『力』…様々なことへの表現…肉体的、精神的など、力が関係する。
皆さんは力と聞いて何を思い浮かべますかな?
カラオケ大会
カーン…!
司会「はーい残念!またどうぞ!」
鐘が鳴ると先ほどまで歌っていた人が落ち込んでステージからトボトボと降りていった。
司会「さぁ、次の挑戦者はいるか〜っ!?」
ウタ「はーい!私私!」
司会者が次のカラオケ挑戦者を探すと、四角い形のサングラスをかけたウタが身を乗り出して、ステージに上がった。
司会「お、これはこれは…可愛いお嬢さんの登場だ!」
『お!可愛い子だ!』
『良いぞー!!歌え歌え〜!!』
『あのサングラスダサくね?』
ウタの可愛い容姿に会場の男達が歓声を上げる。
ウタ「やっほー!みんな元気ー?」
『イエエエエエエイ…!!』
司会「おっと!観客もノリノリだね!それじゃあ、お嬢さんは何を歌うのかな?」
ウタ「曲はね…」
ウタが曲名を言おうとした途端、男がステージに上がり、懐から銃を出してウタに突きつけた。
チンピラ「動くなっ!!」
司会「え、ちょっ…?」
銃を持つ男が現れ、会場はざわつき始める。
パァンッ…!!
上に発砲し、周囲の人達が驚き、全員口を閉じた。
チンピラ「うるせぇ…!静かにしてろ…!!おい女…一緒に来てもらうぞ…?」
ウタ「え?もしかして……私のファン!?」
チンピラ「なんでそうなる!?」
一方、セイヤ達は…
セイヤ「今の銃声…!やばい気がする…!」
ムラ「いや、確実にやばい!」
銃声が聞こえ、カラオケ会場に向かっている最中だった。
セイヤ「大方、ウタが出場したことで目をつけられたのだろう…!」
当たりだ…
ムラ「兎に角急ぐぞっ!」
するとセイヤ達の走る先にレイナが合流した。
レイ「ごめんなさい…!」
セイヤ「気にするな!それよりも…」
パァン!パァン…!
『!!?』
またしても発砲音が響く。しかも今度は2回。更に嫌な予感が高まり、急ぐ3人。
すると黒服を着た集団が何かを話していたが、そんなことは眼中にないのか素通りし、向かう。
黒服「申し訳ありません頭目…!うちの若いのが先走りました…!」
ベッ「チッ…!作戦前に余計なことを…!」
そんな会話をしていたが、3人の耳には入ってこなかった。何せウタの方が大事だからだ。
一方、会場では…
キャアアアアアアア…!!
司会「う…撃たれた…!でも……なんで?」
案の定、銃で撃たれた者が現れた。だが皆、困惑していた。銃で撃たれることは納得する。だが、その相手が…銃を持つチンピラの方だ。
チンピラ「グソッ…!!誰だ…!?」
?「そこまでだっ!」
チンピラを撃った張本人、それは1人の海兵だった。
海兵が来たことにより、会場にいた一般人がほっとした。
チンピラ「海兵か…!邪魔しやがって…」
海兵「皆さん!もう大丈夫です!あとは私にお任せください!」
海兵がステージに上がり、チンピラに近づいていく。チンピラはここまでかと捕まることを覚悟した。その瞬間ウタが何を思ったのかチンピラをこちらの引き寄せた。その拍子に撃たれた肩と腕に痛みが走る。
チンピラ「ッ!!おいなにしやが」
パァン…!!
突如、また発砲音が鳴り、チンピラの頭部スレスレを弾丸が擦った。
チンピラ「……へ?」
ウタ「どういうつもり?」
海兵「ウタちゃん…なんで庇うんだい…?」
海兵が撃った。チンピラを殺すために…
本来ならば負傷者や戦意のない者に対して過剰な戦闘行為は御法度。例え相手がどんな悪党に対してでもその行為は許されないものだ。
だがその海兵は何の躊躇もなく撃った。それが当然のように。
ウタ「目の前で人が殺されそうになったら助けるでしょ?それに…私のファンを傷つけないでよ!!」
チンピラ「ファンじゃねぇ!!」
またもファンと言われ否定するが、聞こえていないのか、海兵に突っかかる。
ウタ「貴方、海兵なんでしょ…なんで無抵抗な人を殺そうとするの?」
海兵「無抵抗?…勘違いしちゃいけない…そいつは『悪』だから殺すのさ…『悪』は市民を危険に晒す。『悪』は生きていれば人々に害を与える…『悪』はこの手で…消さなくちゃならないんだ」
ウタ「……」
チンピラ「狂ってる……」
チンピラの言うことは正しい…『行き過ぎた正義』…それは自分のやり方が正しいと揺るがない存在…
正義とは時に、善にもなり悪になる。勘違いしている人もいるが、正義の反対は悪ではない。故に、『正義のために悪いことをする』という言葉は矛盾してはいない。
実際にこの海兵の正義は間違ってはいない。だが、行き過ぎて…『狂い始めている』。
ウタ(この人…鼓動が速い…今日初めて殺そうとしている…)
海兵「ウタちゃん…君も海賊らしいけど僕は信じていないよ…あれは誤報だってね…君は海賊なんかじゃない…そうだろ…?」
この海兵…実はウタのファンだった。ウタの賞金首となったことへのショックで自身の正義が狂い、今現在に至る。幸いなことにまだ彼の心は壊れかけているだけ。今ウタが『海賊ではない』と言えば彼の心は壊れず、正気を保つことができる。
ウタ「ううん、海賊だよ?」
チンピラ(はっきり言ったっ!?)
