三流退魔士の俺が名門退魔士一族の落ちこぼれお嬢様に『君が欲しい』と言われたんだが 作:ケツアゴ
聖書によれば人類初の殺人は神が捧げ物を兄弟の片方の分しか受け取らなかった事らしいが、夫婦喧嘩は夫婦の営みの際にアダムが上を譲らなかったからだとか。
妻の名はリリス、後に大勢の悪魔と結ばれてリリムって娘を産んだとか。
まあ、うろ覚えだし、その辺詳しそうなドロシーはリリスについては嫌いらしく話すのを拒否して駄々を捏ねるから聞き出せないんだ。
そしてだ、俺もちょっと似た感じの体験をしたんだよ、兄弟じゃなくって夫婦の方で、俺はリリス側な。
「流石に限界か。非常に惜しいが仕方が無い。貴様への奉仕はこれで終わりだ」
「奉仕っつーか、途中から一方的に貪られたよな?」
ミケに掛けられた妙な術で発情しちまった俺を食ったお玉とのピロートークは想像していた甘い雰囲気は殆ど無い。
風情も糞もねーな、マジで。いや、ロマンチックなことを言う姿浮かばねえけれど。
服も下着も脱ぎ捨てて、互いにドロドロに汚れちまった状態で、俺に跨って首筋に舌を這わせていたお玉は片手で胸を隠しながら起き上がって余裕を見せちゃいる、最初の方はこんな余裕無かった癖によ。
「当然であろう。幾ら貧弱な強化をしようとも人と妖魔では体力に差がある。そこそこは満足させたのだ、誇れ。我が妖魔でなくば孕んでいたやも知れん量を注いだのだからな」
肌が心なしかツヤッツヤのお玉とげっそりした気分の俺、種族の差を噛み締める。尚、テクの方は変わらん。
『殆ど一方的に搾り取られて誇れっつってもな……』
顔に張り付いた髪の毛を指先で弾いた後で下腹部を撫でる姿は正直言って凄くエロい。
「どうした? 感涙すべき所だぞ?」
鼻を鳴らしてどや顔からの上から目線、最初は自分が誘って押し倒しておきながら服を脱ぐのも抵抗を見せて最後の最後まで胸を隠していたのにだ。
片手で隠せる大きさだしな。ドロシーなら無理だろう。
それにしても凄く偉そうだが、三回戦目迄は俺が有利だったっつーか、お玉が雑魚だった。
情事のハウツー本だのDVDも持っていない上に経験無し、現役プレイボーイの伯父さんや実家から絶縁食らうまでプレイボーイだったらしい父さんからテクニックを口頭で習ってもいない。
そんな俺でも一方的に攻め立てて悲鳴とか休憩の懇願を引き出せた辺り、普段その手の話題でうえからめせんなのが口だけだったと証明された、但し四回戦五回戦と妖魔に合わせて全力でいき続けている間に形勢逆転、術の効果で一部だけ元気な状態での蹂躙劇。
キスしただけで意識ぶっ飛んでた癖に更に進んでも平気とか、さては最初の契約は無関係云々は霊力の供給を防いでスペック差でごり押しする気だったな、テメー。
実際ごり押しだった、俺も変わらないけれどな。
まあ、最後の方で弱い所を発見して盛り返したんだが、途中で術が切れて限界を迎えたのが敗因だ。
今回の事でマウントが続くならドロシーに教えてやろうか。貧乳を最後まで手で隠していた事とか。
「おい、余計な事を考えたな? 特に我の胸について」
「テメーの時代は胸が薄い方が受けが良かっただろうが、着物が映えるんだから気にすんなって」
個人的には着ている時は薄いのが良いんだが、はだけて丸出しになった場合は大きい方がエロいと思う。なんかこう、解放された感じで。
「少し納得が行かんが此度は見逃してやろう。それより今は風呂だ」
渋々といった感じで起き上がったお玉は床に放り捨てられたメイド服を手に取るんだが、煩わしいと自分で破いて捨ててるんだよな。
前に生じた大きな裂け目のせいで服の役目を果たせないし、胸から臍の辺りまで丸出しなんて着れないよな。
「おい、貴様の服を着てやる。感謝せよ」
メイド服は一瞬で燃やし尽くされて消え失せて、お玉はタンスを漁って白いシャツを取り出した。
俺用の大きいサイズのシャツを着る後ろ姿は括れた腰や安産型の尻と目の保養、おっと、睨まれたから目を逸らすか。
「下は邪魔だな。これだけで良い」
「俺も汚れてるし一緒に入るか?」
「何度か抱いてやっただけで我の情夫気分とは呆れ果てる。恥ずか……余韻を堪能する為に緩りと入るのだ、邪魔をすれば殺すぞ」
今、恥ずかしいからって言おうとしたよな? やべっ、俺も興奮が冷めたら急に恥ずかしくなって来た。
もう何回戦やったのかは忘れたが、事が終わって落ち着いたら込み上げて来るのは気恥ずかしさだ。
しかも目の前には全裸の上から俺のシャツ一枚を着ている状態の相手。
「……まあ、我の気が向けば相手を命じてやらぬでもない。当然、あくまで抱くのは我故に上は譲らんがな」
前から抱いてやるとか言われたけれど、実際に関係を持ったら妙な感じだな。
惚れた相手は別に居るのにって考えも一瞬頭を過ったが、この状況で他の女の事を考えるのは失礼だろうし一旦忘れるか。
「では、我は湯を浴びて来る。残り湯を使うのは許す故に貴様も身を清めよ。その後で夕食の準備だ。ドロシーとて復活する頃であろうしな」
恋した相手の事を考えるのは止めたものの同居人については別、今回の事を知られたら拗ねそうだもんよ。
彼奴、お玉とは比較にならない回数アプローチしてある来ているし、拗ねそうじゃなくって絶対拗ねて駄々を捏ねる姿が頭に浮かぶ。
「それとかなえちゃんについてもか。あの子、未だ子供だし……」
十歳前後にどう説明しろってんだ? あっ、常識だけじゃなくって年相応の性教育も必要か?
