異世界転生 777番目に転生した俺の職業はチャラ男でした!   作:菅原 みやび

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俺の異世界の職業は

「まて⁉ 貴様っ! 何奴っ!」

 

 昔のイタリアやフランスを彷彿させる洋風の町中に入ろうとした瞬間、杉尾はアイアンメイルを装着した屈強な門番AとBに阻まれてしまう!

 

 し、しまった! 門番がいるパターンは失念していたな……。

 

 困ったな……ど、どうしようか……?

 

 よく考えたら俺の服装黒スーツの現世のままだしな……。

 

 よし、こうなったら……。

 

「あの……俺実はですね……」

 

 俺は正直に、女神アステラと話した内容を簡潔に門番に話す事にした。

 

 幸い言葉は通じる。

 

 きっとこれは、「さっきの女神の祈りの加護で言葉が通じるようになった」ってやつだろう。

 

 転生系あるあるの万国共通のやつだ、悩む内容じゃない。

 

「ふむ……確かにこの町ではその服はあまり見かけない」

「それに……話が本当なら異世界からの転生者の可能性が高いな……」

 

 お、どうやら分かってくれているっポイな……。

 

「よし! 職業安定所に連れていくぞ!」

「こっちだこいッ!」

 

「え? ええっ! ちょっとまっ……」

 

 こうして、俺は異世界の職業安定所に無理やり連れられて行くことに……。

 

   ♢

 

 数十分後……。

 

 俺は町のど真ん中に建てられている職業安定所に無理やり連れられる。

 

 ……俺はため息をつきながら周囲をぐるりと見回す……。

 

 綺麗なカラフルナステンドグラス窓、更に程よく室内に配置されてある木製の質素な机や椅子……。

 

 見た目まんま教会の中なんですが……。

 

「あとはお任せしましたぞ! シスター!」

 

 そんな事をしている間に、俺を連れて来た門番達は教会もとい職業安定所から出て行ってしまう。

 

 って……え? シスター?

 

 俺は出て行った門番達の視点を追うと……そこには黒い修道服を身にまとった、スタイルの良いちょっとエロチックな、もとい……魅力的なシスターがそこに佇んでいたのだ。

 

「……女神アステラよ……。この出会いに感謝します……」

 

 数字の4を描くが如く、手を動かし祈りを捧げるシスター……。

 

 黒い布地のフードから覗く銀髪はまるで銀糸のように俺には見えて……。

 

 こちらを見つめる(けが)れなきエメラルドグリーンの瞳……。

 

 う、美しい……心も見た目も……。

 

 そして俺は次の瞬間とんでもない事を口走ってしまう……。

 

「これも女神様の御導きです……。良かったら俺と付き合いませんか……? 俺の名前は杉尾。貴方のお名前は?」

「……え? 私はシスター【リスキル】……って、え?」

 

 突然の俺の奇行に面食らい、まるで石の如く固まってしまうシスター。

 

 うん、俺もビックリしてる……。

 

 ちょっと! 俺、職場に女性いなかったし、女性と会話した事なんか一回も無かったぞ!

 

 コンビニかスーパーのお姉さんくらいしか話したことねえっ(2回目の血涙)!

 

 それが会話にカウントされるかの細かい話は置いといて……。

 

 今のは何なんだ……?

 

『それは、貴方の職業のスキルが自動発動したからよ……』

 

 何者かの暖かく優しい声が……教会に響き渡る……。

 

「こ、これは女神アステラ様の声……」

 

 両手を組み合わせ、天を仰ぐシスターリスキル。

 

『時間が無いの……分るわね? だから単刀直入に命令するわ! リスキルっ職業鑑定の儀式を……』

「! は、はいっ! 杉尾さんこちらに……!」

 

「えっ! ……は、はいっ!」

 

 女神の叱咤を聞き、シスターリスキルに案内され数分後……。

 

 俺は訳が分からないまま、あっという間に懺悔の間に連れられていた……。 

 

 具体的に説明すると、シスターは木壁の向こう側におり、俺は黒いカーテンに覆われた狭く薄暗い個室にいる状態だ。

 

