先生は世界平和を実験している 作:飛鳥=R♯
さっさと進めたいのにおかし!進まねえじゃねえか!
飛鳥は生徒達に謎の人物、ハッピーケイオスが自身の恩師にあたる存在である事を打ち明けた。
少女達の反応はそれぞれ異なっているが、驚きの色自体は誰もが発していた。何事か考えていたホシノでさえもである。
「ケイオスが先生の師匠?」
「僕の魔法は元はと言えば彼によって与えられたもの。つまりは知識量も経験もケイオスの方が僕よりも遥かに上なんです。そして……本来はあそこまで異常な人格でもなかった」
「ケイオスは飛鳥先生と旧知の関係性にある。けれどそれが理由で彼の話を信じるんですか?」
「……あの人はアレでも根底にある部分だけは変化していない。怪しげな言葉を言いつつも決して嘘はつかない、何故ならば彼には悪意というものが限りなくないからです。なので理解できない、という気持ちを抑えて聞いてください。ケイオスの言葉を前提として考えていけば、僕達を取り囲む多くの事柄に潜むものが見えてくる」
少なくとも飛鳥は以前の世界で言葉を交わした限り、ケイオスが嘘をつくところは見た事がない。雲の様にあちらこちらを動き回って人を騙す事こそあれど、大元の人格は揺るがないのだ。
ケイオスはセリカを攫いながらも飛鳥に助言した。善悪どちらとも言えない不可解な動きに関しては、彼が自身に課している『人類の撹拌』の一環なのだろう。
動揺する生徒達の声をしっかりと受け止めながら飛鳥がホワイトボードに書いたのは『ヘルメット団』と、それに繋がる『黒幕』という構図だ。
「ヘルメット団は最新型の銃火器を多数所持していた。とてもではないがチンピラである彼女達には到底入手できない代物ばかり。つまり何者かがバックにいて、アビドス高等学校を事実上の廃校状態へ押しやろうとしていたと考えるべきです」
「……じゃ、じゃあもしかしてとんでもない額の借金も!?アレもアビドスを廃校にする為!?」
「可能性はあります。ただ借金をした、という事実はありますしそこは踏み込んだとしても成果は得られないでしょう」
「うへ……そこは、っていうのは引っかかる言い方だねぇ。もしかして私達が見落としていた事があったの?」
「はい。利息です」
毎月の利息は788万あり、アビドスはこれまでしっかりとそれを払っていた。ただそれは利息だけで手一杯という話であり本懐である借金返済そのものにはまるで手をつけられていない現状なのだ。
しかしそこに介入できる点がある、飛鳥はそう主張する。
「借金そのものが法外過ぎるばかりに意識の外にありましたが、もしもカイザーローンが黒幕と関係している場合、生徒を追い出してしまいたい学校から送られてくる金を律儀に受け取っているとは考えられません。つまりカモにされている……奥空さん、利息の返済方法について確認しても?」
「……そういえばカイザーローンは毎月必ず装甲車でやってきて、現金のみの返済を指定してきました。今思えば怪しいというか……全く疑っていなかったですね、恥ずかしい限りです」
「いえ、恥ずべき事ではありません。皆さんには知る由もなかった。それを利用した姑息なやり方だと断じておきます。恐らくカイザーローンは受け取ったお金を素直に溜め込まず、何かしらに悪用している可能性が大いにある。そしてそれが明らかになれば、状況が改善されるかも」
「ん……それ、ちょっと気になるかも」
「ええと、今月の利息返済日はまだです!額はギリギリ揃えられていますが……飛鳥先生の推測を確かめるには良い機会かもしれません⭐︎」
「んぎぎぎぎ、こっちが汗水垂らして稼いだお金!何がどうなっているのか白黒つけようじゃないの!!」
話が整理されていくにつれて、シロコを筆頭に怒りの炎がわずかに燃え上がり始める。しかしそこで飛鳥は静止する様に掌を向けて、全員にかぶりを振った。