「もう良いや。全部相談すれば。こんな時こそ大人に頼る時だよな」
「何を独り言で言っているのだ……」
思わず口から言葉が漏れた俺にお玉は呆れながらドアを開く。
『さくばん、は、おたのしみ、だった、な!』
絶対ドロシーが教えただろ!? まさかバレてる!?
ダンボールで作った宿屋のカウンターの後ろに座ったかなえちゃんは来客用のクッキーをボリボリ食べつつ、意味を理解していないであろう有名なセリフを口にする。
『おたのしみ、って、なにを、だ? あそび、か?』
「大人の遊びではあるな。快楽目的で行う生物は限られているが」
『あたし、は、むりかー』
うん、俺はペドじゃねーしな。流石にかなえちゃんには手を出す気にはなれねえよ。
取り敢えず誤魔化せたし。セーフだな。
『でも、たまひめ、むねがおこさま。どろしー、いってた、ぞ!』
「……先ずはゲームのデータを全部消すか」
絶対それだけですませる気無いんだろうな。今回は俺も止めないけれど……。
「
予想はしていたが面倒な状態だし退散しておくか。
発売から一ヶ月も経っていないのに随分とやり込んだもんだと涙声を無視しながら財布とエコバックを手にして玄関に向かう。
「えっと、キャベツ以外に何か買う物は……」
『……こんぺいとう、いいか?』
「ご飯の前には食べるなよ? いや、楽に入るんだろうが」
うちのエンゲル指数は凄まじい、それこそ妖魔退治の報酬の多くが食費に消える勢いで食いまくる二人がいる上に、フードファイター並みに食べる子まで増えちまったからな。
今日の夕食のメインはコロッケ、ライスに牛スジ、コーンにチーズ、種類とソースを沢山用意して、先ずはジャガイモ茹でたら皮を剥いてグニグニとマッシャーで潰そうと下準備をした所で気が付いたんだよ。
付け合わせのキャベツが足りないとはどうしたもんか、と。だから買いに行く。
そのついでに何か買って来るかと聞いてみりゃ遠慮がちなかなえちゃんが今と昔じゃ価値の違うお菓子を所望だ。今は安いって教えてるのに健気なこって。
「あと、どろしー、は、かきん、したいから、ぷりぺいどかーど、を……」
「それは却下な。月々の小遣いで収めるもんだ。お前はあんなのになるなよ? いや、本当に」
それに比べて長い付き合いのドロシーの遠慮の無さ、ちょっと悲しくなって来たし、ネットを暫くは取り上げるか?
『からだ、で、はらう、いってたぞー? おてつだい、か? こんぺいとう、あたし、からだではらう?』
「お前はちゃんとお手伝いしてくれるだろ? それより好きな番組の時間だしテレビでも観てろ。……それと体で払う云々は他人の前で言うなよ。じゃないと俺の信用が死ぬ」
『わかったー』
最初は駆け出そうとしても直ぐに早歩きになったかなえちゃんの後ろ姿を眺めてると決心が固まるよ。
あの馬鹿、ちょっとマジで叱らないと教育に悪いって。
「あっ! 大和さんも買い物っすか? 自分もお気に入りの牛乳が切れちゃったんで買いに行くんっすよ。ご一緒してあげるっす!」
「遠慮します」
神社の前で八雲と遭遇、この馬鹿も大概だよな。
俺の顔を見るなり足早に近寄って来て、普段みたいに背中に飛び付こうとしたから回避。ご一緒してあげるってなんだよ、あげるって。
せめて一緒に行くだろ、行かないけれど。
「他人行儀で離れられたっす!?」
「別に良いだろ。これからも学校でテメー等の世話係を押し付けられるんだ。家に帰ってまで付き合わせるな」
ミケに好き勝手されて色々考える事だってあるんだし、買い物に出たのは一人になりたかったからだ。
なのに俺の周囲をギャーギャー騒ぎながらクルクル走り回りやがって考えが微塵も纏まらねえ、糞が!
