先生は世界平和を実験している 作:飛鳥=R♯
半年くらい前からここはこうすると決めてたくらいには
「さて、アクセル=ロウ。君はどこから知りたい? キヴォトスについてかな、それとも起こる事かな?」
「全部だ。全部、俺に教えてくれよセイアちゃん」
来訪者アクセルを前にして、セイアは冷静であろうと努める。
彼は未来を変える事ができると言った。その為にセイアの協力が必要だとも。
しかし彼女はまだ信じられない。自分が目にしてきた未来がこれから改変できるなどと、飲み込めない。それ故に今からアクセルに語るのだ。トリニティという花園に秘められた苦しみを。
「改めて、ここはキヴォトス。無数の学園都市によって構成された世界。そして私達は学園に住まういわば住人だ。そして君は異なる世界からやってきた異邦人、そうだろう?」
「ああ、そうだ。そして俺はその別の世界から、夢を辿ってここまで来られた。セイアちゃんに会う為に」
「夢か……確かに、この空間に時間の概念はない。過去も未来もすべてが織り交ざって作られている。異なる時空と接続するのも可能か」
「そして俺は、セイアちゃんを助ける為に来た」
これにセイアは目を丸くした。あの未来を変える為、ならまだわかる。だがアクセルは何の臆面もなく彼女を救いに来たと言い出した。思わぬ言葉にしばし言葉を失い、
「君が変えたいのはあの未来だろう。何故私が?」
「もちろん変えるさ、あんな光景。でも何より俺が気になってるのはセイアちゃんだ。ここには鏡ってもんはないのかい? いっぺん自分の顔を見てみなよ。女の子のそんなしみったれた顔……俺ぁ見たくない」
「……しみったれた顔か。確かに、今の私はそういう顔をしているだろう。だがその理由は君も知っての通りだ。避けようのない未来を目にすれば、こうもなる」
椅子にぐったりと背中を預け、セイアは諦念のにじんだ声色でアクセルへと語り掛ける。
「『楽園の証明』、という言葉がある。キヴォトスに古くからある言い伝えだ。アクセル、君は楽園、あるいは天国とでも呼ぶべき場所があると思うかね?」
「死んだ先にあるそういうのとか別の話?」
「概念としての話だ。まぁ見たところ、君の外見から判断するにあまり深く考えた事はないだろう」
「あっ、今凄いグサッときた。可愛い顔なのに言葉の選び方きっつぅ……ん-、楽園ねぇ」
頭の後ろで手を組み、セイアよりも更に椅子に背中を預けてアクセルは唸る。その反応から、セイアは彼には理解できないだろうと既に断定していた。
悩んでわかるものではない。『楽園の証明』とはもっと不可解なものなのだから。
「俺としちゃあ、今こうして生きてるだけで楽園カモ? あははは!」
「……」
「はい、すみません。こういう人間なもんで」
「いや、構わない。私が思うより君は幸せな考えができる人間らしい」
「おほほ、そう言ってもらえると嬉しいかも」
「皮肉が通じない人種か……はぁ」
どうにもこの男は話していて調子が狂う。物事を真面目に捉えているのか、捉えていないのか。真面目に不真面目とでも称するべきだろう。
ため息をつきながらもセイアは現実を突き詰めるという目標の為にアクセルへと再度、楽園について語る。
「簡単に言えば、だ。誰もが幸せでいられる世界があるとして、本当に存在しているのかどうか説明できるのかという問いかけだ。本当に楽園があるとして、そこの住人達はわざわざ外の世界になどでてこない。観測する事ができない世界を、どう証明すれば良いと思う?」
「うーん……? えーと、ちょい待ち。あ~~~~~~~~~~無茶苦茶美味いハンバーガーがあるとして、それが本当に美味しかったのかどうかなんて、他人に食べさせないと説明できないとかそういう?」
「信じがたい理解の方法だが、まぁそんなところだ。頭の回転は早い様だ」
「ん~~~~~~証明ねぇ。ぶっちゃけ、ピンとこないなっていうのが俺の感想」
「そうだろう。その反応は、至って当然のものだ。そしてその当然のせいで……我々は今破滅に向かっている」
