先生は世界平和を実験している   作:飛鳥=R♯

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今回の話は前回から一気に話の流れが前に飛んでいます。何故かというと話のテンポを意識して、抑揚をつける目的があります。


HEAVEN OR HELL

「本日の放送を終了します。ああ、それから……今日はエデン条約の調印式だ。僕は自分がどこから来た何者なのか、それを皆に伝えようと思う」

 

 マイクのスイッチを切り、椅子に背中を預ける。瞼を閉じて数分考え込む。脳裏を様々な映像が駆け巡り、やがて一つにまとまっていく様なビジョンが確かに完成した。

 飛鳥は瞼を開けると椅子から立ち上がる。日課を終え、向かうべき場所はトリニティ学区内の古い聖堂だ。

 銃撃事件から一週間。飛鳥は、遂にこの日を迎えようとしていた。エデン条約……ケイオスとの決着をつける日が。

 

「行かれるんですか?」

 

 準備―――といってもシッテムの箱を懐に忍ばせる程度だが―――を終えた飛鳥の前に早瀬ユウカは立ちふさがる。否、立ちふさがるというのは語弊がある。わずかに、本当にわずかに彼を行かせまいとそこにいる。

 

「うん、仕事を終わらせなきゃ」

「あんな人の多いところに行ったら何が起きるかわかりませんよ?」

「だろうね……でもここにいても物事は進まない。効率的じゃないよ」

「……気をつけてくださいよ、本当に」

 

 それだけ言葉を交わして飛鳥はユウカが譲った道を歩き、シャーレのオフィスを後にする。

 一階に降り、さて地下鉄で向かおうか……なんてところでビルの前には無数の黒塗り車両がずらりと車体を揃えて待機していた。車体に記されているのは『ヴァルキューレ警察学校』の校章……迎えの車両である。

 スーッと運転席の窓ガラスが降り、運転手である生徒はじろりと鋭い目つきで飛鳥を見据えてきた。尾刃カンナである。

 

「どうぞ先生。護衛車両です」

「自分で歩いて行くのに」

「よろしいので? 貴方の後ろを一〇人単位で尾行しますが」

「―――わかったよ」

 

 いわれるがままに後部座席のドアを開け、そして既に先客がいる事に飛鳥は目を丸くした。

 

「驚いた。執務室以外で会う事はなかったから意外だよ七神さん」

「業務に時間を取られたもので、申し訳ありません。代わりといってはなんですがこれくらいの事はします」

 

 スラリ、という言葉が似合いそうな細身に長髪、眼鏡。見るからに真面目そうな印象を持つ少女の名前は七神リン。キヴォトスにおいて政府と呼ぶべき権力を持つ『連邦生徒会』において生徒会長代行を務めている。まだ幼い彼女の両肩にキヴォトスの混沌が重くのしかかっているわけだ。

 飛鳥はさっと座席に座り込みドアを閉じる。シートベルトまでしっかり閉めたのをミラー越しに確認したカンナはゆっくりとアクセルを踏み込み、黒塗りの車両は聖堂へと向かい始めた。

 

「これは君の独断かい? それとも連邦生徒会からの気持ち?」

「私の独断です。ご存知の様に連邦生徒会も大忙しですので……」

「放送を見たよ。君達はエデン条約には関与しないそうだね。二大校の間を取り持つのは怖い?」

「……手が足りない、というのがまず最初に。そして次に、『生徒会長』と違って我々は二大校を宥める力などありはしませんので」

 

 生徒会長。本来ならばすべての生徒の上に立つ、キヴォトスの王とでもいうべき存在。

 飛鳥と入れ替わる様にしてキヴォトスから姿を消した謎多き存在。

 エデン条約は本来、そんな生徒会長の肝入りアイデアだったそうだ。トリニティとゲヘナが確執を捨て、互いの未来の為に手を取り合う……そんな夢物語を実現させようとしていたのだ。

 

