今回は特に話すことはないのでどうぞ!
海賊と言った少女に、若い海兵は信じられずにいた。というか言っちゃ悪いがどうも海賊っぽくなかった。
海兵「海賊…?いや…失礼ですがあなたのような海賊は……あれ?そういえばどこかで…」
「お〜いっ!新入り〜!」
海兵「先輩っ!」
ふと視線を向ければそこにはライフルを持った海兵達の姿があった。その中には彼が慕う者がいた。
先輩「いや〜、無事だったか!よかったなぁ…うん…ところでこの人達は?」
海兵「あ、はい!この人達は偶然見つけたのですが、あの化け物を倒したんです!」
先輩「倒した…!?……どうやら、話を聞くべきだな」
倒したことに信じられない顔をしたが、壁にめり込んだクシュタカを見て信じた。
歩きながらことの経緯を話す先輩海兵。
パン「俺はパンデュール。俺達はこの町の調査をしに来た海兵だ…何か知っていれば教えてほしい」
パンデュール
海軍軍曹
先輩海兵『パンデュール』によると、最近この島で謎の獣人が暴れているという情報を受けて調査しに来た海兵達。だが上陸した際に獣人を発見。捕獲にかかるがその凄まじいスピードにはついていけず、海兵の何人かは重症。その中には獣人に連れ去られた者もいる。
セイヤ「……」
パン「早く獣人達の住処を見つけて原因を探らなければ…」
ウタ「…そういえば、ここにいた人達は?」
プサ「大丈夫です。皆さんは集会場に避難しています。あ、自己紹介がまだでしたね?僕はプサンと申します!」
プサン
海軍新兵
ウタ「プサン…可愛い名前だね!」
ウタに可愛いと言われ、照れるプサンに頭部をパンデュールに小突かれる。
そして一同は集会場につき、入るとそこには傷ついた住民や海兵が手当を受けたり、横たわっていた。
ラフ「…酷い…!」
セイヤ「…これは全てあいつが?」
セイヤが聞くとパンデュールは頷く。すると何やら奥が騒がしい。
『俺はまだ死にたくねぇ…!』
『あいつらになるなんて嫌よ…!!』
『助けてくれぇ…助けてくれよぉ…!』
海兵1「大丈夫だ!落ち着けっ!!」
船医「症状はまだ浅いっ!すぐに消毒液を!」
暴れる患者に対して出来る限りの処置を行う医者と抑える海兵。
ウタ「……♪〜…」
するとウタが歌い、それを聞いた患者が眠り出した。急に寝たことに驚くが医者はすぐに処置に入る。
プサ「今のは…!」
パン「驚いた…!まさか能力者か?」
ウタ「そっ!ウタウタの実だよ♪」
能力者の驚く海兵達だが、その時勢いよく扉が開き、振り向くと目と口が大きいまるでカエルのような顔の男と長い髭を生やした老人がいた。
パン「フロッシュ大佐…」
フロ「お前達!何をしてる…早く探しに行くぞっ!!」
フロッシュ
海軍大佐
プサ「えっ!?今からですか…?それにまだ他の人達も治療中ですよ!?」
フロ「何を言っている!これ以上あの化物どもに民間人に手を出させるわけにはいかん!そんな奴らほっとけ!今動ける者達だけで行くぞ!」
フロッシュの一言に海兵達は戸惑う。
ウタ「何あれ…あれでも海軍…?」
パン「フロッシュ大佐…俺達の指揮官だ」
ラフ「あれで大佐とは…」
ウタ一味はフロッシュが大佐であることが信じられず、引いていた
フロ「おい!何をしている!!早く行くぞ!!」
男「ちょ、ちょっと待ってください!!まだ助かるかもしれないんですよ!?」
フロ「触るなっ!!」
村の男が1人、フロッシュの腕を掴み、止める。それに対して殴り飛ばした。
パン「大佐!それはやりすぎです!!」
フロ「黙れ!どうせ重症者は助からん…!こいつらもいずれ化け物になる…!」
