先生は世界平和を実験している 作:飛鳥=R♯
「おはようございます、七神さん。僕が送った資料には目を通してくれたかな」
『おはようございます飛鳥先生。カイザーローン、ひいてはカイザーコーポレーションの件についてですね?』
ブラックマーケットの闇銀行から入手した書類にはカイザーローン、更に言うならばその背後のカイザーコーポレーションそのものが、アビドスより受け取った利息金をそのままヘルメット団へ出資していた事が記されていた。
飛鳥の予想通りの展開であり、そこから飛鳥はすぐに連邦生徒会へのリークを実行したのである。
連邦生徒会はキヴォトスの行政を担当する組織であり、そこに掛け合えば公的な処罰が下されるはずなのだ。
『目は通しました……アビドスの窮状に関しては以前から多くの申請が届いていましたが、ここまでのものとは』
「そちらでカイザーコーポレーションに対して処罰は与えられるかな?」
『与える他にない、と言いたいところなのですが一つ大きな問題があります』
連邦生徒会行政官の肩書を持つ七神リンは飛鳥の要請に対し、スラスラとした言葉遣いから、奥歯にものが挟まった様な歯切れの悪い返答だ。
『飛鳥先生もご存知な様に、連邦生徒会は生徒会長が失踪した事により混乱状態に置かれています。各部署との連携を再構築しなければならず、つまるところ……業務を正常に行えないのです』
「つまり、動きたくても動けないと」
『……申し訳ありません』
「いや、僕も見通しが甘かった。君達が忙しいのはよく知っているよ。働きすぎない様にだけは気をつけて」
生徒会の名の通り、数多くの権限を持ちながらも構成する者達は皆生徒、つまりは十代の少女達なのだ。パニック状態になればそれを解消する以外にできる事など限られている。
飛鳥は通話を切ると、少しだけ間を置いてすぐに考え事に耽り始めた。落胆などしている暇はない、次に取るべき策を用意しなければならないのだ。
「すまない十六夜さん、連邦生徒会はすぐには動けないそうなんだ」
飛鳥が申し訳なさから目を伏せると、ノノミは既にわかっていたかの様に苦笑いを浮かべた。
委員会本部には飛鳥とノノミの二人きりで、残りの生徒達は各々自由な時間を過ごすべく空けている。強盗の後で休息が必要だと判断したホシノによる采配だ。
「あ〜、そうでしたか……。今大パニックだとは風の噂で聞いていましたが……でも、敵がカイザーそのものだと知る事ができたのは進歩したと思うんです。動かぬ証拠なんて言葉もありますし、じっくりと時間をかけていきましょう?」
「でも、今すぐに連邦生徒会が動けないのならば保険の類は用意しておかないと。残るはマスメディアへの情報提供あたりになるのかな……」
「先生」
「そうなるとすぐにでも動かなければ。ええと──」
「先生っ!」
ぴしゃりとノノミが声を上げる。普段穏やかな彼女が声を荒げるなど珍しい事なので、思わず飛鳥はハッとして何事かと視線を動かしていた。
ノノミは頬を膨らませ、悩ましげにかぶりを振った。
「私達の事を心配してくれているのはわかりますが、それでも一旦休んだ方がよろしいかと思います!」
「いや、しかし」
「まだ先生とお会いしてから数日しか経っていませんが、よーくわかりました。先生は頑張り過ぎ、考え過ぎです!少しくらいは休まないと考え事なんてうまくいかないのではないでしょうか!」
「む……」
一理ある、否、全くもってその通りである。飛鳥はノノミからの指摘に黙りこくり、何か反論はないものかと思案したところでこれっぽっちもそれらしいものが浮かび上がらず、観念して頷いた。
「……その通りだ。少し、焦っていたね。休憩は大事だ」
「そうです。それに私達ばかり休んでいるも悪いですし。今、お茶の準備をしますから!」
