九尾の兄が帰ってきた   作:赤狐イナリ

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蒼い悪夢

「う……ああ……。」

 

全く、最悪な夢を見た。

萃香との稽古?

萃香が見つからなかったからナシになった。

で、夢の内容は、昔の自分。

第一次月面戦争の時だ。

 

 

○

 

 

突然、紫がこんなことを言い出した。

 

『月の科学力を盗めば幻想郷も発展するんじゃないか?』と。

 

実際自分自身、これには賛成した。

ただ今になってみれば、急な変化に妖怪や人間は耐えられなくなって幻想郷自体の崩壊が起こっていたのではと思う。

そういう意味では紫は『けんじゃさま』なのだ。

しかしさっきのことを表に堂々と出して

『次の科学力盗みたいから戦争吹っかけに行くけど行く人〜!!』

なんて募っても行く人などそうそういない。

だから紫は今の妖怪の現状と上手く織り交ぜ、

 

『昨今、人間によって妖怪は暴れることが難しくなりつつあります、そこで……』

 

こういうことを考えるのも、紫らしいなとは思った。

 

『私達と共に、月を侵略してみませんこと?』

 

余談だが紫の侵略戦争をするという発表の次の日から4日連続で雨が降った。

 

 

○

 

 

侵略戦争は実際は失敗した。

初めこそ妖怪が有利だったものの、次第に圧倒的な科学力の前には妖怪という存在は全く意味をなさなかった。

 

「藍……私は夢でも見ているのかしら?」

「紫様、その質問は6回目です。」

 

高みの見物でもしていた紫は顔色を急速に失っていった。

 

「月のウサギってこんな凶暴なのか?」

「敵として来ているんだ、正当防衛だよ。」

「ハッ、よく言う……過剰防衛すぎるだろ、流石に。」

 

月のウサギ(玉兎)は基本的に銃剣を使う。

近距離も遠距離も両方攻められる優れた武器だ。

では、その中で一人刀を使って戦闘をする玉兎がいたら?

当然目立つ。

 

「(攻撃が通らねえ、何しても防がれるし当たったとしてもすり抜ける、意味が無え。)」

「少し期待してたけど、期待外れかな。」

「(そして全ての攻撃が正確無比、再生が追いつかない。)」

「さようなら。」

 

消えた。

どこに……後ろか。

早く行かなければ。

身体が言うことを聞かない。

上半身と下半身が二つに分断され……、

 

「嘘だろ?」

「信じられないならもっと斬ってあげようか?」

「やめてくれ。」

 

冷たく何かを見るような青い双眸が自分を捉える。

それだけで足がすくみ、立てない。

化け物だ。

 

「無意味に殺しても何の利益にもならない、そもそもこんな事して何が楽しいのか理解に苦しむよ。」

 

既に上半身と下半身は繋がった。

しかし、これが悪夢であることに変わりはない。

妖怪が殺されていく凄惨な場面を見せられたのだから。

このあとの展開どうします?

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