帰還に失敗した堕ちた英雄がオラリオに行くのは間違っているだろうか?   作:匿名希望

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漆黒の破壊者

 

前の世界で強さに差がある理由

神が自らの神性を分け与え知恵を授けた結果、彼等は総じて神もどき。信仰が神の神性を保証するように彼等が強いと崇める存在は強くなる。

要は他人任せは強くなれず他人の期待や恐怖を背負うものが強くなる。まあ無辜の怪物ですね。

ちなみに柊家は魂に信仰を受取る神性が無いので素で強くなったよ。

柊は魂には神性が無いけど元神の血を浴びたり飲んだりしたので肉体には宿ってたりする。

武具との融合を可能とするのはこれが理由。

 

柊が苛立つと神々は本能的に恐れる。薬が切れて飛び起きる柊とかマジで普通の神なら速攻で逃げ出すけどベルのじいちゃんやヘスティアは受け入れた。多分デメテルやガネーシャ、タケミカヅチとミアハなら受け入れる。

エニュオ? 漏らすんじゃね、酒ばっか飲んでるし。

 

 

魔法

神性を持つものだけが使える文字通りの神通力。

柊家は元神の眷属、堕ちた怪物の眷属の血を飲むことにより使えるようになったよ。

信じられるか? こいつ等他所の世界から呼んでおいて魔法が使えない一般人に化物退治させたんだぜ?

 

 

英雄召喚

そもそもとして何故外から呼ぶかと言うと、実はこの世界理も何もない泥の海の世界に外から降り立った母神が子供を生んで創った世界だから。

世界で新たに生まれた命より、外から来た命のほうが理に縛られずちょっとだけ強くなるのだ。

でもぶっちゃけ世界中の人間が一人に最強という概念を付与すればよかったのだが、皆俺の国の奴が最強と譲られねえから無理だった。

 

 


 

 

 頭部半分に胸半分、普通のモンスターならこれだけ失えば死ぬ。

 しかし、そのモンスターは違う。自らの内に侵入した神に似た何かを、自らの中を傷つけた破壊者を滅ぼすために生み出された異端の破壊者。

 神殺しと殲滅者………2つの特性を併せ持つ特製の怪物。

 

「ギ………シャアアアアア!!」

 

 体を再生させ、再び吼える。

 そして、足元が爆ぜる。

 そう錯覚するほどの強力な脚力。一瞬でリヴィラの街中央に移動したモンスターに誰もが目を見開く。

 速い………いや、速すぎる。大型はそれだけで速度が落ちる。

 しかもここは18階層。中層なのだ、それでこの速度!?

 

「何で中層でこんなモンスターが生まれてるの〜!?」

 

 ティオナが叫びながらも大双刃(ウルガ)を構え突っ込む。

 如何に超大型といえども、大重量の大双刃(ウルガ)ならば相応のダメージを与えられる。

 ただしそれは当たればの話だ。

 

「え………」

 

 スッとバターでも切るように大双刃(ウルガ)が切り裂かれる。抵抗感もなく、思わず素通りしたと錯覚するほど。ただしズレて落ちる大双刃(ウルガ)とティオナの腕。

 

「ぎぃ、うああ!?」

「ティオナ! この、クソトカゲがああああ!!」

 

 激昂したティオネが駆け出す。

 【憤化招乱(バーサーク)】と呼ばれる、ダメージを受けるほどに己を強化し、同時に怒りにより効果が向上する。

 女性型に吹き飛ばされたダメージは残っている。そして、妹を傷つけられたことによる怒りによる超強化!!

 

「────」

「があ!?」

 

 見向きもせず振るわれた尾で吹き飛ばされる。尾を振り抜く………あれだけの長さならバランスを司る筈。故に、フィンは仕掛ける。

 Lv.6の速度で接近したフィンの槍は空を突き、背後に移動したモンスターはフィンを前足で叩き潰した。

 

「………………」

 

 キョロキョロと周りを見回すモンスターは、フィン達を敵と認識していなかった。別の何かを探し、そちらを優先している。

 

「?」

 

 取り敢えず目に付いた冒険者を殺そうとしたモンスターだったがガクリと止まる。振り返ればティオネが尻尾を掴んでいた。

 

「人の妹と愛しの旦那様に何しやがる!!」

「!?」

 

 グン、と引き寄せられ、頭部に拳が叩き込まれる。バギリと装甲を砕き頭部を破壊する。

 

