三流退魔士の俺が名門退魔士一族の落ちこぼれお嬢様に『君が欲しい』と言われたんだが   作:ケツアゴ

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ブクマは増えてる 大丈夫、感想二回連続でこなくても無反応じゃない


流れツイた物 十六

 俺のベッドは特注品だから大きいし、数人で寝転んでも多少の余裕がある。母さんなんて冗談なのか本気なのかは分からないが、"大勢で楽しむのは良いけれど、病気の多重感染には注意しなさいよ”だってよ。

 

 高校生の息子に言う事かよ、それが……。

 

「おい、未だ余裕があるんだからそんなに詰めるなよ……」

 

 母親の持つ倫理観について少し考えたい所だけれど、今の状況の方が優先だよな。

 治療の対価に添い寝を要求されるのは前からあった。それは別に良いんだが、今日ばかりは少し違うんだ。

 

 一応言っておくなら悪い状況とは言えないんだが、だからって受け入れるには問題があった。

 

「知らん。我等という存在の下に居ながら他の女に現を抜かす貴様が悪い」

 

「お主とて悪い気はせぬだろう? このまま伽を命じてやっても良いのだぞ? ああ、何なら余がお主の夜伽をしてやっても構わぬがな!」

 

 何で二人揃って俺のベッドの中に入ってるんだ?

 

 ドロシーだけなら分かるんだ、今回は対価を請求される前に治療が終わったから突っぱねる事も可能とはいえ添い寝をするのは頻繁にある事だ。

 あー、改めて考えるとどれだけ怪我をしているんだって話になるし、たんぽぽさんがキレるのも納得だわな。

 

 ただ、今回はちょっと違って何故かお玉まで潜り込んでいるんだが?

 

 

「何ぞ文句でもあるか? 聞くだけ聞いてやろう」

 

「いや、ちょっと寝返りが打ち辛いなって……」

 

 困惑気味に視線を送っただけでこれだよ、文句とか言えて堪るか!

 

 右側からはドロシーに抱き付かれ、腕を胸と太股で挟む形になっているから下手に動かせない。明日朝になれば右腕は痺れてそうなのは不安だな。

 

 対して左側のお玉は少しだけ距離を開いて片手を俺の手に重ねた上で残った手で袖を掴んで顔に側に持っていっている状態。

 つまりは右にも左にも寝返りが打てないし、打てたとしても背中を向けた側が怒るだろうな、絶対に。

 

 仕方がないので天井を見つめるも寝付けそうにはなさそうだ。

 それは今の状況への困惑とかドキドキもあるんだろうが、一番の理由は別だろうな。

 

「……なあ、今日実は目の前で……」

 

 

「知っておる。既に死んでいたのを無理に生かしていただけであるぞ。お主が幽霊屋敷を倒した結果でもあるまいに」

 

「貴様は遠く離れた国の過去に起きた死亡事故を気に病むのか? 愚物め。その様な事を気にする暇があれば精進して目前の者を救え。無論、自分を優先してな」

 

 予想はしていたが、二人にとって少年が死んだ事は一切興味の向かない事らしい。

 それは人間から妖魔へと変質した価値観や精神だけでなく、生まれ育った時代や国も関わって来る。

 

 二人にとって生きている人間の生死はどうでも良い事、俺を含む僅かな例外以外は死のうと生きようと同じなんだ。

 

 そんな言葉を聞いて何処か俺は少しだけ心のつっかえが薄れた気がした。

 

 

「見ていた限りではお主に落ち度は見られなかったのだ。忘れろ、どうせ本来関わらぬ相手だ」

 

「何処で何時死のうと関心を向ける必要など無かろうに。他人ごときに何故心を乱すのか理解できぬ」

 

 二人がこんな風な反応をするって分かっていて、それを聞きたくて問い掛けたんだろうさ。

 

 

 

「そうか。強くなるしかないんだよな……」

 

 俺は卑怯だよなあ、こうして擁護して貰えると分かっていて問い掛けるんだからさ。

 

「安堵せよ。余がお主を強くしてやろうぞ。無論、報酬は貰うが当然であろう?」

 

「我の存在は無視か? 寧ろ武術を使うのだから我の方が教えるのに向いているだろうに」

 

 俺の腕に抱き付いていたドロシーの腕は首に回されて一層強く密着、耳に息が当たる近さにまで顔を近付けるから身動ぎすると唇が軽く触れる程だ。

 

 お玉も俺の手に自分の手を重ねたまま近寄って、体が触れる寸前にまで来ると俺の肩の辺りに顔を埋めるんだが、ちゃんと全体が見えないのに上機嫌なのは伝わって来た。

 

 本当に他人には一切関心を向けたがらないけれど、こうして俺には遠回りな励ましの言葉を贈ってくれるのは俺とは仲良くやれているからだ。

 遠回りつっても俺に簡単に伝わるのが分かっているのにわざわざ手の込んだ言い方するとか……。

 

「何か執着が凄いよな、お前達って」

 