セイアは今自分がどんな顔をしているのか、少し気になっていた。暗いのかそれとも達観した能面の様な顔なのか。アクセルに尋ねてみたいところだ。
「私はね、アクセル。予知夢を見る事ができるんだ。明日を、明後日を、その先を……ずっと遠くまで見られる」
それがセイアの持つ『神秘』だ。いつかの未来を覗き見る事ができる。特殊な能力は夢の中で更に範囲を拡大させ、今はある程度の過去にまで干渉しうるまでになっていた。その気になれば過去の人間と夢で話す事さえできるだろう。
そしてそんな予知夢は彼女を苦しめ、諦めを抱かせるにまで至っている。
「ああ、だからこんな風に夢の世界にまで入れちまうわけだ。昔会った奴にかなり近かったからさ」
「そして私は先を見続けて理解したんだ。そもそも、『楽園』なんて存在しないと。こんな世界のどこに誰もが幸せでいられる世界などあるんだ」
呟きと共にセイアはアクセルがよく見える位置に幻を出現させる。そこに映り込んでいるのは、異なる色の制服を身に纏った生徒同士がにらみ合う世界だ。
「トリニティ、ゲヘナ。二つの学園は昔から憎み合っている。何故、と問われれば難しい。蓄積した憎しみはいずれ憎んでいた本当の理由さえ忘れてしまうからね。今、両者が手を取り合える機会が訪れようとしているんだ」
「でもそいつは上手くいかないんだろう。俺が見たあの光景から判断するに」
「そうだ。だが原因はケイオスではない、飛鳥=R=クロイツでもない。私達、キヴォトスの人間なんだよ。二つの学園を舞台にした物語は最初から結末が決まっているんだ。『楽園』の名を冠した条約など意味をなさない。私達はそんな言葉が不釣り合いなほどに、互いを憎み合っている。やがて仲間同士で睨み合い、足を引っ張る始末だ。実際の例として、今ここにいる私の現実での肉体は眠りについている。身内であるはずの人物に襲われ、植物状態だ」
また、ため息が漏れてしまう。自分の中で飲み下したものを他人に説明するという事は、それだけ抗い様のない現実だと自分に言い聞かせているのに近い。
「君の世界に戦争はなかったか? アクセル=ロウ」
「あったさ。人死にだってあった。原因が喧嘩からだなんてしょっちゅうだ」
「ならわかるだろう。わかりきっているだろう。これもまた人の性が起こした戦争だ。ハッピーケイオスはただそれを後押ししているだけで、きっかけは私達でしかない。そんな世界の未来を見続け、やがて私はすべては無意味なのだと思う様になった。どうしようもない、不幸なエンディングが決まり切っているのだと」
「だから無理だって思うんだな? 未来なんて変えられないって」
「……そうだ」
すべてを言い切れたとセイアは思った。アクセルが話のわからない人間ではない事は理解している。彼とてここまで話せば、事情を理解するはずだとも。
ところが金髪を揺らし、何が何だかと言わんばかりにアクセルは首を傾げた。
「ごめん、俺にはわかんない」
「っ……どうして」
「どーしても何も、それってまだ起こってないんだろ? じゃあ止められるじゃんか」
「だから、それは止められないんだ。私達が憎み合う限り……争いが続く限り」
「じゃあ、争いを止めるってのは無理なワケ?」
「それは……それが実現できたら、こうはならないんだよアクセル」
頭の固い奴だ、とセイアは顔をしかめた。順序立てて説明したはずだ。どうやっても未来は変えられない。過去から続く憎しみの連鎖は楽園の証明どころか自分達の手で地獄を作り出してしまっているのだと。
だのにアクセルは理解できないと断じてしまう。何がこの男の原動力なのか、それが読み取れない。
「でもさセイアちゃんは明日がわかるんだろう。それなら止める事だってできるはずだ。違うかい? 俺にはさ……そうなるのが怖いから、自分じゃ動けないって言ってる風に聞こえるんだ」
「怖い、怖いだって私がかい?」
「さっき言ったろ、セイアちゃんを助けに来たって。理由はさ……君が、怖がっている様に見えたからなんだよ」
その言葉にセイアは心の底でほんの少しだけ安堵してしまっていた。
彼は自分の絶望を否と断じた。断じられてしまった。それならば、それならば、と。
