先生は世界平和を実験している   作:飛鳥=R♯

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あけましておめでとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。


クエスト 言葉を学べ

「ようこそアリス、ロボカイ!私達ゲーム開発部の部室へ!」

「散ラカリ過ギダロ……」

 

 ロボカイは両手があれば目を覆いたいと思った。それほどにモモイが自慢げに見せる部室とやらは散らかっており、的確な表現があるとすれば『子供部屋』が相応しいだろう。双子の妹であるミドリも荒れた室内には特に思うところがない様で、それよりもアリスの方をチラチラと確認している。

 アリスはモモイとミドリが用意した替えの服を着て、ぼーっと部室を確認している。ひとまず服を着せられたのは良かったものの、ロボカイの心中は穏やかではなかった。

 

『ひとまずアリスをミレニアムに連れて帰ろう!』

 

 そう言い出したモモイを止めたくても、とりあえず暗いところから離れたい気持ちを抑えられずにロボカイはアリスと共に着いていく道を選んだ。たとえミドリとモモイを引率する男が、『あの男』だとしても。

 『あの男』、そう名乗った飛鳥はやれやれと言った顔でロボカイと同じ様に部室を眺めている。気弱な表情で、突き飛ばせばそのまま倒れてしまいそうな細い体。とてもではないが『聖戦』を引き起こし、人類を絶滅に追いやろうとした存在と同一人物とは思えない。だが彼はここに来る道中でロボカイに多くの事を教えた。

 

(ワシと奴ハ元いた世界カラコのキヴォトスへと連レテコラレタ。元ノ世界ヘ戻ル手段を探シテイル……嘘デハ

ナインダロウナ。デナケレバ、先生トヤラニナッテイル理由ガ無イ)

 

 ロボカイは自分がするべき事はなんであるかを考え、ひとまず『アリスの面倒を見る』に固定した。訳のわからない状況で優先しなくてはならない目的があるとすれば、それは放っておくと何をしでかすかわからないアリスのそばにいてやる事だろう。

 アリスをモモイとミドリが保護したのならば、先生である飛鳥も自然と付いてくる。彼の動向を見張るチャンスでもあるのだ。

 

(ウム、ヨシ。ヤルベキ事ハ決マッタナ。デハ……)

 

「ソレデ、モモイ?ワシ達ヲここに連レテキテどうスルンダ?」

「うん、それなんだけどねロボカイ。ちょっとこっちに」

 

 モモイは何故自分達の部室にアリスを招いたのか、その理由を確かめなければならない。手招きしてくるモモイに仕方なく顔を寄せてみると、彼女は自信満々な顔で、

 

「……あのさ、私達の部活は今大ピンチなんだよね。まず部員が足りないし、結果も出せてないし」

「ウンウン」

「アリスは自分が何処の誰かもわからないんでしょ?ならさ……いっそミレニアムの生徒になって私達の部活に入っちゃえば良いのかなって」

「……貴様、モシヤ阿呆か?ソンナ事、ドウヤルンダ?」

「知り合いにいるんだよね、学生証の偽造とかもできちゃうハッカーが。頼めばなんとかると思うよ」

 

 ロボカイはちらりと飛鳥の様子を窺う。興味津々な表情でアリスを観察しながら、何やら深く考え込んでいる。シャーレの先生とやらはキヴォトスにいる多くの生徒を助ける為にいる、という説明を聞いてはいたが、身分偽造をする場合でも許可はするのだろうか。

 

「先生トヤラハ、コノ話ヲ知ッテイルノカ?」

「うん、良いよって」

「フゥム……ナラ、一ツ約束シロ。アリスを危険ナ目ニは遭ワセルナヨ」

 

 キヴォトスという世界についても、そこに生きる者達についても、ロボカイはまだよく知らない。頼れる人間がいるのならばできる限りその力は借りるべきだろう。たとえそれが『あの男』だとしても、である。

 ロボカイはモモイに仕方なく頷き返すと、彼女はニコニコでガッツポーズを取り、

 

「それじゃあミドリ!先生!私ちょっと用事できたから、アリスをお願いねー!」

「お姉ちゃん、本当にやるつもりなのぉ……?」

「へーきへーき!じゃあね!」

 

