レイヴン「ウォルターは無能」ハンドラーウォルター「!?」   作:kisuzu

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よく考えたら、ACなんてもんに乗ってたら戦闘描写させるのにどうしても、自機体について言及できなくね?と思ったから無理やり三人称を入れた。普通にバカ


第1話

「ルビコンが近い、そいつを起こしてくれ」

 

無線機越しに渋い男の声が発される。無線を聞いている相手にソレを、猟犬を起こすように指示した。

 

その意図を伝えた直後、無線にノイズが迸る。しかしすぐにそれは収まり、今度は別の男の声が聞こえてきた。

 

それは聞き取りやすくするために、最低限の抑揚のみが付与された声だ。

 

『了解です、ハンドラーウォルター』 

 

一拍おいて、再び無機質な男の声が響く。

 

『脳深部コーラル管理デバイスを起動』 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

焼かれたような熱さを脳の奥に感じる。しかし同時に馴染み深い、どこか安堵を覚える感覚でもあった。

 

 

【起きる(???−4)】 

 

【そのまま眠る(永遠に)(リトライ+1)】

 

視界に見慣れた標準フォントの安っぽい白文字が現れる。

その内容を脳が認識すると同時に、最早長い付き合いになる異変に気がつく。

 

————何も感じない

 

先程まで身を揺らしていた推進加速燃料ロケットの慣性も、身体全体を包み込まれたような浮遊感も、そして自分の息遣いも。

 

文字通り何もだ。

全ては停止し、時間という概念を世界が忘れてしまったかのように、無音無動の世界が広がっていた。

 

自意識と、そして安っぽいレイアウトの選択肢だけが世界を構築していた。

 

そう、選択肢だ。ゲームのように示される、手抜きなUIデザイン。

 

私は、これに従って生きてきた。

 

自分で選択し、勝ち取る。

 

私はそんな過程を踏んだことはない。

 

この世界に生きる人々は、全員とは言わなくても、自分で考え抜いた選択肢に何かしら重大な決断をしたことがあるはずだ。

 

そんな中、私だけはいつも提示された選択肢に生かされてきた。

 

これが私の人生だ。20年以上生きてきた。しかし、未だに何一つとして自分で決断したことはない。選択肢を選んできたじゃないかと思うかもしれないが、拒否権のない二択だったりは選択とは言えないし、そもそも自分で考えた行動ではないのだ。

 

ずっとそうやって生きてきた。

そして、これからもそうだろう。

 

さて、これだけ自分語りと自問自答を繰り返しているが、依然として世界は静止したままだ。

 

以前に試したのだが、選択肢を選択しない限り、この状態は継続される。もちろん、私も一年とか待ったわけではない。ただ、昔ある選択肢に一ヶ月ほど逆らおうと耐えて頑張って、諦めた。

 

なので今は、この2択の中から選ばなきゃいけないわけだ。

そうしないと一生このままということになる。

 

当然、選ぶのは上だ。流石に作戦開始前からゲームオーバーになりたくはない。

 

【起きる】◦◦◦選択しました。

 

『強化人間C4-621覚醒しました』 

 

瞬間、世界に動きが戻り。感情を感じさせないCOMの声が強張った精神に安定を齎し、心臓は再び身体に血流を送り始めた。拍動が内蔵を僅かに揺らしたのを感じて、大きく息を吐く。

 

あっ、頭の袋カバーが息で曇った。

ていうか、息しずれぇんだよこれ!いい加減外せや!

