古びた列車。
古びて朽ち果てた車内から見える景色は見渡す限りの草むら。
運転手など居らず、ただ列車は黙々とこれから目的地へと向かう客を運び続けるだけ。
乗客は一人だけ。
九尾の狐と一般では呼ばれる伝説級の妖怪だ。
いつぶりだったろうか。
いつかは思い出せない、それほど昔だったか?
本を読むことに耽けりながらそんなことを思う。
やがて列車は静かに止まる。
席を立った『彼』は銀髪蒼眼の九尾の狐。
広く知られた白面金毛九尾の狐とは対を成すような姿をしている。
「紫?」
とある人物の名を呼ぶが反応はない。
こうなったら奥の手だ。
「おーい、スキマBBA……」
「呼んだかしら?」
「お、来た来た。」
スキマと呼ばれる空間から姿を表したのは八雲紫、幻想郷の創設者。
ちなみにスキマBBAなんて呼んだら次の瞬間には意識が無くなる。
「藍はどうだ?」
「来なさい。」
紫に案内されてスキマを進む。
道中ゴミが散乱している箇所もあったが、気にしないでおこう。
「ハッ……しばらく見ない内に大きくなったな、藍。」
「……誰?」
「んーと、あなたのお兄さんよ。」
「私に兄なんていませんよ、紫様。」
「…………兄妹仲悪かったのかしら?」
「そういう訳ではない。」
多分昔のことすぎて忘れてるのだろう。
多分。
「あ、思い出した。」
「良かった。」
このまま思い出さなかったらどうしようかと考えてた。
とりあえず思い出してくれたならいいか。
「
「ああ、お前の兄の蒼だよ。」
八雲蒼。
これが銀毛九尾の狐の名前。
一応藍よりかは数十年だけ先に生まれた。
「外の世界はどうだったかしら?」
「戦国時代とか歴史上の人物が出てくる時代は結構楽しかったけど最近辺りは何と言うか……身も心も狭くなってどこに行こうが圧迫感を感じた。」
作者も歴史は大の得意だが、地理とか公民は訳がわからん。
地図もなくただただ広い海に船を浮かべるような感じ。
「兄さん、そういえば私式神を使役するようになりました。」
「式神を?」
「ええ、橙、おいで。」
藍が1言声をかければ猛スピードでこちらに駆ける一匹の黒猫。
尻尾は二つだが、それとは不釣り合いな妖力を感じた。
「ほら、挨拶して。」
「藍様の式神の橙です、よろしくお願いします!!」
「八雲蒼だ、こちらこそ。」
恐らく取り憑かせているのは鬼神の類だろう。
そして式神の種類も1番簡単なPCにOSをインストールするような感じか。
「そうね……蒼、博麗神社に行ってみないかしら?」
「別に自分は構わないけど。」
これから何しよう。
とりあえず移動はスキマでいっか。
評価、感想待ってます。
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