あぁ神様、お願いします   作:猫毛布

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17 猫耳一号二号

「……ここが無限書庫か」

「うん」

 

円柱の内部に入ったようで、その壁は本棚で天井が見えない。

‐素晴らしい空間だ

‐ここで邪魔さえ入らなければ実に有意義な時間が過ごせそうだ

 

「で…調べるのは、確か」

「闇の書。ベルカに関連してるらしいんだけど」

「了解」

「あ、あと昼にもう一人くるんだ」

「邪魔にならなきゃどうでもいいさ」

 

 

 

それに何らかの手掛かりは掴めるかもしれない。

‐解析魔法行使

‐解析魔法行使

‐お前はベルカの歴史

‐お前は闇の書が関わった事件を

‐お前はロストロギア関係を

‐お前は対処方法を

‐俺は春画を探す

 

「やっぱり、スゴいね」

「何がだよ」

「ユウの魔法展開だよ…大規模な解析魔法と小さいものが、五つ?あとは普通に喋れてるし」

「魔力はかなり少ないんだけどな」

 

アンヘルからの魔力を少しずつ自分に合うように転換してやっとなんだ。

‐春画が全く見つからないんだが

‐探せよ!もっと探せば見つかるよ!

‐どうせあるよ!

 

「あぁ、先に注意しとくが解析帯に触れるなよ。此方に入ってくる情報が混同する」

「うん。後から来る人にも伝えとくね」

「よろしく……じゃあ、少し真面目にやりますか……!」

 

瞼を閉じて、深呼吸する。片足を軽く上げて踵で地面を叩く。

‐春画が見つからない

‐解析魔法行使

‐解析魔法行使

‐解析魔法行使

‐行使

‐行使

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユウ!」

「………ん」

「魔力光が……!」

 

瞼を開ければ、フェイトと明るい茶髪のショタ、さらに猫耳二人。

ついでに展開してた魔方陣が濁った黒になってる。

‐アンヘルからの魔力供給増大

‐転換量を上回った

‐解析魔法遮断

‐情報は手に入ったし

 

「ふぅ……」

「大丈夫!?」

「大丈夫大丈夫。少し休めば元に戻るし…で、そちらさんが言ってた?」

「あ、どうも。ユーノ=スクライアです」

「あー…なんだ、ファミリーネームは後に回した方が?」

「えっと、普通で大丈夫です」

「なら、初めまして、スクライア。御影 夕でありんす。良しなに」

「よろしくお願いします」

「花魁言葉は苦手だからツッコミなくて喜ぶべきか、はたまたツッコミがない所を悲しめばいいのか…」

 

伸ばされた手を握り、軽い握手を交わす。

スクライアは首を傾げて何を言ってるかわからなさそうだ。

 

「私達は」

「あんたらはいいよ。聴いても覚える気がない。管理局員で一纏めにさせてもらうよ」

「なっ!?」

「もしくは猫耳さん一号二号」

「ユウ、駄目だよ」

「駄目じゃないさ。向こうはさっきのスクライアとの自己紹介で名前は知っている。俺は覚える気はない。つまり自己紹介された所で徒労だ。むしろ自己紹介分のエネルギーが確保されたんだ、感謝しろよ管理局」

「管理局になにか恨みでもあるの?」

「管理局になにも感謝してないのさ」

 

ニャーニャー五月蝿いな。

‐子猫が戯れてるなら可愛らしいんだがね

‐残念対象は猫耳の美少女だ

‐あれ?普通に可愛くね?

カット。管理局で無ければよかったのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー、器用だなぁ」

「解析魔法を多段展開してマトモに会話できる君には言われたくないよ」

「魔法一つでそれだけの本が読めたら、器用の内さ」

「そう…なのかな」

「そうさ」

 

俺は解析魔法があったから読書魔法なんて開発出来なかった。

‐いやはや、器用な頭だ

‐柔らかい頭を持つ人間はいいねぇ

 

「あ!ユウちゃんだ!」

「アリシア、ユウの邪魔しちゃダメだよ」

「今は何もしてないけどな」

「大丈夫だって」

「いや、ユウ…仕事してよ」

「スクライア、言われてるぞ」

「僕に振らないでよっ!」

「だ、そうだフェイト」

「もう……あれ?私が言ったのってユウだよね?」

「まぁ今は休憩中だ」

 

いやはや、中々に楽しいな。

‐弄りがいのある二人だ

‐反応がいいよな

 

「で、どうしたアリシア」

「お母さんからの論文とあと私が書いたデバイス理論」

「……デバイス?」

「え?」

「えっと、バルディッシュとか…計算代行って言えばわかりやすいのかな?もしくは魔法使いの杖?」

「あー、なるほど。わかった」

「……えっと、つまりミカゲはデバイス無しであんな数の解析魔法を行使してたの……?」

「計算機なんてなかった…というかスクライア、お前も似たような」

「全然違うよ!」

「まぁ落ち着けスクライア。ここから右に四列上に九段いった棚の左から二番目の本を調べて落ち着け」

 

‐春画だよ!

