帰還に失敗した堕ちた英雄がオラリオに行くのは間違っているだろうか?   作:匿名希望

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「結局精霊の森はどうなったのですか?」

「森に住み着いた精霊共に森と【デメテル・ファミリア】を守るよう命じた」

 

 デメテルの眷属とも契約させた。後は夜の見張りをおいておけば、精霊達が盗賊達を追い出してくれる。

 エルフ? 追い出されるに決まってる。

 

 因みにハイエルフに捧げるとかいう理由が多かったため、森に関しては金を払って薬になる伝説の木の実を譲ってもらうという関係だけだった筈のリヴェリアが同胞の愚行を詫び、漸く大人しくなった。

 

 各エルフは同【ファミリア】のエルフごとリヴェリアに一切話しかけることを一定期間禁じられた。

 

「隣人が住むからって自分達の森だとか、随分と精霊を見下せるものだ」

 

 そもそも本当に隣人ならエルフの里が焼かれた時点で力を貸している。精霊がクロッゾから力を奪ったのは精霊の住む森を焼かれたからだ。

 

「眠ってる獅子の毛皮に住み着き威を借る鼠のようだ」

「返す言葉もない………神デメテル、改めて同胞が迷惑をかけてしまい………」

 

 シル、デメテル、リヴェリア、柊が席につく。美女達に囲まれた柊に嫉妬の視線が向くが全く気にしない。

 

「まあお前のお陰で槍を欲しがる奴等も森を管理するだの言う奴も大人しくなった………気にしなくていいさ」

「それでも不満を持ってる人は居るみたいですけどね。ていうか命じたって………精霊に?」

「基本的に私がやったけど、柊ちゃんも凄かったのよ」

 

 精霊に最も近しい存在が何か、と尋ねられたら、まあ普通に神だ。デメテルの言葉に従い微精霊達はデメテルの血を分け与えられた眷属達と契約した。

 

 その際数が多かったので柊も手伝った。森の創造主だからか、別の理由があるのか、微精霊達は柊の言うことを聞く。

 

「英雄譚の英雄みたいだったわ。精霊達と心を通わせるなんて」

「それはまた、エルフの人が騒ぎそうな………」

「そもそも英雄譚で精霊と心通わせてるエルフの英雄の方が少ねえだろ」

 

 基本的に森に結界を張り引きこもっていたエルフが、神々により英雄の手助けをするために送られた精霊と合うわけがない。

 

 大穴の攻略に最後の方にちょこちょこ出てきただけのくせに偉そうなのだ森の引きこもりは。

 

「そうねぇ、エルフ達は………あんまり戦ってなかったわねえ。むしろ当時森を追い出されたハーフエルフの方が………」

 

 歴史の生き証人である神のデメテルが困ったように言う。周りで聞き耳を立てていたエルフ達は、恥じ入る思いになってるのは良い方だろう。睨んで来る奴はなんなんだ。

 

「そういう意味では、【九魔姫(ナインヘル)】のご先祖様は働き者だったわね」

「お待ち下さい神デメテル!」

 

 と、エルフが口を挟んできた。

 

「誤解を招くようなことを言ってはなりません! セルディア様は汚れなき乙女! リヴェリア様の祖先は妹のリシェーナ様の………」

「え? あ〜…………そうよね、そうだったわ」

「汚れを知らない乙女…………男を知らないだけなのを良くもまあ神聖視出来るもんだ」

処女神(ヘスティア)の眷属とは思えない発言ね」

「アルテミスだって忌避感こそあれ、否定はしてないだろ。そもそもやれ王族の血は尊いと言うくせに残す行為が汚らわしいなど訳がわからん」

 

 リヴェリアも、そういう行為はともかく、男女の恋愛に関してまで口を出されるハイエルフの使命とやらに思うところがあるのか特に何も言わない。

 

「ああ、だがお前がそのセルディアの再来とか言われてるし、子を残すのはお前の兄弟姉妹の役目か」

「私だって、子を抱きたいという欲はある…………相手はいないが」

 

 そろそろ三桁だと言うのに。

 とは言え、その願いが何処か満たされきってこそないものの乾いているように見えないのは、子供のようにかわいがっている娘がいるからか。

 

「貴様、先程から見ていればリヴェリア様相手に何だその態度は!」

「精霊共、そいつ等つまみ出せ」

 

 と、柊が言うとデメテルの周りから色とりどりの光が溢れ出しエルフ達に絡みつくとエルフ達が店の外に投げ飛ばされた。

 

「それは、精霊………?」

「精霊の森を保有するデメテルを狙う商会系【ファミリア】の神がいるかもしれねえからな………護衛」

 

 何せ今やあの森は巨万の富が実る森だ。欲しがるものは後をたたない。あと単純にそれを口実に眷属を動かし、デメテルを送還してオラリオを引っ掻き回したい現状邪神じゃないだけの邪神候補もいる。