「正直安堵しています。このまま忘れ去られるのではないかと不安でしたので。ただ、問題は別にあります」

「当ててあげようか。僕の事で揉めているんだろう」

「ええ。空を飛んだり何をしたりと、それはもうおかしな事をしでかす大人……中には過激派の生徒もいます。貴方を取り押さえ、連邦生徒会長から与えられた超法規的権限を捨てるべきだ、そう声を大にしていう者も」

「ふふっ……まさかここでもそういう目で見られるとは」

 

 人間、生きる場所は違ってもやる事は変えられない。どこにいても決まった在り方になる。それは強い意思の成せるものか、それともエゴなのか。どちらにしても飛鳥という男はどんな場所でも人騒がせになる様だ。

 窓の外の景色に目を向けると古聖堂が近づきつつある。かつてトリニティで行われたとある会議に使われた歴史ある建築物であり……トリニティとゲヘナの合意でそこが選ばれた。

 調印式を執り行う会場であり、ハッピーケイオスを捕える為の『罠』だ。

 

「先生。もうすぐ到着ですのでこれを渡しておきます」

「ん?」

 

 視線を車内に戻すと、リンはおもむろに懐から黒くてごつごつとしたモノを差し伸べてきた。受け取ってみるとズシリとした重さが伝わってくる。ひどく冷たい感触もそれに続き、飛鳥は眉をひそめた。

 

「銃かい?」

「護身用です。貴方がどんな力を扱えるといっても、私達よりもずっと弱い存在である事くらいはわかっています」

「受け取れないよ、こんなの」

「受け取ってください。使わずともお守りにするだけでも違いますから」

 

 リンの声色は有無を言わせない。飛鳥はむっと口を尖らせて不平を述べようかと思ったが、我慢して拳銃を受け取ると懐に隠した。使う時などない、そういわんばかりの仕舞い込み方にリンは目を細めたがこちらも何かいおうとして押し黙った。

 数秒車内に重苦しい空気が漂う。運転席のカンナは後部座席のなんともいえない様子をちらりと窺った後、

 

「飛鳥先生。七神行政官は先程お話のあった、連邦生徒会内部での貴方を巡った論争において、肯定派の筆頭だそうですよ。『彼がキヴォトスに与えつつある影響は決して無視してはいけない』、『行いを持って人間は評価するべきだ』と」

「……へぇ」

「―――尾刃局長。業務に集中してください」

「失礼いたしました。こういう空気は苦手なので」

 

 意外といえば意外だった。飛鳥の知るリンという少女は初っ端からシャーレの業務を課してきたのだ。こういってはなんだがあくまでも仕事の領分で対応していると思っていたが、どうやらそうではないらしい。

 ふむ、と腕を組んで飛鳥はじっとリンを観察し、思い立った様子で手を叩く、

 

「なるほど心配してくれているのか。でもそれならもっと口に出していってくれても良いんだよ」

「っ……それは、ですね」

「自分の思った事、感じた事は口に出すべきだよ。君も、連邦生徒会の皆も」

「たとそれが貴方への敵意だったとしても、ですか?」

「そうとも。だって、僕は先生だからね」

 

 そう口にする飛鳥の表情は心なしか今までよりも穏やかなものに見えた。

 話が一区切りつくのと、ヴァルキューレの護送車集団が古聖堂に到着するのはほぼ同時だった。既に報道陣がこれでもかという程集まっており、さながらライブ会場である。

 そしてもちろん彼女達が護送車を見逃すはずもない。お目当てが来たと気付いた途端にあっという間に無数のカメラがどの車両に飛鳥がいるのかを探し始めた。

 

「それじゃあ僕は行くよ。七神さん、また後でね」

「ええ……お気をつけて」

 

 古聖堂の正面に護送車が停車し、飛鳥は堂々とドアを開けて車外へと歩き出す。一瞬にして幾つものカメラが彼を映し、コメントを求めるレポーターのマイクが取り囲む様に突きつけられた。

 

