あぁ神様、お願いします   作:猫毛布

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02 タイプY

やや雲の残る空。その雲が夕日色に染められる。

‐二次元平面図。地球を円として周りに空気膜Aが存在する

‐円から離れた場所に光源を配置

‐円上に観測点を配置

‐光源から観測点までに空気膜Aが存在し、屈折、反射

‐プリズムを仮定として置く

‐入射角により色が変わる反射光

カット。

 

‐今日は買いすぎた

‐官能小説ェ…

‐諦めろ

‐一週間の食材購入、レシピはノートへ

カット。

 

‐取り扱いには慣れろ

‐できる限り使うな

‐使うときは見られるな

‐体を鍛え、使うことの無いようにしろ

‐思考を止めるな

 

 

「ん………」

 

目の前には青い石。宝石のようだが、少し違う。

‐魔力反応だ

‐似たようなモノか?

‐触れるな。厄介事だ

‐触れろ。厄介物だ

 

利害。

‐厄介事に巻き込まれずに済む

‐腕の治療に貢献できる可能性

‐去る勇気

‐進む勇気

‐退屈な日常が繰り返される

‐慌ただしいであろう非日常が舞い降りる

 

持って帰るか。

袋を右手で全て持ち、左手で宝石をつまみあげる。

魔力反応…、似てるけど、決定的に欠けている。これでは止まらない。

 

‐解析完了

‐吸収準備中

 

無くなれば、どうでもよくなるか。

 

 

 

 

 

 

 

「…………は?」

 

自宅であるマンションの前に思わず立ち尽くしてしまう。

‐解析

なんせ、マンションを覆う様に結界が張られているのだから。

‐解析完了

‐結界破壊準備

‐否、通り抜けよう

‐破壊準備中止

‐侵略開始

‐侵略完了

‐みよ、我が軍は圧倒的ではないか

‐認証コード追加

‐結界を修復

‐逆探知

‐術者発見出来ず

‐類似魔力発見

‐……!タイプY!幼女です!

‐よろしいならば戦争だ!

‐エスケープされる前にキャッチしろ!

 

カット。

ため息を吐いてから結界を素通りする。

あくまで普通に、相手からは此方の魔力反応も知られないように。

 

 

 

 

「……なぜこうなった」

「ごめんなさい、アナタに危害を加える気はありません」

‐お嬢ちゃん、是非別のモノを銜えてほしいね

「カット」

「え?」

「…いや。この黄色く光る鎌を早く退けてくれ、逃げないし、君の話も聴こう。とにかく早急に、素早く、この鎌を収める事を願うよ」

「アルフ」

「はいよ」

 

‐喋るオレンジ狼に金髪幼女か

‐ツンデレとは違い扱いやすそうだ

俺の足下に魔法陣が出現し、そこから鎖が幾本も伸びて体を縛り上げる。

‐訂正。この年齢でSMとは扱い憎そうだ

カット。

「アナタの持つジュエルシードを渡して下さい」

「ジュエル……?」

「青い菱形の宝石だよ」

‐左ポケットのあれだ

「…強盗にしては随分と杜撰だな」

「持ってるのは分かってます。私達に渡して下さい」

‐どこにあるかは分かってないのか

‐俺が持ってる事は判明している

アレを使うか?

‐否、生命の危機ではない

‐使うなら渡してしまえ

 

 

「もし、あるとして。君達に渡して俺は安全に解放されるか?」

「保証します」

‐解析開始

「……そうか。実はこのズボンの内股部分に内ポケットがあってだな」

「それがどうか…あんた、まさか!」

「まぁそのまさかの訳だ

‐解析完了

‐侵略開始

ということでズボンを脱ぐからベルトだけ外してくれ。さすがに君のような美少女に股座を漁られるのは…

‐最高だな!

君は嫌だろう?もっとも、俺のジョニーに触れたければ是非とも、壊れ物のように」

「わかりましたから!」

 

美少女が近付き、こちらのズボンのベルトに手をかける。

‐倒錯的だ!

‐馬鹿!俺も同じ年齢だ!

‐精神的にはお兄ちゃんだぜ!

‐侵略完了

‐魔力逆循環

淡いオレンジの光が更に赤みを増して橙が朱に変わる。

それに気付いた少女が後ろに下がろうとするが、甘い。

 

「フェイト!」

「…狼、動くな、喋るな。違えればこの少女を殺す」

 

‐あまり吼えてくれるな。弱く見えるぜ

カット。

 

「何が、目的?」

「目的?そうだな、君をこのまま縛り上げて四肢を壊死させるのは非常に面白そうだ」

「――クッ」

「が、まずは、そうだな。飯でも食おう」

「へ?」

「は?」

 

 

腹が減っては対談も出来ない。

‐先にトイレに行こう

‐下着も持ってな

‐ズボンに滲み出なくてよかったな

 

不幸中の幸い…とはまた違うか。

 

 

 

「うむ、我ながら美味く出来た」

 

レンゲで炒飯を掬いながら咀嚼する。

‐鎖解いて大丈夫なのか?