ウタ「え…?それってどういう…」
セイヤ「…クシュタカに傷つけられた生物はクシュタカになる…」
その言葉に皆は絶句。信じられないという気持ちだ。だが海軍や住民達も黙っていることから事実なのだろう。
セイヤ「クシュタカは肉食で自分よりも大きな生物にも襲いかかる獰猛さを持つ。更に奴等の牙には特殊なバクテリアがおり、噛んだ者を凶暴化させてクシュタカにされると言われている…治すには早急に消毒をして手当てをすれば助かる」
セイヤがクシュタカについて話すと詳しく知らなかった住民や海兵はその博識に感心した。
長老「その通りじゃ…これ以上、犠牲者を増やさないためにも残っている者だけで…逃げると決めた…」
男「長老!?この島を捨てるのですか!!」
長老「奴らの恐ろしさを見たじゃろう!こんなに襲ってくるのは初めてじゃ…危険なんじゃ…わかってくれ…」
フロ「その通り!危険だ!だからこの島を燃やすと決めた!!」
『!!!?』
燃やす…この島全てを焼き払う…
プサ「大佐!それはあまりにも酷いです!!ここは皆さんが育った大切な島なのですよ?全てが燃えたら彼らは今後どうするのですか!?」
フロ「そんなこと、この俺が知るかっ!!」
フロッシュのまた心のない一言にプサンは怒りを隠せない。飛びかかろうとしたが悟ったパンデュールに止められる。そんな2人に目もくれず、フロッシュは他の海兵に準備するよう促す。
フロ(こいつらのことなど知ったこっちゃない!!…それに…『アレ』が手に入るならこんな島燃えても問題ないさ!)
何やらこのフロッシュは何かをてにいれようとしているらしい。そんなことは知らず、ウタがフロッシュの前へと出てきた。
フロ「ん?なんだ貴様?」
ウタ「この…バカアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
フロ「ふごおおおおおおおっ…!!?」
『えええええええええぇ…!?!!』
ウタの一言が衝撃波と共にフロッシュを吹き飛ばした。
その光景に皆驚きのあまり声が出た。
海兵1「き、ききっ貴様!!なんのつもりだ!?」
1人の海兵がウタを問い詰めると、ウタは睨み返した。
ウタ「なんのつもり?決まってるじゃない…この島を守るためだよ!!」
海兵1「守る…?」
ウタ「そう!この島はみんなにとって大切な島なんでしょ?そんな島を燃やすだなんてとんでもない!!大切な物を守りたいのはここにいるみんな一緒だよ!!」
住民達はウタの言葉に心に響くものがあったのだろう。1人は胸を抑え、もう1人は泣きそうになる。
皆この島が好きだ。だが海軍による圧でどうすることもできなかった。だがこの少女はその海軍の大佐を吹き飛ばした。正直、胸が空く思いだった。
ウタ「それに…あのカワウソ君もかわいそう…」
プサ「え…可哀想…?…何を言ってるんですか…?」
あの化け物に対して可哀想と言ったことに反論しようとしたが、そこにセイヤが静止をかける。
セイヤ「まぁ、皆が考えていることはわかる。あんな化け物に対してそんな気持ちになれるのか?全く同感だ。だがな…どうも引っかかる」
パン「引っかかる?どういうことだ…?」
セイヤ「普通、動物は自分から攻撃するのは獲物を獲るか、ナワバリに入った時に行う…動物は基本臆病だからな…」
動物は基本は臆病な存在。よくニュースで出る熊なんかも実は臆病で人間が怖い。だから基本はそう簡単に攻撃しない。
ラフ「本当に詳しいわね?」
セイヤ「本を漁ってた時にな…まぁ今はどうでも良いこと…問題は何故襲いに来たのか…」