「次に懸念すべきは黒幕の動向です。ヘルメット団では埒が開かない、相手はそう判断するでしょう。そうなれば次の刺客がやってきて、まだまだ襲撃が起きる……ならば黒幕が何者であるのかまで暴き打倒しなければならない。恐らく個人ではないでしょう、もっと大きな存在です」
「うへ〜〜〜〜〜……話の膨らみ方が半端じゃなくなってきた。おじさん緊張で眠気が出てきたかも」
不透明な利息の行方、ハッキリとしない黒幕の存在。
アビドス対策委員会には二つの問題が壁の如く立ち塞がっている。それでも生徒の顔には焦りは浮かばず、逆に方針が定まりつつある事で両目には闘志を思わせる炎が宿りつつある。
「これで情報は整理できました。後はこれからどうするか……利息に関しては数日後に置いておくとして、それまでに襲撃へ備えるのが僕としては最適だと思います」
「となるとやっぱりアレに関しての話に戻ってくるわけかぁ」
「ん……作戦立案、いつでも準備できてる」
会議がひと段落したところで、おもむろにそれぞれの生徒達がモゴモゴと口を動かし始めた事に飛鳥は眉をひそめた。先程よりも心なしか生徒達は楽しげな様子で、シロコに至ってはいつの間にか用意していた紙袋に手を入れて何かを引っ張り出そうとしている。
思い返せば本部は入る前にシロコを除いた四人は話しこんでいた様子だったが、もしやまだ飛鳥の預かり知らぬ事を彼女達は隠しているというのか。
「ええと、話が見えないんですが教えてもらえませんか?」
「うへ〜、先生には本当に感謝しているんだけど大前提であるアビドスが抱えている借金をどう返そうか、それが大きな問題なんだよね。今後どうなるかわからないし、準備だけはしておかないと」
「皆からたくさんアイデア出たんですよね〜⭐︎一番手のシロコちゃんは……」
パッとノノミが指差した先、そこにはシロコが紙袋の中身らしい目出し帽を被り見るからに怪しげな外見へと変貌を遂げていた。銀行強盗、それ以外に的確な言葉が見つからないもので、飛鳥は口を半開きにしてしまう。
真面目な空気が一気に抉り飛ばされたでは済まない。しばらくの間、飛鳥はじっと強盗団員シロコを見つめていた。
「……………………??????」
「ん……そんなに見つめられると恥ずかしい」
「いえ、あの、おかしいな。もしかしたら時間が飛んだかもしれない。あの、お金を集める方法について話しているんですよね?どうしてそんな物騒な被り物をしているのか、僕にはわからないんですが」
本来目出し帽とは冬に装着し、寒さから身を守る為の便利グッズである。ところが手軽に顔をすっぽり覆えるという部分を悪用されて犯罪者が用いる様になってしまい、イメージが先行した結果目出し帽=強盗という扱いになったのだ。
少なくとも今の季節では目出し帽を被るほど寒くはない。そしてファッションであろうはずもない。まさかとは思うけれども口にできず飛鳥はシロコ自身が答えてくれるのを求めて、じっと視線を送った。
「ん……借金を返す一番手っ取り早い方法、それは銀行強盗。銀行に強盗する」
「二回も同じ意味の発言をする必要はあったんですか?」
「……銀行を、襲う」
「言い方を変えても、意味は変わらないのでは……?」
「……お金を、借りる」
「嘘だ……!?」
シロコは純粋そのものな眼差しを飛鳥に向けてくる。というより純粋さというもので無理矢理押し切ろうという試みが透けて見える。負けじと飛鳥は疑いの目をこれでもかというほど強めて見つめ返すものの、彼女は一歩も引く様子は見られない。
ならばと他の生徒へ目を向ける。他にはどんなアイディアがあるのか確認しなければならないとすぐに飛鳥は判断した。
「十六夜さんは?」
