三流退魔士の俺が名門退魔士一族の落ちこぼれお嬢様に『君が欲しい』と言われたんだが 作:ケツアゴ
最近ヒロアカも書いてるからそっちも応援よろしくね
「おい、ちゃんと野菜も食えよ」
「余は草など食わぬ。そもそも妖魔の身に栄養バランスなど不要であろう」
目の前には大量のコロッケと山盛りのキャベツ、他にも野菜は用意してるんだがドロシーの皿に乗せていたのは全然減ってねえ。
注意してもプイッと顔を背けるだけ、箸の先で皿の隅に寄せるだけ。
好きな物ばかり食うなっつってんだろ、ガキじゃねえんだから拗ねてそっぽ向くな。
「愚か者め。揚げ物の油を口の中に残さぬ為や味のリセットの為にも野菜は必要なのだ」
「ふーんだ! 余を仲間外れにしよって。絶対に許さぬからな!」
普段は注意すれば嫌々ながらも野菜を食うってのに今日は拗ねて意固地になっちまった状態、ゲームのセーブデータを消されたのが相当腹立たしいのと……お玉との事だよな。
チラッと視線を向ければ睨まれる、俺がどうにかしろって事だ。
え? 何か意識してるの俺だけなのか? 互いに最初の相手だし、事の最中はベタベタ甘えて来たのに、終わったら普段と変わりなし?
何というか拍子抜け。本人が余裕ぶっていても今後について色々と話し合う事になると思ってたのにだ。
困惑はあるが、助けてくれないなら仕方が無い、どっちにしろ話す予定だったからな。
「あのなあ、ドロシー。かなえちゃんだって見てるんだし手本になってくれ。この子は栄養バランスとか多少は考える必要があるんだから」
「むぅ……」
なんとビックリな事にかなえちゃんは人としての肉体の部分もあるんだとか、ビックリだよな!
つまり小学生位の元気な子が二人みたいに姿を消せず家に住んでるって事で、母さんはアメリカ人で父さんが実家とは疎遠を通り越して絶縁状態なのはお隣の袋耳家なら知っているから親戚の子だって誤魔化しも無理。
「勇さんに相談したら数日中に何とか考えるって言ってくれたけれど不安だ……」
テケテケの件で過労が加速したみたいで電話の向こうからククルルさんの笑い声が聞こえて来ていた、そんな中で厄介な一件。
「せめて小学校とかは無理でも外で遊べると良いんだが……」
戸籍とか根本的な価値観に妖魔が混じるとか育った時代とかで学校は無理だな、仕方がない。
でもまあ、本人が良い子だから我慢してくれちゃいるが、活発な子に家で大人しくし続けろってのもな……。
「大和よ、そういう所で余計な苦労を背負っているのだぞ」
「余計じゃねぇだろ、余計じゃ。てか、心の中を読むな」
「分かりやすい貴様が悪い」
ぐぬぬっ! お玉がそうだったが、ドロシーも関係持ったとして態度変わらないタイプだな、人間時代から男女問わず恋人多いタイプだったし。
変に意識するのが馬鹿馬鹿しいので今はかなえちゃんについて悩む方が良いだろうな。
色々面倒な境遇の子だが、何故そうなったのかは知らないし、知らなくて良いだろう。
「うマい! きゃべつ、おかわり!」
「そこに盛ってるから好きなだけ食いな」
こうやって飯を美味そうに食ってるのが今のこの子だし、お玉が把握してるんなら胸糞悪くなるだろう話を聞く必要は無いんだ。
妖魔にされて与えられた名前を嫌って、座っての親に与えられた人間としての名前が好きなんだ、吐き出したくなった時に聞いてやれば良い。
そんな俺の心中を察したのか二人とも妖魔としての名前では呼びやしない、普段から妖魔である事に誇りを持っているみたいな振る舞いなのにだ。
やっぱり心の何処かでは思う所があるんだな。
「のう、余は思うのだが」
「何かあるのか? 頼む、聞かせてくれ」
今までは三人平等だったが、ここに来て加わった守るべき相手。それを意識してかドロシーでさえ神妙な表情で何かを言おうとしている。
多分似た境遇だからこそ思い付く……。
「別に野菜嫌いでないのであれば手本になる必要ないのではないか? つまり余が野菜を食べなくても問題は……」
信じた俺が馬鹿だった! 流石の裏切り速度、慣れてる俺じゃねえと遅れていたな。
「却下だ、馬鹿」
「なぬぅ!?」
そういう我儘は聞く気ねえから。人間だった頃にちゃんとした食生活送ってたのか、とか、送ってないならスタイルはどうやって維持していたんだよ、とか、色々と言いたい事は数あれど、今は野菜を食えとだけ言っておく。
テメーに我が儘許すけれど他は駄目なんて有り得ねえだろ。
「……あっ、そうだ。明日は零課からかなえちゃんについて調査が来るからな。一応打ち合わせしておくか」
これ以上不満口にするならデザート抜きだと脅しつつ話を変える。なんか疲れた。
『きゃく、かー?』
「そうそう、お客さん。かなえちゃんがちゃんと俺に従ってるか簡単な調査をするんだ。お玉達の時も受けたし、今は実績積んでるから形式上だってよ」
契約してる妖魔の検査なんて大業な感じもするが、指定された危険生物を飼育するみたいなもんだ、問題は色々な理由で狂暴な獣より危険だし、そもそも妖魔の方が優位な立場も有り得るから人間社会で暮らすなら必須な訳だ。
そのせいか調査員は探知系の能力に優れている他にも心理学にも精通している人が増えているらしい。
『あたし、したがってる、ぞ。おてつだい、がんばってる』
「そうだな、其処まで厳しい検査はしないから、言う事を聞いている所を見せれば良いから」
「どうせなら犬耳メイド服を着て、お手やお座りの芸をさせるのはどうであるか? 従属に疑いの余地がなかろう?」
「俺の社会性を疑われるだろうが、馬鹿。来るのテメーの時と同じ知り合いだからな?何なら俺と知り合ったのは両親の友人で仕事仲間だからだぞ」
ドロシーのアホが出した提案を受け入れてみろ、人格に何かあったと心配されるだろうが、知り合いが犬耳着けた女の子に犬の芸を仕込んでたら俺は疑う。
その場合、妖魔関連は誤魔化して両親に何らかの話が行くに違いないんだぞ!?
