あぁ神様、お願いします   作:猫毛布

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はやて様マジ堕天使!

前書きにて失礼。
こう待望のはやて回というか、なんか夕君のキャラにタラシ属性でも付きそうで怖い。
いや、彼はタラシじゃないんですよ?ただ大切に思ってる人間には尽くすだけなんですよ?

こういう言い訳さえしてれば大丈夫だと思ったので投稿。


A's期だから仕方ないけどはやてちゃん多いな。
構わん気にするな、みたいな声があるなら良いが。
そろそろ軸に乗せようかなぁ、と思います。十月まで飛ばしていいですよね?
別に後書くことがあれば『F&A愛娘観察記』ぐらいだもの。もうなんというか、ごめんなさい。


08 はやて様マジ堕天使

「夏祭り?」

「そう、夏祭りや」

「……あれか、車椅子少女からの改名か」

「そのネタまだ引っ張るん?」

「なんか、ごめんなさい」

 

非常に涼しい図書館にて八神が一枚のチラシを机に叩きつけた。

‐司書さん睨んでるんだからやめろって

‐今日は館長さんもいるから大丈夫さ

‐あ、司書さん逃げた

‐館長さん落ち込んでるし

 

「去年は一人で行っても寂しかったから行かんかったけど、今年は違うで!」

「…珍しくもないが、熱いな」

「夏と言えば海と水着と祭や!」

「お前の頭の中では海と水着は一緒の区分じゃないのか」

「ということで、空けといてな」

「残念ながら俺の夏は氷菓子と素麺と冷房機ですでに満喫してるんだ」

「……なんや、あかんの?」

「…………近頃お前があざとく見えるよ。とりあえず、その上目遣いを教えたのは誰だ?お兄さんに言ってみな?どうせシャマルだろ?シャマルだな?」

 

‐いいぞもっとヤれ!

‐シャマルを探せ!

‐探して縛り上げようぜ

‐軽いSMも辞さない

 

「守護騎士連中と行けばいいだろう…」

「……夕君は来てくれへんの?」

「上目遣いをやめろ。そういうのは必殺技として封印しときなさい」

「今こそ必殺技を使う時や」

「確殺出来ない相手に必殺技はやめなさい」

 

‐もう夏祭りいこうぜ!

‐浴衣はやて見ようぜ!

‐浴衣の守護騎士連中見ようぜ!

カット。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

「いや、うん、結果はわかってたんだけど、こうなんて言うか納得出来ない部分が大半なんだ。この気持ちをどこにぶつければいいのだろうか、なぁシャマル」

「え?私は何もしてないじゃないですよ。ただコウすれば意中の男性を」

「引っ付くな、暑い」

 

シャマルが夕君に抱きつき、胸を彼の頭に押し付ける。

夕君はホントに暑いのかそう言って眉間を寄せているがシャマルを退かそうとはしない。こう、なんというか、モヤモヤしたモノが。

 

「シャァマァルゥ?」

「はやてちゃん大丈夫ですよ。夕くんは私に興味なさそうですし」

「なんや…夕君……その…男色の人やったんか」

「カット。いや、なんでそうなった」

「シャマルって女の私から見ても、ええ体してるやん?ソレに興味ないって事は…良くて幼女嗜好?」

「ねぇよ。おいロリータ、そこはかとなく俺から離れるんじゃねぇよ」

「少なくとも、テメェなんか趣味じゃねぇよ」

「お前なんかの趣味にされたかねぇよ。ロリババアめ」

「今お前は私に喧嘩を売ったのか?高価買い取りしてやろうか?」

「おいおい、この程度の挑発に乗るなよ。長年生きている意味がさっぱり出てないぞ?」

「OKェ…テメェは今ここで潰す」

「ハッ!クレーマーは早々にお帰り頂くよ」

「二人ともやめやぁ。殴るで?」

「よし、ロリータ。あっちに金魚掬いがあるぞ」

 

闇の書を持ち上げてニッコリしてやれば、夕君は視線を逸らしてあからさまに会話を変える。

 