「油断するな、ティオネ!!」

 

 土と血で汚れたフィンが追撃に胸を破壊する。頭部と胸の半分を失っても回復したのだ、魔石を完全に砕かなければ安心できない。

 あれだけ盛大に吹き飛ばせば魔石は砕けるだろうし、仮に再生したとしても頭部がなければ………そう知識が判断し、しかし親指が疼く。

 

「離れろ!!」

 

 頭部を失ったまま動き、目も耳も鼻もないくせに正確にティオネ達に爪を振るう。ギリギリでかわせたが、距離ができその隙に体を再生させる怪物はブルブルと首を振るう。

 

「【解き放つ一条の光、聖木の弓幹(ゆがら)、汝弓の名手なり】」

 

 と、レフィーヤの詠唱が聞こえる。Lv.3とは思えぬ魔力の波動に、気にしていないのか興味がないのか避ける素振りも見せずモンスターは鬱陶しい虫どもに目を向ける。

 

「!!」

 

 水晶や岩をスパスパと笑えるぐらいあっさり切り裂くモンスターの猛攻を回避するフィン。武器で受け止めることはできない。大双刃(ウルガ)を容易く切り裂く爪に耐えられる武装を、フィンは持っていない。

 

「っ!!」

 

 グルリとその場で回転し尾で地面を擦り土煙を立てるモンスター。視界ゼロのフィンに向かい爪を振るう。

 六本のうち一本でも当たればいいという判断だろう。

 

「させない!」

 

 その爪が、弾かれる。ピシリと罅が入る爪を見てキョトンと首を傾げるモンスター。爪を弾いたのは、アイズだ。

 アイズの持つ剣は不懐属性(デュランダル)が付与された特別な剣。壊されないからこそ、防げる。

 

「【穿て必中の矢】!」

「!!」

 

 レフィーヤの魔法が完成したのを耳にしたアイズは援護すべく動く。

 自動追尾機能がある魔法とは言え、この規格外の速度だ。少しでもこの場に縫い付ける!!

 

「【目覚めよ(テンペスト)】!!」

「【アルクス・レイ】!!」

 

 風がモンスターを覆う檻のように展開し、土を巻き込み視界を遮る。その土の壁を突き破り現れた光線は…………反射した。

 

「え?」

「!? ア、【光散(アリオ)】!!」

 

 慌てて爆散鍵(スペルキー)で魔法を暴発させる。その衝撃で吹き飛ぶレフィーヤ。アイズの意識が一瞬そちらに向けられた瞬間、鋭い爪がアイズの腹を貫く。

 

「………………」

 

 剣を握るアイズを………厳密には剣を見てクルルルと唸り興味をなくしたのか腕を振り抜く。

 爪が抜けアイズが投げ飛ばされた。

 

 

 

 

◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆

 

 

「探してんのは、俺か?」

 

 とどめを刺そうとせず周りの気配を探るモンスターを見ながら柊が呟く。まあやる気だってんなら相手に………と、そんな柊の腕を誰かが掴む。

 

「駄目…………駄目よ、いっちゃ…………殺されちゃう。あの時みたいに、皆!!」

「………………」

「みん、な? 皆を、殺したの……は……何だ、誰だ!? 私は、これは!?」

「…………落ち着けレヴィス」

 

 と、レヴィスの頭に手を乗せる柊。

 

「レ………ヴィス?」

「それが本名か知らんが、少なくともお前はそいつじゃねえ。それはその肉体の記憶だ」

 

 そして、この肉体の魂は一つだけ。何があって別の器に入っているのかなど知らないし興味もない。

 

「昨日言ってた奴等を思い出せ。あれはお前の記憶だろ」

「………………」

 

 柊の言葉にレヴィスは目を閉じ、呼吸が落ち着いていく。

 

「………何故、私を助けた?」

 

 この状況で他の冒険者を襲っていたり………それ以前に、モンスターが襲う前に街から出ろと言ったり怪しいことこの上ない。助ける理由がない。

 そう問い掛けるレヴィスに柊は首を傾げる。

 

「先に俺を助けようとしたのはお前だろ」

 

 リヴィラから出ろと言った。その前にも、オラリオから離れろと忠告した。

 これから起こすことに巻き込みたくなかったのだろう。

 

「俺は俺に敵意を向けない相手に敵意を向けるほど、暇じゃねえ」

 