 モモイはミドリの呆れた声を聞くよりも早く勢いよく部室を飛び出していく。どうやらミドリだけはアリスの身分偽造に対して、あまり乗り気ではない様である。一応犯罪であるのだから、そうそう喜ぶものではないのは当然だ。

 ロボカイは苦笑いを浮かべてミドリの元へと飛んでいき、

 

「貴様ノ姉ハトンデモナイ奴ダナ……」

「いつもあんな調子で、私もびっくり。お姉ちゃん怖くないのかな、色々と。って、アリスちゃん?何してるの!?」

 

 ギョッとした表情でミドリが見つめる先では、アリスが床に落ちている長方形の何かを口に入れようとしている。これにはロボカイも驚きのあまり目のランプが飛び出しそうになった。親が苦労する子供の奇行の一つ、なんでもかんでも口に入れようとするとはこの事である。

 と、アリスの手を飛鳥が止める。驚いた表情ながらも、咄嗟に手が動いたのだ。

 

「……興味深いな。ミドリ、これはゲームの一つなんだね?」

「あ、はい、そうです。Weeっていうゲーム機のリモコンで」

「質問。ゲームとは一体なんでしょうか?」

 

 アリスは既にまた別の何かを手に取り、興味津々な視線を注いでいる。何もない狭く暗い部屋でしばらく過ごしていた彼女から見て、部室に散らばっているものは大変な興味をそそる様だ。ロボカイもゲーム機というものがかつて栄えていた文明に存在していたという知識こそあるものの、実物を見るなど初めてであり、まじまじと飛鳥がアリスから取り上げたリモコンを注視する。

 

「ゲームというのは、簡単に言うならば娯楽品だよ。僕も詳しくは知らないけれど、このリモコンを使って遊ぶんだ。そうだね、ミドリ?」

「はい。レースゲームとか、格闘ゲームとか、それはもう沢山あります」

「……娯楽品。それはどの様な影響を与えるのですか?」

「え、影響?うーん、そう言われても……」

「ヌフフ、興味ガ出テキタノカ?ソレナラ遊ンデミルカ、アリス」

 

 ロボカイがからかう様に尋ねてみるとアリスの表情に僅かな変化が生じる。どうやらゲーム機に対してちょっとした関心を寄せ始めているらしい。良い兆候だ。

 廃墟の工場でロボカイはアリスと短い間交流し、彼女が無機質に見えて時折感情の発露させているのを垣間見ていた。ボロ布から着替える時にほんの少しだけ抵抗したのがその一つだ。何かに興味や関心を持つのならば、今よりも豊かな表情を見せる事も可能だろう。

 

「承諾。アリスはゲームを遊んでみたいです」

「ミドリ、良ければ僕も遊んでみたい。何か、おすすめのものがあったら選んでくれないかな」

「え!それなら、ええと……我々ゲーム開発部で作られた作品があります!」

「ホォ!自作カ、ワシもチョット興味ガ湧イテキタゾ!」

 

 先程まで不安げな表情だったミドリはほんの少しだけ楽しげに、一つだけのテレビにコードやら何やらを接続し始める。ゲーム開発を謳うのならば、さぞかし優れたゲームであるに違いない。ロクに娯楽を嗜んだ事もないというのに、ロボカイは早くも評論家の気持ちに移り変わっていた。

 

「よし、準備完了。作品の名前は『テイルズ・サガ・クロニクル』、です!」

「了解。ゲームを始めます」

「ふむ、名前から判断するにファンタジーものみたいだ。RPGという奴か」

「フムフム……」

 

 コントローラーを手に、アリスはきゅっと口を結んでゲームの世界に飛び込んでいく。その両側に同じく乗り気な表情の飛鳥とロボカイを添えて。

――――だが、思っていた以上の体験が三人を待ち構えていた。良い意味ではなく、圧倒的に悪い意味で。

 