「―――君には、わからないだろう。この目で惨劇を見る事ができた瞬間を。この耳で誰かの悲鳴を聞く瞬間を」
「いいや、わかる。俺にはセイアちゃんの気持ち、よくわかる」
「わかるはずがない。皆にとっての今日が、私にとってはもう経験した事なんだ。結果のわかっている映画を見ている様なものだ……!! そんな感覚を、わかると?」
「ああ。俺も、似た様な体験を死ぬ程やった」
セイアは目を見開いた。異界からやってきた、夢の中に足を踏み入れる事ができる男から放たれた言葉は彼女の平静を容易く砕いてしまった。
嘘か、何かの比喩に決まっている。同じ様な能力を持つ者など出会った事はない。いるはずはない。
「俺さ、時間旅行ができるんだ。過去にも未来にも飛べる。そういう能力を持ってるんだよ」
「時間旅行……?」
「セイアちゃんは予知夢だっけか。俺はさ、文字通り肉体ごと時間を飛べる。ある時は一〇〇年先、またある時は五〇年前って感じにね。だからわかるよ、セイアちゃんの気持ち」
そこでアクセルはゆっくりと、視線をテーブルに落とす。そこにはいつの間にかどこにでもあるコーラが注がれたペットボトルがあり、彼はキャップを開けてしゅわしゅわと音を立てる液体を喉に流し込む。手馴れた様子で夢を改変してみせたその動きに、セイアはもしやと疑念を抱いた。
「時間旅行とは、つまりアクセル……君は時空を歪められると言うのか」
「そういう事。夢の中だって思いのままに来られるんだ。そんでさ……今度は俺からセイアちゃんに言いたい事がある」
ペットボトルのキャップを閉め、アクセルはセイアに今一度向き直る。真剣そのものの青い瞳には誠実さと純粋な眼差しがある。
「俺は色んな時代に行った。さっき言った通り、戦争は山ほどあった。一〇〇年近く続いた人とバケモンの争いもあった。するとさ……やっぱり感じる時はあったんだよ。俺一人じゃどうしようもないのかなって」
「……」
「昨日俺に酒を奢ってくれた人が一〇年後の未来では死んでいた。そんな話しょっちゅう。でも、その人が死んだのは俺にはどうしようもない病気だったりして……なんていうかこう、なんとかできない事だってあった」
「なのに君は未来を変えたいと言うのか」
「ああ、変えたいさ。俺一人じゃ無理だとしても、だからと言ってやらない理由なんてどこにもない。なんでかって言ったら、皆確かに生きていて俺の友達だからだ。セイアちゃん、君もその一人だよ」
アクセルはにっこりと笑う。けれど悲しげで、今までどれだけの光景を目にしてきたのかがセイアからも感じ取れた。
不思議な男だ。老人の様に達観していて、それでいて若者の様に熱い心を持っている。言うなれば過去と未来を一度に抱え込んでいる、矛盾を秘めた存在だ。
「まぁ何が言いたいかって話、確かに色んなものがわかるとセイアちゃんはこう感じるよな。『自分にはわかってる』って。でもそれはあくまでセイアちゃんだけの感覚で……皆からしたら大事な事でもある。結局は捉え方次第でいくらでも変わる。それを忘れちゃ駄目だ」
「……それでも私には信じられない。私一人で未来を変えられるかなんて」
セイアはつい声に出していた。長い時間夢の中でまどろみ、多くの悲劇を目にしてしまった彼女にはアクセルの言葉を素直に飲み込めない状態にあった。
むっ、とアクセルは眉をひそめ、何か言いたげに口を動かし、そして次の瞬間に勢いよくテーブルを叩いて立ち上がった。
「だ~! もう煮え切らねぇな! わかった、もうちょい俺流で言っちゃう。セイアちゃんにはさ、大切な思い出って言うのはないのかよ。自分の人生を振り返る最後の瞬間があるとして『そうだった』って思える時とか!」
「お、思い出……?」
突然の声にセイアは考え込んでしまう。熱血極まる呼びかけに対し何かないかと思わず考え込んでしまう。
思い当たるものが、ないわけではない。だが果たしてそれらが本当に自分にとって大切であったかという逡巡が彼女の中にあった。
「―――わからない。私には、そう思えるのかどうか」