 

そんな怒りも現実の前には無力だ。

 

推進ロケットの噴射の反作用によって大気圏へと動き出すと、その振動がいよいよ恐怖で怒りを抑制してしまった。

 

僅かに惑星の重力に引っ張られ始めたカプセル内で、これから起こることに身を詰まらせる。

 

「621、仕事の時間だ。突入カプセルの電源を落とす。あとは合図を待て」

 

【何で落とすん?やっぱやめません?(人格+3)】

 

【………(発言権+1)】

 

選択肢っ!お前も怖いのか。大丈夫だ、 一緒に切り抜けよう。

 

ちなみに選択にある右表記の意味に気がつくまで随分と苦労したのだが、ここで昔話をすると長いのでそれは割愛する。

 

よって端的に説明すると、どうも発言権というパラメータが存在し、それを消費することによって自ら会話が可能なようだ。

 

ようだ、とか他人事なのはこれが完全に仮説なのと、何となくそうなのだろうという経験則でしかないので、実際のところは分からないためだ。

 

しかし、自分の意思で会話もできないとか強化人間は不憫である。

 

と言いたいところだが、別にそういうわけではなく、生まれつきなのが辛い所だ。さらに言えば、具体的にどういう仕組みなのかは一切不明なのもそれに拍車を掛ける。

 

さっきはなんか偉そうに説明したが、発言権というのもかなり曖昧で、トークン形式で管理されるのか単語数で管理されるのかもいまいちわかっていないし、どういう条件で減るのかもよくわからない。

 

確かめようと思ったが、どれだけ使ったか表記が出るわけでもないので確かめようがなかった。

 

クソUIが!もっと色々表示しろや!

 

色々実験したかったが、発言権の意味に気がついた時には、既に適当に選択を繰り返した後だったので、発言権が自分にどのくらいあるのか分からなかったし、かと言って一回ゼロまで使い込んでから…とかもできなかった。

 

発言権がなくなるのは普通に恐怖だし、私みたいなのにとって、人生設計に致命的だ。だからいつも必要不可欠な場面では発言せず、発言権を上げるためクールキャラであり続けていたのだ。

 

 

その結果がこれだがな!

 

人権を剥奪され、汎用機動兵器ACの部品扱いである。おい選択肢ぃ!もっとまともな選択を用意しろ!

 

「今だ、起動しろ」

 

 

今度は外部から襲う凄まじい振動が内臓を揺らし、ポッド内の計器が明減する。あらゆる情報が非常事態を告げるが、サランラップたる私にできることは何もない。

 

そう、サランラップである。私は再起動と整備のために手術台に乗せられていた際に上から簀巻きにされたラップをそのまま纏ったままにACに乗り込んでいる。

 

バカなの?と思うかもしれないがこれも選択肢の選択だ。

 

認めよう、君の選択を!

 

突如、カプセルに凄まじいGがかかり、私は意識を手放した。

 

ーーーーーーー

 

「621、お前に意味を与えてやる。」

 

そう言って、メンテナンスのために被せられたポリエチレン製の梱包を取ろうと手を伸ばし、引っ張ると。抵抗が手に伝わった。しかしそれは反作用によるものではなく。強化人間C4-621の手が自らの頭部にすっぽりハマったポリ袋を剥がされまいと掴んでいた。まるで大切なモノが奪われるのを拒否するように。

 

 

「!?」

 

ウォルターの顔が驚愕に染まる。それを見ていた技師も口をぽっかりと開け唖然としていた。

 

 

それもそのはず、何せ数十年もコールドスリープ状態で保管していた旧型強化人間が、早々に意思を持ち、ましてや体を動かすなどあり得ないことだった。

しかもそれが先ほど起動したばかりの個体なら尚更である。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

そうして回想を終えると、真面目に生命の危機である現在に戻ってくる。

 

おはようございます。今目覚めたのだが、とんでもない速度で、しかも現在進行形で地面が近づいていっている。

 

いや…まぁ、カプセルはこういう時のためにあるんだし、大丈夫だよね?

ギリギリ生き残れる…と思いたい。

 

————大丈夫だ俺達にはカプセルさんがついてるぜ!

 

————足が折れるだけで済まないかなぁ

 

そうやって選択肢に振り回されたことで育ったあらゆる事態へ対する達観の精神(情緒不安定)で対抗…もとい諦めていると。

 

急にカプセルが爆発とともにパージされ、ACごと空中に放り出された。

 

ちょっとぉお!?カプセルさん!?

 

何あんた途中リタイアしてんの!?ていうか爆発する必要ありました?

