかける。
「なんだよ?」
「お前 こんな大通りで八本指とか言うな!もし組織の奴らに聞かれたらどうすんだ?!それにこれを聞いた一般人が巻き込まれる可能性だってあるんだぞ?!」
リリアが小さな声で怒鳴る。
「うっせぇなぁ。お前は気にしすぎだ。それに相手から来てくれるなら探す手間も省けるじゃねぇか!」
サンラクは反論するように言う。
「省ける訳がないだろう?!ここでリンチにされて終わりだ!瞬だぞ瞬!! 」
「あのぉ……」
サンラクとリリアが小さな声で喧嘩していると突然横から声がかかった。
2人はその方向を同時に向く。
声を掛けてきたのはニニャ。
「い、今八本指って言いましたか?」
「い、いや何でもない何でm」
「あの!良ければ……僕にも情報を頂けませんか?!」
リリアが誤魔化そうとするがその前にニニャが喋りだし、取り繕う間もなく遮られる。
「…………情報……?」
リリアがそう呟く。
「……おいアンタ。あんまりこの話に首を突っ込むのは宜しくねぇぞ。
早死にしたくないなら今聞いた事は忘れろ。」
そう冷ややかに答えるリリア。
「姉を探しているんですッ!!」
ニニャが突然、大きな声でそう叫ぶ。
「「…………」」
突然のニニャの叫びにより一同沈黙となる。
………………こりゃまた突然だな。
周囲を見れば、大通りを歩いていた一般人達が何事かとこちらに注目していた。
…………この注目……さて、どうしたものか、とサンラクが考えていると
「おいおい、だから一緒に探してやるって言ってんだろ?すいません、皆さん。コイツどうやら迷子になったガキみたいで…」
ルクルットが片手で頭をかいてそうにこやかに周囲に伝える。
「……あ…す、すいません……!」
ニニャも我に返ったようにハッとし、注目を浴びてる事に気付き謝罪する。
その2人の言葉を聞いた歩行者は なんだ……と納得し、先程のようにまた歩き出す。
ナイスフォローだチャラ男。まぁ、見た目に関してニニャがガキと言われればギリ?と少し突っかかるが、まぁ、あの咄嗟でフォロー出来たのは褒めてやろう。
「ルクルット……」
「……気にすんな。」
「…………僕ってそれ程 小柄ですか?」
ニニャも少し疑問に思ったらしく、ルクルットにそう聞く。
「……あのなぁ…………」
ルクルットは何か言いたげに言い含むが
「冗談です。ありがとうございます。」
とニニャが素直に礼を言う。
「…………あぁと……大丈夫か?」
リリアが気まずそうにしながらそう言う。
「すいません……えっと……リリーさん。もう大丈夫です。」
「…………まぁ、話は聞いてやる…。とりあえず歩きながら話そうぜ?目立つのはよくない。」
リリアが話すタイミングを見計らってそう言う。
ニニャもそれに頷き、一同、止めていた足を再び動かす。
サンラクは一連の流れを見て、ある事を思う。
あれ?こんなん前にもあったな……。
サンラクはジト目でリリアを睨む。
――――――――――――――――
サンラク達一行は王城に向かう途中、ニニャの話を聞いていた。
どうやらニニャは村で育ったらしく、幼いときに姉がタチの悪い領主に妾として連れて行かれ以降、姉とは会っていない、と。
そして数年後に姉が噂通りの扱いを受けていた事を知り、姉を救うために村を出て魔法を習い、そして冒険者に。
以降は知っての通りだ。
うむ……やっぱ何処かで聞いたような話だな。
サンラクは腕を組んで馬面のリリアをジト目で見る。
まぁ、もしかしたら珍しい話しでは無いのかもしれない。そういや、カルネ村は帝国軍に襲われたとか何かで結構悲惨な目に遭ってたもんな……。
「だがよぉ、その姉貴が例の組織に関わってるとは限らねぇんじゃねぇか?」
リリアがニニャの話を聞いて問いかける。
「リリーさんの言う通りです……。しかし……僕には地位も権力も無い。
姉を連れ去った貴族を罰する事も、問い詰める事も出来ない。姉の居場所の情報を手に入れる手段が何一つ、僕には無いんです。
だけど、もし……姉があの組織に関わっていて、その痕跡を見つけられたら………もし関わっていなくとも……あの組織は一定の国の貴族が関わっているという噂も聞きます……そこからまた姉の痕跡を見つけられるかもしれない。
1%でも可能性があるのなら、僕は…………。」
ニニャが話を進める内に段々と目が曇っていくのが分かる。
「あぁ、ちょっと待て…………アンタの話はもう分かったから…………。」
リリアもそれを感じ取ってかニニャの話にストップをかける。
リリアは 少し待ってろ、とニニャに伝えた後、サンラクへと近付く。
「…………なぁ……今の話聞いてたか?」
話を聞いてて思った事は…………なるほど、確かに冒険者をしてて貴族と関わることなんてほとんどないだろう……低ランク帯なら尚更……これから冒険者を続けても埒が明かない。
だから八本指という間接的にも貴族に関わって組織を調べ、姉の手がかりを少しでも見つける……って事か……。
サンラクは無言でこくりと頷く。
「……正直な話…………私はアイツに八本指の情報を渡して協力したい……って思ってる。」
「お前ら似た者同士だもんな。」
サンラクがそう呟く。
「ッ!…」
図星なのか少しリリアが動揺する。
「…………っせぇな!…………そういうアンタはどうなんだ?」
「却下だな。ただでさえお荷物を持ってんのに、更に荷物を持つのは御免だね。」
サンラクが容赦なく言う。
「……荷物?………………そうか……。残念だ。
まぁ、いい。私は協力してもらっている立場だ。アンタの言葉に従う。」
リリアはサンラクの言葉の意味を理解してない様子でそう言う。
「やけに素直だな。」
「……協力してもいいと思っている手前、相手はあの八本指だ。
あの化け物組織に挑むってのはハッキリ言って無謀に等しい。そんなモンに片足突っ込ませんのも、あんま乗り気じゃなかったっていう気持ちもあったんだよ。」
凄い………………
何が凄いかって、めっちゃいい事言ってるんだろうけど、馬のマスクのせいで1ミリも話が入ってこない…………。
何故ニニャはあれ程の面白いの塊みたいなものを相手して、真面目な話が出来たのだろう…………謎だ……。
そんなふざけた事を思っている内にリリアはサンラクから離れ、ニニャに話しかけようと近付いていた。
「あぁと…………すまん。ニニャ……だっけか?
本当に申し訳無いんだが……今回の話は」
「待った。」
リリアの言葉の途中、近くに居たティアが片手を挙げ待ったをかける。
勉強の為、これからは不定期投稿となります。恐らく投稿出来ない日がほとんどです。
申し訳ありません!