三流退魔士の俺が名門退魔士一族の落ちこぼれお嬢様に『君が欲しい』と言われたんだが 作:ケツアゴ
「あの小娘ばかり狡い! 余ももっと構え!」
俺の背中なんかで眠りこけた小姫を部屋に寝かせて(鍵は八雲がバックから出した)家まで帰って来たんだが、門を開けて閉じたらドロシーが出迎えてくれた。
……のは良いんだけれど、これって面倒なパターンってか”我儘期“がもう来たのかよ。
「急にどうしたんだよ? 十分構ってるだろ……」
我儘期、それはズブズブに甘やかされて育った影響なのか、普段から我が道を行くドロシーの我儘が爆発する時を指す。
不満が積もってゲージが貯まり切ると拗ねるんだ、そして駄々を捏ねる、凄く捏ねる。
「最近は新顔ばかりお主と関わりを深めているではないか!」
構ってちゃんだから他の奴が優先されてたら直ぐにゲージが貯まるんだよなぁ。
不満をたっぷりと表情に出して地団駄を踏めば地面が激しく揺れている。神社の木の枝の上で寝転んで俺の家を見下ろしていた老猫が同じく木の枝に登ろうとしていた子猫を咥えて飛び降りれば一秒と経たずに地面が揺れて、それは地団駄の激しさに比例して激しくなっていった。
「おい、落ち着け馬鹿! せめて揺らすのは家の敷地内で済ませろ!」
あの神社の猫、俺の事を凄く嫌ってるのに余計にちょっかいだされるだろう!? その内敷地内で糞されたらどうすんだよ。
「ならば余をもっと構え! 愛でろ! 添い寝だけでは到底足らぬわ!」
糞! 義理の姉は有名な逸話と違って立派な人だと憤慨していた癖に、自分自身はどうなんだよ!
この癇癪は昔から定期的に起こすんだが、それでも家の倒壊レベルまでは行かないどころか俺の家は一切揺れちゃいないって配慮までされている気遣い仕様。
揺れるのは地面が少しと木が少し、範囲内でも足場の悪い所にいる人や足腰の悪い人の周辺はちゃんと避けているから俺も厳しくは言えない。
それが我が儘が収まらない理由になってるんだろうけれど、同時にこれがガス抜きになっているからこその配慮仕様って可能性も。
尚、俺の部屋だけはちゃんと避けていないので部屋に戻れば物が散乱しているのが決定だよ、畜生!
「へいへい。んじゃあ、今日はテメーを構い倒せば良いんだな?」
非常に面倒だが、こうでもしないと我儘期は本当に長引くし、怪我の治療とか頼んでいる立場だから大きく出られない。
勇さんが幽霊屋敷の件でカウンセリングが必要だろうから手配すると言ってくれはしたんだが、今日の打ち合わせはキャンセルするとして……。
「そーいや、お玉は? 何時ものアレか?」
「うむ。お主との繋がりの強化によって今まで支配下に置いていなかった者達を支配可能になったとやらでな。昼飯も食わずに座禅を組んで瞑想によって霊力を練っておる」
言われてみて気が付いたが、家の和室の辺りから感じるお玉の霊力が揺らぎを発生させずに徐々に膨らんでいた。
彼奴、あんな精神修行でよくもまあ……。
「生まれ育ちの違いだな。俺にはちょっと無理だし」
あれは本来の器に収まる以上に霊力を注ぎ、凝縮して空いたスペースに更に霊力を注ぐって高等技術とは聞いちゃいるが、俺は一度も成功した試し無し、言わずもがなドロシーは座禅の時点で無理だ。
お玉の場合、色々あって尼寺に入るかどうかってなったとか聞いちゃいたが、そういうのも関わるのかもな。
「余にも無理だぞ」
「知ってる」
落ち着き無いからな、凄く無いからな。食事の場以外で十分以上大人しくしていられず、テレビとか観ててもちょっかい出してお玉を怒らせてるもんな。
「王宮とかでどうしてたんだ? いや、本当に……」
「乳母や婆やが見張っておったぞ」
人間の頃からそうだったのか……。
「……じゃあ、瞑想中にさっさと終わらせるか。何をして欲しいんだ?」
お玉もわりと自分勝手だし、要求を押し通す所があるんだが、流石にドロシーみたいな事にはならない。
それはお国柄か? いや、でも彼奴が人間やってた時代に武家の娘だったんだろ?
