五等分の花婿   作:森盛銛

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2話 幸三の秘密

上杉らいはが家庭教師をする相手がまさかの兄の時と同じ五つ子だった。夕飯を食べ終えて、家庭教師の準備を始めるが、現実から目をそむけれない。

 

「はぁ、変な運命感じるよ」

 

自宅で今日の抜き打ちテストの結果を見てうんざりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リビングに集まってもらって家庭教師を行いたいのだが、それどころではない。

 

「なんでカテキョーやんの?いや、悪いってわけじゃないんだけど、急だね」

 

長男、野中優一。ニコニコしていて笑顔を絶やさないので、害はなさそうなんだけど、何考えてるか全く読めない。

 

「あの女だろ?どーせよ」

 

次男、野中龍二。ワイルド俺様タイプ。私の話も一向に聞かずに初対面から険悪。正直、見下されてる気がする。

 

「・・・めんどい」

 

三男、野中幸三。目元まで前髪が伸びていて顔すら見えない。根暗。あまりにも話さないのでよくわからない。

 

「そろそろ出ないと遅れるんだ!上杉さんマジで頼む!

 

四男、野中武四。野球部の二年生エース。勉強よりも部活第一。他と比べてガタイが非常に良い。先程から何かと抜け出そうとしている。

 

「まぁ、とりあえず話だけでも聞こうよ」

 

 五男、野中修五。この中では常識人?でも、どこか一歩遠いような感じがする。

 

 「とりあえず、話は聞いてるっぽいから始めるよ」

 

 そう言ってらいはが準備を始めるが、他の五人は一向に始めようとしない。数か月後には中間試験があるというのに、

 

「じゃあ、僕は見学で」

 

「俺はパス」

 

「・・・めんどい」

 

「じゃあ、部活に・・・」

 

「うん・・・まぁ、こうなるよね」

 

「・・・はぁ」

 

五人の態度に呆れたらいはだが、何も対策してないわけではない。風太郎に反発してきたときのマニュアルを教えてもらった。

 

「じゃあ、抜き打ちテスト!!」

 

 

そう言って五人の前にらいはの手書きテストをバンッ!と置く。

 

「この五科目総合テストで50点以上取れた人は家庭教師無し!!どうぞご自由に!」

 

 らいは自作のテスト、逆にこれさえできれば赤点などは回避できるだろう。以前風太郎が出来ない人をあぶりだすために五つ子に対しても行った手口である。

 

「へー、らいはさん。これ受かればべんきょーしなくていいってこと」

 

「うん、そう!」

 

「俺ら・・・甘く見るなよ!」

 

「・・・めんどい」

 

「いや、俺部活・・・」

 

「・・・いきなりだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って五人がテストを開始、範囲に関しては高校二年の一学期中間テストの範囲。これをらいはが選別して作成した問題だ。普段の授業を聞いていれば何とかなるはず・・・

 

「え・・・すごい百点!!」

 

「俺らの実力思い知ったか!」

 

「・・・五人合わせて」

 

そういって彼らに採点したテストを返す。

 

ちなみに点数は、優一が18点。龍二が22点。幸三が30点。武四が8点。修五が22点という結果になった。

 

「・・・じゃ、そういうことで!」

 

そう言って五人は結局勉強など一切せずに各々の行動を始め、結局家庭教師どころではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、でもこんな・・・」

 

「らいは!家に勉強を話を持ち込むのは止めなさい!」

 

「お父さんうるさい」

 

「なん・・・だと・・・」

 

とりあえず、家庭教師の先輩として兄に相談してみることにした。

 

「もしもし、お兄ちゃん?今大丈夫?」

 

「らいはか。今仕事帰りだ。どうだったよ、初日は?」

 

「・・・五つ子って知ってたの?」

 

意地らしく聞いてきたのでおそらく意図的に隠してたのだろう。

 

「ああ。まさか、人生で二回も五つ子を拝めるとは思わなかっただろ?」

 

確かに人生で一度見れれば珍しいが、まさか、二回も見れるとは、ではなく、そんな会話をしたくて電話をしたんじゃない。

 

「うん。それでまた相談なんだけど・・・」

 

「あまりにも勉強に対しての意欲がなくて困ってるって言ったところだろ?」

 

「よくわかったね」

 

「まぁ、俺が一番にぶち当たった問題だからな。四葉みたいなやる気だけあるやつはいるのか?」

 

お兄ちゃんの場合は最初から今の奥さんである四葉は最初から風太郎の味方をしてくれていた、そこから、三玖、一花、五月、二乃と順順に家庭教師をさせてくれるようになった。しかし、それがらいはにはいないと言っても過言ではない。強いて言えば唯一家庭教師を否定しなかった修五ぐらいだ。

 

 

 

「・・・皆好きに行動する」

 

「・・・なら、将来を考えてやれ」

 

「・・・え?」

 

「家庭教師の先輩の助言だが、必ず夢を持ってる、その夢を叶えるために勉強をすること。わからなければ見つけてやれ。見つけるために勉強をする。それに、それぞれの個性や魅力があるはずだ。そこを探してやれ。・・・悪い、電車乗るから切る」