『やまと、が、なげた、ぼーる、くわえて、とってくればいいのかー?』
「しなくて良いからな?」
駄目だ、本当に打合せしておかないと俺の社会的信用が死ぬ! おい、お玉! ツッコミ手伝って……あれ?
普段なら視線を送ればその意図を察して反応してくれってのに、今日は無反応で上の空。五秒遅れて反応とか珍しいな。
「むっ。すまぬ、考え事をしていた」
「大和を見つつ指先は足の間に向かっておったがな。喜べ、大和。お玉は随分と其方のモノが気に、げふぅ!?」
あーあ、分かってただろうによ、こうなるの。
強力無比なドロップキックがドロシーに炸裂、壁まで吹き飛ばした。
えっと、ボケッとしてると思ったら、意識してたのは俺だけじゃないって事で良いんだよな?
「……あー」
意識しない様にしてたってのに頭に浮かぶのは汗だくになっても俺の上で動く時の姿、顔を直視できそうにないと背けた顔の横を刀が通り過ぎた。
「我は別に意識などしておらん。あれは一時の娯楽だ。良いな? 我は貴様との睦事など特に意識などしておらん」
「お、おう。流石はお玉だな」
これは意識してると意識しちゃ駄目な奴だ、知ってる。
長年の付き合いがあった同居人との肉体関係、なし崩しで大きく関係が変わるかと思ったんだがそんなに変わらないのかも知れないな。
あっ、でも今後も偶には相手をしろって言われてたっけ……。
「……その言い方ではドロシーの同類みたいではないか。我が純潔を下賜した事を何とも思わぬ淫靡な女とでも思っていたのか?」
至極心外だと言わんばかりだな、確かに言い方が悪かったか?
「悪かったよ。てか、随分余裕そうだった癖に、その言い方だと……」
「黙れ、それ以上言うな。今は我をドロシーの同類扱いした事のみが重要だ」
性に自由奔放なドロシーと誘惑するみたいな事は言いつつも根は不慣れで真面目なお玉じゃ正反対だが、さっきまでヤってたせいでどうもな。
なんっつーか、凄かったから。
所で半分以上自業自得でも此処迄言われてるドロシーは……怒ってるよ、やっぱり。
「失敬な 余は経験豊富ではあるが、一度一度を大切にしているのだぞ。ちゃんと全てを事細かに覚えている。……故にだ、どの様な衣装でもプレイでも構わんぞ? どうせお玉は使わせなかった胸や口……いや、胸は使えぬの間違いだったか。済まぬ、心より謝罪しよう」
頬を膨らませて手足をバタバタ動かして不満爆発状態だが、普段から下半身に脳が入っているみたいなテメーが悪いからな?
「そうだな。その首を差し出す事を謝意とせよ」
少なくても二人の関係は何があっても変わらないんだろうな、そんな風に考えていると電話が鳴り響く。こんな時間に一体誰だ?
今は食事の時間帯、俺の知り合いの多くは電話を避ける時間帯だ、それかメールとか。
そうじゃないって事は……。
「急用か? 事故とか病気の知らせじゃないと良いんだが……」
そんな時間帯の電話なんて少し不安になって来るんだが、結論から言うと杞憂だった。
「へーい! マイエンジェル大和ー! 久し振りだな、パパだよー!」
耳が痛くなる程に大きく陽気な声、タップダンスをしてるのかって感じの激しい足音まで。
何やってんだよ、この人は!?