 敵意には敵意を、誠意には誠意を返す。

 柊がヘスティアの一週間に最低4日は晩御飯までには帰ってくること、という命に従うのも偏にヘスティアの神格(じんかく)故だ。

 それは、一見正しいように見える。だが………

 

「人の生き方ではないぞ、それは………」

 

 向けられた感情に対して接し方を決める。言葉にすれば当然のようで………しかし柊のそれは何処までも自分本来の感情を斬り捨てている。

 

「そうか? そうかもな………まあいい、俺はあれの相手してくる。お前は?」

「……本調子ではない。アリアは、諦める」

「そうか………」

 

 

◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆

 

「なんだ、此奴は…………」

 

 第一級冒険者をものともしない真正の怪物。しかも魔法反射ともなれば、リヴェリアに成すすべはない。

 幸いなのはあれが敵意を向けているのはリヴィラの冒険者ではないということ。敵意どころか、道端の石ころほどの興味もない。だが、そんな事冒険者達には関係ない。

 

 恐ろしい化け物がいる。ただそれだけで恐怖するには十分だ。

 

「お、おいおいおい!? 何やられてるんだよおおお!?」「最強の派閥じゃなかったのかよ!? 早く、早く立てよおお!」「私達が殺されちゃう!」「何時も偉そうにしてるくせによ!?」「せめて時間ぐらい稼げよ!」「この役立たず!!」

「っ! 貴様等………!」

「黙れ喧しい」

 

 勝手な物言いにリヴェリアが激昂しようとした瞬間、その声が響く。それだけでピタリと声が止まる。

 込められた感情に、誰もが言葉を発せ無いほど空気が張り詰めた。

 

「……お、お前は…」

 

 辛うじてリヴェリアが声を絞り出す。現れたのは、柊。冒険者共を睥睨し、そのままモンスターに向かっていく。

 

「ま、待ってくれ!」

「何だ?」

「………私に、出来ること無いか? 彼処にいるのは、仲間なんだ………」

「…………なら回復魔法でも唱えてろ」

 

 それだけ言うと再び歩き出し、モンスターが柊の存在に気付き唸る。

 

「ところでお前は腕を繋げられるか?」

「アミッドならば………」

「なら拾っておけ」

「いや、その………モンスターは?」

「もう倒した」

 

 モンスターの身体が細切れに崩れ落ちた。

 

「爪か………まあヘファイストス辺りに売るか」

 

 と、残った爪を拾う柊。

 そのまま地上に向かおうとする。

 

「お、おい!」

「あん?」

「お前、そんなに強いなら何でもっと早く戦わねえんだよ! 見ろ、店が潰れちまった!」

「うちの宿だって!」

「てめぇがチンタラしてるから! どう責任取ってくれるんだ!!」

「凄かった〜!」

 

 口々に罵る冒険者達。そんな彼等の間を擦り抜け柊に飛びつくアマゾネスの少女。

 

「引っ付くな歩きにくい」

「えへへ〜、私の子宮はもうキュンキュンしてるよ! 今すぐ貴方の子供を孕みたい!!」

「俺の煙草は不妊薬にもなってるがな」

「え〜!? じゃあ消してよ!」

「断る」

 

 冒険者達の罵倒をまるで無かったかのようなやり取りに、冒険者達の顔が怒りに歪む。

 

「いい加減にしろお前達! 冒険者でありながら、他の冒険者を当てにするとは何事だ!」

 

 と、リヴェリアの言葉にエルフ達が黙る。それでも怒りが収まらないのか一人の冒険者が石を投げ………

 投げ返された石が鼻や歯を砕く。

 

「行くぞ」

「は〜い!」

 

 去っていく柊。投げ返された冒険者の鼻や顎は砕け、回転していたのか肉が削り取られている。

 もう誰も柊を呼び止めることはしなかった。

 

 

 

 


 

 

ちなみに斬り捨てきれない部分が他人任せの奴や英雄を夢見る子供を嫌う部分。

 

 

漆黒の破壊者(ジャガーノート)

能力値(ポテンシャル)は最低Lv.6階層主級。攻撃力はそれを大きく超える。

通常の個体より硬いが、それでも脆い。ただし再生能力を持ちその弱点はないに等しい。柊を殺すために用意されたが力不足。

強化されているため死骸(ドロップアイテム)が残る。

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