三流退魔士の俺が名門退魔士一族の落ちこぼれお嬢様に『君が欲しい』と言われたんだが 作:ケツアゴ
「その子とのデートの前にお姉ちゃんがアドバイスして差し上げましょう! 今時ツンデレ等流行りませんし、好きなら好きとちゃんと伝えるのですわよ? それとプレゼント攻めをするのは……」
「ええい、鬱陶しい! 寄るな話し掛けるな姉面するな! 僕に関わろうとするんじゃない!」
「こーら。お姉ちゃんの友達も居るのですしそんな悪い口は、めっ! ですわよ、こーちゃん」
僕の名は
……僕はそれが気に食わない。
頭は弱いけれど家族思いの美しい長女、それが僕の周囲の評価だ。心優しい? 頭が弱いが美しい姉?
僕は……僕だけは気が付いている。優しい姉の振りをしている目の前の女は弟想いの姉なんかじゃなくて得体の知れない化け物だって。
僕がどれだけそれを訴えても無駄だろう。だって構われるのが恥ずかしくって姉に素直になれないだけだって扱われるだけで、少し前まではお姉ちゃんにべったりだったと誰もが口を揃えて言って来る。
そんなの僕は認めない。あんな女なんて僕と血の繋がりがある筈がない。
「僕はもう行く。恵麻が待ってるからな。……園内で会っても話し掛けるなよ。彼奴にお前なんかを関わらせたくない」
「神示様、流石に……」
僕の発言を見兼ねたのか此奴のお供……少し前までは僕の遊び相手で姉の様に慕っていた桔梗が口を挟む。同じく小さい頃から世話をしてくれていた桜だって困り顔だ。
これだ、僕があの女に向ける態度が悪いって皆が口を揃えて言う。それが悔しいけれど今は何も言わない。きっと僕を見て腹の中で笑っているんだろうけれど、絶対に正体を暴いてやるからな!
「随分と拗れてんな、あの姉弟。普通はあんなもんなのか?」
俺の家は十歳離れてる上に両親が学者として研究三昧だから主に祖父母と姉さんが世話を焼いてくれていた。
だから目の前で姉に猛反発する弟の姿は少し珍しく感じて疑問が口から出ちまったんだ。
いや、美神の過保護っぷり見てたら気持ちは分かるんだがな? 美神の奴は素直じゃないのも可愛いとか言って嬉しそうだが、他所の家族の悩みなんてどうにもならないからな。
頼られれば手を貸すが、そうじゃないのに他人が首を突っ込むのは駄目だろうし……。
美神と弟の軋轢、側から見れば一方的な物だが複雑な事情が有りそうで誰も声を掛けられない。例え本人に気にした様子が無くてもだ。
踏み込んではいけない一線ってのはあるからな。
あの姉弟とは幼い頃からの付き合いらしい取り巻き二人も困り顔をしているし、誰もが空気を読んで弟への話題には触れられずにいた。
「むふふふふ〜。思い悩む美少年も良いものだ。是非とも侍らせたい!」
但し年中発情期のドロシーは除く。空気読めと言っても聞く筈がなく、舌舐めずりで恍惚の表情。はい、何処に出しても恥ずかしい変態です。
それを背負って連れて来た俺の評価を考えろと小一時間は問い詰めたいぜ、この悪魔!