 プレイ開始。

「?疑問、何故アリスは武器を選んだ瞬間にHPをゼロまで削られたのでしょう?」

「……Bボタンを押せば武器を選べると書いてるのに、おかしいな?」

「ええと、そこはBじゃなくて別のボタンを押すんです」

「ソンナ説明、アッタカ?」

「非公開情報の存在を確認。再挑戦します」

 

 序盤。

「??理解不能、何故アリスの操作するキャラクターが敵に一撃でHPをゼロに……」

「銃を持っているから、攻撃するより先に撃たれたみたいだ」

「ソンナ情報、何処ニモナインダガ……」

 

 中盤。

「???情報処理系統にエラー発生……登場人物の台詞が意味不明」

「植物人間だから、話しかけるのに緊張する?これは……どういう」

「あー、それね、草食系って書きたかったの。ごめんね~」

「モモイ、イツノ間ニ」

「学生証関連、ちょっと時間も遅いから明日にしようかなって。それよりアリスが『テイルズ・サガ・クロニクル』遊んでるなんて最高だよ!」

「お姉ちゃん、さっきからアリスちゃんの様子が変なんだけど」

「飛鳥=R=クロイツ先生。一度、プレイヤーを交代してください。第三者の観点よりこのゲームを分析します」

 

 終盤。プレイヤーが飛鳥に交代。

「??母親がヒロインで、前世の妻で、そこへ腹違いの友人がタイムリープ?これはRPGのはずなのに、どうしてSFの要素が混入しているんだ?」

「同意。アリスは混乱してきました。エラー発生、エラー発生!腹違いの友人という単語の意味が理解できません!」

「オイ、ナンダコノゲームは!?娯楽ドコロカ、苦行ニ近クナイカ!?」

「大丈夫!ゲームってそういうところあるの!苦行に近い困難を乗り越えた先にエンディングが待ち受けてるんだから!」

「ウヌゥ?ソウイウものカァ?」

「ロボカイ!見て、アリスを!私達のゲームによって変化が起きてるんだよ!」

「アリスは混乱してきました。ロボカイ、助けて……」

「苦シンドルダロウガ~~!!!」

 

 控えめに言ってゲーム開発部が生み出した『テイルズ・サガ・クロニクル』は筆舌に尽くし難い異常な難易度だった。難しいという表現では生温く、理不尽で意味不明と表現する以外に言葉が見つからない程である。

 だがロボカイの予想は的中していた。娯楽品であるゲームに触れたおかげでアリスに変化が訪れていた。困惑、苦悶というネガティブ極まるものであったが、間違いなく彼女の中で何かが揺り動かされているのだ。

 

「HAHAHA、これがテレビゲーム。なるほど、凄いな。脳が揺さぶられる様だよ」

 

 変化は飛鳥にも訪れている。目が泳ぎ、裂けた様な笑みを浮かべてアリスと共に呻き声染みた言葉を漏らしている。彼の中でも大切な何かが揺り動かされ、砕け散りかけている。まさか軽い気持ちでここまでの事態に発展するなど予想できただろうか。

 

「良いよアリスも先生も!エンディングが近いよぉ!」

「アリス、僕の脳がちょっとこのゲームに対する理解を拒んでいる。交代しても良いかな」

「はい、勇者としてアリスは魔王を倒します。倒して、みせます」

「ウーン、ワシまで気分ガ……」

 

 困った事に飛鳥もアリスも真面目で、苦行に対して必死に立ち向かおうとしている。何故娯楽品に対してこれほどまでの苦しみを味わわなければいけないのだろうか。

 モモイとミドリが見守る中で、アリスが操作する勇者は確実にエンディングへと突き進んでいく。最初は感情が希薄だったというのに、今や決意を秘めたまなざしでコントローラーを握っていた。

 そして……

 

「エンディング、トゥルーに到達しました……」

「うわーい!アリスおめでとう!たった三時間でクリアだよ~!」

「アリスちゃん、目に見えて成長してるね。まさかゲームでここまでなるなんて」

 