「私はですねぇ、皆でアイドルをやろうと思うんです!そうしたら大人気になったりして……決めポーズも考えたりと」
「聞いた限りではまともですが、グループ名は?」
「水着少女団、です!」
「小鳥遊さんこれは」
「うへ……却下」
「え〜!?」
予想の斜め上をいく答えに飛鳥とホシノは思わずかぶりを振った。
銀行強盗、アイドル、まだ二つしか出ていないというのに信じ難い内容ばかりなのは一体全体なんだというのか、飛鳥は一番現実的な答えを出すであろうホシノに意見を聞く事にする。
「小鳥遊さんはどんなアイデアを?」
「おじさんはねぇ、他の学校から生徒がアビドスに来てくれる様にすればいいんじゃないかなって思うわけ」
「はい」
「バスを手配して」
「はい」
「どこでも良いから生徒達をバスで運んで」
「はい……」
「ウチに入学するように勧めるの」
「誘拐と脅迫ですね」
「ん……そういう言い方は良くない。勧誘だよ先生」
「話を聞いていた限り完全に誘拐です。もう少しないんですか、まともな案は……?」
侮っていた、という他にない。アビドスの生徒達はキヴォトスという過酷な世界で生き抜く立派なバイタリティを有しているのだ。であれば彼女達の価値観もまた相応に飛鳥の考える常識より逸脱していてもおかしくはない。
それにしても倫理観がおかしい。穏便なやり方という概念が存在しているかさえ疑わしい。飛鳥の額に汗が滲んだ。
「く、黒見さん。貴女はどうですか?」
恐る恐る飛鳥はセリカへと話を振った。アルバイトに精を出している彼女ならばきっと現実的な観点から借金返済を考えているのではないかという淡い期待だ。
椅子に腰掛けていたセリカは飛鳥に苦い表情を浮かべ、手首を見せてくる。おしゃれなブレスレットが巻き付けられていて、それが何か一目見ただけでは判断できない。
「これさ、身につけてるだけで運気がアップするブレスレットらしいのよ」
「身につけているだけで……?」
「そう。それで他の子にも売って、そうしたらまた他の子に……でガッポガッポ儲けられる!なんてこの前駅前でチラシ配ってる人に教えてもらったわけ」
「あの、それは」
「そうよ完全にマルチ商法よ。その時の私は全然気付かなかった……でもあのクソダササングラス男のおかげで、数時間前に嘘だとわかったのよ」
クソダササングラス男、間違いなくケイオスの事である。
「信用できる大人と信用できない大人なんて話された挙句誘拐もされて、それから色々考えるようになったら『あれこのブレスレットなんか怪しくない?』となって……あんな奴のおかげで気付けちゃったのがもうホントに最悪よ!!」
「……つまり、詐欺だと気付かなければブレスレットを僕達にも売るつもりだったと」
「言うな────!!!!」
大人への階段に一歩進めた、そうとでも思わなければやっていられない事だろう。飛鳥はシクシクと咽び泣くセリカをよそに、最後の希望であるアヤネへと一縷の望みを託した。
が、
「……すみません先生、私からもこれといって名案は浮かばなくて。なにしろ人手も足りませんから、たった六人では出来る事もあまり」
「いえ、僕も冷静になるべきでした。なにしろ驚きの案ばかりが出ますから……大きな戦闘の後ですし、皆さん疲れているでしょう。今日はここでお開きにして会議はまた明日で」
これ以上は会議も煮詰まってしまう。大人しく休息を取るべきだと判断して、飛鳥はピシリと会議の終了を宣言する。
思えば砂漠での激戦からすぐに話し合いなど全員疲れていて当然のはずだ。幾ら生徒達でも休む時間は必要であるし、何より女子ばかりである。健康にも気を遣わねばならない。
そういうわけで飛鳥はパン、と手を叩いた。会議終了をハッキリと示す為の合図だ。
「ん……じゃあ銀行強盗はまた次の機会にする」
「おじさんの計画も〜」