そんな気遣いをあのウタは当然するわけがなく、はっきりと応えた。
海兵「………そうか…………じゃあ…………」
海兵「死ぬしかないじゃないかあアアアアアアアアアアアアアアッ…!!!!!」
等々崩壊し、銃弾の群れがウタに襲い掛かる。
だが、ウタにその弾は当たることはなかった。
「おいおい、女性に対してそれはないだろ?」
突如、いや…一瞬であった。瞬きする間もなく、男がウタの目の前に現れた。しかも、信じられないことに弾を全て、指でキャッチしていた。
その男は何者なのか?皆がそう疑問に思う中、海兵はその男が誰なのか知っているようだ。
海兵「あ、貴方は…!」
男「君君〜!ダメだよ、こんな可愛いお嬢さんに撃っちゃ〜…傷つくだろ?」
そう言いながら海兵から銃を取り上げると片手で握りつぶした。
海兵「ッ!!?」
男「いや〜、ごめんねウタちゃん!うちの若いのが失礼したね?」
それと同時に海兵が腹を抱えて倒れ込んだ。誰もが疑問に思う中、ウタは知っていた。
ウタ(見えなかったけど、銃を壊した瞬間に攻撃した…)
ウタはあの瞬間、攻撃は見えなかったが海兵の腹に攻撃する音は聞いていた。
彼がとんでもない実力者だと知り、ウタは緊張していた。何せ、あのヘスカノールでさえ、『緊張なんてしなかった』のだから。
すると男が近づいてきて、懐から何かを出した。ウタは緊張のあまり条件反射で構えた。
男「サインください」
ウタ「あ、ファンだったの?嬉しい!!」
『ファンかよッ…!!!?』
急なサインの申し出に快く受け入れる姿に会場の皆が総ツッコミ。
男「いや〜!まさかあのウタちゃんがいるなんて感激だよ!あ、そういえば今から歌らしいけど何歌うの?俺、逆光が好きなんだよね!」
ウタ「そうなの!?嬉しいな!…でもごめんね?今回歌うのは新曲なんだ」
男「新曲!?マジで!?」
『新曲って…あの子歌手なのか?』
『というか、あの子ウタって…』
『まさかあのウタか?!』
ウタだと皆に知られ、ざわつき始めた。高額の賞金首となって世間を騒がせている真っ最中の相手が目の前にいる。人々が混乱しかけていた。その時だ。ウタがみんなに話しかけた。
ウタ「みんな〜!!今日はみんなに私の歌を聞いてもらいたいんだ!そして知って欲しい!思い出して欲しい!夢とは何か…!」
そう言うとステージ上空にカラフルな音符がいくつも浮かび、そして集まり、一つのミラーボールに変わった。それと同時に音楽が鳴り出した。
ウタ「夢…それは誰にでもある物…私は夢を、大好きなルフィと、仲間達と共に叶えてみせる…!」
「ありったけの夢を かき集め
捜し物を 探しに行くのさ」
「ONE PIECE!」
歌が始まると皆がウタに注目し始めた。近くにいるチンピラや海兵もウタの声に耳を傾ける。いや傾けずにはいられない。
「羅針盤なんて 渋滞のもと 熱にうかされ 舵をとるのさ」
するとまた音符が現れると、今度は球体となって飛んでいき、観客や司会者、チンピラや海兵など周囲にいる者に近づくと球体の中に何か映し出された。
「ホコリかぶってた宝の地図も 確かめたのなら伝説じゃない!」
その球体にはそれぞれ、船に乗って旅をしたり、お宝を見つけたり、人を助けたり、何かを作ったり、家族と幸せに暮らしたり…これらは全てこの会場にいる人達の『忘れていた夢』である。
「個人的な嵐は誰かの バイオリズム乗っかって 思い過ごせばいい!」
『忘れていた夢』を見て会場中は唖然とする者もいれば笑みを浮かべたり、涙を流す者…それぞれ思いがある。
懐かしい…なんで忘れていたのだろう…
「ありったけの夢をかき集め 捜し物を探しに行くのさ」
ウタはただ自分の気持ちを歌にして皆に聞かせている。
「ポケットのコイン それとYou wanna be my Friend?」
だがその歌が、人々に影響を与えた。
「We are…We are on the cruise!」
『夢を思い出せ』と…
「ウィーアー!」
『夢は忘れるな』と…
『ウィーアー!!!』
この時、この島にいる全ての人間、いや生命の心が1つになった。
『夢を追いかけよう』と…
『ウワアアアアアアアアアアア…!!!』
『キャアアアアアアアア…!!!』
歌が終わっても歓声が鳴り止まない。それを見たウタは満足気であった。
ウタ「ふぅ…良かった、嬉しそうで!」
セイヤ「良くねぇ!!」
ゴンッ…!!!