セイヤがそう言い、考えていると…何やら気付いたのか長老に聞く。
セイヤ「…長老さん、クシュタカが村に襲いに来たのは最近か?」
長老「は、はい…先週からですが?」
セイヤ「先週…その時何か大きな事件か事故はなかった?」
長老「いえいえ、事件や事故など……あ!そういえば…」
長老は何やら心当たりがあるらしい。
長老「先週の夜、何やら大きな叫び声が聞こえました…」
男「あ!俺もそれは聞いた!」
女「私も!なんか…苦しそうだった…」
セイヤ「苦しそう…やはりか……襲いにくる原因がわかった!」
『ええっ!?』
セイヤの言葉に皆驚く。
セイヤ「苦しそう…つまり、そいつはやられた可能性がある!仲間に!」
プサ「仲間…クシュタカのですか?」
セイヤ「そうだ!恐らくだがその声は死ぬ最後の叫び声だったのだろう…そして新しいリーダーが生まれ、そいつが指揮している可能性が高い!…まぁ、憶測だがな」
パン「だが、可能性はある…ライオンやオオカミはリーダーを倒すことで新たなリーダーになる…クシュタカもそれと同じならばっ…!」
それを聞いて周りはざわつき始める。
セイヤ「この村を襲わせているのは、そのリーダーってこと…つまりそいつをなんとかすれば…この悲劇は終わる!!」
『おおっ…!!』
この言葉にまた周りは驚き、そして喜んだ。これが解決すればこの恐怖から解放される。
フロ「戯言を抜かせっ!」
すると先ほど吹き飛ばされたフロッシュが起き上がった。
ウタ「あ、起きた」
フロ「そのリーダーをどう見つけるというんだっ!!それにこれだけの重症者がいる!こいつらも時期に化け物の仲間入りだ!!」
フロッシュの言っていることはわからなくもない。リーダーをなんとかしてもこれだけの重症者がいる。話が本当ならこれだけの人がクシュタカになるかもしれないのだ。
セイヤ「その心配はない…」
だが、セイヤは違った。セイヤはそう言うと重症者の前に近づき手を向けると、粒子状になって患者を包み込む。その光景にウタ一味以外の皆は驚きを隠せない。
フロ「き、貴様っ!能力者か!?」
パン「あんたもか…」
すると患者を包み込んでいた粒子は数秒も経たず元に戻ると、黒い豆粒のような物を指で摘んでいた。そして地面に置くとマッチを取り出して燃やした。
その行動に皆、頭の上にハテナが浮かぶ。
セイヤ「今、こうしてこいつの身体からクシュタカのバクテリアを抜き取った。あとは治療してやればいい」
ウタ「えっ?」
ラフ「えっ…!」
『えええええええええええっ…!!?』
なんと簡単に元凶であるバクテリアを取り出したのだ。
セイヤ「驚くことはない…能力も使いようってことだ」
ラフ「いやいやいやいやいやっ…!!十分驚くべきことよ!!」
セイヤ「兎も角、クシュタカになるのはこれで問題ない。あとはリーダーをなんとかすれば良い…そうだろ大佐?」
フロ「……チッ!軍曹!あとは好きにしろ!!」
パン「承知。それではこれより…クシュタカのリーダー格討伐に入る!動ける者は準備を!何名かは残り住民の手助けを!」
海兵一同「はっ!!」
こうして『島を燃やす』という野暮な計画は無しとなり、リーダーを捕まえることになった。
セイヤ「あ、君…ちょっと…」
プサ「はい?」
するとセイヤがプサンに何かを話し、驚かせた。
プサ「何故…そのことを!?僕も話でしか知りませんが、それは将校しか知らないこと…!」
セイヤ「良いから良いから、それじゃあ頼んだよ?」
そう言ってセイヤは患者の方に戻っていった。
次回はクシュタカとの戦闘になります!
それでは次回!『クシュタカ』