 短いようで長い時間を経て、液晶画面にはエンディング画面が流れている。そしてそれを見つめる者達の表情は、それぞれ異なっていた。

 歓喜からはしゃいでいるモモイ、喜ぶべきなのかと迷うミドリ、衝撃を受けた表情の飛鳥、疲れ果てたロボカイ、そして満足げな表情のアリス。

 アリスはコントローラーを握ったまま、何か言いたげに口をモゴモゴと動かしている。その隣に座っている飛鳥も、感情がこもった目でエンディングを見届けていた。

 

「……このゲームは、不思議でした。まるで別世界を旅しているかの様でした」

「僕も、同じ意見だ。娯楽作品から新たな知識や観点を得られる事はあるが、脳髄を揺さぶられる様な衝撃を受けたのは初めてかもしれない」

「貴様ラ本気カ」

 

 ロボカイとしてはアリスに何か変化が起きたら良いという思いだったのだが、どうもおかしな感覚に支配されている。選択を誤ったかもしれない恐怖に駆られながら彼はモモイとミドリへと顔を向けた。

 

「モモイ、ミドリ。貴様ラよくコンナモノを作ッタナ……評判ハドウダッタンダ?」

 

 ロボカイの問いかけに姉妹はそこで初めて同じ表情を浮かべる。照れくささと、若干の申し訳なさを秘めた複雑な表情である。もしやと再び問うよりも先にモモイが口を開いた。ミドリもそれに続く。

 

「うーん……それがね」

「キヴォトスクソゲーランキング、一位になっちゃって」

「アホ~~~!アリスに何カアッタラドウスル~~~!!」

「いえ、ロボカイ。アリスは今、恐らく感動しています。このゲームは素晴らしいものです」

「エ……!」

 

 声を震わせるアリスに振り返れば、驚くべき事にその頬をポロポロと涙が伝っている。『テイルズ・サガ・クロニクル』は彼女の情動を突き動かしてみせたのだ。絶対に何か間違っていると思いながらも、感極まった表情にロボカイは「エ~~」と気の抜けた声を発してしまう。

 

「アリスも、先生も、そんなに私達のゲームに感動してくれるなんて……!ミドリ、こうなったら他のゲームも遊んでもらおうよ!」

「うーん、わかった!こうなったらトコトンアリスちゃんにゲームを遊んでもらう!」

「良ければ、僕にも色々教えてもらえないかな。後学の為にも知っておきたい」

 

 一体全体、当初の緊迫した空気は何処へ行ってしまったのだろうか。不穏な雰囲気を醸し出していた飛鳥はゲームしか頭にないのか部屋中をぐるりと眺めているし、アリスは次にどんなゲームを遊べるのか楽しみでウズウズしている。

 

(調子ガ狂ウ~~~)

 

 目まぐるしい状況の変化、追いつけない感情の変遷。シリアスから突然のコミカル。ロボカイの優れた頭脳をもってしてもここまでの怒濤の展開を理解しきれず、部室にやってきたばかりのアリスと入れ替わる形でぼーっとしてしまう。

 部屋の隅のロッカーがギギギ、と音を立てて開かれ、見知らぬ生徒が飛び出した事にもロボカイは気付くのが遅れた。

 

「あ、あの……ロッカーから色々見ていました、ゲーム開発部部長の花岡ユズです。いてもたってもいられず出てきちゃいました」

「ロッカーの中にいたんだ……紹介するよ先生!部長のユズ!」

「あ、飛鳥先生。初めまして……アリスちゃんも初めまして。私達が作ったゲームを楽しんでくれて、ありがとうございます。あの、おすすめのゲームがあって」

 

(アア、マタ変ナノガ一人増エタ……)

 

 

 ロボカイが見守る中で、大人を交えた五人はゲームに白熱した。ゲーム開発部の生徒達がおすすめする全てをアリスはプレイし、その度に水を吸い込むスポンジの様に語彙を増やしていった。困った事にゲーム内の台詞を学習するので、どんどん古風で堅苦しいものである。

 『テイルズ・サガ・クロニクル』クリアから更に数時間が経過し、窓から覗く景色はすっかり真夜中である。凄まじい熱意でゲームを勧めていたモモイ達三人も流石に疲れ果て、床に体を投げ出して眠りこけている。飛鳥はいつの間にか何処かへといなくなっていた。

 