「だったら話は早い。セイアちゃん、さっき明日が見えるって言ったよな。このままじゃ……その明日さえなくなっちまうかもしれない。セイアちゃんの事を大切に思ってる奴も、これからセイアちゃんが大切に思える様になる奴も……皆いなくなっちまうかもしれないんだぜ!」
「ッ……!!」
その時脳裏をよぎったのはトリニティの生徒達だった。
自分がいない今、ティーパーティーを一人で切り盛りしようと必死になっているナギサを想う。このまま彼女は陰謀の中に身を置いて生きていく事になるのだろうか。
自分と言葉を交わしてくれたハナコを想う。彼女はセイアがいなくなった事をきっかけに周囲との溝を更に深めている。このままでは孤立していってしまう。
「……ミカ」
ぽつりと名前が零れ落ちる。最後に浮かび上がったのは自分を襲った張本人である少女だ。いつも考えが足りない、能天気としか言えない少女。
その時セイアに呼応する様に、新たな幻が浮かび上がる。それはトリニティにケイオスの仲間であるヴァレンタインが襲撃する直前の出来事だ。
「これは―――」
補習授業部達が住む別館の庭園で、飛鳥=R=クロイツはミカと会談の場を設けた。彼女と話す為に。
そういえば、この記憶をまだ覗いていなかった。覗くよりも先に急転直下な展開に気を取られてしまっていた。彼らは何を話したのだろう。
〇
「だからね先生。皆私のせいなの。ナギちゃんがおかしくなったのも、補習授業部の皆が疑われているのも全部私のせい。なので、聖園ミカは『トリニティ最低最悪の犯罪者』としてナギちゃんを暗殺しようとして捕まって、それで終わりにするんだ」
ミカが悲しく笑う。傍らで無言を貫くレイヴンも、その時だけは沈痛な面持ちで少女を見守った。
飛鳥はじっとミカを見つめ、それからゆっくりと語り掛ける。
「……君の行いはよくわかった。ハッキリ言って、僕は君の犯した罪を許せない」
「っ、そう、だよね。うん……そうだよね、先生の言う通りだよ」
「でも、君を許そう」
「え―――?」
誰もが予想だにしない答えだった。飛鳥についてきていたハナコも思わず口を開けて驚き、レイヴンもまた目を細めて答えの意味を問おうと視線を投げかける。
飛鳥は涙を流すミカに、厳しい表情を浮かべながら答える。
「君は軽はずみな気持ちで学友に危害を加え、取り返しのつかない事態を引き起こした。今トリニティが混沌としている原因は間違いなく君にある……だから僕は君の犯した罪を裁かなければならない。でも君自身を、僕はもう許す事にした」
「ど、どうして? 私、私信じられない事したんだよ!? セイアちゃん、死んじゃったんだよ!?」
「そう。そうだね。その点は取り返しがつかない……それでも、どうしようもない罪を負ったとしても、だ」
一言で言うならば、異常だ。飛鳥の下した決断は誰が聞いても冷静な判断とは言えない。
聖園ミカ一人のせいでトリニティは混乱に陥った。補習授業部の生徒達はあらぬ疑いをかけられ、飛鳥本人もナギサから敵対視される事になった。だのに彼はミカを許すというのだ。
「もう何度目になるか、この話も。僕は聖園さんの様に罪を犯し、そしてその清算をしきれないまま今日までここにいる。何度後悔しても、どれだけ懺悔しても過ぎ去った時間と消えた命を贖いきれない。そんな僕だから……何もかもが手遅れになる前に君を助けたい」
飛鳥は座っていた椅子から立ち、ミカの手をギュッと握りしめる。強く、離すものかと言わんばかりに。
決意を込めた瞳だ。壮絶な人生を送った人間の、強い瞳だ。
「罪を犯した事と悪人である事は別だ。自分の行いを後悔している君を僕はもう責めない。誰かが自分の罪に苦しみ続ける姿を僕はもう見たくない。それが君達子供なら尚更だ」
「せん、せい……」
「それに君も僕の生徒だと言っただろう。だから僕を頼ってくれ。大人として、先生として君を守る」
そこでミカも、飛鳥の手をぎゅっと握り返す。それから感情が溢れる様に彼に身を寄せてしがみついていた。
勢いが良かったばかりに思わず飛鳥は姿勢を崩しかけるが、なんとか受け止めきる。彼の胸元に顔を押し付けてミカは大声を張り上げた。
「セイアちゃんに会いたい……ごめんねって言いたい……!」