‐しかしながらデバイスねぇ

‐こんなのあったのか

‐杖は精々魔法行使を楽にするだけだと思ってたのに

 

「そんな感じだからデバイス理論に関しては詳しくないぞ」

「大丈夫だよ。ユウちゃんを信じてるから」

「信じるなよ……」

 

いや、まぁ期待されてるならやっちゃうよ?お兄さん頑張っちゃうよ?

 

 

「基礎理論は…」

「ここは無限書庫だよ?管理世界がすべて収まったと言っても過言ではないんだよ?」

「……探せと?」

「うんっ!」

 

ものスゴくいい笑顔で言われたよ。

‐諦めろよ

‐あー頑張りますよ、頑張りますよ

‐御代は君の身体をペロペ

‐カット

‐十年後辺りに、君の身体を撫で回したい

‐プレシアに殺されそうだ

‐というか、ドSだなぁ

‐あれだろ?国外でいうSなんだろ?

カット。

さて魔力も少し回復できたし。プレシアの魔力転換を適当に改変すれば中々効率はよさそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー…フレームがこれだともたないだろ」

「でもこれじゃないと、カートリッジをロードした時の魔力に耐えれないよ」

「いや、カートリッジのロード……まぁベルカの技術だけど、方法は幾らでもあるさ。余剰魔力を熱に変換して出せばある程度は大丈夫だ」

「でも、硬い方がよくない?」

「硬すぎるんだよ。あと重い」

「うーん…」

「別段固定砲台ならこのフレームでも大丈夫だろうが、近接職ならメンテ屋が発狂するぞ」

「……わかったもう少し考える」

「あぁ。理論の方は訂正したのと、余剰魔力を熱変換…もしくは空中に散布出来るような理論書いといたから確認しとけよ」

「ありがとう!流石ユウちゃん!」

「あとお前らの母親にも伝えてくれ。論文に煩悩が垣間見える止めてくれって」

 

 

論文には関与してないけど、ちょくちょく二人娘の自慢が混じるのはどうかと思う。

‐娘が愛らし過ぎて理論が出来た

‐なにそれ怖い

 

「さて、俺も仕事しようかね」

「頼むよ」

「スクライア、ようやく読み終わったか。トイレに行かなくて大丈夫かい?」

「読んでない!どうしてあんな本を」

「いや、右から二番目の本は古代ベルカの戦乱を纏めたモノだった筈だが…」

「…………右?」

「……右。間違えて別の本を取ったんじゃないか?」

「……なんか、ごめん」

「なに、気にするなって。間違いは誰にでもあるさ。さぁ仕事しよう」

「うん」

 

 

 

いやぁ…バレないものだなぁ。

‐さっき真面目な話をしてるのもあるんじゃないか

‐いやはや…まったく

‐ショタが真っ赤だよ!

‐誰か!この中にゲフンなお姉様はいらっしゃいませんか!

カット。そんなモノいたとしても、確実にこんな所にはいないだろうさ。




~猫耳一号二号
名前はまだない。筈はないのだけど、ミカゲが封殺。彼女達に名前はなかった

~デバイス
所有者を主とし主の為に魔導に必要な計算をしてくれる。喋るインテリや計算特化のストレージと種類は豊富。管理局の非常にレベルの高い腐ってしまった女性達はもっぱら無口なストレージと優しいインテリがどちらが攻めかで言い争っている

~ミカゲ ユウ
多重解析魔法を計算機なしでやっちゃう化け物。デバイス知識は皆無だったが、今回の話で理論は入手した。
ちなみに頭は柔らかくなく、幾度も繰り返した思考実験の元で結論を吐くので思考が柔らかく聞こえるだけ

~ミカゲの魔力光
ミカゲの魔力光は朱色(橙より赤い)だが、使用量が多いと濁った黒になる。さまざまな魔力光がアンヘルたんの中で沈殿した結果の色。使うときは濾過してから使いましょう

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