「何かあったんっすか? 絶対あったっすよね? あれっすか? 小姫ちゃんとの初デートっすか?」
この馬鹿、付き合いが長いだけあって何か察しやがったな。
それにデートらしいデートなんてした事ねぇよ、悪かったな。
「ふふんっ! 自分が遊んであげてたから練習になったんっすよ。感謝するっす!」
「へいへい。ありがとうよ。じゃあ、彼女も出来たし今後の付き合いは縮小する感じで頼むな」
「わー!? ごめんっす! 自分が楽しいから大和さんと一緒に居るっすよ!」
最初からそー言ってりゃ良いのに調子に乗りやがって、だから少し疎遠にしようとしただけで慌てる羽目になるんだっての。
結局背中に飛び乗られてしがみつかれている状態で歩く中、足元を底位の妖魔が蠢いて何処かに向かって行っていた。
普段は暗く人目につかない場所で蠢いているだけの存在、なのに向かっているのは本来は避ける日の下。幾ら夕暮れ時、逢魔ヶ時は活発になる時間帯だとしても有り得ないんだよ、何もなければな。
「おい、八雲」
「ありゃ、またっすか?」
一言で足りる、それだけで八雲はあっさり俺の背中から飛び降りて、俺は直ぐに駆け出せば後ろからピッタリとついて走る音がする。
説明が要らないってのは便利なもんだ。
「いやー。それにしても野生の勘って奴っすかね?」
「さあな。俺にもよく分からねえ」
詳しく口にしなくても伝えたい事は互いに伝わるのが俺と八雲の関係だ。そして何を言いたいのかは……。
「ほら、もう大丈夫だぞ」
「あ、ありがとう……」
川に流された帽子を取ろうと手を伸ばすが届かず、このままじゃ落ちるか帽子が流されてしまいそうなので川に入って帽子を手渡す。
この前は箱に入って流されてる猫を助けようとして自分も流され掛けたのもいたし、何かが引き寄せてでもしてるのか?
服は濡れちまったし、人助けになった以外はマジで不運だ。
「あの、お礼を……」
「別に良い。俺が勝手にやった事だ。……今後は危ない事するなよ? 俺は鍛えてるからセーフだが」
自分だって川に入っていながら何を言ってんだって話だよ。ズボンも膝の辺りまで浸かってしまったし一旦帰って着替えるか。
でも飯が遅くなると厄介なのがウチに居るからなあ。
「牛乳ついでに買い物行って来るっすよ。明日のお弁当奢りで」
「おう。持つべきものは幼馴染み……いや、腐れ縁だな」
「何で言い直したっすか!? 其処は美少女の幼馴染みが居てくれて最高! とかっすよね!?」
「なあ、アンタ。美少女ってどんな意味だっけ?」
「え、えっと……」
馬鹿な話をしながら川辺に視線を向ければ集まっていた底位の妖魔逹は去って行っている。
元々人の負の感情から生まれた存在、だから今みたいに困ってる奴がいれば光に集まる虫みたいに引き寄せられて、陰陽の関係で女の方に引き寄せられやすいとか。
俺が人助けをそれなりにしているのも底位の妖魔が引き寄せられるのを見て動いてるからだ。現在進行形で困ってる奴が存在するのが分かってしまうのは面倒なんだよな。
「あーもー! その内、わざと質の悪い物を買って来てやるっすからね!」
「んな事をしたら勉強見てやらねえからな。テメー、顔に出るからバレバレだし」
「ぐぬっ! 行って来るっす……」
これで大丈夫だな。さっさと家に帰るか。
「アンタも暗くなる前にさっさと帰れよ。幾ら物騒な事件が解決しても注意するに越した事はないし」
その解決も犯人が裁かれる事もなければ犠牲者の遺体の一部が発見される事も無い。マジで妖魔が関わる事件はロクでもねえ。
「あの人、確か二年生の……」
敵幹部の総称アンケート 枠埋めは募集掛けるかも 今のところ三体は埋まってる 但し死従者死地士と五凶星の場合は一名入らず
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五凶星 ごきょうせい
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悪六烈 おむれつ
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七福塵 しちふくじん
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四従死地士 しじゅうしちし