「―――ああ、その気持ちはよくわかるよ。痛いくらいによくわかる」
こうして飛鳥はミカを説得する事に成功し、ナギサを操るケイオスを止めるべく協力関係を築いた。
しかし問題はここではない。最終的にミカは守るべき相手であるナギサに事実を知られてしまい、決定的な決裂を迎えてしまう。抗いようのない結末、のはずだ。
〇
「……」
ミカの叫びをナギサは確かに見た。すべてを後悔し、会いたいと苦しげな声をあげていた。
彼女を大切な人間だとハッキリ思えた瞬間は、少ない。何しろセイアとミカはあまり折り合いの良い関係とは言えないからだ。いつも口を開けば刺々しい物言いを交わしてしまっていた。
思えばそんなすれ違いが、確かな交流の欠落が……ミカが取り返しのつかない過ちを犯した原因なのだろう。
「アクセル。今の私には、最後の瞬間に思い出せるものはないよ」
アクセルはセイアの囁きに対して無言を貫く。瞳だけはじっと、迷いがない。
「だが同時に、君が言う様に未来に思いを馳せないわけでもない。失う以前に、得る事さえしていない何かを私は取り落とそうとしているかもしれない」
「そ、それじゃあっ……!!」
「どうやら君の感情的な物言いに少なからず私は影響されてしまっている。もしかしたら―――ひょっとしたら―――こんな非力な存在でも、足掻く事に何か価値があるのでは?と」
そこでアクセルはパァッと顔を輝かせた。心からの喜びが滲むその表情に、セイアは口元を緩めていた。そんな風に気持ちを綻ばせるなどもう随分としていなかったな、という感傷を胸に抱きながら。
困った事に百合園セイアという人間は今、心にしこりができてしまった。今まで傍観者でいた現実に対して『何ができるのか』と考えてしまっていた。たとえそれが困難だとしても、無意味だったとしても……確かに今を生きる人間として明日に希望じみたものを抱いていた。
「アクセル。君も来るか?」
「いや、俺はまだそっちにはいけない。こうして意識だけで来るのがやっとなんだ」
「そうか。では先に行っている。君もこちら側に来られるのかどうか、そこだけを楽しみにしている。お互い生身で話し合おうじゃないか」
「おお!? いいよぉ!! 可愛い女の子からお茶に誘われちゃうなんて、俺めっちゃ嬉しぃ~~~!!!!!」
「ふふっ、先程までの熱気はどこへやら、だな」
では、早急に夢から目覚めなければならない。現実の肉体は植物状態ではあるものの目覚める準備はできている。あとは意志の問題だ。
まだ間に合うだろうか。すべてが終わってしまう前に辿り着けるだろうか。
(いいや、辿り着くしかないだろう)
セイアは椅子から立ち上がると、アクセルは大喜びで駆け寄ってくる。能天気で人懐っこい、見ていると腑抜けてしまいそうな顔だ。
「ではアクセル。私は目覚めるとするよ。『そうだった』と思える様に」
「ああ……!って、あ、あの、そういや俺できれば現実で飛鳥さんにお伝えして欲しい事があるの思い出した」
「? 伝言という事か」
「うん、そうそう! 簡単に言うと……『法術を使いすぎるな。穴が開く』って伝えといてくんない? ソルの旦那はそれだけで通じるって言ってたからさ~!」
アクセルの伝言は妙に不穏な響きだが、しかし本人が伝えてくれというからにはそうするべきなのだろう。
わかった、伝えようと確かに頷きセイアは今度こそ覚醒の為に目を閉じる。意識を集中させ、現実へと浮上していく。
「そうだ、セイアちゃん。俺からのアドバイス。難しい事とか考えて辛くなった時はこの言葉を頭のはしっこで忘れないで欲しいんだ。
最後の瞬間に聞こえてきた言葉は、アクセルらしい前向き極まる一言だった。
現時点での投稿頻度に関してどのように感じていますか?
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区切っても良いから投稿頻度を上げて欲しい
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このままもう少し早く出して欲しい