 

あれか、あまりの熱量に耐え切れなかったんか!?グヌヌ…まぁ確かにビーム当たってたし大気圏突入時の熱さもあっただろうかから仕方ない。

 

まぁ、この機体は事前にしっかりと衝撃に備えたチューニングを施されているはずなので大丈夫だろう。

落ち着け…落ち着け…落ち…!?

 

心を落ち着かせていると、偶々メインカメラから見えた景色に度肝を抜かれた。

 

なんかちょっと私の機体、頭燃えてるんですけど!大丈夫なんですよね!?

 

 

あまりに急に変化した事態に、一瞬意識が暗転し…

 

 

気がついたら着地していた。

 

『ISB2262惑星ルビコン3に到着』

 

合成音声の落ち着いた声色とは裏腹に、背面ブースターの開口部が開き、機体が排熱のために高熱蒸気を吐き出す。

大気中に噴射された白煙はたちまち透明な気体となり、ルビコンの空気と混ざり合った。

 

【メインシステム 戦闘モードを起動 】

 

「座標は…グリッド135、少しズレたが許容範囲内だ」

 

どこがちょっとなんだか具体的に説明して欲しい。当初のブリーフィングだと突入カプセルを止めてステルスを起動したら、封鎖機構のアイボールには感知されないって話じゃなかったんですかねぇ…

 

ていうか、ここから地を這って目標地点まで移動し直したら燃料尽きるんだが?

 

これからはウォルター無能説を提唱していきたいと思う。全く冗談じゃないぞ、無能なハンドラーのもとで戦うパイロットは死ぬ運命ってそれ常識だから。

 

「この先のカタパルトを使え、それで帳尻が合う」

 

こいつ、行き当たりばったりだと?修正が必要だ…

 

そんな失礼極まる思考を操縦にはおくびにも出さず。ブースターを吹かせて道を直進していく。

 

ていうかどこだよここ?地図もないから完全なる手探りである。とりあえず一本道っぽいのでひたすら進んだ。

 

しかし…数十秒と持たずに障害にぶち当たる。

 

もう行き止まりじゃねぇえか!?

目の前には壁、まさかの障害(物理)である

 

深刻な障害が発生しています。ウォルターは直ちにどうにかしてください。

 

と思ったが、そこでふと思いつく。よく考えてみるとここに着くまでに幾つか屋根をぶち破っていたので上階があるはずだ。

 

そんな思いつきのもと、跳躍噴射を行い徐々に高度を上げていく。ある程度上がった所で、下を見下ろすと丸みを帯びた金属の地面が広がっていた。地面はどんどん遠ざかっていき…遠ざかる?

 

あっ、ヤベ、上げすぎた。

 

気づいた頃には想定よりだいぶ高い所にいた。丁度そこでENブースターがヒートアップする。

 

自然落下によって巨大なパイプに二脚を着地させると衝撃が体を襲ったが、強化人間なので大丈夫です。

 

嘘です。余裕で痛えぇ…

 

これはウォルターのこと言えねぇわ。

そのまま痛みのあまり動けずに、数秒間機体が停止する。

 

ダッセエ

 

 

「何をしている、621」

 

そんなバカをやっていると、我らがハンドラーウォルターから詰問を受けた。

 

ちなみに作戦中の映像は状況を把握し、適切な指示を出すために、または情報精査のために録画され、さらにはメインカメラを通して司令室に繋がっている。つまりさっきの意味不明な動きも全部見られていたというわけである。……死にってぇぇえ!何だよそれ!

 

そしてあのバカ丸出しの動きは全部録画されてったってことだよね?お見苦しい物をお見せしてすみません。

 

「不具合か?戻ったら調整する。今は作戦に集中しろ621」

 

いいえ大丈夫です。ただのドジなんで、と言いたい所だが、幸か不幸かウォルターには喋れないと思われているので喋らなくて済むのは逆にありがたかったかもしれない。

 

再度ブースターを吹かせて機体を加速させていき、大型通気口から下を見下ろすと、そこには確認できるだけでカードメカ4機の敵影があった。

 

MTですらない相手に苦戦する私ではない。これでも昔は企業のAC乗りだったのだ。…クビにされたけど。

 