……警告しておくか。
「変な事したら一週間は無視するからな? 泣こうが喚こうが知った事じゃねぇ」
「……ぬぅ。此度だけは我慢しよう。目で楽しむのも美しき者の扱い方であるからなあ」
今回は運が良かった。他にもターゲットとなる奴が居てくれたお陰で興味が分散していたからだろうが素直に諦めてくれた。
あの発言だけで通報されても不思議じゃねーのに実際に小学生に手を出したら色々と不味い。主に身分証明書の類で。
最終的には公安零課がどうにかしてはくれるんだろうが、管理者の俺とか認可を出した姉さん達に本部のアレコレが降り掛かる可能性もあるからな。
一応聞き届けはしたものの、未だ名残惜しそうに神示君が去って行った方を指を咥えて眺めつつもう片方の手は俺の服の裾をしっかり掴んで話す素振りは無い。
一週間無視するってのは流石に言い過ぎたか? でもなあ……。
そもそも人間のルールを押し付けてるのは俺の方だ。何か受け合わせでもしてやるべきかとドロシーの方を向けば不安そうに俯いていた顔を逸らされる。
まあ、後々考えれば良いな。軽いお願い程度は聞いてやるか……。
「あれが女難とやらなんだろうね、桂花。彼女、少し気にした様子の大和さんを見てこっそり笑ってるじゃないか」
「計画通りって顔ね。影で女誑しって言ってる人が居るけれど誑せないでしょう、彼じゃ」
「まあ,面白そうだから黙っていようか。あの子とは僕達より長い付き合いらしいし、彼の人を見る目を信用しようじゃないか」
天上姉弟の複雑な関係に重くなった空気もある意味ドロシーのお陰で霧散し、さて今から入場するかってなった時だった。
美神が背負っていたリュックを地面に下ろして中をガサゴソ漁り出す。出せる物は出せば良いだろうに乱暴に突っ込み直すから探すのに邪魔な上にクシャッてなってるじゃねーか。
“遊えん地のしおり”ってタイトルと下手くそな表紙絵の冊子とか折れ曲がって、一体何を探しているのかと思いきや出したのは割り箸で作ったクジだ。
先に数字が書かれているし、人数が多いから当日に班分けするとかは聞いていたんだが、数字の部分を上にして俺に向かって差し出すんだが、チラチラと離れた場所でこっちを見ている男を見ていた。
「さ,さて。私は1番を引かせて貰いましたから、お次は大和さんがお引きなさいな」
差し出す時も目が泳ぎまくり、下手くそな口笛を吹いて違和感だらけだ。
そして1番のクジだけ明らかに突き出している。それは別に良いんだよ、俺に引かせたいってのは理解しているから。
ただなぁ、1番のクジが全体の半分以上出ているが、こういうのって普通は不自然にならない程度に出すもんじゃないだろうか……。
此処は空気を読んで1番を引く事にした俺だったが、クジをつまみ取りながら取り巻き二人に視線を送る。
そもそもフォローするのがお前達二人の役目じゃねぇのか? 阿保二人の世話だけでも大変なのに追加は勘弁してくれよ。
「あらあら、まさか私と同じグループだなんて驚きですわよ。これも運命という奴なのでしょうね。オーッホッホッホッ!」
ああ、此奴って本当に……。
「ねぇ、桜。美神様ったら相変わらずアホ可愛いわよね」
「そうね、桔梗。可愛いけれどアホ……いえ、アホだけれど可愛い。寧ろアホだからこそ可愛い、かしら?」
おい、取り巻き二人!?
嗜めるどころか楽しんでやがる二人の姿に俺が呆れた時だ。美神の肩辺りに違和感を覚えたのは。
一瞬目を凝らせばてんとう虫程度の大きさの小鬼が張り付いて頬を擦り寄せていた。
……底位か。
「美神、肩に虫が止まってるぞ。ほら、取ってやるから……あっ」
忘れていた事を思い出し慌てても既に遅し。俺の目の前に着物の柄が迫っていた。
「わきゃぁあああああっ!? 虫!? 虫ぃ!?」
そう、アホで脳筋な空手好きだが美神は虫が嫌いだ。そんな奴に肩に虫が乗ってるなんて伝えたらどうなるか?
はい、その結果として俺に飛びついてパニックになった。此奴、着物の上じゃ分からないが胸が着痩せする……おっと、煩悩が。
取り敢えず妖魔は弾き飛ばして踏み潰したが完全にパニックな此奴どうしよう……。
敵幹部の総称アンケート 枠埋めは募集掛けるかも 今のところ三体は埋まってる 但し死従者死地士と五凶星の場合は一名入らず
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五凶星 ごきょうせい
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悪六烈 おむれつ
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七福塵 しちふくじん
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四従死地士 しじゅうしちし