「余は自分の物を大切にしているだけだ。故に余を好きにしても良いのだぞ? 余も好きにするが構わぬだろう」

 

「左様。何度も言うが貴様が我の所有物なのは永劫変わらぬ。他の女に視線を向けるな。伽ならさせてやる」

 

 昔から一緒に過ごした仲だから分かるんだが、二人の俺に対する態度は普通じゃない。

 何と言うべきか、俺が余所に目を向けるのを嫌がるのは正しく執着と呼ぶべきだろうさ。

 

 封印されている状態なせいで契約した俺の家の敷地内から出られないし、行動の中心に俺が関わってくる以上はある程度仕方無いんだろうが、それでも時々妖魔と人間の違いを感じさせられる事もある。

 不愉快ではないし、戸惑いはしたけれど長い付き合いだから慣れた、だから文句は無い。

 

「てか、執着って言い方は否定しないんだな」

 

「する意味があるのか? 余は余の好きなもの全てに執着を向け、手放さぬし離れる事を是とはせぬ。故にだ、お主は余から生涯離れられぬと知るが良い」

 

「……この者と一緒にされるのは不愉快ではあるが、我も似た意見だ。我が所有物と定めたならば、それは永劫変わらぬ。他の者に掠め取らせたりなど許すものか」

 

「へいへい。肝に銘じておけば良いんだろう? 元から俺だってお前達を手放す気とか無いからな」

 

 それに俺も俺で二人に執着を向けているからな。

 

 好きな相手が初めて出来て、その相手に二人との関係を色恋絡みと思われるのはちょっと嫌だが、だからって二人との関係を変えるのは更に嫌だ。

 どうしようもない理由で変わるなら諦めはしないし悔やみもするが、折り合いはつけなくては、と頭では分かるんだろうが、俺の個人的感情で変えられる程に浅い関係じゃない。

 

 二人が掴む俺の腕を無理矢理内側に持って来れば、自ずと引き寄せる感じになる。

 元から密着していたドロシーは抵抗せずに、お玉は数秒抵抗を見せた後、あくまでも自分の判断だと言いたそうな様子で俺に密着する。

 

 

「あの小娘を射止めたとしても気にせずこうせよ。お主の母親とて言っていただろう? 一般的な恋愛関係とは古い倫理観と不要な束縛で成り立っている、と」

 

「割りと大切だと思うぞ? こんな事をしていて何を言ってるんだって思うけれどよ」

 

「何を今更、という奴よ。して、大和。貴様程度の頭でもドロシーの強化の理由は分かっておるな?」

 

「そりゃあ……キスだろ。お玉が直後に気絶した時の……あだっ!?」

 

 余計な事を言うなと膝蹴りを食らわされる。余計な事は状況考えて言わなくちゃな……。

 

 

「忘れろ、死にたくなければな。あの時は慣れぬ感覚に不覚を取ったに過ぎぬのだ。次はあの程度の快楽に我は負けぬ」

 

 何かエロい事される前の女騎士みたいな事言ってんな。

 

「ぬふふふふ。まるで大和が電子書籍でこっそり購入した漫画の台詞に似ておるな。強気な態度も最初だけで、気を失い掛けた所に止めどなく押し寄せる快楽に負け、最後は媚びた表情で……」

 

「いや、何時の間にチェックしたんだよ!?」

 

 それと俺が買ったのは表紙で選んだマンガ雑誌だから巻頭カラーの方は趣味じゃ……ねぇとは言わないが、何嬉々として語ってるんだよ、ドロシー。

 

「……組伏せて屈服させるのが趣味であったのか?」

 

 お玉も変な誤解してんじゃねぇよ!

 頼むから少し引いた態度になるなよ、お前だって俺に同じ様な事をするって普段から言っている癖に!

 

 

「そっちも今の会話は忘れろ。んで、キスが契約を強めたって事で良いのか?」

 

「然り。我とドロシーは貴様との繋がりにより力の増大を手に入れた。まあ、貴様の霊力の一部を自動的に使用可能になったと云うわけだ」

 

「それは助かる……事ばかりでもないよな。だってよ……」

 

 この二人、俺が幽霊屋敷で何をやっていたのか全部知ってたし、繋がりを強めるって、俺との感覚共有って事だよな!?

 

 

 

 

「戦いの様子を知っていた事ならば見えていたからだぞ。霊力を漲らせている時のみではあるが、我等の目を誤魔化せると思うでないぞ?」

 

 本人達に隠す気が無いみたいだし、聞いてみたらドンピシャだよ!

 

「ふむ。ちと思ったのだが……余やお玉を抱く際に霊力で強化した肉体で激しい交わりをしてみるべきでは? 余は他の視点から乱れる余を見てみたい!」

 

 隠せ! せめて俺が気にしない様に隠してくれよ。

 

「俺にプライバシーは無ぇのか?」

 

 俺、今後は便所や風呂場で落ち着けないのか?