なんか上司に泣き言を言ったら、「そんな軟弱野郎はウチにはいらん!」と荷物をまとめさせられ惑星に置き去りである。

 

酷くね?ていうか野郎じゃねぇし。

 

しかし、そこそこの精鋭部隊だったはずなので、私は強いはずなのである。

少なくとも、そんな考えを頭の片隅に住ませながらも、勝利できる程には。

 

ACの右肩部の装甲が寸分の狂いなく分離し、下から現れる四連装ミサイルランチャーが目標にロックオン。ミサイルの先端が赤く点滅し、ランチャーからミサイルが一発ずつ、互いに干渉しないよう一瞬の間隔を開けて飛び出す。空気を裂く音と共に、それぞれが高速で敵機に接近。

ミサイルが目標に到達する直前、敵メカの回避行動が始まるが、既に遅い。四発のミサイルが同時に命中、爆発する。炸裂した瞬間、猛烈な熱波が敵機を包み、装甲は即座に溶けて形状を失う。周囲の空気まで振動し、爆風が広がり、地面に残骸と煙が舞い上がる。

 

というわけでサクッと撃破。

 

いやー私って強ぇえわw。雑魚メカとか相手にもならん。

 

まぁ、ACでコレに負けてたら、自殺志願者だったんだなと思われるだけだが。

 

と若干調子に乗りながら右壁沿いに進んでいると、壁が切れたところでまたもや敵機が視界に入る。

地上に三機、最奥の壁に隣接する高台に一機。

 

壁から飛び出し、コンマ数秒

敵を認識し、すぐさま挨拶代わりの四連装ミサイルランチャーを2番目3番目に遠い敵に向けて展開。

 

一瞬の沈黙の後、ミサイルが四連射で飛び出し、敵メカへと猛スピードで接近。爆発の熱波が敵機を包み込み、一機が炎と煙に消える。

 

しかし、一機は回避した。

 

 

間髪開けずに、左部に収納されたブレードを閃光と共に斬り抜く。短い距離を一瞬で駆け抜け、放置していた一番手前の敵機に接近。一瞬の斬撃で、敵機は真っ二つに裂け、残骸が地面に散らばる。

 

高台にいる敵機と回避した敵機に同時にロックオンされたので、右にクイックブースターを吹かせ勢い良く加速、奥の敵の照準を外し、先に手前の敵機を撃破しようと試みる。

 

ACの右手に装備されたライフルの反動を抑えながら連射する。システムによって照準補正される高精度の射撃で、幾つもの弾丸が命中。回避した三機目が大破し、炎上する。

 

高火力ライフルの威力は、高台を取っていた敵機の装甲を容易に貫いた。

 

戦闘が終わり、私はその場で微動だにせず、次の命令を待つ。敵機の残骸と煙が風に舞い、戦場に静寂が広がる。

 

疲れたぁ!もうやだ!もう知らない土地で複雑なことは何も考えたくない!

 

おらぁ!とっとと指示しろやぁ!ハンドラーだろ!

 

と、半ばヤケクソの精神で待機していると、見かねたウォルターがすぐに目的地をマッピングしてくれた。視界にイカしたUIが現れ、さっき敵がいた一段高い通路に面したゲートに付けられる。

 

どこぞの選択肢とのエライ違いに、私は感動していた。無能とか言ってすみません。

 

 

 

水平カタパルトとやらを探している私だったが、どれがそうなのかよくわからん、適当に見て回ってたらウォルターが指示してくれるのでそれに従って、カタパルトらしきものに乗った。

 

なんかそこでぶらぶらしてたらウォルターがカタパルトにアクセスして動かしてくれた。

 

有能か?私は訝しんだ。

 

ーーーーーーーー

 

電磁式の水平カタパルトは、錆びついた骨組みとしてそこに鎮座していたが、その内部は未だに高度な科学の産物であった。複数の電磁コイルが線状に配置され、その長さはおよそ50メートルにも及んでいた。各コイルは厳密に調整された間隔で並べられ、その表面には絶縁材料で厚く覆われている。

