三流退魔士の俺が名門退魔士一族の落ちこぼれお嬢様に『君が欲しい』と言われたんだが   作:ケツアゴ

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サイトで作った 神示君十歳


命の保証はされてます 但し精神は別

今日も過労の二文字が浮かび上がる公安零課。本日三十個目のオカルト動画投稿者のアカウントを乗っ取り垢BANに追い込む動画を投稿するのは此方もバ美肉してる見た目のククルル。

 

「アひゃヒャヒャ! あきゃキャキャキャ!」

 

 クッキリと隈が浮かぶ血走った目で笑い声を上げながらキーボードを激しく叩きながら足をバタバタ動かすが、他の職員も慣れた様子で視線を一瞬向けると黙々と作業に戻る。

 

 壁には『くたばれ太歳星君!』やら『太歳星君のうんこ垂れ!』等を書き殴った紙が乱雑に貼られており、最近になって加速した激務の要因だろう相手への恨み節が綴られる中、影女の人の姿の状態、お玉が街頭でフィリップボードを使ってアンケートを取る姿の写真も赤いバッテンが描かれた状態で顔の辺りに画鋲を刺した跡を残して貼り付けられていた。

 

 アンケートは選択肢から選んでシールを貼るという物だが,目付きが悪くも着物姿の美少女ということで興味を惹かれて近付くのは悲しき性なのか男が多く、『選んでね⭐︎』と吹き出しに書かれ親指を立てたパンダのイラストの下の選択肢から選ぶのだが、悪六烈やら五凶星等の最近耳にしたばかりの物が混じっている。

 

 幹部の総称、街頭アンケートで選びやがったぞ、あの凶ツ神、とは事実を知った人と魔の共通の意見だ。

 

 そんな何処にツッコミを入れるべきかスルーすべきか、スルーしたいけれど関わった人に何か影響が有るのではとスルー出来ないので零課は本部も支部も大混乱の叩き売り。

 

 結果、色々と溜まって発作を起こしたククルルの背後に音も無く回ってキュッと締め落としに掛かった勇も目が半分死んでいる状態の彼女が部下の意識を奪うまで文字通り一瞬、両腕が首に触れた時には既に意識を失っていた。

 

「あれ? 何故か大和がラッキースケベに遭遇している気がしますね」 

 

 本来なら即座に解放して瞬く間に無音で席に戻る筈なのだが、素っ頓狂な発言と共に小首を傾げる二十代後半恋人居ない歴 年齢。

 部下の首を両腕で固定したまま弟の青春と呼ぶには少々社会的信用に関わる事態への予知に

 

「疲れてますね、支部長。世迷言は忘れて確認にハンコお願いしますよ」

 

「武術家か野生の勘ですか? 弟さん、支部長の事をマスターゴリラとか……あっ、やべ。秘密にしておく約束だった」

 

 口を滑らせたと思わず口を塞ぐももう遅い。目が死んでいようが失言は聞き逃さず、ククルルを締め上げた姿勢のまま死んだ表情が満面の笑みへと一瞬で変貌するのだが、目だけは笑っていない。

 

 

「幾ら弟でも契約している退魔士が漏らすなと頼んだ情報を知ったからとして何もしないので慌てなくても大丈夫ですよ。ただ、同門の姉弟子として今度の組み手は少々厳しくしますが無関係です、本当に」

 

 絶対無関係じゃない、と現在進行形で絞め落とされてグッタリとした状態のククルル以外の職員の思考が一致した瞬間、彼女の蛍光色の髪が大きく揺れた。

 

 あっ、ヤバいんじゃね? とその様子を見て慌てて解放させるべく立ち上がろうとする者が出た瞬間、気力体力共に限界突破な状態で漸く気絶出来た筈のククルルの両目が開かれる。

 コンタクトによって小さな星が輝く瞳が困惑した様子で左右を眺め、震える声で呟いた。

 

 

「嘘っ!? 体力が回復しちゃってる……ゼ! ボクチャン、ビックリ!」

 

 ギリギリでキャラ付けを思い出して付け足した彼女はわなわなと震える。連勤不眠の激務から解放してくれた筈の疲労が綺麗さっぱり消え去ったという事実が受け入れられず、冴えた頭が理解を拒絶するのを許してくれない中、この時になってククルルをヘッドロックから解放した勇は得意げに胸を張った。

 

「難易度が高くて今の今まで使えませんでしたが漸く習得した伏柄流古武術奥義・気融(きゆう)。自らの生命力である気を相手に送り込んで体力を回復させる……」

 

「ぎゃぁあああああっ!? つまり死ぬ程辛くても気絶出来ないって事じゃないですかぁあああああっ!?」

 

「相変わらず世界観が間違ってる人ですね、支部長。気って漫画じゃあるまいし。いや、霊力の時点でアレですが」

 

 そして響く阿鼻叫喚。今後、体力切れでの気絶という休息は許されない。そして伏柄流って一体何なのだろう。

 