「何に感染した? それか徹夜明け? その状態で外に出たらヤクでハッピーになってると思われそうだな」
『フゥー!! 皆、聞いてくれよ! 息子が辛辣なんだぜ、ヒョー!』
不幸の知らせの類いではなかったのは良いんだが、妙にハイテンションになっている父さんだった。
不幸じゃないんだが、ちょっとな……。
この人、普段は物静かだってのに一人称までガラッと変わるんだから、我が父ながらついていけねぇ。
「聞いてくれよ、凄く運が良かったんで知らせてやろうと思ってな! お前にもハッピーが移ればセックスを楽しむガールフレンドの数人位簡単に出来るぜ!」
「そのテンションは徹夜明けだろ。無茶すんなって、いい歳なんだからさ」
あっ、電話の向こうで父さんの同僚が叫んでる。そうか、密林で五日間徹夜での調査後に研究所に直行したのか。そしてハイテンションふぇ騒いでいると。
「取り敢えず寝ろ」
「そっちもセックスの際は避妊するんだぞ! パパなんて向こうが避妊具を用意してくれたと思ったら穴開きの上に実家の遺産狙いの托卵だったんだぜ! お陰で実家が色々動いて解決する羽目になったよ」
「母さんから聞いてるから知ってるよ。父さんの失敗を教訓にしろって。……あれ? 父さん?」
急に静かになったが寝たか? ったく、相変わらずの研究馬鹿だな。
「へー。オジさん、相変わらずっすね。何か良い事でもあったんっすか?」
「希少な蝶が蜘蛛の巣に引っ掛かったばかりなのを発見した上に、その蜘蛛も新種だったんだってよ。名前を考えるのが楽しみだって絞め落とされる前に言ってたぞ」
翌日、毎朝恒例となっている夢の中での修行が普段より激しくなった事で疲れを感じてるが学生は学校に行くものだ、早く慣れたいもんだぜ。
朝っぱらから五月蝿い八雲との登校中、この馬鹿の騒がしさには慣れたくないと思いつつ出した話題は昨日の父さんについて。
「絞め落とされるって相当っすね。……オジさん、結構鍛えてるんじゃなかったっすか。フィールドパーク……アーク? とかだって頻繁に向かってる程なのに」
絞め落とすって行動に出た事に関しては疑問に思われない父さんにビックリ、はしねぇな。日本に住んでる時から研究が関わるとおかしくなる人だし。
普段は本当に真面目で穏やかな人なんだけれどなぁ……。
「フィールドワークな。テメー、もう少し単語覚えろ。文法は完全でなくて良いからテストでは単語関連で点を取れ、じゃないと俺が追試の勉強を教えるハメになるんだからよ。……二人にも言っておけよ」
「うっす! 三人揃って世話になってるっす」
体育以外は全滅の八雲に数学の計算問題が苦手な橋本に理系問題が赤点ギリギリの泉、お陰でオカルト調査以外にも世話を焼かされるしマジで勘弁してくれって話だ。
「この前、クラスの奴に愚痴ったら美少女に囲まれて羨ましいとか世迷い言を抜かしやがってな、知らないってのは呑気なもんだ。見た目が良かろうと中身ポンコツの頓珍漢トリオだぞ?」
「いや、本人を前に酷いじゃないか、大和さん」
「と言うか、美少女だと認めているなら、もう少し扱いが良くても構わないのでは?」
学校目前に五月蝿いのが増えたな……。
背後から掛けられた声に反応すれば三馬鹿娘その2とその3のご登場、せめて部室まではその1だけで勘弁して欲しかったんだが、揃ってしまったなら仕方無しか、ちっ!!
「え? テメー等、俺にチヤホヤして欲しいのか? 想像着かないだろ、俺がテメー等を蝶よ花よと扱う姿」
「想像したらキモいっす」
「存在してはいけない存在だよ」
「……おぇ」
三人揃って即答、分かってんじゃねえか。よーし、俺から出す苦手課目の課題を通常の三割増しにしてやるか。
「取り敢えず教室に鞄置いたら部室に集合……あっ」
靴箱に手を入れれば靴以外の感触が。覗き込めば手紙が一通入ってて、僅かだが香水の匂いまで。
ハートのシールで封がされているし、ラブレターの類いだろうな。
逆にこれで請求書とか果たし状なら笑えるが。
「おや、またなんだ。ちょっと失敬、何処の誰が、痛っ!」
「アホが、出した相手に失礼だろ」
横から手を伸ばした橋本に軽めのデコピンをして止める。ベストセラー作家様ならその辺の機微やら何やらが分からねえもんか?
無理だな、泉と百合百合しい噂が流れてるが恋愛とは無関係な奴だし。
「僕も悪かったけれど失礼な事考えなかったかい? まあ、差出人を見ようなんて野暮天だけれども……差出人書いてないのかい?」
「封筒にも中身にもな。名無しの何とやらだ」
封筒を開いて軽く目を通しても差出人の名前は無し、昔から何度かあったパターンだが想いだけ伝えたかったとか書いてある。
……困ったな、色々な意味で。
戦隊物の案が浮かんだのでさっさと書いて衝動を消します
敵幹部の総称アンケート 枠埋めは募集掛けるかも 今のところ三体は埋まってる 但し死従者死地士と五凶星の場合は一名入らず
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五凶星 ごきょうせい
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悪六烈 おむれつ
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七福塵 しちふくじん
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四従死地士 しじゅうしちし