帰還に失敗した堕ちた英雄がオラリオに行くのは間違っているだろうか?   作:匿名希望

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月の女神

柊の相性悪い世界ランキング!

 

5位僕のヒーローアカデミア

あの世界のヒーローは給金という見返りを貰ってるから義務があると思っているので民衆が騒ぐぶんには問題ないが、命を削って戦うものへ罵倒してた場合その限りではない。

オールマイトの対応次第ではオール・フォー・ワンを消し飛ばしてくれる。

 

 

4位ありふれた職業で世界最強

勇者(笑)に判断委ねて深く考えない生徒とか、神が言ったからと脳死してる異世界住民、未来に託した解放者、女関連で直ぐに手が出る異世界住民、割と地雷が多いのよね。

相性いいのは先生ぐらいか。

 

 

3位オーバーロード

命の危険何一つなく力を手にしたところに思うところはあれど、相手を尊重する初期アインズとは相性が悪くないが理想を押し付けるNPCやNPCの理想にそう後半アインズは………NPCが至高の神に創られた自分達の方が強い前提で喧嘩売ってきたら、お察しください……。

 

 

2位ゼロの使い魔

突然呼び出されて言うこと聞けと言われたらまず聞かない。杖を向けられたら腕を飛ばす。

親友に戦地に行けとかいう王女様は殺気で漏らさないように。

 

 

1位プリキュア

は? 魔法の国の不手際を中学生女子が解決?

…………………は?

 

 


 

 

 秘境の蠍アンタレス。その討伐に赴いた【アルテミス・ファミリア】は、封印で弱っているはずと聞いても油断はしていなかった。

 だが、()()は余りに予想外過ぎた。

 

 神の直系たる精霊と、ダンジョンの生み出したモンスターの融合。精霊の奇跡を扱う古代のモンスター。

 これを地上に出してはならぬと懸命に戦う【アルテミス・ファミリア】を嘲笑うように圧倒的な力で蹂躙し、そしてとうとう眷属の一人が死んだ。

 

 死んでしまった。

 アルテミスはそれに耐えられず、神の力を行使し死者を蘇らせた。

 

 当然その対価として強制送還されるはずのアルテミス。眷属全員が恩恵を封印され、為すすべを完全に失う愚行。本来なら、天界で己の浅はかさを後悔するのだろう。

 だがそうはならなかった、事態はもっと最悪になった。

 

 アンタレスがアルテミスを()()()

 神の力を無効化する黒の怪物に捕まったアルテミスは、送還されることもなくアンタレスに取り込まれた。

 

 神を取り込んだアンタレスはアルテミスの魂を捉える檻となり、この地上において理を自在に歪める神となった。

 大切な眷属達が痛めつけられ、苦しむアルテミスを嘲笑っていたが、唐突に虚空を睨んだ。なにかに怯えるように意識が外に向いた瞬間、アルテミスは最後の力を振り絞り神たる身で祈った。

 

「私は罪を犯した」

 

 それは下界を滅ぼしかねない『大罪』。

 アルテミスの甘さが、浅慮が招いた破滅。

 言い逃れをする権利も、嘆く権利すら与えられない。

 醜悪な怪物は神にも人にも滅ぼせぬ存在となってアルテミスの眷属も、愛した下界も滅ぼすだろう。

 

 だから。

 その時。

 その場所で。

 求めてしまった。『英雄』を。

 

 超越たる神の一柱としてではなく、無力で愚かな、泣きじゃくる少女のように祈った。

 『救い』を求めて『希望』を欲した。

 文字通り天にも届いたその命が呼び出したのは一本の槍…………否、『矢』。

 

 愚かで浅慮な大罪人を貫き『裁き』を与える神の矢。故にアルテミスは祈る、自らの命を貫く者を。

 何せ彼女は大罪人なのだから。

 

「アンタレスは何かを恐れていた。だから、奇襲を受けた私達も怪我だけで済んだ。『私』を取り込んだ後も、万能感に酔いしれた後その存在を思い出し意識を外に向けた」

 

 柊に攻撃が飛んできたということは、柊のことだろう。こちらが気付いていたのだ、向こうも気付くこともあるだろう。

 

「恐らくは、精霊だろう。自らを封印した精霊を恐れ、憎んでいたのだと思う」

 

 が、アルテミスは柊だとは思わなかったらしい。まあそりゃそうか。

 

「だが、神の力が通じない、眷属の攻撃も意味をなさない………どうにか出来るのか?」

 

 三竦みのうち2枚のカードを持ったアンタレスを殺すとなると、それこそ同じ2枚の性質を持つか、新しいカードを用意するしかない。

 

「出来る。奴は今、アンタレスであり『アルテミス(私自身)』………故に『アルテミスを必ず殺す』という因果を持つ矢を持って、アンタレスを討つ」

「何だお前、死ぬ気か?」

 

 そこまで聞いていなかったのか、アルテミスの眷属達が目を見開く。

 

「ほ、本当なのですかアルテミス様!」「う、嘘ですよね!?」「アルテミス様が犠牲になるなんて、そんなの聞いてません!」

 

 皆アルテミス様が大好き、ってのが良く伝わる。

 アルテミスはしかし困ったように微笑むばかり。もう覚悟は決めているのだろう。

 