 

そう言って電話を切り、懐かしそうに風太郎がその本当は魅力があるのに自分が劣っていると思っていた生徒を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、らいはは自分の勉強のため、少し早めに家をでて、登校する。校門前つき、軽く伸びしていると、高級車が現れる。

 

「・・・んだよ」

 

龍二を先頭に車の中から五つ子がわらわらと出てきてらいはを無視するように、登校していく。その態度に少しカチンと来たらいはが仕掛ける。

 

「復習・・・したよね?」

 

そう言うと五人がピタリと止まったが、その後に少し速足になって、下駄箱に向かうが、らいはがしっかり後ろをついて行く。

 

「問一・・・【滑舌】これの読みを答えろ」

 

「それは・・・ダッシュ!!」

 

優一の合図とともに五人が散らばり、各々の教室へ向かう。だが、らいははその中でも一番足の遅い三男幸三に目をつける。

 

「待てーい!!」

 

四人は取り逃がしてしまったが、めんどくさがり屋の彼にとびかかり、そのまま、覆いかぶさる。捕まえることに成功したものの・・・この状況は、まずい。

 

「う、上杉さんが押し倒してる!」

 

「うわードキドキしてきた」

 

周りの興味の視線が突き刺す。らいは自身も恥ずかしくなり、幸三を連れて、そのまま外へ向かった。

 

「ふー、焦った。変な汗かいた」

 

少々顔が赤くなっているらいはだが、つれられた幸三は特にアクションを起こすわけでもなく、めんどくさそうな表情を浮かべていた。

 

「はぁ、かつぜつ」

 

「・・・え?」

 

「さっきの問題。正解じゃなかったっけ?」

 

「う、うん・・・正解」

 

「・・・・・・」

 

「・・・じゃ、じゃあ問二」

 

「・・・・・・」

 

「(気まずい・・・)」

 

無言の空間が流れる。しかし、そのまま、彼は答えることなく。時間だけが過ぎて行く。

 

「・・・もういい?」

 

そういって彼がポケットからスマホを取り出した時にたたまれた紙が一枚ポロっと落ちた。それに気づかずに彼は先に行ってしまったが、らいははなんとなくそれを拾い、広げてみる。

 

「・・・これって」

 

見たところを見られてしまった幸三は全力戻って、らいはからそれを奪い返す。

 

「・・・見た?」

 

普段おとなしい彼からは想像もつかない睨みを効かせた表情だった。それほど見てはまずいものだったのだろう。

 

 

「見たよね?」

 

「え、うん。何かの台詞?」

 

つづられたものはおそらく台詞。彼の字で書いてあった。つまり、オリジナルだ。

 

「これは・・・ボイスサンプルの台本」

 

見られたことが恥ずかしいのか、先ほどより顔が赤くなってしまっている。目元が隠れている長い前髪でもわかるくらいだ。

 

「ボイスサンプル?」

 

「その・・・事務所のホームページに載せるやつの・・・」

 

「事務所・・・?」

 

「その・・・声優なんだ・・・僕」

 

「声優・・・」

 

声優は声を生業とする役者のことだ。彼のことをあまり知らないが、そう言った芸能活動をやっているとは思わなかった。

 

「あ、だからか」

 

滑舌という読みを読めたのは声優としての基礎の部分であるものそれの見覚えでやっていたらしい。まぁ、正解率も高い問題でもあったが、あの点数の中で上三人は正解だったのを思い出す。

 

「この前準所属になってようやくホームページに自分の声の演技を載せれるようになった・・・ノートにまとめてて、一番しっくり来たのを録る」

 

「(意外と笑顔)」

 

彼の隠れた表情を見ていると嬉しそうにしている。それほど彼に取って嬉しい出来事だったのだろう。すると急に冷静になる。

 

「・・・まぁ、そういうことだから」

 

女生徒に押し倒されては無反応だが、自身のことを少し話して、恥ずかしくなったのか若干の赤面を隠しながらその場を去ろうとする。しかし、らいははこのコミュニケーションのチャンスを逃すわけにはいかなかった。

 

「もっと聞かせて。幸三君の事、もっと知りたい」

 

「・・・まぁ、いいけど」

 

 

 

幸三が目指したきっかけや作品。本当にチョイ役だが初めて出演したラジオドラマ。らいはにとっては難しいし聞いたこともないことが多いが、彼は夢中になって話しており、いつの間にか時間が過ぎ始業のチャイムが始まる。

 

 

 

「あ、もう鳴っちゃった」

 

 

 

そう言って外で話していた二人だが、教室に二人で向かおうとする途中

 

 

 

「・・・ねぇ、なんで家庭教師やろうと思ったの?」

 

 

 

確かに彼らからしたら純粋な疑問だろう。同級生でもある彼女がなぜ家庭教師をしたのか。

 

 

 

