先生は世界平和を実験している 作:飛鳥=R♯
飛鳥はどの様なシチュエーションであろうとも、冷静であれと常に自分へと命じてきた。危機的状況下でも冷静に物事を見定められなければならないと。それは先生という立場では最も大切な事であり、一度たりとも欠かした事はない。
「Sランクのアスナ様が通るぞーっ!」
声が近付いてくる。聞き覚えのあるメリハリの効いた声だ。それがマリナのものであると気付き、何処かへと消えていた彼女の消息が明らかになった事に安心しつつも、飛鳥は背中の辺りを湿らせる嫌な汗に慄くばかりだった。
あれほど退いて欲しいと思っても頑なに壁の如く立ち塞がっていた人混みがモーセがそうしたかの様に二つに割れて、バニーガールの軍団が飛鳥が腰掛けるスロットマシンへと迫る。先頭に立っている少女───アスナは今日一番の笑顔で飛鳥へと手を振っている。そばに立っているのは異様に自信ありげな様子のマリナだが、いつの間に合流していたのだろうか。
「ご主人様〜! 私やったよ〜! ほらSランクー!」
アスナが振っている手の先にあるものは、金色に光り輝くチケットである。ゴールデンフリース号でVIP級の待遇を受けられるSランクの資格を示している事は、少々悪趣味にさえ思えるカラーリングから容易に判断できた。
飛鳥はと言えば、円柱型の椅子に腰掛けた姿勢のままで口をつぐみ、アスナの掲げるチケットが本物である事実に心から動揺していた。
(まさかケイオスが仕掛けてくるより早くSランクを取れるだなんて予想していなかった。運とはここまで圧倒的な違いをもたらすものなのだろうか? 喜ばしいけれど、同時に不可解にも程がある。一之瀬さんが幸運だった、それで済ませられる話ではないぞ)
アスナの掴み所のない性格と、偶然と言うにはあまりにも奇跡的すぎるSランク獲得、飛鳥は自分の理解を超えている彼女の行動にただかぶりを振ってしまう。だが問題はそこではない。Sランク獲得それ自体は素晴らしい事である。が、これから飛鳥に待ち受けているのはアスナを褒め殺しにするという最難関だ。
褒め殺しとは一体どんな言葉を用いれば良いというのか、あまりにも曖昧な表現ではないだろうか。アスナがきゃいきゃいとはしゃぎながら駆け寄ってきているにも関わらず、疑問は増殖しつつあった。
「おい、何ぼーっとしてんだ。アスナ来てんぞ!」
「え?」
「ご主人様~~!!!」
思い切り、何の防御もせずにいた飛鳥の顔面目掛けてアスナは突撃した。本日三度目かになる谷間の衝突は飛鳥の脳を軽く揺さぶり、柔らかいはずなのに固いという不可思議な感覚が彼を襲った。
「い、一之瀬さん離れて……お願いだから」
「ごめんごめん! でも嬉しくて、ほんっとうに嬉しくてさ〜! まさか二回で取れるなんて思ってなかったもん!」
満面の笑みでチケットが差し出される。船内においてVIP級の待遇を受けられるという、およそ十分程で、たった二回のチャレンジで入手できてはいけない代物である。ニコニコと微笑むアスナに向けて、これまで血の滲む様な戦いがあったであろう他の客から、並々ならぬ羨望と嫉妬の目が注ぎ込まれてしまっている。
アスナの目はキラキラと輝き、淀みがない。何もかもを心から楽しんでいる事がありありと感じられ、飛鳥は困り顔のままでチケットを手に取っていた。
「ありがとう、一ノ瀬さん。こんなに早く手に入るとは思っていなかった」
「えへへ、アスナ頑張りました! マリナちゃんにも会えたし!」
「そういえば、池倉さんは何故一緒に? 何処まで行っていたんだい?」
飛鳥が疑問の目を向けると、アスナに連れ連れ添ってスロットマシンまでやってきていたマリナは、状況がよくわかっていないのか頭の上に「?」と浮かんでいそうな表情で、