 

「プライ……? すまぬが余はフランス王朝の者ゆえに異国の言葉には疎いのだ」

 

「奇遇だな。我も武家の娘だ。その、ぷらいばしぃ? とやらに詳しくない。答えられぬが気にするな」

 

 バッサリ切り捨てられる抗議の声、どうやら本当に無いらしい。

 二人揃って本当にプライバシーって言葉を知りませんって態度、目を泳がせすらしていねぇ。

 

 

 いや、お前達って普段から他の国の言葉だろうと使っているし、そもそもドロシーは日本語を喋っているじゃねぇか!

 

 

「もう知らん。学校もあるんだから寝る!」

 

 見えまうんなら今更文句言っても仕方無いので諦めてやるよ、今はな!

 

 目を閉じて会話を切り上げるが、ちゃんと今後については考えがある。

 何せ今の俺には退魔士の知り合いが結構増えたんだし、どうにかして貰える可能性だって高いんだ。

 今に見ていろと明日も早いから寝るに……寝る……寝れねえ!?

 

 ドロシーの添い寝は今回が初めてじゃねぇが、俺から引き寄せたりお玉まで一緒だったりと、少し前まで戦っていて高ぶった精神状態じゃ落ち着くに落ち着ける訳がないんだよ。

 

 

「なあ、少し離れてくれねぇか?」

 

 ドロシーの奴は相変わらず薄いネグリジェの上に、下着なんて着けていないのが密着した場所から伝わって来る。

 

 お玉も肌面積こそ少ない肌小袖、時代劇とかで女の人が着ている奴だが問題は胸元だ。何処とは言わないが八雲よりは大きい程度なのに余裕を持たせてあるからか身動ぎ一つで奥が見えそうだ。

 多分俺が引き寄せて密着していたからこそ見えそうな程度で終わっているんだろうが、普段から性的な話題に強そうな演技をする大根役者のする格好じゃねぇだろ、無理すんなって。

 

 俺も年頃で二人は美少女、更にベッドの中で密着しているなんて少しやべぇ。

 毛布を掛けているから二人にはバレてはないんだろうが、時間の問題かもな。

 

「嫌だ」

 

「断る」

 

 だよなぁ、予想してたよ。

 

 思った通りの返答に焦りはしないが、本当に今日は二人の執着心が凄い事になっている。

 さっき思った退魔士の知り合いが増えたって事が理由だろう。

 他の女に目移りするなって言われるには十分な出会いあったし、俺の能力を考えたらルサルカさんみてぇなのが今後も現れるだろうし、俺を所有物扱いの二人からすればよ……。

 

 今までは勇さんに貞信さんにたんぽぽさんとククルルさん等々裏も表も知っている異性の知り合いは年上ばかり、それも俺が小さい頃からの付き合いだ。

 ……霊力持ちってだけで珍しいのに、関わる前から勇さん貞信さんとは知り合ったし、どんな偶然って話なんだ?

 

 やっぱ伏柄流だよ、伏柄流。漫画みたいな技とか勇さん達開祖の一族の身体能力やら何かあるって絶対に。

 

「……ふぁ」

 

 他の事に意識を向けていたせいか眠気が急に訪れて、俺は小さなあくびを漏らすと同時に睡魔に身を任せる。

 未だテケテケとかの問題は残っている最中だが、寝かせて貰うとする……か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寝たようであるな。……しかし、やはり大きい」

 

「そうなのか? 基準が分からぬが、淫乱な貴様が言うならば……」

 

「余は愛が多いだけである! 経験もないのに上から目線で誘うお主の方が淫乱な女であるぞ!」

 

「……吐いた唾は飲み込めんぞ。表に出ろ!」

 

 

 

 

 翌朝、何故か夢の中での修行が無かったが、庭を見れば酷い荒らされ様だ。え? これ、どうすれば良いんだ?

 

 

 

 

 

 

 

「大和さーん! 面白い話を佳奈ちゃんから仕入れたっすよ! 朝から部室にゴーっす!」

 

「るせぇ。耳元で叫ぶなって何時もつってるんだろうが、テメー」

 

 庭の修繕の事については姿を表さない二人に問い質すとして、朝は学校に行かなくてはならない。

 そして門から出て少し歩いた所で背中に伝わる衝撃、八雲の馬鹿が何時も通りに塀から背中に飛び付いて来て、ドロシーがやったみたいに頭を抱えて足を胴に巻き付けて来ていた。

 

 

 

「お前少し太ったか? 胸以外」

 

「朝から酷いっすね!?」

 

 朝から人の背中に飛び乗る女子高生の方が酷いが……まあ、一切の下心を持たないし俺にも抱かせないから安心はするぜ。

 

 頭に一切柔らかい物が当たらないけれどな!

 

 

敵幹部の総称アンケート 枠埋めは募集掛けるかも 今のところ三体は埋まってる 但し死従者死地士と五凶星の場合は一名入らず

  • 五凶星 ごきょうせい
  • 悪六烈 おむれつ
  • 七福塵 しちふくじん
  • 四従死地士 しじゅうしちし
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