パタパタと動き出したノノミの背中を見ながら、飛鳥はアビドスにやってきて何度目かのため息をつく。このままでは癖になってしまいそうだが、彼の心中は相応に意気消沈していた。
自己管理を怠ってしまうなど、典型的な目の前の事に集中しすぎている証拠だ。それでは先を見据えるはおろか、体調を崩してしまうのがオチだろう。
それを生徒に指摘されてしまったのも、飛鳥には口惜しい。本来ならばそう声をかけてやるべきなのは大人である自分の役目である。
「麦茶でも良いですか?」
「良いよ。すまないね、本来なら僕が自分でやるべきなのに」
「色々助けてくれたお礼です。本当の事を言うと、ここまでしてくれるなんて思っていませんでした……」
コトリと飛鳥の前に麦茶を注がれたコップが置かれる。一口飲むと、乾いていた口の中が一気に潤った。
ノノミの声色は暗かったが、表情は変わらず微笑んだままで。飛鳥はそちらへ視線を向けたままで、
「設立されたばかりのシャーレに対して君達が連絡をよこした時点で、窮地に立たされているのだと理解したよ。それでもここまで込み入っているとは予想できなかったんだけどね」
「あはは……凄いですよね。一年生、セリカちゃんとアヤネちゃん……それに二年生のシロコちゃんが来るまでは私とホシノ先輩の二人だけで廃校をなんとかしようと頑張っていたんです」
飛鳥の真向かいにノノミも腰掛けると、昔の事を話す様にゆったりとした口調で続ける。
「昔と比べると、今のホシノ先輩はとても穏やかになったと思います。前はもっと色んな事に追い詰められて、今にも壊れてしまいそうでしたから」
「……心当たりがある。小鳥遊さんは、たまに冷たい表情になる事があった。普段の穏やかな彼女とどちらが本物なのか、僕には判断がつかない」
「どちらもホシノ先輩ですよ。のんびりとしている時も、キリッとしている時も。この前の銀行強盗の時、セリカちゃんが銀行から持ってきたお金を借金の返済に充てようと言い出したんです。とてつもない額でしたので、その時はどうしようかと私達も悩んだのですが……」
「小鳥遊さんが説得したんだね?僕にあのバッグを渡す時、黒見さんは少し納得のいっていない顔だった」
「皆で頑張ったお金を、まさか悪い事に使われているだなんて知った後ですから、セリカちゃんがあんな風に怒るのも無理はありませんでした。でもホシノ先輩、こう言ったんです。『そんな方法を取ってしまったら、次も同じ事をしてしまう』って」
その時、ホシノがどんな表情でそう言ったのか、飛鳥にはわからない。穏やかだったのか、鋭かったのか、それでも十分に彼女の事を理解できた。
「小鳥遊さんは、心の底からアビドスを……何より君達の事を大切にしているんだね」
「はい。そして、そんなホシノ先輩を知っているからこそ私は、先生に休んでもらいたいんです」
「……どうして?」
飛鳥は疑問を口にせずにいられなかった。ノノミの丸い瞳に心の中を見透かされている様な感覚に襲われて、思わず胸元を押えてしまう。
「飛鳥先生が本気でアビドスの事を考えてくれているのは痛いほどわかります。でも、同じくらいに先生が頑張りすぎているのも伝わるんです」
「僕は、昔の小鳥遊さんに似ているかい?」
ノノミが口をつぐむ。言って良いものか、と彼女は逡巡した後に、
「私にはほんの少しだけ、先生が自分を追い込んでいる様に見えるんです。こうしなくてはいけない、みたいな」
「そう見えたのなら否定はしないよ。多分、君が感じたモノをそっくりそのまま僕は胸の内に抱いている」
「……先生は、先生自身の事が嫌いなんですか?」
そこまでハッキリと言われるとは思わず、飛鳥はじっとノノミを見つめ返してしまっていた。もしかしたら彼女は心を読めるのではないかと、本気で疑わずにはいられない。
(他人から見ても、僕はそんな風に捉えられているのかもしれない。もしくは十六夜さんがその点において優れているのか)