三歩下がって影踏まず、そんな事を要求して来た相手を蹴り倒して屈服させた後で、自分の背を見ながら続け、とか言いそうなんだが……。
そんな奴だからドロシーの要求を飲んで機嫌を取っている俺が気に入らないのか、その場合は何かしらの機嫌取りが必要になる訳で、そのタイミングが被ると非常に厄介なんだ。
「……ふむ。それではリビングまで余を背負って運び、その後は後ろから抱き締めて頭を撫でつつ褒め称えよ!」
「へいへい。お安いご用だわ」
……あれ? 結局彼奴もドロシーと同類? 言ったら絶対キレるから言わないが、そう思わざるを得ない俺だった。
「菓子も食べさせよ。お玉の瞑想が終わるまでは余をドロドロに甘やかすのだ!」
あと、定期的に我儘が爆発するのは面倒だが、マジで鎮めるのは楽勝なドロシーってかなりチョロいのか?
口にしたら絶対拗ねるから言わないけれど……。
家に入る直前、不機嫌そうに鳴く猫の声が微かに聞こえた。
『あの小娘……小娘? まあ、どっちでも同じじゃ。覚えちょれよ。人様の所のチビ助まで巻き込む所だったんじゃからな』
「成る程な。背中で寝てしまった女の部屋でじっくりと楽しんだという訳か」
「何でそうなるんだよ、色ボケが。……そんなに遅くならなかったし、そもそも俺の見聞きした物って分かるんじゃねぇのかよ?」
クッションを枕がわりに壁にもたれ掛かる俺の胸板を枕にしたドロシーは数分前の駄々捏ねた姿は何処に行ったのやら、本当に現金な奴だ。
そういやリプリーも常に誰かに構って貰いたがって家族の側に居ようとしたけれど、他の犬の相手をして匂いが付いたら拗ねて犬小屋に篭ってたよな。
その上で直ぐに寂しくなったのかピスピス鼻を鳴らして擦り寄って来てたんだよ。
あー、犬飼いてえ。留守の時に世話出来ないのは可哀想だから無理だけれど。
「……っあ。んっ、これは刺激が続いて……」
そんな風に亡き飼い犬を思い出させる王族様をみぎてで抱き締め左手で頭を撫で回しているんだが、漏らす声に意識が向いてしまっていた。
此奴、キスの時程じゃないけれど霊力を吸い取ってやがる、それも断続的にだよ。
俺の好感度で感じる快楽や供給される霊力が変わるんだよな? キスの時が最高効率でお玉が気を失っちまったが……。
「良い、悪くないな。うむ、うーむ! どれ、ちょっと余自身でも少し刺激を足して……くぁ」
少し効率が落ちるハグとはいえ一瞬のキスと違って感じ続けてるのに息が荒くなるだけとか、流石は女も男も食いまくったって自慢するだけあるな……。
腕の中で時折ビクビクと軽い痙攣みたいに揺れる姿に感心すれば良いのか呆れれば良いのか……。
いや、普通に呆れるな。俺はナニをやらされてるんだって虚しくなって来た。
「おーい。胸とか自分で弄るなら一人の時にヤッてくれるか?」
「ひゃっ……次は、くっ、誉めて良いのだ、ぞっ!?」
「一旦霊力吸うの止めろ。指も動かすな。俺が落ち着かねえ」
本当に話聞かねえな、このアホ。
息はますます荒くなり、顔も高潮、声も一切抑える気がなくて正直見ていられねえ有り様だ。
これって妖魔になって恥や外聞に関する価値観が変わったからだよな? 人間の時からじゃないよな?
よし、さっさと誉めちぎって満足させて終わろう。じゃないと俺も色々とな……。
「その辺のアイドルなんて目じゃないレベルで可愛いよな、ドロシーって。それなのに色気があるし、更には強い。なのに怪我の治療とか多才だし、生前に大勢に囲まれていた理由が分かるぞ」
「そうであろう、そうであろう」
「……正直言ってドキッてさせられる事もあるし、一緒に居て落ち着……かないが楽しいから退屈しないし、普段からな修行とかでお世話になってんだ、感謝してる。ぶっちゃけ要求される対価も……おっと、これは駄目な奴か」
妖魔との会話には気を付けないと、下手な発言は一方的な契約を結ばされる、散々習った事で、二人からは自分達との会話でも注意しろと言われてるからな。
既に契約関係な以上、あっちにその意志が無くても……とか。
「意外と賢いし才色兼備容姿端麗でフランスの王座を継いだのがお前だったら……」
「それは無理だ。兄上が継いでも継がなくとも既に王朝の終わりは見えていた。どうしようもない」
「そうか。無神経だった、悪い。それで……なあ、そろそろ終わりにして良いか?」
「却下だ!」
「じゃあ大胆不敵でキュートでビューティでセクシーで……」
「デリシャスも加えて良いぞ? どの様な意味で美味なのかは……ひぅっ!」
「あのなあ、マジでお玉に知られる前に止めておいた方が良いだろ。何時迄瞑想を続けるのか分からないんだ。余裕を持って行動しようぜ」