「ヴィータな。間違えんなよカス」

「二文字で間違えてるお前の方が問題だろ、せめて一文字でも合わせな」

「行くぞ、シニカル◇ユウリン」

「ごめん、それは止めて。謝るからそれは止めてくれ」

「どうしたユウリン?落ち着けよユウリン」

「オゥケィー、お前が俺を怒らせたい事は理解した。貴様にトラウマでも埋め込んで」

「夕君?」

「そんな事できるわけない」

「お前、弱いなぁ」

「お前さん達の主が強すぎるんだよ」

 

夕君はそう言って軽く笑った。

なんやろ、釈然とせぇへんというか…とりあえず、夕君を闇の書で殴っておこう。

 

 

 

 

 

「うむ、これだけ取れば元は取れただろう」

「お前…容赦ないな」

「容赦して得するなら容赦するさ」

 

ビニール袋に大量のぬいぐるみやお菓子を詰め込んだ夕君。その後ろには凄く唖然としている射的のオジサン。

 

「えっと」

「イイタイミングだ八神。ぬいぐるみをプレゼントしてやろう」

「ありがとう…やけど、多いわ!」

「反省はしてない」

 

まるで悪魔のように含み笑いをしている眼鏡。今、コイツが悪魔だと言われたら信じてしまいそうだ。

むしろ彼は悪魔だ。

 

「さて、と。今なら生物以外なんでも取ってあげましょう、姫様」

 

悪魔は仰々しく、且つ紳士的に、言ってしまえば劇のように頭を下げた。

悪い気せん所が甘いんやろうか…。というか、なんやろ…こういう好意の安売りを彼は常にしてそうで不安になる。安売りというかバーゲンセールというかもう押し売り?いや押し売りというほど無理矢理ではない。

 

とりあえず、今彼が手に持っている巨大なぬいぐるみをもらおう。

 

 

 

 

 

「浴衣の人がやっぱり多いなぁ」

「仕方ないだろ、暑いし、祭りだし」

「……やっぱり私達も浴衣の方がよかった?」

「………シグナムやシャマルは和服が似合わなさそうだ。対してお前やヴィータは似合いそうだな」

「…それって誉めてるんよね?」

「トウゼンダロ?」

 

肩を竦めてみせる夕君。どこか納得がいかないのは夕君だからだろうか。

 

「ホンマに誉めてる?」

「はやてちゃんチョーカワイイ」

「まぁ許したろ」

「はやてちゃんマジ天使」

「言い過ぎると露骨やで?」

「……?あれか、文字通りの意味か」

「骨が見えるまで殴ったろか?」

「はやて様マジ堕天使」

 

どうやら彼の中で私は堕ちてしまったらしい。

 

「しかし、あいつら遅いな」

「そ、そうやねー…」

 

心の奥底でシャマルグッジョブと何度か唱えて、相変わらずな夕君を見る。

とてつもなく平凡な顔に眼鏡を掛けた、極一般的な彼。

朝早くに電話して、なるべく早く着て来れと頼めば彼は本当に早く来てくれた。あの日の料理を思い返せば、お昼時には少し重いレシピだったような気もする。

家に到着すれば、本当に心配したのだろう。シグナムを抜け、リビングまで走り抜け、シャマルを捕縛して私の前に立った。

少なからずあの時点で彼は凄く格好よくて、騎士よりも騎士らしかった。少しばかり怖かったのも事実だが。

 

『はやてを守る為に決まってるだろ』

 

相変わらず鮮明な音声が私の脳内に響く。

ダメだ、アカン完全に病気や。落ち着け、落ち着くんや八神はやて。

 

「どうした八神、突然顔を赤くして……林檎飴の着色料でも被ったのか?」

「…………」

「どうした?」

 

本当に、私の初恋と呼べるモノがこんな奴であっていいのだろうか。

初恋なんて、なかった。ある筈がない。私の初恋がこんなにイミフな筈がない。

 