「部分的にそう、という奴だ。僕は今の発言に対して、全く違うとは否定しきれない。けれど心配しないで欲しい。少なくともこうして今、君に促されて休憩を取っている時点で僕は自己管理に関してはまともだよ」
「それなら、良いんですが」
「……大丈夫。生徒を前にして、先生である僕が先に駄目になる様な展開だけはしないつもりだから」
飛鳥はノノミを心配させまいと考え、ぎこちないが笑みを返してみせる。ポーズであるとしても、そうしなければもっと不安にさせてしまうのではないかと見越しての行動だったが、あまり反応は芳しくない。抱いてしまった疑問を拭いきれない、そんな表情がまだ彼女には現れている。
となれば、今日一日は言う通り休養に当てるべきだろう。でなければ、無理矢理何処かへ連れて行かれそうだ。
ぐい、と一気に麦茶を飲み干して飛鳥は席を立つ。
「何処かへ行くんですか……?」
「出掛けてくるよ。心配しなくても、今日は休むから。柴関ラーメンにでも行くとしよう。すまなかったね、生徒である君にさっきみたいな事を言わせるべきじゃなかった」
会話を打ち切る様にして、飛鳥は本部から出るべく足早に扉へと向かっていく。
「……そういう答えを期待していたわけでは、なかったのですが」
ぽつりと、そんな呟きを聞いて飛鳥は振り返る。だがノノミはニッコリと微笑み、大ぶりに手を振っていた。
「いってらっしゃい!気をつけてくださいね!」
言われるがままに見送られ、飛鳥は本部を出ると一人でアビドスの廊下を進む。心なしか、選択を誤ってしまった感覚があった。
(おかしいな。ちゃんと大丈夫だって伝えたはずなんだけど、十六夜さんはイマイチ微妙な反応だった。どの辺りを間違えてしまったのかな……)
「お~い、飛鳥君。どうしたんだい、そんな顔して。生徒とのコミュニケーション、上手く行ってない?」
うんうんと唸っていた飛鳥は前方から聞こえてきた声に足を止め、無言で『本』を取り出していた。
一階昇降口までやってきていた彼の前に立ちふさがる様にして、ハッピーケイオスは笑みを浮かべて佇んでいる。
状況から考えて敵襲としか考えられない。飛鳥はケイオスが何かしようものなら、即座に消し飛ばしてやろうとさえ目論んでいた。
「どうして、ここに」
「どうしてって、酷い聞き方をするじゃないか。僕としては君を、いやアビドスを助けに来たっていうのに」
ケイオスの言葉に眉をひそめる。何を指しての発言なのかがすぐに思い当たらない。
「助け……?」
「カイザーローン、いやカイザーそのものが利息金を悪用していた証拠は手に入れた。それはイイよ。でもまだ足りない。これじゃあ、まだバッドエンドは回避できない」
「どういう意味ですか。僕は、貴方のアドバイスを元に動き実際に証拠を見つけた。それが不満だとでも?」
「不満だよ。だって僕の知る飛鳥君なら、とっくの昔にアビドスを今よりずっと良い状況にできているはずだからね。どうしてそうなっていないのか?それは……君は僕が話した事を半分も理解できていないから」
「……なんですって?」
飛鳥はそこで『本』を下ろした。ケイオスから告げられた事実に、思わず彼のアドバイスを脳内で反芻していく。
アドバイスの内容は簡潔に『何者かがアビドスを狙っている事』を指していた。事実、そこからカイザーの企みを暴いたはずなのだが、何を誤っているというのだろうか。
「飛鳥君、僕は敢えてひっかかる表現を使った。それに気付かなかった?」
「ひっかかる、表現?」
「あ、んっ、んっ、えへんえへん、『また正解。何故ならばこの世界において生徒という存在はある種の絶対性を持っているから』、『大切なのは何者かがアビドスという街を狙っているという事さ』」