 そして、机の上に成人男性の頭くらいの大きさの水晶玉が置いてあった。

 

 俺は丸い透き通ったそれをまじまじと見つめる。

 

「あの……これは……?」

「時間が無いので簡潔に話します。その水晶玉を両手で触れて、アステラ様とのやり取りを思い出してくださいっ!」

 

 返事の変わりに、シスターリスキルの若干焦り気味の回答が帰って来る。

 

「あ、ハイ……」

 

 俺はシスターに言われるがままにする……。

 

『杉尾さんその水晶に表示されている物が貴方の職業よ……』

 

 あ、なるほど……それでここにね、理解した。

 

 ほほう、どれどれ……それにしても俺の適正職業か……。

 

 昔は社畜だったけど……ここでは何になるんだろうか?

 

 俺はどう見ても体格がもやしで体育会系じゃないし、魔法使いとか商人とかだろうなきっと……。

 

 ああ、異世界で可愛い彼女作ってのんびりスローライフ生活悪くないな……。

 

 しかし、俺のそんな思いとは裏腹に水晶に映っていた物はそのどれでも無かった……。

 

 俺が知っている転生物には無い職業……。

 

 ……【チャラ男】……と水晶にはくっきりはっきりと表示されていたのだった……。

 

「……ど、どうですか? 水晶には何と映っていましたか?」

「チ、チャラ男……」

 

 俺は小声で申し訳なさそうにシスターに返事する……。

 

 こ、こんな馬鹿な……。

 

 俺は周囲から真面目過ぎると言われ続けてきた男……。

 

 名前も真面目杉尾(まじめ すぎお)だぞ……⁉

 

「え? ま、またまた御冗談を……」

 

 木壁から、かすれたシスターの苦笑が聞こえてくるが……。

 

 そりゃそうだろう……俺も理解出来てないしさあ……。

 

『悲しいけどシスター本当よ……』

「あ、アステラ様……? じ、じゃあ本当に……? ど、どうして……? 777番目の選ばれし転生者のハズなのに……」

 

 震える声で女神アステラに問うシスター……。

 

『仕方ないのシスター……。これは彼が望んだ強き願い……この私でも改変する事は最早出来ない……』

「あ、そ、そんな……ああ……ど、どうしてこんなことに……」

 

 女神の回答に納得出来ていないのか、失意のあまりむせび泣くシスター……。

 

 あ、あの……ショックなのはわかるけど、そのシスターの傷つき様……俺が更に傷つくんですけど……。

 

『申し訳ないけど……筆者の集中力と文字数の関係で……じゃなかった……こちらに干渉するのに力がもう足りないから、これを杉尾さんに預けるわ……えいっ⁉』

「あ、ああっ!」

 

 女神の掛け声と共に俺の体は虹色に光り、体に何か不思議な力で満たされた事が理解出来た……。

 

「い、一体俺に何を?」

『貴方に【チャラ男のスキル指南書】を授けたわ……。内容は【スキルの説明と成長の指南】では私はいくわ……』

 

「あ、ああ……女神様の気配が……」

 

 俺も展開が早すぎて何が何だか良く理解出来てない……。

 

 シスターの言葉だと、女神アステラの力の干渉は消えたってことぐらいか……。

 

 しばらくして、俺の隣の木の扉が開き、そこから目を真っ赤に腫らしたシスターが姿を表す。

 

 そ、そんなにショックだったのか……なんかちょっと可哀想だな……。

 

 と、とりあえず、このままだと気まずいし、相談にのって貰おうかな……。

 

「あの俺のここの世界の役割って……?」

 

 多分予想するに、魔王討伐やら、世界の理に反する何かを退治とかそんなんだろうけどね。

 

「チャラ男……です」

「……え?」

 

 ま、マジですか?