「………これは私の罪だ。裁かれなければならない………だから、頼む柊。私をオリオンの下に連れて行ってくれ」

「え、嫌だけど?」

「な、何故!?」

「お前の眷属(子供)達が余計なことするなと睨んでくるし………だいたいそんな矢で神を殺せるのか?」

 

 と、矢を手に取る柊。

 触れてわかった。何の力も感じなかったが………なるほど、アンタレスから隠すために封印されていたのか。

 

「…………ん?」

 

 槍が淡く光る。地上では行使されないはずの神の力(アルカナム)が溢れ出す。

 

「…………何で?」

 

 これがアルテミスの力の一端ならば、貞潔とは程遠い自分に使えるはずがないと思ったのだが。

 染み付いた異界の神の力に反応したのか?

 

「………貴方が、私のオリオンだったのか」

 

 それは『英雄』を見つけた少女の目。『希望』にすがる無力な民衆の目。

 

「────ぁ」

「頼む、お願い………お願いします。それで私を殺して、アンタレスを討ってくれ」

 

 

 

『嘘ではありませんよ。記憶がなかったんです。いいえ、きっと記憶があっても、あの旅は……人間なんかと過ごしたあの旅は素晴らしい旅でしたと言えます』

 

 分身を取り込み、旅の記憶を宿す魔族の王は嗤いながら、泣きながら言う。

 

『あの思い出が大切なのに、皆で見た景色が大好きなのに、何もかも壊したいんです。私は間違えました………人に紛れるべきじゃなかったんです』

 

 

『私から世界を守りたいなら、どうか本気で殺してください。そうしないと、私も貴方を殺せない………』

 

 皆との思い出を守りたかった愚かな英雄と、英雄と共有する仲間との記憶と神としての怒りに苦しむ魔族の王。

 殺したくないくせに、生きててほしいくせに、あんな世界のために殺してしまった彼女とその顔が重なる。

 

 いや、それだけじゃないな。別の何かを思い出す。

 ああ、そうだ。両親だ。

 大切な存在を守るために世界を見捨てたと罵られていた。きっとアルテミスも、事が明らかになれば同じようなことになる。

 

「アンタレスは、数日中には目覚めてしまう。だから………」

「少なくとも数日は猶予があるんだろ? なら、考えさせろ。殺せる手段があるのと、殺せるかは別だろ」

 

 殺せる手段があって、確実に殺せるなら人類はとっくに蜂だの蠍だのに殺し尽くされている。

 

「…………そうか。いや、そうだな。急ぎすぎた、すまない」

「ああ、取り敢えず俺は寝る。お前等もお前等で天幕張って勝手に寝ろ」

「そうだな………皆、此処で野営しよう」

「は、はい!」

 

 アルテミスの言葉に眷属達が直ぐに行動に移る。

 下界を巡りモンスターの脅威から人々を守ると聞いている。野営にはなれているのだろう。

 

 困惑はあれど、それでも作業は速い。

 

 

 

 

◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆

 

 

 

 天幕の中は何時もより煙が多い。

 【デュオニュソス・ファミリア】の地下倉庫からパク………押収し、絶対に外に流す訳にはいかないとフェルズやガネーシャが厳しく管理している神酒(ソーマ)の3本目を空ける。

 

「クルル………」

 

 テントの外でクルルの心配そうな声が聞こえた。

 ただのモンスター……むしろただのモンスターより弱いクルルでは、天幕の中に充満している臭いに当てられて意識を飛ばしてしまうだろうからと近づかぬように言ったはずだが、指定したギリギリの範囲からこちらを伺っている。

 

「…………はぁ」

 

 神酒を飲む。

 煙を吸う。

 思い出すのはアルテミスの顔。

 恋人と被るし、その結末は両親と重なる。

 そんな彼女が、アンタレスを討ってくれと頼み込む。笑顔で、それで救われると言わんばかりに殺してほしいと言ってくる。

 

「……………………おぇ」

 

 

 

 

「オリオン、良いだろうか?」

 

 と、天幕の外から声が聞こえる。アルテミスだ。

 

「何か用か?」

「この矢は私と貴方が心を通わせるほど、本来の力を発揮できる。だからオリオン、私は貴方と仲良くなりたい。一緒に寝よう!」

「え、嫌だけど」

「む、そうか…………」

 

 しょんぼり落ち込むアルテミス。と、テントの中に転がる酒瓶に気付く。

 

「オリオンはお酒が好きなのか?」

「ああ、嫌なことを忘れられるからなぁ」

「嫌なこと?」

「両親とか、昔の恋人とかだな…………」

 

 それ以上は教える気はないが、と内心で吐き捨ててるとアルテミスがなんとも言えぬ表情を向けてくるのに気付く。

 

「恋人…………恋か。オリオンは、恋をしたことがあるんだな。それは、どのようなものなのだ?」

 

 


 

 

因みに柊はシルに顔を2つ用意しておくと後で苦しむ事になるぞと伝えている。

この記憶が、彼女に対してどの様に接することになるのかは、神も知らない。

 

 

柊に苛立ちがたまるほど、蠍の未来は………頑張れ。

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