 

コンデンサ群は、これらのコイルを活性化するためのエネルギー源であった。それぞれが容量を最大限にまで蓄積できるよう、冷却システムと並行して配置されていた。精密な制御ユニットがこれらのコンポーネントを一元管理し、どうやらそれを今はウォルターがアクセスして発射タイミングを操っているようだ。

 

そこに機体が乗ると、一瞬の内に制御ユニットからの信号がコンデンサへと送られる。コンデンサ群はゲージを急速に上昇させ、電流は高周波の振動とともにコイルに流れ込んだ。電磁場が形成され、その力場は一瞬にしてピークに達した。

 

「行くぞ、621」

 

その言葉と同時に、制御ユニットが全エネルギーの解放を指示した。コンデンサからの高電流が一気に電磁コイルに送られ、磁場が急激に強化された。その結果として、磁場中を通過する人型駆動汎用兵器「AC」は猛烈な加速を受け、一瞬のうちにカタパルトから飛び出す。

 

コンデンサ群は一瞬でエネルギーを放出し終え、冷却システムが作動して急速に温度を下げた。電磁コイルはその活性化から一瞬で静寂に戻り、磁場も急速に弱まった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

複数のセンサーとナビゲーションシステムが目的地への接近を精密に計算する。

 

大気中を疾走する間にも、機体は微妙な角度の調整を施し、目的地となる座標に向かって姿勢を維持し続けていた。

 

そうして、カタパルトの力を借りて空を飛んでいると、無線機を通してウォルターが宣う。

 

「この惑星でコーラルを手にすれば、お前のような…脳を焼かれた独立傭兵でも人生を買い戻せるだけの大金を得られるはずだ」

 

【当たりメェですよ、ハンドラー(???+3)】

 

【無駄さ、今更意味なんてないんだ。今ここで生きてることにも俺もあんたも、死人さ(リトライ+1)】

 

【…(発言権+1)】

 

【そうなれば良いですがね(好感度+1)】

 

何でこんなことで好感度上がるの?おかしいんか?

うーんこの選択肢の怖いところなのだが、どうにも法則性があり、上から順に様々なパターンで並ぶのだが、どうも右の表記が全てではないらしいのだ。

 

 

 

というのも、好感度+1を選んだのに発言権も1上がってたみたいなことがざらにある。選択肢の右に記述があるパラメータ、これは上から好感度、発言権だったり、発言権、???だったりすることがある。

 

特に順番は決まっていない、ただこの場合「???」は謎のパラメータ

で、好感度の可能性も発言権の可能性もあるのだ。

 

どういうことかお察しの方もいるだろうが、基本的にパラメータは固定で、好感度、発言権、リトライ、人格。という内訳だ。

 

だから「???」というパラメータが設定されている訳ではなさう…というのが私の見解だ。

 

つまり今回の「???」は人格だと分かる。

 

それぞれのパラメータについて説明していこう。

 

まずリトライ、これはそのままで、死んだりすると一定地点からやり直しになる。耳鳴りや、頭痛が続くが、それより問題なのは違う次元だか、並行世界なのか、装備や、人間関係や関係性に若干の差異があることもあるということだう

 

 

次に人格について、これは提示される選択肢や、無意識レベルでの行動に影響する。よく分かってない部分も多い。

普通に怖い。なんか乗っ取られようとしてない?大丈夫?私は恐れ知らずではないので、なるべく選ばないようにしている。

 

さらに、好感度というのも曖昧で、この場合はウォルターの好感度だと分かるが。複数人で会話をしていたりすると、誰の好感度を指しているのか分からない。

 

えぇーと思うだろうが、そこは流石の手抜きUI。いい加減さをそのフォントだけでなく、内容にも反映してきている。

 

 

と、説明を終えたところで選択ターイム!と言うわけだが、さっき言った通りウォルターは私のことは喋れないと思っている。というのも、引き取られて以降、会話となるとあまりに選択肢が無礼な口調しか提示しなかったので、飼い主を怒らせたくなかった私はずっと喋らない代わりに発言権をちょくちょく貯めていたのだ。