「水着アイドル、ダメでしょうか……?」
口々に恐ろしい話題を話しながらシロコ達は飛鳥にペコリと会釈してから本部を去っていく。机上の空論、と言うには銀行強盗と誘拐は実現可能な武力を有しているのが大きな問題である。かといってアイドルは、恐らくノノミが単にやりたいだけなのかもしれない。
と、飛鳥は足早に本部から出て行こうとするセリカに気付くとその背中に声をかけた。
「黒見さん、また明日」
誘拐された後なのだ、何かしらメンタルにダメージを負っていてもおかしくはない。しっかりと声をかけておいて損はないはずだ。
セリカは飛鳥に振り返ると、口をもごもごさせてから、
「ん……」
とだけ返して去っていった。少しは距離が縮まったかと思っていたのだが、まだまだの様だ。
「飛鳥先生、すみません。皆真面目に考えているとは思うんですが」
見かねたのかアヤネは飛鳥の元へやってくると申し訳なさそうに頬をかく。謝る必要など無いのだが、それだけ責任感が強いのだ。飛鳥は嗜めるように、
「君がそうする必要はないから大丈夫。むしろ色々あったのにああいう話ができるのなら、砂狼さん達も元気だという事です。まあ少し、ほんの少しだけ元気すぎるかな?とは思うけども」
「あ、あはは……そう、ですね。元気でいてくれるのはいい事です。私も頑張ります!」
今日は本部に残る理由もない。飛鳥はアヤネと共に本部を出るとしっかり戸締りをした。
廊下の窓から空を眺めれば、既に夕陽は沈みかけている。セリカを救出するべく動いたのが午前中の事であったから、それから数時間ほど経てば夕方にもなるのだ。
昇降口まで二人で歩く間、沈黙がしばらく続く。これといった話題が飛鳥の中で浮かんでこないせいなのだが、アヤネが気まずそうにもじもじとするので何か話さなければならないのだろうかと不安が伝染しつつあった。
すると、決意した顔でアヤネがこう切り出した。
「先生、あの、会議が終わった後で聞くのもあれなんですが」
「僕が答えられる範囲なら問題ありません、むしろ相談してくれた方が僕としても嬉しいですから」
「少しずつ明かりの様なものが見えてきた気はするんです。でもこれから大丈夫なのかなっていう不安はやっぱりあって……」
「あくまで僕の主観的な意見です。そんな事はない、と否定されるかもしれませんが、奥空さん達は今日まで力を合わせて頑張ってきている。ならこれからもそうしていけばいいんです。僕も先生として、その為の努力は惜しみませんから」
「そ、そうでした。今回は先生がいるんでしたっ。ちょっとだけ気持ちが楽になったかも」
飛鳥の返答にアヤネは握り拳を作って何度か頷く。しっかり者である彼女でも不安に思い、感情を吐露する事はある。それをこの場で打ち明けてくれたのならば、飛鳥に対する信頼の表れでもあるはずだ。
「それでは飛鳥先生、また明日!」
昇降口から校門前まで歩いて行き、帰路に立ったところでアヤネは飛鳥にぺコリと頭を下げると、少しだけ軽くなった足取りで帰っていく。手を振りながら見送り、飛鳥も肩にかかっていた重圧がわずかに軽くなった感覚にため息をついた。
アヤネの不安は間違っていない。アビドスを取り巻く状況は未だハッキリとは見えないが、少なくともケイオスが絡んでいる以上は穏便に収まる事は決してないだろう。
「……ねぇ」
「先に帰ったと思っていたのに、まさか待ち伏せしていたんですか?」
思案していた飛鳥は不意にかけられた声に振り返り、眉をひそめた。そそくさと帰っていったはずのセリカが頬を赤くし、腕を組みながら佇んでいるのだ。
何故彼女がここにいるのか、飛鳥はしばらく考え込む。これまでのセリカから向けられる態度から導き出される答えは一つだ。
「僕に闇討ちを仕掛けにきたのか……?」
「なんでそうなるのよ!?」