ウタ「ッ〜〜〜!!!?」
セイヤ「目立つなっつただろうがッ!!何を聞いてたんだお前はッ!!」
セイヤ達が漸く到着。すぐさまウタに拳骨。痛がっている隙にムラサキとレイナが縄でぐるぐる巻きにし、口には猿轡はこれでもかと巻き、捕獲した。
セイヤ「よし!退散!!」
ウタを担ぎ、急いでこの場から逃げ出す。
海兵が気づき、ハッとすると隠し持っていた拳銃を取り出そうとした。だがそこに思わぬ邪魔が入った。
市民1「頼む!俺を海兵に入れてくれ!!」
市民2「オレも入れてくれ!!」
海兵「え?え?」
海兵に何人もの市民が集まる。海軍に入りたいと物凄い気迫で押し寄せる。
一方、ベッジ達は…
市民1「海賊にしてくれ…!!」
市民2「海に出たかったの!!」
ベッ「なんだこいつらは…!?」
黒服「頭目!早く逃げましょう!」
同じく市民に追われていた。
島の大騒動の中で、一隻出航している船がある。ディーバ・ラパン号…ウタ一味だ。
ウタ「あ〜ん…2曲目いきたかったのに…」
セイヤ「悠長なこと言うなっ!危うくあの中将に捕まるかもしれなかったんだぞ!!」
レイ「そうよ!あの女たらしに捕まるところだったのよ!?」
ケイ「女たらし…え、まさか…あのオメガ中将はいたの?」
ムラ「…知り合いか?」
セイヤ達の説明によれば、女好きで女にだらしなく、女だからという理由で海賊を逃した、めっちゃくちゃ強い海軍中将らしい。
ラフ「…ただのバカでしょそいつ?」
セイヤ「ああ…だが俺と互角かそれ以上か…」
セイヤが言うのだから間違いないのだろう…
ウタ「…まぁ、無事だったからいいじゃん!」
セイヤ「……もう一発喰らいたいのか?」
ウタ「ごめんなさい反省してます」
セイヤの圧に土下座をするウタというなんとも面白い光景だ。
ラフ「それじゃ、偉大なる航路入りを祝して…乾杯といきましょうか?」
ラフエルが各々に飲み物が入ったグラスを配る。もちろんシラワタ用には小さいコップが用意されている。
ラフ「私は世界中の子ども達に美味しいご飯を食べさせてあげたい!!」
ラフエルがグラスを掲げ、自身の夢を語った。
ケイ「俺は…最強の料理人!」
それに続きケイトも掲げる。
ウタ「私は新時代の歌姫に!」
レイ「私は全てを救う医者に」
ムラ「俺の剣術を世界に広める」
セイヤ「あらゆる知識を学ぶために!」
シラ「ケセラ!セラ!セラセランッ!」
全員が飲み干す。そしてウタが大きな声で叫んだ。
ウタ「みんな、行こう…!偉大なる航路へ!!!」
こうして、ウタ達の偉大なる航路への冒険が今、始まった。
この先に待つのは、果たして…
今回、ウタの脅威の1つ『影響力』を表してみました。
実際に有名なダンサーや歌手は世界に影響を与え、社会現象を起こしましたからね。
それと次回からいよいよ偉大なる航路編に突入!いや〜、長かった…ここまで付き合ってくれた皆様に感謝です!
それでは次回!『クジラと歓迎の島』!