三流退魔士の俺が名門退魔士一族の落ちこぼれお嬢様に『君が欲しい』と言われたんだが   作:ケツアゴ

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十一時間半労働 休憩十分未満皆無もありを乗り越えて執筆終了です

感想待ってますし活動報告で漫画のせてます


名無シの権兵衛 ⑬

「お久しぶりね、お兄ちゃん! 急に電話しちゃってごめんなさい」

 

「良いさ。そんな事を気にしなくても従兄弟のお兄ちゃんだぜ? 俺」

 

 急な電話は国際電話、受話器の向こうから聞こえて来たのは幼い女の子の日本語だ。

 凄えな、ジェシカちゃん。日本で暮らしている俺が同じ歳の時は英語を此処迄話せなかったのに、アメリカ育ちで日本語の発音が完璧だ。

 

「ジェシカちゃんは立派だな。何時でも日本で住めるんじゃないのか?」

 

「当然だわ。だってお兄ちゃんのお嫁さんになるんだもの」

 

「おっ、まーだ俺と結婚したいんだな。こりゃ伯父さんが怖そうだ」

 

 小さな女の子が父親とかを将来の結婚相手にしたがるのは聞く話だが、偶に会うだけの従兄弟にどうして此処迄夢中になるんだかさっぱりだな。

 まあ、相手は可愛い従姉妹だし、適当に遇らうのは心が痛む。

 

 

「むぅ! アタシは本気なのだわ!」

 

「その気持ちが大きくなった頃に消えてなくて、俺に相手が居ないとかだったらな。なーに、ジェシカちゃんなら素敵な相手が見つかるさ」

 

「お兄ちゃんより素敵な相手なんて居ないのに……」

 

 おっと、拗ねさせちまったか、電話の向こうで頬を膨らませているのが見なくても分かるな。

 伯父さんが機嫌を取ってくれるだろ、忙しいだろうけれど家族サービス大好きな人だし。

 

「もー! パパに言いつけちゃうのだわ。お兄ちゃんが乙女心を弄んだって!」

 

「じゃあ、次の連休には顔出すから沢山遊ぼうぜ。何で遊びたい?」

 

「おままごとが良いのだわ。勿論新婚さんで、キスをするの」

 

「了解了解、ほっぺにしてくれ」

 

 あのデカいマッチョが冗談半分で向かってくるのは勘弁だ。相手はアメリカ人だし、俺の母さんだってアメリカ人だから頬にチューする程度別に良いだろ。

 挨拶みたいなもんだし、その程度で機嫌が良くなるなら安いもんだ。

 

 

「えー。唇が良いのに。ね? お願いだわ」

 

「甘えた声を出しても駄目な物は駄目だって。恋人が出来るまで大切にしときな」

 

 あー、本当に俺の従姉妹は可愛いな。一緒に暮らしてたら伯父さんがやってるレベルで甘やかしたせいで教育係に怒られてる所だぜ。

 

 こう撫で回してやりたい気分になるんだよな、ジェシカちゃんって。

 元気で素直だし、甘え上手なんだよ、変に媚びた感じじゃなくって素直に甘えて来るからこっちも甘やかしてしまう。

 

 

 マニちゃんの方はなぁ、最近の子はおませさんって所だよな。最近は色々と知識が手に入るし、背伸びしたいお年頃? 多分な。

 

「ねえ、お兄ちゃん。ちょっとお聞きしたいのだけれど」

 

「ん? どうしたんだ、雰囲気変えちゃって」

 

 どうも重圧を与える空気を放ったのが電話先でも伝わって来るが、七歳なのに凄いよな、ジェシカちゃん。

 俺よりも頭の出来が良いんだろうとしみじみと感じちゃいるが、これもおませさんの内に入るんだろうな、元々背伸びしたがりの子だし。

 

 

 

 

「ねえ、私以外の女の子に“お兄ちゃん”って呼ばせたかしら?」

 

「凄いな、心理学か何かの応用か? 肉を知り合いが沢山くれたから友達を飯に誘ったんだが、遊びに来てた妹さんも呼んでな。それで呼ばれたぞ」

 

 ちょっとゾワっと来たが別に隠す事でもねぇし? あと、そもそも隠しても通じない上で拗ねる。隠そうとした分、そりゃあ凄く。

 分かるんだよ、従姉妹だし。

 

 

「女の勘よ」

 

「勘かー」

 

「もぅ! お兄ちゃんはアタシだけのお兄ちゃんなんだから他の女の子にそう呼ばせたら駄目よ。()いちゃうわ」

 

 こうやって嫉妬深かったり独占欲が強い子だが、俺は伯父さんが女遊び大好きなのが影響してるんじゃないかって思うよ。

 あのせいで男は直ぐに目移りするんだって幼心に思っちゃうんだろうな。

 

 いやいや、妬いちゃうとか俺も随分と好かれてるもんだ。

 

「少なくても今現在でジェシカちゃんの親戚のお兄ちゃんは俺だけだろ? 大丈夫だ、心配しなくて構わない」

 