‐問題ない

‐元々お互い争う気がないからな

 

「………」

「確かに美味しいねぇ!」

 

‐狼は美人さんに変身しました。

‐獣耳とは…やりおるわ

‐尻尾をモフモフしたいお

‐金髪少女は睨んでるぜ

‐料理をな

「毒なんて入ってないから食べれば?」

「別にお腹が空いてる訳じゃ」

 

きゅるるる~……

 

‐おいおい、可愛らしい恐竜さんでもいるのかい?

‐金髪少女は真っ赤だぞ!

‐あれじゃね?催したんじゃね?

‐金髪少女の黄金水とは…

‐カット

カット!

 

「…ほら、あーん」

 

レンゲにご飯を掬い少女の口の前に持っていく。

‐あーんって…俺、あーんって

カット。

少女は口を開いてレンゲを口に含む。

目を少し見開いて、ムグムグとレンゲごと咀嚼する。

‐レンゲになりたい!

カット。

レンゲを引き抜き、あとは自分で食べなさいと自分の食事を再開。

‐レンゲが少女の唾液でテラテラだよ!

カット。

‐間接キスじゃないか!

カット。

‐向こうは気づいてないけどな

……カット。

 

 

 

 

 

 

「で、なんでこいつが欲しいんだ?」

「………」

「アンタ!どこから出してんだい!」

「左ポケットに決まってんだろ。内股内部にポケットとか普通に考えてないだろ」

 

‐愚息入れにもなりやしない

カット。

 

「なっ!騙したのかい?!」

「騙したなんて人聞きの悪い…ただ嘘を吐いただけさ」

「どっちも同じです!」

‐美少女と美女に怒られるなんて役得だ

「とにかく、何故譲らなければならないんだ?理由を言ってくれ」

「それは…」

 

口ごもる少女。隣にいる狼耳の美女は今にも噛みついて来そうだ。

‐可哀想だから渡そうぜ

‐可愛いから渡そうぜ!

‐渡したらもう会えなくなるぞ

‐厄介事に巻き込まれないならそれも良し

‐幼女と厄介事…どちらを取れと言うんだ!

‐願い事しようぜ!

‐それだ!

カット。

 

‐問題はこの幼女と関わって得か損か

‐未来的には得だろう

‐何故?

‐見てみろよ、美人だ

‐現在では損だろう

‐何故?

‐思い出せよ、黄色の鎌

 

「わかった、何も聞かずにコレは渡そう」

「あ、ありがとうございます!」

「ただし、条件が幾つかある」

「…………」

‐脱がそうぜ!

カット

「一つ、夕飯はここで食べること」

「へ?」

「二つ、別に敬語じゃなくていい」

「あ…うん」

「三つ、自己紹介をしよう」

 

見事にポカンとなった彼女達。

 

‐定期的に会う約束

‐付き合う人間を逃がさないようにするにはまず胃袋を掴めってね

‐胃袋を掴む…

‐男の場合ならたm

カット。

 

「俺の名前は御影 夕。多少魔法もかじってる、普通の子供だ」

 

魔法を使える一般人って一般人なのだろうか?

‐冤罪の罪人も罪人なのだから

‐人生を過ごす化物も化物なのだから

‐問題はない

 

 

「それは普通っていうのかい?」

「アンタのご主人様も魔法を知る普通の少女だろ?なら、俺だって普通だ」

 

狼耳女の言い分を華麗に見苦しい言い訳で返す。

‐普通の定義がわからんから異常も普通

‐どうも、異常者ですキリッ

‐病院に行きましょうね

‐逝ってらっしゃい

 

「私はフェイト・テスタロッサ…こっちは使い魔のアルフ」

「よろしく。テスタロッサ、アルフ」

「うん」

 

ジュエルシードを手渡しして、この日は終わり。

 

‐渡して逃げられる選択肢忘れてね?

あ……。

‐せんせー、バカがいまーす

‐こら、人に向かってバカって言ったらダメだろ。その人が自分がバカな事を理解したらどうするんだ!

‐うるさいバカ

‐ここまで全部自演

‐自演乙

 

カットカットカットカットカットカットカットカットカットカットカット!




*******************←文字稼ぎです、ご了承ください
~タイプY
Y=ようじょ。

~別のモノ
~ジョニー
~愚息
持っているのは男性と○○ナリだけ。コ○助ナリは持ってない。

~ズボンは汚さずにすんだ
怖いと漏れる

~黄金水
場所によっては聖水とも呼ばれる

~魔法知識
いつか判明

~コ○助ナリ
ボールとタライとホースで出来ているナリナリうるさいカラクリ。コロッケが好物らしい。



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