「いや、今のところ君はあまり僕の事を好いていない様子だから、もしかしたらそうなのかと」
「んなわけあるかー!ほらこれ!」
ギャッと絶叫しながらセリカが投げてよこしたのはジュースの缶だ。なんとか両手でキャッチしたものの、飛鳥はこれも攻撃の一種なのではないかとじっと缶を眺めてしまう。
セリカは飛鳥が全く意図を読み取れなかった事にぐぬぬ、と拳を握り締め、
「お礼よ、お礼。助けてくれてありがとう」
「ああ……そういう事なのか。難しいな、感情が読み取れない。なんていうか君はいつも怒っている様に見えるから、実際の気持ちというものが判断しづらいんだ」
助けに来てくれた事へのお礼としてジュースをくれるのはわかる。ただ渡す為に校門で待ち構えているというのは読めない動きだったもので、飛鳥はいつも通りの言葉遣いで冷静にセリカを分析してしまっていた。
セリカはといえば吊り上げていた眉をしんなりとさせて、重苦しくため息をついた。
「ごめん、そういうつもりじゃないの。本当は帰りに渡すつもりだったんだけどタイミング逃しちゃって」
「別にお礼なんて僕はいらなかったのに」
「私がそうしたかったの。助けてもらったのに何もなしだなんてこっちがむず痒いし」
「ケイオスに何か言われた様だけど、どんな話を?」
「んー……言ったでしょ、信頼できる大人の話よ」
セリカはやれやれとこめかみに手を当てて、苦しげな呻きと共に、
「信頼できる相手かどうか、頭ごなしに考えるもんじゃないとかそんな感じ。すっごいイラっときたけどでも間違いかって言われると難しかった」
「それじゃあ僕は君のお眼鏡に適う人間でいられたかな?つまりその、大人として」
「まあ、及第点ってところ。でも良い?確かに助けてもらったけどまだ私は先生の事を完全に認めたわけじゃないから!あくまで『信頼できない大人』ではないってだけ!』
なんとなく、セリカの性格というものが飛鳥はわかってきた。口調こそキツいが顔の赤面は全く収まる気配を見せない。という事はつまり彼女の刺々しい口調は本意のものではないのだ。
校門でずっと待ち伏せていた理由、それも照れ臭さからのものだったのだろう。全てに合点がいき、飛鳥は頷いた。
「……なるほど、君は僕の友人にそっくりだ」
「え?」
「本当はとてもまっすぐなのに、どうしてもそれを隠すフシがある。かなり複雑な精神構造だから僕も完璧に理解できているわけではないけど、うん、よく似ている。つまるところ君は態度と発言が反転するんだ。好意というものを直接的に言語化する過程でほんの少し照れてしまい、刺々しい形になってしまう。でも大丈夫、前例があるから内容を再構築して解釈するのはそこまで苦じゃなかった。君が僕を信頼してくれているという事はなんとなく受け取れたよ」
「ふぇ!?な、な、な……!」
「ジュースありがとう。それから今度こそ……また明日、黒見さん。心を開いてくれてとても嬉しいよ」
飛鳥としては心からの親愛を込めての言葉だった。
友人にとても近いそっけないながらも確かな信頼を示してくれる姿勢だが信頼を置いていると告白してくれたのは非常に嬉しい、と。
ただ飛鳥を飛鳥たらしめる最大の要因はそうした気持ちを包み隠さず最初から最後まで言葉にして出力してしまう点であり、セリカの表情はみるみる内に紅潮していく。
「ち、ちちちち……!違うから!何勝手に納得してんのよ!バカ!アホ!変態!あの変態サングラス男の教え子なだけあるわ!!」
「え、待ってほしい。どうして懐から取り出したもう一本の缶を美しい投球フォームで投げる必要があるのか説明が欲しいな。何か間違った発言をしてしま──オァァ!?」
飛鳥が説明をし終えるよりも早く、セリカの全力投球が顔面へと突き刺さる。夕焼けのアビドスに気持ちのいい悲鳴があがるのだった。