「お兄ちゃんからの紹介・・・昔、お兄ちゃんが家庭教師やっててね。ちょっと運命感じちゃった。お兄ちゃんが相手したのも五つ子で、みんな落第待ったなし。でも、みんなで卒業したのを見た時に、私もいつか人の役に立てる人間になりたいなって思って、やってみた・・・全然うまくいってないけど」

 

 

 

「・・・立派だね」

 

 

 

「ううん。そんなことないよ・・・現に・・・」

 

 

 

今話せているのは彼だけだ。お兄ちゃんも苦労したらしいけど彼らと勉強をするビジョンがまるで見えない。現に私は彼が声優になるという夢を邪魔しているのではないのだろうか?勉強よりも演技の練習のほうに時間を割いた方がいいのではないかとも考える。

 

 

 

「おい、幸三!」

 

 

 

そう叫ぶオラつた声。そのほうを見ていると弁当箱を持った五つ子の次男龍二だ。

 

 

 

「おめーと俺の弁当間違ってる。」

 

 

 

「また早弁?」

 

 

 

「作ってんのは俺なんだからいいだろ?」

 

 

 

意外にも弁当を作っているのは彼らしい。そのため興味の視線を向けるが彼は露骨に無視をし、幸三のに早くしろと催促する。

 

 

 

「はいはい」

 

 

 

そう言って彼が自分のバックから弁当を取り出し、中身を確認すると茶色一色の肉弁当。同時に一冊のノートがポロっと落ちた。それを龍二が拾う。

 

 

 

「あっ・・・」

 

 

 

それはボイスサンプルをまとめているノートだと気づいたが、龍二は目指していることを知っているのか母わからないのでどう声をかければいいかわからないが、横の幸三は焦りの表情を浮かべている。

 

 

 

「お前・・・なんだよこれは!!」

 

 

 

時はすでに遅く中身を見てしまった。しかし龍二はその中身に対して問いただしているようだ。

 

 

 

「おめーみたいなクソ陰キャが芸能界で生き残れるかよバカ!!それにこれじゃあ!!」

 

 

 

その後の言葉はらいはがいるせいか言うにも言えないような表情を浮かべている。しかし、先程の発言をらいはは許せなかった。

 

 

 

「なんでそんなひどいこと言うの!?幸三君だって頑張って結果も着ついてきてるのに・・・」

 

 

 

「はぁ?お前も知ったような口振りで何いってんだ?テメーには関係ねーよクソ女!」

 

 

 

「関係あるよ!私はみんなの夢を応援したい。だから家庭教師を引き受けたんだから!」

 

 

 

「夢・・・」

 

 

 

その言葉に幸三は反応する。しかし、龍二はまだ攻撃が止まらない。

 

 

 

「それをお前が叶えてくれるのかよ、同い年の女に?バカじゃねーの、出来るもんならやってみろ!」

 

 

 

「いいよ龍二!」

 

 

 

「呼び捨てにすんな、クソ女!」

 

 

 

「君の夢は何?」

 

 

 

「・・・言わねーよ、クソ」

 

 

 

どう言い合っても彼女は言い返してくる。こんな女は会ったことないがない。大声で怒りをらいはにぶつけるが彼女は怯まない。このままでは埒が明かないと思ったのか龍二は幸三に矛先を向ける。

 

 

 

「俺と優一が犠牲になったにも関わらず、お前は裏切ったのか?まぁ、優一は本腰いれてるっぽいからあれだが、俺の立場はどうなる?」

 

 

 

「・・・犠牲?」

 

 

 

らいははその発言に疑問を感じた。昔何かあったのだろうか。

 

 

 

「オメーには聞いてねーよ。幸三、どう思ってるんだ?」

 

 

 

「そ、それは・・・も、もうしわけないって・・・思って・・・」

 

 

 

そう詰められて言いにくそうにしているが、振り絞った声で下を向きながら答える。

 

 

 

「昔ビービー泣いて何も出来なかったお前がまた芸能活動始めるとか・・・」

 

 

 

目元を覆っている髪の毛を掴みだし、睨むように言い放つ。

 

 

 

「無理に決まってんだろ、現実見ろクソ陰キャ」

 

 

 

そう捨てぜりふをはくと交換した弁当を持ってどこかへ行ってしまった。その後ろでは堪えきれなくなったのか涙をすするおとが聞こえたので、すかさずハンカチを手渡す。

 

 

 

「大丈夫?」

 

 

 

「ごめん、上杉さん、兄弟喧嘩に巻き込んで・・・」

 

 

 

借りたハンカチで涙をぬぐう。普段絡もっと目元が髪に覆われているのに更に見えなくなっている。

 

 

 

「これは洗って返すから、ごめんね、遅刻になるから先に行って」

 

 

 

「なら、幸光君も一緒に・・・」

 

 

 

「ごめん、今は一人にしてほしい」

 

 

 

そういうと校舎には入らずに反対方向へ進んでいく。らいはは心配なのでついていこうと迷ったが、一人にしてほしいといわれたこともあったが、校舎へ入っていった。

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