「飛鳥先生! シャーレの飛鳥先生ですよね!? 銃撃事件から一週間ですが犯人はまだ見つからない様です、凶悪犯にコメントを!」

「巷では先生がトリニティに偏った意見を示しているという噂が飛び交っておりますが!?」

「今日の調印式であの不可解な現象についてのご説明をするとの事ですが、本当に納得のいく説明をしてもらえるのでしょうか!」

 

 マシンガンの様に浴びせかけられる質問に手を振り適当にあしらっていくが、問題は驚く程の密度で飛鳥を取り囲んでいる事にある。シンプルに体が押し潰される勢いだ。どうやってここから抜け出そうか、と視線をさまよわせるが人、人、人だ。

 裏口から入れてもらえばよかったかも……などと思っていると、何やら雄たけびじみた声が聞こえてくると共に報道陣が少しずつ引き剥がされていく。

 

「ほらどけマスコミ共め! 拘束されたいのか! 騒々しい連中め!」

「わー! 風紀委員会の生徒に暴行を振るわれております! これがゲヘナの横暴なのかー!?」

「あー!? どの口でいったんだ!?」

 

 風紀委員会のメンバーである銀鏡イオリである。小柄ながらも弾丸の如く突撃すると無理矢理人混みをかき分け、飛鳥の腕を掴むと引きずり出す様にして解放してくれた。ボコボコにされる寸前で助けられた事にほっとしつつ衣服を直している背後でイオリはマスコミ達に牙を剥き、凄まじい喧騒だ。

 

「先生、来たのね。早く入って、ここにいると目立つ」

「あいっかわらず冴えないお姿ですね……エチケットというものはないのですか?」

 

 そしてまさかイオリだけがいるわけではない。よれよれのスーツを直す飛鳥に声をかけたのは、やはりというべきか空崎ヒナである。無論傍らには行政官である天雨アコの姿もある。相変わらず不機嫌そうだ。

 苦笑いを浮かべつつ飛鳥は服装を正し、ヒナに促されるままその後ろについて古聖堂の厳かな門へと向かう。

 聖堂前の雰囲気は一触即発だ。相対する様にトリニティとゲヘナの生徒達が立ち、今にも撃ち合いに発展しそうな勢いである。

 

「……やっぱり喧嘩腰だね」

「当然よ。エデン条約そのものに抵抗がある生徒達は多いもの」

「それでも反対派の中核は既にヒナ委員長が説得されました。トリニティと手を組むというのは癪ですがね」

 

 三人が門まで到着すると、重苦しい音と共に開かれる。かなり古い建造物だからだろう。内部から漂ってくる少しばかり埃っぽい匂いだけでも嫌な緊張感を覚える。背筋が思わずピンと張りつめる様に。

 

「お待ちしておりました、風紀委員会委員長」 

「お出迎えありがとうございます、正義実現委員会の方。来賓に対する作法は昨日勉強されたのでしょうか? 緊張している様ですが」

「失礼しました。何せ見たくない顔が目の前にあるもので少しばかり力が入ってしまい」

 

 そして来訪者を迎える様に佇むのは、正義実現委員会の羽川ハスミと彼女の部下達である。

 その瞬間既に軽くアコとハスミの間で火花が散った……様に飛鳥には見えた。両者の仲が悪い事は両者から交互に聞いているので今更驚くものでもないが、よもやこんな場でも火蓋を切ろうとは。

 

「アコ」

「……わかっていますよ。今日はそういう場ではない事くらい」

 

 即座にヒナがアコを制する。名前を読んだだけで彼女は視線を逸らし、バツが悪そうに飛鳥を睨んでくる。何も悪い事をしていないのだが。

 しかし空気が悪くては話も進まない、飛鳥は気を取り直してハスミへと歩み寄る。

 

「案内をお願いするよ羽川さん……あれ、剣先さんは?」

「張り切り過ぎて今古聖堂の周囲を走り回り、怪しい者がいないか警戒中です。うっかりちょっかいをかけたゲヘナの不良が二人潰れた空き缶になっていますよ」

「……無理だけはしない様に、と」

 