「それはこっちのセリフだぞ先生。振り返ったら何処にもいなかったからな、てっきりついてきているものかと」
「僕から一つ助言をするけれど、振り返るタイミングをもう少し早くした方がいいと思うんだ」
「? なるほど、わかった。今度は気持ち早めに振り返るとしよう! それで、状況はどうなっている? いつでも私は準備OKだ!」
「てめぇがどっか行ってる間にこっちは色々進んでんだよ。マジでてめぇ何しに来たんだよ……!」
「へぇ!? どういう事だ!? 何もせずに終わりでは、帰ってからチェリノ会長に粛清されてしまうではないかぁ!」
悲鳴をあげるマリナは置いておくとして、アスナの大活躍によってケイオスとコユキを確保するまでの難易度はグッと下がった。飛鳥達の障害となり得たバニーガール達は、見たところアスナに付き従っている程だ。
ケイオスは飛鳥にゴールデンフリース号のルールについて話し、そして尊重する様にと遠回しに釘を刺していた。カイザーコーポレーションがアビドス高等学校を、あくまでも正当な取引の上で廃校に追い込もうとした例を踏まえれば、船内のルールを守れば正当性を持って行動できるのである。
そしてSランクとなったならば、それより低いAランクであるコユキを連れ戻す事は容易となった。ケイオスにしても、連邦生徒会に一応話を通してある以上は飛鳥の判断で取り押さえられる。何よりオーナーと言えども、生徒の存在が中心であるキヴォトスにおいて力関係では下に位置される。
(さしものケイオスでもこんなに早く達成されるとは予想できなかったはずだ。このまま一気に確保すれば……)
「ご主人様、ご主人様〜!」
考えに耽っていた飛鳥をアスナが引き戻す。遂にその時がやってきたのである。椅子に腰掛ける飛鳥を覗き込む姿勢で彼女はにっこりと微笑み、相手の一挙一動をじっと見定めている。つまりは、飛鳥が褒めてくれるのその瞬間をである。
褒めたくないというわけではない。心からの感謝を述べたい気持ちは確かであるし、そんな当然の礼儀を失っているつもりもない。ただ……アスナが喜ぶラインとは何処までなのか、やはりそれがわからないのである。とりあえず飛鳥は恐る恐る口を開き、
「流石だよ一ノ瀬さん。知らなかった、君がこんなにも強い運を持っているだなんて。素晴らしいと思う。せ……正確だし、そ、想像できなかった」
「てめぇまさかとは思うがそれ褒め言葉のつもりなのかよ」
冷静なツッコミがネルから投げかけられ、飛鳥はうぐっと呻く。人を褒める上で非常に大切な『さしすせそ』という文法を引用してみたはいいものの、ことコミュニケーションに関して他者を悪い意味で凌駕する飛鳥がうまく運用できるはずもなかった。なんともみっともないぐにゃぐにゃとした、褒め言葉というには台本を読んでいるかの様な言葉と化してしまった。
これで良いはずがないと飛鳥も痛感し、ちらりとアスナの様子を窺う。喜ばれるなどとは微塵も予想していなかったが、彼女は不満げな顔で頬を膨らませている。
「むう! つまんなーい! 褒め殺しにするって約束したのに先生ってば嘘つくのー? 嘘つきー! 褒めてくれるから頑張ったのにー!」
「い、今のはなかった事にして欲しい。頑張ってボキャブラリーから最適な表現を見つけ出すから……いや、でもコミュニケーションが苦手な僕が最適な表現を見つけ出せるのか? 人との会話なんて、正解がない霞の様なものだというのに」
「めんどくせぇ奴だなホントに! まだアスナに言ってないデケェのが一つあんだろ!」