 

「私は大丈夫って言ったんだけど…………」

「つまり精霊は柊に従っているのか…………お前は本当に、何者なんだ?」

 

 18階層で生まれた精霊の分身………精霊の気配を感じる前に柊に瞬殺されたが、あれはアイズより柊を優先していた。

 

「そうねぇ………柊ちゃんは、精霊に懐かれやすいの」

 

 精霊が求める人間など………ましてや自意識の薄い微精霊が求める人間などどういう存在か解りきったことだ。だが、この時代にそれを言うと、神々が面白がるしエルフや一部冒険者のファンが騒ぐ。

 

 精霊は英雄に相応しい者に寄り添うなど、お前達が持ち上げる現代の英雄は英雄足り得ない、と言うようなものだ。

 

「まあ昔っからああいうのには懐かれてたな」

 

 と、柊。

 前の世界では【神官】の呪いを受けた仲間の為に小国なれど歴史のある国の秘宝が必要になった際、老いた王に精霊から長寿の秘薬を持ってくるように言われた。

 

 長寿の秘薬は精霊の王族が気に入った人間をそばに置き続けるために作る秘薬だ。

 寿命が伸びるだけなので遊んでいるうちに殺してしまうらしいが精霊達は次は丈夫なのを選ぼうとか、優しいのがいいなとか、最初から欠けているやつを直していく行程を楽しもうとか気にしない。

 

 ちょうど新しい人間を探していた精霊郷に入り込み、精霊の姫君を騙そうとしたら恋されて逆に騙され無理矢理飲まされて監禁されそうになった。

 

 まあその結果、ヘスティアにも言ったように寿命による死で呪いが発動することはなくなったが。

 

 因みに王子がまともで世界を救うために戦う柊達のために秘宝を使ってくれた。老王は精霊の怒りに触れ牛に変えられ熊に生きたまま食わされたとか。

 

「こっちの精霊は可愛いもんだな」

 

 柊が片手を上げるとその腕に絡みつく精霊達。何処か神秘的な光景に女達が見惚れる。

 

「クルルや春姫と違って毛はねぇが」

 

 ビクンと震えた。ショックを受けたようだ。

 

 

 

 

◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆◇○◇◆

 

 

「ふふふ! 見てくれ柊君、壮観だろ!?」

 

 新団員の募集………。それにより集まった冒険者達。

 

「予知夢女……彼奴等も来たのか」

「予知夢女?」

 

 昨日、自分の枕を探しに来たカサンドラ。

 夢で見たという彼女の言葉をベルが信じ枕を見つけたらしい。

 不信の呪いもついてたが、柊はともかく何故かベルも信じていた。ベル達が信じたことが余程嬉しかったのかまた来ると言っていたが。

 

「………………」

 

 こちらの視線(形だけ)に気付き手を振るカサンドラ。若干の怯えが見える。

 柊が彼女の予知を感知した際、夢の中ではどんな反応をしたか知らないが大方普通ではありえない反応をされたのだろう。

 

「さて、それじゃあ面接を始めるか!」

「その前にヘスティア、彼処のアマゾネスの集団は俺のストーカーだ、カーリーの下に追い返しとけ」

「え、ストーカー!?」

 

 アマゾネスの気質は、柊にはあっている。あっているが、あのアマゾネスの集団には良識がかけているので【ファミリア】に迎えた場合面倒なことにしかならない。

 

「歓楽街の子かい?」

「いや、以前メレンに魚買いに行った際海に殴り飛ばした」

「何してんの君!?」

「先に手を出してきたのは向こうだ」

 

 戦いと生活が直結していたからか、殺意はなかったので手加減はしてやった。した結果生き残り、柊に飢えた獣の目を向けている。

 

「はぁはぁ、あの時の雄!」「ゴミでも払うようなこちらを見ない瞳!」「踏みつけられた時はゾ、ゾクゾクきたゾ!」「ああ、今まであったこと無い強いオス!」「夜の方でも虐められたい!」「あの拳が、私の脳髄まで貫いた!」

「…………あれ全員?」

「まあ…………」

 

 発情しきった雌の猛獣達に怯えるヘスティア。団員になろうと集まった者達も距離を取っている。

 ヘスティアが怯えているので、仕方なく柊が話をつけに行く。

 

 全員気絶させてクルルにメレンまで運ばせる。

 

「さて、残りのメンバーだが…………」

「た、大変ですヘスティア様! 荷物を整理していたら、借金二億ヴァリスの契約書が────!」

 

 瞬間、時が止まる。

 柊だけは端金だな、とは思ったが丁度いいのでふるい落としに利用することにした。結果としてカサンドラだけが残ろうとしたがダフネにより連れて行かれた。

 

 因みにベルはヘスティア・ナイフを見て気絶している。

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