 年下から形式的にお兄ちゃんって呼ばれる事はあるし、マニちゃんだって懐くってよりは何か魂胆があって甘えて来ちゃいたが、俺がお兄ちゃんだって関係なのはジェシカちゃんだけなんだよな。

 

 いや、父方の親戚に今後生まれる可能性とか、母さん達が子供時代に失踪した祖父母が新しい子を作ってるかも知れないが、少なくても関係が出来上がってるのは従姉妹のジェシカちゃんだけ、俺だって妹みたいに思っている。

 

「……まあ、今はそれで良いのだわ。じゃあ、時差もあるしここで失礼するわね」

 

「おう、元気でな」

 

 最後に投げキッスの音が聞こえると同時に電話が切れる、ちょっと名残惜しそうな感じだったから今度は俺から電話するか。

 

「何かプレゼントでも贈ってやるのも良いかもな。女の子向けのプレゼントとかよく分からないから誰かに聞くとして……」

 

 三馬鹿は却下、ククルルさんなら流行の品とか調べるの得意そうでも多忙だから無理で、勇さんもちょっとな……。

 お金持ちの家の子だからお金で簡単に手に入るなら欲しいと思った時点で買ってるだろうし、ファッションとかはチンプンカンプンとなると……いや、本当に何を贈れば良いんだ?

 

 可愛い動物関連が好きだし、こうネット販売していない雑貨とかが良いんだろうが、その手の店に詳しくも無い。

 

「試しに小姫に聞いてみるか。彼奴もそれっぽいのが好きみたいだし」

 

 妹を持つ身の視点からのアドバイスが欲しいし、部屋まで行った際には動物系の置物が結構あって……熊とかのプリントがされた下着も干してたからな、多分趣味が似てるんだろう、うん。

 

 頭の中に甦った下着の映像を顔を振って何とか追い出すも直ぐに復活からの追い出しを繰り返すこと数回、俺の抵抗は無駄だった。

 

「やべぇ。この状態で戻ったら……」

 

 頭の中に残る下着と小姫の姿が重なりそうだ、そんな事を思った瞬間だった。

 

 

「あのどチビ! いい加減にしろよ!」

 

「うおっ!? 悪気は……違うか」視界に入った窓の向こうの

 

 い、一瞬だけ俺が怒られたのかと思ったぜ。

 

 轟いた小姫の怒声に身がすくむが、チビなんて幼い頃に伯父さんから言われた位だ。

 じゃあ、誰に言ったのか、それは声のした方を向いた時に視界に入った窓の向こうの相手だろう。

 

「あれはマニちゃん……だよな?」

 

 庭から塀の上に飛び上がり、神社の方に降りようとしたんだが、そこで何かが下に居たのか驚いた様子で動きを止め、そのまま塀の上を駆け抜けて何処かに行ってしまう。

 

「俺に甘えるばっかりでそんなに食ってなかったのに飯は足りてるのか心配だな」

 

 何かあって出ていったんだろうが、多分その何かのヒントがさっきの怒声だ、多分姉妹喧嘩だろ。

 どうも姉を舐めてる妹と、それがムカつく姉って感じだったからな。

 

「普通の兄弟ってあんな感じなのか? うちの親類は特殊過ぎて参考にならねぇしな」

 

 呟きながら思い返すのは両親の兄弟関係、知人にも兄弟持ちは数人いるけれど会った事がなかったりで参考にはならない。

 じゃあ、普通の兄弟関係を参考に考えてみたんだが……。

 

 母方……幼い頃に両親が失踪、母さんが里親の所で過ごす間に伯父さんが学生の状態で担ぎ売りから企業、力関係は馬鹿やった伯父さんを母さんが凝らしめる感じだが、多分母さんが甘えて伯父さんが受け入れてると思う。

 

 父方……財閥の本家に生まれるも学生時代から陰謀論に傾倒して迷惑を掛け続け、昆虫学者になる為に任されていた家業を放棄。ブチキレた親類一同から絶縁、俺や母さんとは会うが父さんの話題は聞こえないフリをするレベルで、父さんも親戚の話はスルーだ。

 

 あっ、全然普通じゃないから参考にならねえ。特に父さん。母さんの方はまだ参考になりそうだが……。

 

「互いに遠慮が無い故の言い合いと考えりゃ良いのか? あとは退魔士一族のあれこれとか……」

 

 小姫は退魔士だって一般人の範疇だって言っちゃいたが、だったら霊力が少ないってのは伝統芸能やら陶芸とかをやってる一家で例えるなら、芸を覚えるのが遅いとか基本的な品を作るのもままならないとかか?