 

 俺の予想を裏切り、真顔で答えるシスター。

 

 それはそうとして、「チャラ男って……職業であったっけ……?」……俺の脳裏にまともな思考が浮かぶ。

 

「女神様の意思と言葉は絶対です……。貫き通してください……」

「あ、ハイ」

 

 ……そ、そうか……よく考えたら勇者って魔王討伐の為の世界の奴隷だしな……。

 

 それじゃ、前の社畜と本質的に変わらないじゃないか……。

 

 だから、女神様は……そ、そうか、ならば……チャラ男を全力でやるしかないっ!

 

「あの、シスターこの【チャラ男のスキル指南書】の使い方なんですが……」

「心を込めてスキルの何を知りたいか考えてください……。それだけで女神様の奇跡の力は発動します」

 

「あ、ハイ……」

 

 俺は言われたまま、先程「シスターを口説いたスキルと自分が持っているスキルが知りたい」と強く願う……。

 

『私は【チャラ男のスキル指南書】。早速解説するわ。貴方が持っているスキルは次の4つ』

 

 不思議な事に女神アステラの可愛らしい声が、まるでイヤホンを装着しているかの如く聞こえてくる。

 

 なるほど、女神の声でスキル解説してくれるアレか。

 

 ふむ……なるほど、職業チャラ男以外にも言語翻訳スキルとかお決まりの初期スキルがあるわけだな。

 

『①職業チャラ男スキルの内訳 今のところ【オートナンパスキルレベル2】のみ。つかっていけばスキルレベルとそれに付随した派生ツリーが発生するわ』

 

 ゲームとかでよくある使用して楽しいアレですね……。

 

 オートナンパスキルはさっき1回シスターに使用したからレベル2になったんだろうな……。

 

 何が変わったか申し訳ないが、もう一回シスターで試させてもらおうかな……。

 

 比較対象が同じじゃないと、何が変わったか分からないしね……うんうん……。

 

『【②言語翻訳スキル】村人から魔王まで会話できる優れもの』

 

 まんまやな……次。

 

『【③異世界冒険者収納セット】貴方の背負っているリュツクにその機能を付けといたわ。そのリュツクには何でも沢山入るわ。追加で色々入れたから確認しといてね!』 

 

 これもまんまやね。

 

 リュツクの中に現世のペットボトルとキャンプ用のナイフとか入れてたから、しばらく何とかなりそうだな……。

 

『【④777の恩恵】???以上です!』

 

 く、くそ……最後のスキルがよくわからない……。

 

 秘密ってやつだな、多分裏スキルくさいけど……。

 

「あ、あの……どうだったでしょうか?」

「あ、うんありがとうシスター確かに全部理解出来たよ……ところで……」

 

「は、はい……?」

 

 俺は早速【オートナンパスキルレベル2】を使用しようと念ずる……。

 

「これも女神様の御導きです……。良かったら俺と付き合いませんか……? 俺の名前は杉尾。貴方のお名前と()()()()()

 

「……え? 私はシスター【リスキル】……って、え? 住まいはここですが? ……ってはっ……⁉」

 

 なるほど、名前の他に()()()()()()()()わけか……。

 

 ……これ、悪用すると結構ヤバイスキルではあるな……。

 

 でも、シスターには色々恩があるし……。

 

「うん、ごめんねシスター。ちょっとスキルの変わり具合を知りたくてさ、また使っちゃったんだ!」

「あ、ああ……そういうことですか……」 

 

 俺は軽く片目でシスターにウィンクする!

 

 うん! これこれ! チャラ男っぽくて、いい感じだな!

 

 これからは少しずつ頑張ってチャラ男になっていこう! うんうん!

 

 何だかシスターも少し微笑んでくれてるしね……。

 

 チャラ男のこの明るさ……悪くないかもしれん……。

 

「色々親切に教えてくれてありがとう! では、俺は冒険に出るんでまたね!」

「……あ、ハイ……。貴方に……女神アステラの加護があらんことを……!」

 

 こうして俺は明るくシスターと別れ教会、もとい職業安定所から出ていくのだった……。

 

『①職業チャラ男スキルの内訳 努力により追加スキル会得 【チャラ男スマイルレベル1】会話相手を明るくする! 頑張れチャラ男!』

 

 ……ん? はて? 何か今聞こえたような?

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