幽霊屋敷の内部でのアレコレを知られているんだし、こうしてイチャコラさせられているのを知られたらどうなる事やら。
それに……俺の視線が時々ドロシーの胸に注がれてる事を知られるのも面倒だしよ。
俺に片手で抱き締められている状態で体を震わせる最中、小柄故に大きさが強調された胸が結構揺れる、まるで支える物なんて存在しないとばかりにだ。
多分ノーブラなんだろうなと一度思ったらもう終わり、ついつい意識しちまう。
左右の軽く広げながら伸ばした足の間に座っているから身悶えすると時々当たるんだが、感じる布の感触もドレスの分しか……。
「お玉なら三時間は続けると口にしておったぞ? 余と違い途中で投げ出す奴でもあるまいに。ああ、それとこれはお玉には内緒であるぞ? 迂闊な行動を封じる為に黙っておく予定であったが……」
ドロシーは人差し指の先を唇に当ててシーっと黙っていろと動作で示し、そのまま唇に触れた部分を俺の唇にそっと当てる。
「流石に四六時中見張るなど無理に決まっておるであろうに迂闊な奴め。霊力を纏っている間のみ、余とお玉が目と耳を借りられるのだ。プライバシーは守られるぞ、良かったな」
故にだ、そんな風に笑うとその場で半回転するドロシーが胸が腕に擦れて、予想が正しかったらしいと教えてくれる。
仰向けからうつ伏せになっても体重を預けたまま俺の上に寝そべり、モゾモゾと動きながら這い上れば二人の顔は至近距離、キスも簡単に出来る距離だ。
実際、焦らす様に徐々にドロシーの唇が接近する。両肩に手を置いて、後は俺が少し動けば触れ合う距離まで来れば互いの目に映る自分の姿が見えた。
「これから余と其方が何をしていようとも発覚はせぬ。伝わっておらぬとでも思うたか? 余には大和がどの様に欲を発露していたか……いぬ?」
状況に流され抵抗が一切出来ない俺に対して余裕を見せる相手になすがままになると思ったが、急に怪訝そうにしたドロシーは少し顔を離すと顔をベタベタと触り、怪訝そうから不機嫌そうに変わって行く。
助かった? 惜しかった? どっちもだが、また面倒な事に巻き込まれたみたいだな。
「……臭うな、プンプンと鼻に付く腐敗臭に似た移り香がする。お主、今日どれだけの女と学舎で接近した? 正直に答えよ」
「接触した女子? 女子限定なのか?」
女限定、しかも女子高生相手に腐敗臭だなんて普段のドロシーなら絶対に言わないであろう例え、つまりは何かあるって事だろう。
その何かが何なのかつったら妖魔関連だろうと思って自分の体に霊力の探知をしてみたんだが何も分からん。
「……はぁ。どうしてこうも霊力の総量以外はポンコツなのやら。逆に凄いぞ、貴様」
「う、五月蝿いんだよ。ちょっと待ってろ。直ぐに見つけてやるから!」
「先程、余の右乳が擦れた場所の辺りである。これ以上は流石に自ら見付けよ? この三流ヘッポコ退魔士めが」
呆れ混じりの眼差しに態とらしい溜め息、本当の事だけに反論出来ずに言われるがまま探知を腕に集中させるが、さっき胸が擦れた部分か……。
一瞬感触が蘇るものの何とか振り払って意識を集中させれば、漏れ出している俺の霊力に混じって僅かに別の霊力を見つけたら。
何か腕の見えずらい場所に蜘蛛の糸の切れ端でもくっついてるみてぇだな。
「これを発見出来ないからって散々言い過ぎじゃねぇか?」
「半人前でも発見可能な程度だが? それも存在を知らされた上で発見出来ぬとは本当にお主には呆れ果てる。精進しても無駄ではないか?」
「だから言い過ぎだって……」
今回は害が無いが、俺自身への呪いだった場合を考えれば言われ様にも理解出来るんだよ、腹は立つけれどな。
それでも頬を引っ張られて色々言われるのはちょっと……。
「それでどれだけの女子と接触した? その者達が呪われていようと今日死のうと構わぬが、お主がどれだけ関わったかは把握せねばならぬのでな」
ドロシーの表情が途端に変わる。まるで路傍の石ころの話題を振られたみたいで、俺がそれに躓くかどうかだけを気にしている。
「死のうが構わないってお前……」
「何を驚く? 余にとって利益を齎さぬ者達等はどうなろうと興味が湧かぬのだ」
ドロシーは俺が指摘する理由が理解出来ないという表情を一瞬だけ見せ、だから興味の対象となる部分だけ語った後は愛でる続きだ、と抱き付きながら笑顔に戻った。
尚、ドロシーはドロシーのままです
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