 そうして一同は古聖堂の奥へ奥へと進んでいく。聖堂内はトリニティゲヘナ共に多くの生徒がおり、外とは違って剣呑な空気を漂わせながらもお互いの業務に向き合い、警備巡回や準備に勤しんでいる様子だ。

 ハッピーケイオス襲撃の可能性大。両陣営の重要人物からそう提言があったとなれば疑う者などいない。何より飛鳥が殺されかけた事も追い風になっている。

 

「安心して先生。万全とまではいわないけれど何が起きても即座にカバーできる状況を作ってある。調印式は一時間もせずに終わる予定。ただ不安なのは既にケイオスの手が入り込んでる可能性」

「怪人ケイオスは人に化ける力を持ち、しかも誰であっても洗脳し己の兵士にする術まで持っているとか」

「なんでもありじゃないですかそんなの。どうするんですかヒナ委員長……」

「先生がね、なんでもありだけどなんでもはしない……そういっているのよ。でしょう?」

 

 廊下を歩きながらヒナが飛鳥へと視線を投げかける。不可解な言葉であるが彼はゆっくりと頷き、

 

「恐らく彼は今回、内側からの攻撃はしないと思う。外から……破壊力を持った襲撃を仕掛けてくる」

「どこから来ているんですかその根拠……」

「簡単だよ。その、なんていうか、そっちの方が面白いだろうから」

 

 口にするにはあまりにも物騒な話であるが、しかし飛鳥にはほぼ確信に近いものがあった。

 ホワイトハウスを正面から攻め落とした男だ。今更誰に化けて何かするなど選ばないだろう。何より山場である以上、ド派手な演出を求めているのは間違いないのだ。

 

 そうして、まるでその言葉に応えるかの様に懐の携帯端末が震え出した。取り出してみると相手はミレニアムの明星ヒマリだ。

 ヒナ達がどうしたのかと見つめる中で飛鳥は通話に繋げ、

 

「明星さん?」

「先生の予想通りの展開になってきました。クロノスの配信です」

「……じゃあ『監視』はそのままで」

 

 通話を切り、飛鳥は端末の画面を即座にクロノススクールの報道番組へと切り替え……そこに映っているものを視認するや否や、目を見開いてヒナ達へと振り返った。

 

「空崎さん、予想より速い展開だ。守りを固める様に」

「もう……?」

「あの人はサプライズが好きだからね」

 

 

「先程飛鳥=R=クロイツ先生が古聖堂に入っていきました。調印式はもう間もなく執り行われます! この歴史的瞬間に立ち会えるとは……!」

 

 古聖堂前。クロノススクール所属の生徒、川流シノンはマイク片手にとにかく場を持たせようとこれでもかという程喋り続けていた。ネット配信番組などよほどの事がなければ途中で視聴を切られかねない綱渡りな番組だ。多少誇張した言葉遣いでも時間を稼ぎ、その瞬間を待たねばならないのだ。

 そういうわけでまだまだ調印式まで時間が残っているというのに彼女は必死こいてカメラに向けて状況の解説を繰り返しており、

 

「ねぇ、それもしかしてまだ続けるわけ?」

 

 と遂に外野から野次が飛んだ。思わずムッとしかけたが画面に映っている事を思い出し、一体誰が仕事に文句つける野郎はと笑みを浮かべながらも野次が聞こえた方向へ顔を向け、そしてそこにいる人物のあまりに風変わりな出で立ちに目を丸くした。

 着崩したジャケット、青い肌、天を衝く二本の角。人外、その表現が相応しい異質な男がそこにいた。

 

「へ?」

「時間稼ぎはよくないよ。エンタメ心がけるなら自分で動かないと、それ貸してよ」

 

 男はシノンと共にやってきていたクロノススクールの生徒に手をかざし、一瞬で気を失わせると彼女が持っていたビデオカメラをスイと奪い取り、自分の顔が映る様に反対に持ち替えた。今頃番組を見ている全員が青肌の怪人を見ている事になる。