わざとらしい声色でケイオスが示したのは、飛鳥がアドバイスを噛み砕く中で自然と聞き分けていた部分だ。不可解に感じこそしたが、優先するべき事は相手が何者であるかを知るべきだと判断して、悪く言えば放置していた。
生徒が絶対性を持っているとは、何を意味するのか。
アビドスという『街』という表現は、どの様にアビドス高等学校と結びつくというのか。
だが、飛鳥が再び記憶を呼び起こしても何一つとして答えは浮んでこない。
「ん~、まぁ与えられたヒントと今あるだけの資料じゃ難しい、か。正直こういう展開になるとは予想できていたから、そこまでガッカリはしてないよ」
「……貴方は、答えを知っているんですね?」
「知っているよ。知っているから、君にアドバイスした。このアビドス学区で僕が飛鳥君に知って欲しいのはね、キヴォトスがどんな世界かって事なんだから」
ケイオスはニヤリと笑い、踵を返して昇降口から校外へと歩いて行く。飛鳥が追いかけるべきかと足を止めるのに対して、
「来なよ。君に見せたいモノがある。アビドスの子達を助けたいのなら、君に選択肢は無いと思うけど?」
「……一応聞いておきます。罠ですか?」
「罠じゃない、罠じゃない。むしろ救済措置だってば。僕の車でドライブに行くだけだから」
その言葉に嘘は無いと飛鳥は知っている。逡巡を止め、ケイオスの後を追って校外へと出る。
校舎を振り返り、本部にいるノノミへ連絡を取るべきかどうか迷った。できる事なら何があっても良い様に他の生徒達に待機する旨を伝えてもらいたいと考えたが、先程の会話が脳裏をよぎるのだ。
(……休むと言った手前で、そんな事はできないな)
そうして、飛鳥は校舎に背を向けてケイオスに同行する。
『……そういう答えを期待したわけでは、なかったのですが』
ノノミは何と言って欲しかったのだろうか。先生として、大人として、どうするべきだったのかが飛鳥にはハッキリとした答えがどうしても出せなかった。
※
「何、飛鳥君その顔。ホントに生徒と上手くいってなかったりする?」
ケイオスが言うところのドライブの目的地は、驚くべき事に砂漠地帯の様だ。ピンク色の派手なカラーの車体は一色のみの砂漠ではよく目立つ事だろう。
熱風を顔に浴びながら、助手席に座る飛鳥の視線は地平線の向こう側へと向けられており、ケイオスはその様子にからかう様な声色で問いかけてくる。
「……師匠、僕には少しわからないんです」
「師匠じゃなくてケイオスね?僕はここじゃただのケイオス。君もただの飛鳥。それで何がわからないって?」
「以前言いましたね。人間関係以外は察しが良い、と」
「言った。今悩んでるの、絶対察しが悪いからそうなってるんでしょ。話してみなよ、相談に乗るよ?」
一応は敵対関係にあるはずなのだが、ケイオスは至極楽しげだ。飛鳥は果たして話して良いものかと考えたが、何か不利になる情報があるわけでもない。
「僕は頑張りすぎだと、生徒に言われたんです」
「それで、君はなんて言い返したの?まさかとは思うけど『気を遣わせてしまって申し訳ない』とか言ってないよね?」
「……」
「嘘でしょ?飛鳥飛鳥、飛鳥君……。君ってばさぁ、そんなんじゃ彼女もできないよ」
「けれど、僕は」
「僕がどうして君が先生に向いていないと思ったのか、その理由は君がそういう姿勢でいるところだよ」
そういう姿勢。それは飛鳥がノノミに対して、不誠実であったという意味だ。
飛鳥は助手席で身を縮めて、ケイオスに視線を向けた。
「いいかい飛鳥君、大人の役割って言うのは子供を尊重する事だけじゃない。君も同じ存在なのだと思わせるところにある。君にとって、『第一の男』は不平不満なんて欠片も口にしない神の様な男だったかい?」
「……いいえ、貴方も一人の人間だった」