「……オイ、アリス。イツマデ遊ンデイルツモリダ?」

 

 ロボカイに睡眠機能はない。それは同じく機械であるアリスも同様だ。

 暗い部屋に灯る明かりは一つ。アリスは、全員が眠っている中で未だにゲームを遊んでいた。

 

「クリアしました。ロボカイ、このゲームも面白かったです」

「マッタク。ソンナニ楽シイカ」

「はい、とても楽しいです。異世界を旅している様で、とても楽しいです」

「――――アソコは暗カッタものナ」

 

 ため息をつきながらロボカイはアリスの隣まで飛んでいくと、ゲーム画面を見上げる。今度は古風なファンタジーゲームだが、『テイルズ・サガ・クロニクル』よりは面白そうだ。

 

「ロボカイ、汝に問いかけたい」

「ソノ話シ方はヤメロ。変ダゾ」

「……わかりました。ロボカイは、もしかして妖精なのですか?」

「妖精ィ?急ニナンダ」

 

 妖精という言葉の意味くらいは知っている。羽根を生やして空を飛ぶ小さな人型生命体だ。だがどうしてその存在をアリスはロボカイに当てはめているのか、皆目見当がつかない。

 

「アリスが遊ぶこのゲームには、主人公である勇者を導く妖精が登場します。空を飛ぶ妖精は眠っていた勇者を起こすだけでなく、色々なチュートリアルまで見せてくれます。ロボカイは空を飛びながらアリスを起こして、色々な話をしてくれました……『二人三脚に手足は関係ありません』」

「ハハハ、ナルホド。ソレデワシは妖精か、ダガソウナルとアリス。貴様ハ勇者ナノカ?」

「はい。アリスは勇者になってみたいです」

 

 アリスは淀みなく答え、ロボカイはそれに対して深く頷いた。

 

「イイナ、勇者。ナッテミロ」

「なら、やっぱりロボカイは妖精です。小言を言ったりするのも妖精の役割です」

「他ニナイノカ役割は。イケメンの戦士トカ……」

「生首の戦士は今のところゲームには出てきません」

「ウヌウ」

「もしくは、王様です。ワシと言いますし、偉そうです」

「ナァ、心ナシカ言葉ガ刺々シイ時ナイカ……?」

 

 ピコピコ、ピコピコ。

 ゲームから流れる電子音だけが静かな部屋に響く。

 

「……アリス」

「はい」

「ワシは妖精ではナイガ、貴様ヲ助ケタノニハ理由ガアル。初メテ会ッタ時貴様ハ……ワシの友達に似テイタ。今ハ遠イトコロにイルガナ」

「ロボカイの友達も妖精ですか?生首で空を飛ぶ?」

「飛バン飛バン。ソモソモワシがコウナッタのハ事故ミタイナモノダ」

「ロボカイの友達は、アリスにどれくらい似ていたのですか?」 

「ウン……洒落ガ通ジン奴ダッタ。ソレニ、独リダッタ」

 

 それはほんの少しだけ昔の話。まだロボカイに体があって、まだ世界は自分を中心に回っていると思い込んでいた時の事。もしかしたら、ずっと一緒にいられたであろう存在を失ってしまった時の事。

 

「アリス、別ニ貴様ヲ奴ダト思ッテルワケデハナイ。タダ……今度ハモット寄リ添ッテヤリタインダ」

「では、やはりロボカイは妖精です。アリスが勇者です」

「アア、ソウダナ。コウシテ話シテイルトソレで良イ気ガシテキタ……アリス、ゲームハ楽シイカ?」

「はい、楽しいです。もっとゲームが遊びたいです。ロボカイとも遊びたいです」

「フフフ、ソノ時ガ来タラ覚悟シロ。ワシの凄マジイゲームの腕ヲ見セテヤル!」

 

 ピコピコ、ピコピコ。

 

「ムッ!アレは宝箱ダナ!気ヲツケロ、罠カモシレン」

「妖精のアドバイスに従います。む、本当に罠でした」

「ムハハハ!」

 

 ピコピコ、ピコピコ。

 暗闇の中で、楽しげな二人の声が弾むのだった。

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