業を煮やしたネルの発言に飛鳥はドキリとした。不誠実である事は承知だが、どさくさに紛れて有耶無耶にしようと思っていた事を掘り起こされるとは考えていなかったばかりに目を丸くしてしまう。
アスナが飛鳥に初めて詰め寄ったのは、入船してまもなくバニーガール衣装の存在に気付いた時からである。もしも自分が着たら、その時は褒めてくれるか?と彼女は問いかけ、飛鳥はその場では難しいと答えた。しかしながらネルの手で掘り起こされてしまった話題に、アスナは目を輝かせた。
「あ、はいはい! わかった! じゃあねご主人様、このバニー衣装褒めて!」
「そう来たか……」
「私が褒めてって頼んでるんだから、何も問題ないでしょ~! ね?」
「もう逃げ場ねぇぞモヤシ。これ以上はめんどくせぇからマジで早くしろ」
「あう……」
ネルの苛立ちはまったくもってその通りで、むしろ頑なに恥ずかしがっている飛鳥は意固地であるという他にない。自己評価の低さは時にコミュニケーションの障害となり得るのだと痛感し、彼はこめかみに手を当てて息を吐いた。
冷静に、自分ばかりではなく相手を鑑みる。先生であるという事はある程度の清廉潔白が必要なのだと定義づけて今日までやってきたが、仮にも年頃の少女なのだから外見の変化を周囲にアピールし、それに対するコメントを求めるのはなんらおかしな事ではない。むしろ、それは対人関係における当たり前ではないだろうか。
となれば、飛鳥=R=クロイツはこれまで踏み込んでいなかった領域に自ら足を踏み入れる必要がある。にこやかに会話する、心を許す、そして……程々に相手の容姿を褒めるのだ。
「……一之瀬さん、申し訳ない。僕は距離を取り過ぎていたかもしれないね。コミュニケーションに正解などない、そう答えたのは僕だった。なのに最適を求めるなんてナンセンスだ」
「? どういう事?」
「月並みな回答になってしまうのは許して欲しい。けれど君も、その衣装も……とても可愛らしいと思う」
飛鳥は覚悟を決めると、アスナへと微笑みを交えてそう言った。純粋な気持ちから気恥ずかしさというものを取り除いた個人としての感想である。これ以上の他意はない、そう自分に語りかけながらという複雑怪奇な内面から絞り出したものとしては、常識的なものだろう。
果たしてアスナは、弾ける様な笑みを浮かべた。まだ不満げであった場合はどうしようかなどと本気で不安を感じていた飛鳥はほっと安堵しつつ、次に彼女が何を繰り出すかの予想を忘れていた事に、酷く後悔する。
ぴょん、とアスナは無言で飛鳥が腰掛けている椅子へと跳んだ。何の予兆もない動きにギョッとしながら飛鳥は両手を広げて受け止める姿勢を取るが、次の瞬間にはそれなりの衝撃に短い悲鳴があがっていた。
「ごふっ」
「褒められた! すっごい嬉しい、なんだろこれ! なんていうか、すっごいムズムズする!」
「い、一之瀬さん、今のはちょっと不意打ち過ぎる。誤解しない様に言うと、君が重いという意味ではなくて何の前触れもなく突然跳んできたという部分が」
「だって本当に嬉しいんだもん! ぴょんぴょん跳ねちゃうくらい!」
「うん、おかげで、僕に、体重がかかって、少し、きつい……! いや、これも誤解しない様に言うと重みの問題ではなくて……!」
椅子に腰掛ける飛鳥の上に更に腰掛けた姿勢でアスナは上下に体を弾ませ、きゃっきゃっとはしゃぐ。なかなかの騒ぎ方ではあるが、生憎船内で彼女に意見を申し立てられる者はそうそういない。他の客や船員達はVIPであるアスナを止める事など不可能なのだ。ただ一人、隣でため息をつくネルを除いて。
「アスナ、はしゃぐのは良いけどあたしらの仕事はまだ終わってねぇ。レッドウィンターのアホ女、これから多分軽くドンパチも起きるだろうから準備しとけよ」