 尚、弟から武術を極めたゴリラ(マスターゴリラ)呼びされた姉の野生の勘なのだが、現在進行形で当たっていた。

 

 

 

 

「虫嫌い虫嫌い! さっさと取って下さいませ!」

 

「落ち着けっ! 既に取ってる!」

 

 首にガッシリと回された両腕。顔面に押し当てられる一着ウン百万だろう上質な着物の布地。そして着物の下に隠された一見するとそれ程じゃないが実際はそれ程だった弾力の塊。

 

 空気をパンパンに詰めて弾力と重量感を高めた小振りなボールにでも挟まれているみたいで、引き剥がそうにも両腕は首に巻き付き両足も腰に回ってガッシリと固定されていて、これが阿保二人の悪ふざけなら雑に放り投げて怪我しない程度に適当にキャッチするんだが、同じアホでも友人である上に遊園地に関わる家のお嬢様を投げ出すのはちょいと不味い。

 

 これが阿保二人なら即断即決なんだがな。少しばかりじゃない困り様、美神はかrstrをやってるだけあって力も強いからこっちもそれなりの力が必要だ。

 何より! 頭を胸元に抱き抱えられている現状は俺にも此奴にも非常に良くない!

 

 誰かどうにかしてくれ、特に付き合いの長い取り巻き二人! お前ら、身の回りのサポートが役割だろうと目で訴えれば通じたらしく、どうすべきかと遠巻きに見守っていた桔梗と桜がカメラを降ろして進み出ると両側から美神を挟み込み、同じタイミング同じ高さに跳ぶなり美神の耳に息をそっと吹き掛けた。

 

「あふん」

 

 あっ、力が抜けた。

 

「美神様は耳が弱いので攻めると大人しくなりますよ」

 

「性感帯なので、優しく撫でるか小さく息を吹き掛ければ幸いです」

 

「助かったのは良いが、もう少し早く助けてくれ。つーか要らん情報だわ,それ」

 

 息ぴったりにむりょくかさせ左右から肩を貸して立たせながらドヤ顔を向けて来られても困る。^_マジでアホは何処にでも居るんだな、おい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっちまいましたわ。天上家の長女としてあまりにも失態が過ぎますわよ。殿方に人前で抱き付いて顔を胸で挟み込むだなんて」

 

「具体的にペラペラ喋るのは止めような? 俺に流れ弾が来てるからよ」

 

 肩に虫が留まってるって言った結果、顔を胸で挟まれたのが俺です、はい。感想? 着痩せするんだってのと張りと弾力が……いや、友人相手だ、忘れよう。

 

 にしても参ったな。美神の奴、珍しく落ち込んでやがる。此処迄落ち込んだのは期間限定のハンバーガー(父親の会社とは別)を食い損ねた時以来じゃねえのか? と頭を抱えてしゃがみ込む姿を見て心配になる。

 

 さてと、どうやって慰めるべきか……。

 

 取り巻き二人は珍しい姿をカメラで激写していて糞の役にも立ちゃしねえ。仲良いな……。

 

「美神様、フードコートで餡蜜でも食べましょう」

 

「カツ入りの焼きそばパンもありますよ」

 

「オーッホッホッホ! いざ参りましょう、皆様!」

 

 瞬時に立ち直ったよ。マジで仲良いな、お前等……。

 

 何はともあれ美神も復活したし、これで遊園地が楽しめそうだ。……パンフ見る限り内容は良くても見た目の趣味が悪いのも多いんだがな。

 

 昔の魚船モチーフ(這い上がるリアルな舟幽霊オブジェ付き)とか蛍光色の城モチーフの観覧車とか馬車が高級車(但しスペースの都合で短い)だの、美神の叔父さんがデザインしたらしいんだが……。

 

 ま、まあ、デカさも速度も国内最大級のが多いらしいし、経営は……どうなるんだろうな。事業失敗続きらしいけれどよ。

 

 

 

 

 

「困りましたわね」

 

「まさかプレオープン早々にな……」

 

 数十分後、俺と美神が乗った観覧車が頂上に達した瞬間、園全体で大規模な停電が起きて動きが止まった。

 

 こりゃ駄目っぽいな……。

 

 まさか妖魔がこんな事態を引き起こすだなんてとんだ災難だ。貧乏神にでも取り憑かれてるんじゃねぇかって事態だが、今回はジェットコースターの辺りにいる彼奴っぽいな。

 

「ゴ……」

 

 ゴキブリかよ、思わず口走りそうになった言葉を俺は飲み込む。流石にこの状況で出して良い単語じゃねえし。

 

 

 小姫かルサ先輩が居れば良かったんだが。特に先輩はティッシュ一枚で掴めるらしいし。

 

 

 

 

 




応援お待ちしてます

敵幹部の総称アンケート 枠埋めは募集掛けるかも 今のところ三体は埋まってる 但し死従者死地士と五凶星の場合は一名入らず

  • 五凶星 ごきょうせい
  • 悪六烈 おむれつ
  • 七福塵 しちふくじん
  • 四従死地士 しじゅうしちし
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