 

 ちょっと気になるからな、互いに相手を馬鹿にした発言を人前でしてるのは。

 

「人様の家庭の問題に首を突っ込むのもどうかと思うがな……」

 

 どんな関係性なのか二人の様子を見たばかりの俺が勝手に判断して何か言うのも角が立つ、人前でのやり取りがあまりに見てられない時にだけ何か言えばそれで良いだろ、多分な。

 

「それはそうとして普段とは違う姿を見られたのは良かった。自然な姿を見れたからな」

 

 そこは本当に良かったのだとウキウキしながらリビングに戻るが、ちょっと何が起きたのか分からなくて困る。

 喧嘩の仲裁なんざ苦手だし、片方の話だけ聞くのも論外。

 

 

 よし! ここは敢えて何が起きてもスルー脳方向で行くか。

 

 

 

 

 

「待たせたな。直ぐに続きを焼いて行くから待って……エッロ」

 

 ドアの先では束ねた糸に縛られて胸と尻が強調された小姫の姿。

 

 

 え? あの声からしてマニちゃんがやらかしたんだよな? ええっ!? 伊弉諾家の秘術を使ったんだとして、どうしてこんな縛り方になってるんだ!?

 

「それってマニちゃんの趣……悪戯か?」

 

 流石にそれはなんか嫌だ、俺とは大した繋がりこそねぇが、今後に小姫が術を使うのを見る度にエロい縛り方するって頭に浮かぶだろうから。

 

「……スルーして欲しかったんだけれどね」

 

「悪い、流石に無理」

 

 だってエッロとか言ってしまったしな。思春期男子が胸と尻を強調した女を前にしてスルーとか出来ねえよ。

 

「ぷちぷちぷち〜♪」

 

 

 そんな糸もかなえちゃんの手に掛かれば簡単に千切れるんだが、指先で千切った時に込められた霊力がプチプチと弾け、それが面白いのか一本一本細かく千切っている。

 

 つまりは小姫はエッロな姿が暫く続くって事だ。

 

「マに、の、しゅみ、ちがうぞー?」

 

「え? そうなのか?」

 

 じゃあ、つまりは……。

 

 

「その言い方だと私の趣味に聞こえるんだが!? 違うと言った筈だよ、まったく。これは緊縛趣味の御先祖様が夜の生活用に編み出したのを書き残して……これは聞かなかったって事で」

 

「分かってる。俺は何も聞いちゃいねぇ」

 

 そっか。何かの意味があってエッロな縛り方になったと思ったらいいエッロな意図があっての縛り方だったのか。

 

 それを書き残して伝えるって、伊弉諾家は未来に生きてやがるな……。

 

「……女の子の妖魔三体と暮らしてる人が何を、って事を考えなかったかい?」

 

「さ、三人と暮らしてるっつっても、そのてのはなしがすきなドロシーは当然として、かなえちゃんはお子様だぞ? それよりもマニちゃんはどうして縛って来たんだ?」

 

 糸の最後の一本が千切れて拘束から解放された小姫はジト目を向けながら平然と思考を読んで来る、まさか読心術まで使えるのか!?

 

 その場合、俺が誰を好きだとか、なのにお玉に襲われて数時間ぶっ続けでヤッたとかも伝わって。

 

「さあね、私からは何も言わないよ。言うとすれば……大和先輩、君はちょっと分かりやすいんだから狡猾な相手には注意しなよって所だ。……あのチビに関しては好きにさせれば良いさ。零課の準備待ちを無視して出たんだ、退魔士としての自己責任に年齢は無関係だよ」

 

 自己責任、そして年齢は無関係か……。

 

 妖魔なんて意味不明な存在と戦うんだ、一般常識を押し通すのも難しいし、名門出身の筈の小姫がオンボロアパートでの極貧一人暮らしだってのもそれが関係しているんだろうか?

 

 

「ねぇ、そんな事よりもご飯の続きにしてさ……終わったら私とイ・イ・コ・ト、しないかい?」

 

 焼き肉の残りに視線を送りつつも小姫は上目使いを向けながら体を密着させる。

 胸がムニムニと腕に当たり、その感触と姿に浮かんでしまうのは危惧した通りの下着姿。

 

 ちょっと野暮ったい柄だったが、惚れた相手が着ている姿は別なんだろうな……。

 

「飯が終わったら、か」

 

 ちょっと心が揺らぎ始める。飯食い始めて食欲が満たされ始めたら、次は別の欲が出てくるもんだ。

 その心の揺らぎを察したんだろう、俺に屈むように指示したと思ったら、爪先立ちで彼女は囁いた。

 

「別にご飯を後に挟んでも良いさ。君の寝室に行こうか」

 

 幾ら鈍感な奴でも此処まで言われたら察するよな、据え膳だってさ。

 

 

「めし、マつのかー? いいこと、って、なんだー?」

 

「おっと、君も居たんだった。ちょっと君には早い事かな? 見るのも聞くのも禁止さ」

 

「いや、聞く程度なら別に良いだろ、するぞ、今から良いこと」

 

「え? 君の趣味ってそういう……」

 

 小姫は驚いてモジモジしてるが拒否の姿勢は見せず、でも俺の意図は別だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無駄足に終わろうがそれで良い。小さい子が暴走したら、それを止めるのは”善い事”だからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵幹部の総称アンケート 枠埋めは募集掛けるかも 今のところ三体は埋まってる 但し死従者死地士と五凶星の場合は一名入らず

  • 五凶星 ごきょうせい
  • 悪六烈 おむれつ
  • 七福塵 しちふくじん
  • 四従死地士 しじゅうしちし
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