 

そんなこんなで今がある。だからここで急に流暢に喋り始めたら普通に怖い…というか気味悪いし、何で喋らなかったの?となるので、私は当然下を選んだ。

 

【…(発言権+1)】◦◦◦選択されました。

 

「…」

 

返答がないのは分かっていたからか、向こうもそれ以上は特に何も言わなかった。

汚染市街の様子がよく見える距離になってきたところで、ヤツが現れた。

 

そう、行動型選択肢である。

 

【普通に減速して着地(人格+1)】

 

【強化人間だしそのまま突っ込んでカッコよく着地(好感度+1)】

 

なぁにこれぇ?

 

どっちでもええやん。と思ったが意味のない選択肢はない。どんな選択肢でも必ずパラメータは設定される。

とりあえず、下を選択、さっきも言ったが人格は極力避けたい選択肢だ。

 

それに行動の伴う選択肢の場合は大抵の場合選んだ後は動きは自動か、もしくは補助がつく。

だから、まぁ失敗することはまずないだろう。であれば当然AC乗りとしてはカッコつけたい…つけたくない?

 

 

予想通り、体が勝手に動き、機体を完璧に制御し始める。よし、勝ったな。

 

 

好感度も上がるし、着地もカッコよくなること間違いなしで、今日の選択肢は珍しく冴えているじゃないかハハッ!

 

ところで…?地面が見えてきたのだが、これ大丈夫?減速したほうが良くない?すみません!見栄張りました!クソ怖いんで、やっぱり今からでも普通に着地をs

 

ドンッ!

 

ーーーーーーーー

 

地表が急速に近づくにつれて、ACの脚部に内蔵された高性能の衝撃吸収装置が稼働準備を始める。同時に、背部と脚部のスラスターが一斉に噴射されるため開口部がヒレのように開口する。

 

約10メートル以上の高さからの着地が予測されるため、地面への接触直前に全スラスターが最大出力で短時間噴射される。機体が下向きに進行していた速度は急激に減少し始める…ことはなかった

 

パイロットの高い自信の現れか、一切の減速を行わず空中で姿勢変更、そのまま二本脚で降り立とうとしている。

 

地面との距離がわずか数メートルにまで縮まった瞬間、ACの脚部衝撃吸収装置が完全に活性化する。ナノテクノロジーによって作られた特殊な液体が、高速で脚部の各関節に供給され、衝撃を吸収するためのクッションを形成する。

 

ついに接触の瞬間が訪れる。地面に触れた瞬間、衝撃吸収装置はその力の全てを発揮し、地面からの反力を効率よく分散させる。大地に激しく打ちつけられたはずの機体は、まるで羽毛のように軽く地面に着地する。

 

しかし、その静けさは一瞬のこと。着地によって生じた雪塵が周囲に広がり、強力なスラスターから吹き出された熱風がそれをさらに遠くへと押し飛ばす。地面には深い足跡と熱によって溶けた部分が残され、掻き乱された雪が少ないことが、この着地がいかに高度な技術を要したものであったかを物語っている。

 

機体は着地後すぐに冷却モードに切り替わり、各部のオーバーヒートを防ぐため、冷却液が全体に循環し始める。そして、猟犬は次の指示を静かに待つ、新たな戦場で。

 

ーーーーーーーー

 

再びの脊髄へのダイレクトアタック。

うーん、いかに強化人間といえど死にそうである。

 

「仕事を続けるぞ」

 

が、しかし我らが飼い主殿はそれを許してくれそうにない。

やっぱり帰っていいですかね?

 

「ACの残骸を探し、生きている傭兵ライセンスを探せ。密航者には身分証が必要だ」

 

そういう大事なことは先に言って?いやまぁ、おかしいとは思ったよ?結構強引な感じで密航すんだなって。

 

でもまさか、身分証現地調達とは思はないじゃないか!

 

はぁ、今更泣き言言ってもどうしようもない。

仕方ないから、目の前のことに集中しよう。

 

内蔵スピーカーから流れる声に従って、猟犬は狩を始める

 




続かん
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