乙女ゲーの悪役令嬢に転生したけど家が笑えない悪だった 作:ぐらさん
彼女はリニア=マルタ。きれいなブロンドヘアーは携えてるもののプロポーションも普通で顔もまあちょっと可愛いかな?くらい。
見ての通り元のゲームだと主人公だったりする。案外プレイヤーの分身はカッコよ過ぎない方が自己投影されやすくて人気が出やすいのよ。
絡まれてるようだったからとっさに助けに入ったは良いもののこれ多分いじめとかじゃなくて本当に興味の対象になってるだけだな...
学校が不通に格式高いところだからね。
「わたくしはエニア=クレア、よろしくお願いしますわね光の御子さま。」
自己紹介をしつつ“私あなたのことを知っていますよ”アピール。
少々人見知りらしい態度を見せていた彼女へのフォローも完璧だあ...
「式がもう始まってしまいますわ。お返事はまた後ででよろしくてよ。」
自分から自己紹介を勧めておいてなんこの段階でボロが出るのはいろいろと拙いのでさっさと退散してしまおう。
あの絡んで娘たちも色々察してもう少し落ち着いたやり取りができるだろうし。
式は滞りなく終わり、生徒代表挨拶もしっかりこなした。残虐なだけじゃない、しっかりとした教育も受けていてよかったと思う。しかし来賓としてお父様が来るのは想定外だった。てっきり始末した調査員の始末で忙しいのかと...
余裕を見せる悪の存在そのものに恐怖を覚えるもいつかは倒さなくてはいけない敵だ。警戒はしつつも恐怖心は抱くなと胸の中で唱える。
必ず平和な未来をつかみ取るんだ。
※
闇、光、熱、凍え、そして生と死
この世のすべてへ繋がりまたその全てに閉ざされた星の最果て
そこには一柱の神がある
荒々しく、聡く、慈悲深く、残忍だ
その神は鷹と大山猫を従えあらゆる動物へ変化する
誇り高き戦士を試し、高潔な神官を手先にする
その神は見えない 触れられない 聞こえない
ただひたすらに人の心からの敬意に答える
死、誇り、試練、運命、麻薬に生贄
それらを求める神がある
※
「あ、あの!先ほどはありがとうございました!」
式の後、軽い寮の紹介などがあってヘトヘトだからもう帰ろうって時にえらい元気な呼び声に足を止められる。
マルタだ。
「わたし、マルタって言います。よ、よろしくお願いします!」
不器用ながらもまっすぐで元気な自己紹介。
そういえば寮の部屋が同じだったはずだと思い返しているとちょうど同じことを感じていたようで
「もっといろいろ話したいのでお部屋まで一緒にいきませんか!」
もちろん了承する。この世界のもとになったゲーム、ファンが硬派を気取って一時期界隈叩きが横行した程度には人間関係がドロドロだから清涼剤的な女の子と仲良くなっておきたいのは山々なのだ。しかも血統に宿る魔法がめちゃくちゃ優秀...
それ抜きにしても気持ちのいい人なのは間違いないからね。うん。
「もちろんですわ!わたくし、あなたの出身地に興味がありますの。」
まずは友達一人で来てよかったと胸をなでおろした一日であった。