「……むぅ、時間には間に合いそうにないな」

「何が?」

「おいおい、祭りと言えば必要だろ?」

「あー花火かぁ…」

「そういう事」

 

うーん、今から移動したとしてもいい場所は取られへんやろうし。もうここでゆっくり見れればええかなぁ。

 

「車椅子は…まぁザッフィーが見つけるからどうにかなるだろ」

「は?、ウヒャァ」

「遅れながら、失礼姫様」

「ビックリするから先に言おな!?」

「へいへい」

 

咄嗟に横抱きにされた。私が彼の首もとに腕を回したのは突然すぎたからだ。仕方ない。

 

「軽いな…ちゃんと食べろよ」

「うっさいなぁ。女の子の体重を責めんといてくれる?」

「あー……まるで天使の羽のように軽いです姫様」

「ありがとう」

「どうも納得いかん」

 

夕君は溜め息を一つ吐いて上を見る。

 

「少し、跳ぶぞ」

「口も目も閉じとるよ」

 

腕に力を入れて離れないようにする。

少しだけ、フワリと浮遊感を味わい、振動を夕君の身体から感じる。何処かに着地したようだ。

 

「もういいぞ」

「……こんな場所乗ってええの?」

「家の上に餓鬼二人乗って怒るような神様なんかいたら人間なんてこの世にいないさ」

「極論やね」

「曲解してるだけさ」

 

瓦の上に腰を下ろし、のんびりと空を見上げる。お互いの距離は微妙に遠い。

 

「………なぁ夕君」

「なんだよ八神」

「あの、えー…手ぇ繋がへん?」

「は?」

「いや、ほら、私が落ちるかも知れんやん!?こう命綱的な!?」

「何慌てるんだよ…」

「あー…うん、ちょっと落ち着いた」

 

何を言ってたんやろか。

こう…いい雰囲気に飲まれた結果に空回りなんて。いや、うん思い出したくない。よし記憶は削除した。何もなかった!

 

「ウヒャァイッ」

「だんだんと面白い声が出るな…こう毛むくじゃらの鳥のような玩具を彷彿とさせる」

「いや、なんで、手を握ってらっしゃるんでおじゃる?」

「落ち着け、デンボはここにいない。お前が握ってろと言ったんだろうが」

「いやそうやけど…そうなんやけど、こう……」

「こう?」

「……まぁええわ」

 

もうなんというかこの人に雰囲気とか言った所で多分知りながら無視するだろう。諦めよう。

 

少しだけ熱くなった顔は彼に見られる前に花火の光で隠されたらしい。

 

「たーまやー、かーぎやー」

 

彼のやる気無さげな声が花火の音に容易く消されるのは、彼が私の気持ちを知らない事のように当たり前だった。




~和服の似合うはやてとヴィータ、似合わないシグナムとシャマル
和服は元来日本人が着用してたので、撫で肩の人間がよく似合う。ついでに言うと日本人の大半は貧乳だったので、和服を着る際は今もサラシを巻いたりして胸を平らに見せている事が多い

~闇の書アタック
あの分厚い本を投げ対象の頭にぶつける技。ちなみに闇の書自体に飛行能力があるので百発百中

~毛むくじゃらの鳥のような玩具
喋る。電池切れが近付くと声が掠れる。戸棚の奥でこいつが急に喋り出してトラウマがある人間もいる程怖い。作者はこいつと洋画【グレムリン】は確実に血縁関係にあると踏んでいる

~デンボ
伝書蛍。おにぎりが好きな変わった虫。大きさは煙草の箱程度。現実に居たならば確実に逃げる

~八神はやて
この世界に堕ちてしまった天使。あまりの可愛さに読者様の心をキャッチして離さない天使。貧乳。作者自身も扱いが簡単且つ楽しいので大好き。ただし貧乳。

~シャマル
主に色々と技術を仕込んでいくスペシャルな方。「あらあらうふふ」が似合いそうな人妻(仮)。はやてが微妙にあざとくなっていくのは大体彼女のおかげ


~ザッフィー
ごめん

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