金が無い!!……………………とでも言うと思ったか!!俺はプレイヤー最大レベルでもあり恐らくゲーム内で一番金を持っている男だぜ!!尚、今は女だが。
俺はドヤ顔で硬貨を……あれ?硬貨って何…?
いや、待て落ち着け…硬貨だろ。硬貨。そう、現実でも使われるようないわいる100円玉、だ。
ん?シャンフロの硬貨って何?え?硬貨ってさ、あれじゃん。丸っこいやつだろ?シャンフロにあったか、そんなもん。うんねぇよ。
シャンフロの通貨はいわいる電子マネーみたいなもんで物質的に存在するのではなく数字として表示されるもんだ。
え?じゃあ、この受付嬢がいう銅貨?あぁ、多分勝手に払われるシステムね。うんうん。
そう思って横のモモンを見た。
「…硬貨あるじゃねぇか!!」
ドン!!とカウンターに頭を打ち付けて心からの声を叫ぶ。
え?どゆこと?何でもってんの、硬貨。
俺は焦って受付嬢に聞く。
「…あのぉ、通貨って10マーニじゃダメですか?」
「マーニ…?、ですか…。申し訳ありませんがそのような通貨はご使用できません…。」
サンラクは崩れ落ちるようにカウンターに突っ伏す。
あ、そうすか。使えませんか…。ふぅーん………………。
別に落ち込んでねぇよ…。ただ億万長者の社長が倒産して一気に一文無しになった気分だ。
つまり、だ。このマップではマーニが使えないということ。そして現状、このマップから出る事は出来ないという事は、今まで稼いできた金は0に等しい価値ということだ。
うっ……泣けてくるぜ…。だが!!俺にはまだ奥の手がある。
サンラクはムクリと顔を上げる。
ここは冒険者ギルドだろ?なら素材の換金もしているはずだ!
金の価値は信用だが、物の価値は万国共通だ!!
サンラクはドヤ顔でクリスタル・スコーピオンの外殻を取り出す。傍から見たら光を反射させて異様にキラキラ光っている水晶だ。
「これを換金してくれ!」
「これは……?!」
フッ、どうやらこの素材の価値に驚いているらしいな!
何やら受付嬢は水晶を受け取るとまじまじと見つめ、一つ断りを入れてから受付を外して奥へと歩いていった。
そして戻ってくる受付嬢、と如何にも魔法使いのような格好をしている三角帽子に黒ローブを纏った老人。
「ふむ…これが……?。」
老人は水晶を手に取って目を細めて観察しているようだ。そして左手に持っていた杖を水晶に向ける。
「アプレイザル・マジックアイテム…!」
ん?初めて聞く魔法だな。名前と状況的にアイテムを鑑定する為の魔法っぽいが…。
「……?!…な、なんと…?!」
お、結果が出たみたいだな。
「か、鑑定不可?!…だと?!」
あ、そう来ますか…。
「お主…!!一体何処でこれを…?!」
すんごい形相で俺に迫ってきたジジイ。
「えっと……お、私の故郷の近くに出るモンスターの素材でして……。」
サンラクは目を逸らしながら頬をかいて答える。
「そこは何処じゃ…?!」
「えっと……」
そこで受付嬢がサンラクたちの間に割り込んだ。
「落ち着いてください…。申し訳ありませんミラク様…。」
受付嬢は老人をドードーとなだめる。
お、ナイス受付嬢。俺のコミュ力じゃあ、多分あのじじいに勝てなかったぜ。
「いえ……その…それで素材の換金は出来ますか…?」
受付嬢は老人に向き直り、老人に確認する。
老人は首を横に振り受付嬢が俺に向く。
「申し訳ございませんが、私共ではその素材の価値を分かりかねます…。」
ふぅ〜ん…。何となく分かってたけど、ふぅ〜ん…マジか。
え、じゃぁ、何?俺、正真正銘の一文無し……?
サンラクは段々と白くなっていきガックリと落ち込んだ表情で床に落ちていく。
「えへへへ…。資本主義資本主義資本主義……。」
サンラクは地面に手を付きながらそうボソボソと資本主義社会に絶望していると横から声がかかる。
「あぁ…ミラクよ……。君が了承するのなら、でいいのだが。私にその水晶を譲ってはくれないだろうか?譲ってくれるのならば、私が当分の君が使う資金を、代わりに払おう。どうだろう?」
「なっ……?!モモンさ!…ん…この様なウジにモモンさ…ん…のご慈悲をお与えにならなくとも…!」
「ナーベ…今は少し黙っていろ…!」
「も、申し訳ありません…!」
サンラクの耳がピクピクと動く。
それはまさに寝耳に水。一部気に食わない発言をポニテがしていたが、まぁ、今回は見逃すとしよう。
それよりも、だ!!
「本当ですか?! モモンさん!!」
サンラクはガバッと起き上がり思わずモモンの手を握る。
おう、救いの神よ!私はまだ見捨てられていなかったのですね!!今ならどんな神様だって一日に100回は崇拝してやるね!ただし乱数の女神…!お前はダメだ!!
「あ、あぁ。私はもちろん良いのだが…提案した側が言うのも何だが、どちらかと言うと私の方がメリットを大きく感じるが?」
「大丈夫です!!」
換金できないような素材をわざわざ買い取ってくれるようなもんだ。それにクリスタル・スコーピオンの素材は腐るほどあるしな。無くなれば取りに行けばいいだけだ。次は体育祭をやろぉぜ、ブラザー!!
「なら良いのだが………。」
俺はモモンの横で殺気を飛ばして鋭い目付きで睨んで来ているポニテに気付く。
「いつまで、手を握っているの?このプラナリアが…!!」
ナーベは腰に携えた剣を今にも抜いて斬りかかりそうだ。
あぁ、ね。
サンラクはモモンの手を離し、両手を上げて手のひらを見せる。
そんなに怒るなって。安心しろ。俺は見た目は女だが中身は男だ。野郎に興味はねぇよ。
サンラクがナーベに向かってすましたような顔をしているとモモンが受付嬢に話しかけた。
「ではそういう事だ。ミラクの分も私が払おう。」
「ありがとうございます。ではこれで冒険者登録は完了となります。これを。」
受付嬢は手に持っていたカッパーのプレートを3人に渡す。
そして3人は無事、冒険者登録を終えた。
シャンフロの通貨であるマーニですが、原作で物質的に存在しているのかが分からなかったので、今回は独自設定として加えさせていただきました。
原作を見ていますか?
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シャンフロは見ているがオバロは見てない
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オバロは見ているシャンフロは見てない
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どちらも見た
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どっちも見てない