「むっ! リーダーに怒られると後々大変だから、アスナおとなしく降ります。また後でねご主人様!」
ネルがギロリと鋭い眼光で一瞥すると、アスナはまた素早く椅子から離れる。マリナも声色からこれから起きるであろう事を理解したのか、背筋を正した。
「また後で……!? い、いや、それよりも美甘さんの言う通りか」
飛鳥も椅子を降り、ネルへと頷き返す。アスナのファインプレーによってSランクを無事獲得したが、まだ任務は完遂されていない。この船にいるケイオスとコユキの確保、それを果たさなければならないのだ。
「船内での権限は得た。ケイオスの身柄を……」
「それならもう私の方で皆にお願いしておいたよ、ほらあそこ」
指示を下そうとする前にアスナの声が被さる。Sランクのチケットを握りしめたまま飛鳥がオーナールームに目を向けると、既にアスナの命令を受けていたらしいバニーガール達が待機しており、ドアを破壊して室内に突入する準備を始めている。手際が良い、というよりオーナーであろうと容赦のない姿勢におののくばかりである。
「むぅ! ハッピーケイオスを捕まえれば良いんだな? 先生、それはレッドウィンター事務局の池倉マリナが担おう! 行ってくる!」
「あ、池倉さん待って……」
手柄を挙げねばと考えてだろう、マリナはさっと足をオーナールームへと向けると飛鳥の返答も待たずに走り出していた。つい先程若干の戒めを込めた言葉を聞いたばかりのはずなのだが、振り返る様子はまったくない。これにはネルも呆れて物が言えず、無言でかぶりを振ってしまう。
「……じゃあ、池倉さんを信じるとしよう。単純と言えば単純である。じゃあ黒崎さんを……」
「そちらに関しては、私達の方で済ませておきました」
今度はアカネが飛鳥に被せてくる。バニーガール軍団に道を譲られながら、別行動していたアカネとカリンが飛鳥達の下へと戻ってきていた。傍らには、何処から持ってきたのか定かではないが手錠をつけられたコユキがぐったりと元気のない様子で連れてこられている。
「アスナ先輩がSランクを獲得した、その直後にこちらも動かせていただきました」
「先生の財布が空になるより先に動けて、本当に良かったと思う」
「室笠さん、角楯さん……!」
流石はC&Cである。飛鳥が命じるまでもなく、勝機と見るや否や即座に動いていた。ケイオスはまもなくオーナールームから引きずり出され、コユキもミレニアムへと連れて帰れる。主導権をアスナが奪い取った一瞬からここまでの逆転を果たすとは、プロであるという他にない。
ここから一気に銃撃戦へと転がり落ちる可能性はそうそうないだろう。何の問題もなく、大手を振ってユウカへと任務完遂を知らせる事ができそうだ。
「あー? んだよ、チビの方捕まえちまったのか。軽く追いかけっこくらいはしたかったのによ」
「そうなると大変なので早めに取り押さえたんですリーダー。もしもそうなったら、間違いなくそれなりの損害が発生しますから。さっきドンパチがどうこうとか聞こえていたのも、絶対何かするつもりだったんでしょう」
「ちっ……おいチビ、良かったなアカネに捕まって。あたしだったら三回は殴ってるかんな」
ネルの言葉からは冗談が一切感じられない。もしもアカネとカリンが前もって動いていなければどんな
状況と化していたのか、それを尋ねる勇気を飛鳥は持っていない。敢えて触れない様にして、コユキの下へと歩み寄った。
コユキはじっと俯いたままで、飛鳥に視線を合わせようとしない。彼女からすれば感謝の気持ちを拒絶されてしまったのだ。顔も合わせたくないと思われても仕方がない。
「黒崎さん、僕と一緒にミレニアムへ戻ろう」
「……うっ、うっ、うっ、うわぁぁぁぁぁん!!!」