「まぁ、今となっては身も心もおかしくなってるから例としては微妙だったかな。ともかく、そういう事だよ。皆が主人公に求めるのは完璧な英雄性だけじゃない、時には弱いところやそこを突かれての悲劇だったりも求められる。君はその点が足りない。感情表現が下手くそすぎる、大根役者も良いところ」
「大根役者、ですか」
「その生徒はね、きっと君ともっと話したかったんだよ。君がどんな人間で、どんな背景を持っているのか。表面上をなぞっただけじゃ、人となりの全てはわからない。僕らは他人の心を読めない、だからこうして会話をする事で自分の意志を発信する。それができない人間は、誰とも仲良くできない」
それは、飛鳥がよく知っている事だ。言葉にしなければ意味など無い。突き動かされる様に最善の策を取ったつもりでも、伝える意志がなければ想いなど無に等しい。
「僕から君への、完全に個人的なアドバイス。もっと君をさらけ出すんだ。ただの飛鳥=R=クロイツだけじゃ足りない。あの男であり、ギアメーカーであり、そして魔王である君で生徒とぶつかると良い」
「……」
「怖いかい?でもコミュニケーションってのはそういうものだよ。時には信頼を得る為に、みっともない姿を露わにしなきゃいけないんだ。陳腐でも、お涙頂戴は必要なんだよ」
飛鳥はケイオスの横顔をじっと見つめる。かつての面影は無いが、今交わした会話の内容はずっと昔にまだ賢者と呼ばれた頃の彼と話していた頃となんら変わりない。
だがその本性、否、本質は時に世界を滅ぼすものでもある。
「……僕は、貴方の事がわからない」
「僕はその逆、君はわかりやすすぎる。もしこの場で僕らが戦うとしても、君に勝てる自信があるくらいには」
「それは挑発ですか?」
「そう受け取って、本を使って戦っても良いよ」
「僕は、ストレンジレットを持っています。それなら貴方を消滅させる事ができる」
「それ僕も使えるし、バックヤード経由で分解できる。本を使って君が法術を使用可能にすれば、著者である僕にも権限が与えられるからね?」
しばらく、無言が続く。飛鳥はこれ以上のやりとりは無意味だと判断して、視線を外した。
「話を、本題に戻しましょう。このドライブは、僕が理解できていない事を教えてくれる目的だったはずです」
「もうすぐ着くよ。ああ、ほら、見えてきた。あそこ」
前方に視線を移すと、ケイオスの言う通り、先程まで何も無かった砂漠の風景にぽつんと施設らしきものが見えてきた。更に目を凝らせば、軍が用いるベースキャンプであると判断できた。
「……アレは?」
「カイザーコーポレーション、そのPMC部門が建てた施設。彼らはここで宝探しをしている」
「待ってください。どうして彼らがここに?この砂漠はアビドスの学区内のはずです。何故企業があんなものを?」
「ほら、そこが問題。さぁシンキングタイムだ。考えて」
「っ……」
言われた通りに飛鳥はケイオスのアドバイスを遡っていく。
生徒が絶対的な存在であり、カイザーの狙いはアビドスという街を奪う事。
カイザーは遠回しな方法でアビドスを占拠しようと試みていた。
遠回しな方法で、強引にではなく。
「――――いえ、まさかそんな」
「おっ、気付いたかな?それじゃあ問題です、飛鳥=R=クロイツ君。カイザーコーポレーションは何故アビドス高等学校を占拠しようとするのでしょう?」
「それは……アビドスという街を奪う為に、邪魔だからです」
「ほぉほぉ、どうして?」
「なんて、事だ。僕は思い違いをしていた。カイザーが狙っているのは、あの校舎『だけ』だったんだ……!」
飛鳥は思わず唇を噛み、喉から絞り出す様に、
「アビドスという街は……その殆どをカイザーに奪われていた」
真実に辿り着いたその瞬間、動揺する飛鳥の傍らでケイオスは、無言で笑みを浮かべていた。
ケイオスのセリフについてはポポポーンと出てくるから大した奴ですよアイツは。