 異常事態だというのにシノンは視聴率が大変な事になるという不安から男に詰め寄った。

 

「な、なんですか貴方、返してくださいよ!?」

「やーだよ。それより今から凄い配信するからこれ貸してってば。悪い様にはしないからさ?」

 

 シノンがビデオカメラを取り返そうとするより先に男はサッと彼女の横を通り抜け、ゲヘナが敷いている規制線までもぬるりと潜り抜け、古聖堂へと走り出していた。

 無論これに気づかない者はいない。ゲヘナ、トリニティ双方が男へと銃を向けるが、無数の銃口など気にもかけずにカメラに自分と古聖堂が同時に収まる様に角度を調整し、

 

「ハーイ、キヴォトス。僕はハッピーケイオス。手短にいうと超悪者。今から凄い悪い事をするよ。遠くから見てる君、退屈させないよ。期待しててね」

 

 飛鳥の予想通り、ケイオスは正面から姿を現わした。それもわざわざ自らの存在をキヴォトス全体にアピールする形で、これを待っていたかの様に。

 彼はカメラを構えたままで頭上を指差した。空、雲一つない青空を。

 

「まずは花火が欲しいよね、大事なイベントだから。はいそれじゃあ、巡行ミサイル行ってみよう」

 

 誰が気づいただろうか。一筋の雲が空にかかっていた事を。

 誰が予想できただろうか。その正体がトリニティ地下のカタコンベより発射された破壊の矢である事に。

 ほぼすべての人間の反応が遅れ、ミサイルが古聖堂へと落ちる……瞬間。

 

 カッと古聖堂の真上に閃光が走った。なんだ、と誰かが声を発するよりも先に次の瞬間、光、熱、そして風が瞬く間に古聖堂周辺へと及ぶ。ミサイルが爆発したのだ。しかし古聖堂には衝撃波こそあれど、その外観は保っている。

 着弾の瞬間にミサイルは内側から弾け飛び、最悪のケースを避けられた。といっても地上十数メートル程で爆発した以上は尋常ではない衝撃が地上を襲い、あっという間に状況が理解できない野次馬達は悲鳴と共に古聖堂から逃げる様に走り出していた。

 

「あ~、花火がもったいない。せっかく用意したのに」

 

 ケイオスが残念そうに頬を膨らませながら視線を向ける先……古聖堂の真上に広がる煙の中から、浮遊する人影が一つ。その手には一冊の『本』を握り、この世ならざる現象によってミサイルを撃墜した者がいる。

 騒然とする状況下で、ケイオスを除く全員がその光景を唖然として見つめていた。

 ゆっくりと煙を引き裂きながら現れたその者の姿を目にし、わかっていたはずなのに皆が言葉を奪われていた。

 

「予想できてしまう展開は脚本として三流ですよ、師匠」

「うわぁ、なかなか鋭い指摘どうもありがとう飛鳥君。君にエンタメのセンスができたなんて」

 

 飛鳥=R=クロイツはマスターオブソーサリーとしてケイオスの前に立ちはだかる。決着をつけるべく、これ以上の破壊を許さない、と。

 そんな愛弟子の勇敢な佇まいにケイオスは微笑み、おもむろに腰のホルスターから拳銃を引き抜く。

 

「嬉しいな飛鳥君、同じ土俵で戦ってくれるの?」

「ええ、ついでに少し実証を。不死身とはどこまで不死身なのか、検証しますね」

 

 その言葉にケイオスは眉を吊り上げる。飛鳥からの明確な敵意を感じ取り、そしてそこまでの感情を持って自らの前に立った事に彼はある種の感動を覚えていたのだ。

 

「飛鳥君の全力か。そんなの絶対見れないと思ってたよ」

 

 与えられた時間は99秒。

 マスターオブソーサリーとガンスリンガージャンクメサイアの戦いが、古聖堂を舞台に始まった。

 




次回は飛鳥vsケイオス、そしてそれに至るまでのお話をしたいと思います。
タイトルは『Drift』!

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