音の爆発が飛鳥を襲った。コユキは顔をあげたかと思えば滝の如く涙を流し、凄まじい声量で泣き始めたのである。至近距離で号泣を浴びせられ、飛鳥はギョッとして悲鳴さえあげられなかった。ネル達も同様に前触れもない大泣きをまじまじと見つめてしまう。
ひんひんと泣きながらコユキはその場に崩れ落ち、
「わぁぁぁぁぁん! アスナ先輩の馬鹿! おたんこなす! 悪魔! ユウカ先輩! も~! なんでSランク取っちゃうんですか、私頑張ってたのにぃ!」
「二回で取れちゃった、ピースっ」
「うわぁぁぁぁ人でなしぃぃぃぃ!! 受け取った先生も裏切り者~!!」
「と、飛び火してきた? いや、でも僕達はケイオスから黒崎さんを助け出す為にもSランクを取らなくちゃいけなくて……それに、最初に言った通り債券を刷り続けて手に入れたSランクは受け取れなくて……」
「ひぃぃぃぃん! 先生の馬鹿~!! なぁんでぇぇぇぇ!!!」
「あうぅ……」
完全にお手上げである。駄々をこねるコユキはみるみる内に手錠など意にも介さず床の上でじたばたと動き始めた。仮にも高校生の動きではない。
一体全体どうしたものかと飛鳥はC&Cの面々に助けを求めるが、ネルとアスナ以外の二人がサッと目を逸らし、そのネルとアスナにしても腕を組んで名案と言わんばかりに、
「一発ぶん殴ろうぜ」
「暴力、反対」
「はい! ご主人様がコユキちゃんを撫でてあげるべきだと思う! もしくはご主人様がバニーガールを着てあげるとか!」
「前者はまだしも、後者に関しては絶対に関係ないね? 一之瀬さんがそうして欲しいだけだね?」
「あ、バレた? でもコユキちゃんはご主人様に喜んで欲しくて頑張ってたみたいだし、その事は改めて褒めてあげた方が良いと思うな~」
アスナの意見には一理ある。手段こそ致命的に誤っているが、それでもコユキは好意を形で返そうと努力していた。であるならば、一度否定しているとしても飛鳥は慰めの言葉をかけなければならない。先生という存在ならば、それもまた大切である。
しばらく考えた後、飛鳥は暴れるコユキにゆったりとした口調で話しかけようと試みた。
「黒崎さん。前にも言った様に君の気持ちはよくわかっている。その点は僕も否定しないよ。けれど―――」
そこから先を飛鳥が言おうとしたところで、思いも寄らぬ展開が遮った。何の予兆もなく、カジノの入口から爆発音と共に煙が立ち上がったのである。これには咄嗟にネル達も身構え、何事かと様子を窺う。飛鳥もいつでも走れる様にと慌ててコユキを起こした。
「ああ、これは……シージャックですねご主人様」
「僕の聞き違いであって欲しいんだけれど、この船に強盗が乗り込んできたという事で良いのかな?」
「あったりめぇだろ。気の利いた展開じゃねぇか、なあ!」
「……少し嫌な予感がする。先生はすぐ動ける様にして欲しい」
胃がキリキリと痛む。比較的穏便に片付くと思いきや、シージャックが起きるなど聞いていない。これが果たしてケイオスの作戦なのかはハッキリしていないが、少なくとも簡単に収まる騒動ではないのは確かなのだ。
突然の爆発にフロア全体がざわめき、悲鳴もあがる。その中には、あまり聞きたくない名前がサッと混ざっている。
「ワカモだー! 狐坂ワカモだー!!」
「災厄の狐が来たぞー!」
サーッと血の気が引いていく感覚に飛鳥は唾を飲む。狐坂ワカモ、その名は彼にとって少しばかり因縁深いものであり、できる事ならば聞きたくない名でもあった。
「何故、このタイミングで、彼女なんだ……!?」
次回はちゃんと描いていなかった、というより都合でカットしていた飛鳥の初仕事について触れていきたいと思います。