メインシステム、戦闘モード起動   作:留式

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『登録番号Rb23、コールサイン、レイヴンによる認証を確認。安否不明(MIA)状態を解除。ユーザー権限を復旧します』

 

 最初の仕事を終えたあと、621はまず、傭兵ライセンスの認証を通す。

 

『傭兵支援システム「オールマインド」へようこそ。貴方の帰還を歓迎します、レイヴン』

 

 ウォルターからメッセージが来た。

 

『認証は通ったようだな。「レイヴン」、それがルビコンにおけるお前の身分となる。早速だが仕事を取ってきた。確認しろ、621』

 

 更に通知。オールマインドからだった。

 

『ユーザー権限復旧に伴うお知らせです。オールマインドは傭兵支援の一環として、戦闘技能教習シミュレータも提供しています。貴方のライセンスは休止状態にありました。多少のブランクもあることでしょう。教習項目を修了された傭兵各位には、褒賞として機体パーツも給付されるため、よろしければご活用ください』

 

 ちなみに教習内容は基本操作に関してだった。今後も増えていくらしい。それから改めて、621はウォルターの取ってきた依頼を確認した。

 

 依頼はふたつ。

 依頼主はいずれもルビコン進駐を行った星外企業勢力だった。

 

 ひとつはベイラムグループ傘下の大豊核心工業集団で、ルビコン解放戦線がベリウス南部の汚染市街に設置した移設型砲台と、ついでにMTを撃破してこいという内容。

 

 もうひとつはベイラムグループのライバル、アーキバスグループ傘下の、シュナイダー・インク。

 こちらは先ほど降り立ったグリッド135にて、大豊のMT部隊を殲滅せよという依頼だった。

 片方の依頼主に攻撃するわけだが、そこは独立傭兵。どちらの依頼を先に受けても、依頼取り下げはされない。企業間に存在する不文律だった。

 

 621は先にシュナイダーの依頼から受けた。

 身分を作ったので、次は実績づくりだ。とはいえ、簡単な仕事だった。MTとヘリを蹴散らすだけだ。造作もない。

 

 

 

 

 

 

 ガレージに戻ると、オールマインドから通知。

 

『傭兵支援システム「オールマインド」よりお知らせします。登録番号Rb23、コールサイン、レイヴン。貴方の傭兵活動再開が確認されました。パーツショップの利用権限を復旧します』

 

 商売道具の売買ができるようになった。高いカスタマイズ性を誇るACをACたらしめる存在だ。

 621は早速ショップを見てみる。なお、商品の購入額と売却額は同じとのことだ。

 

 武装のラインナップを覗く。土着企業であるBAWS(BELIUS Applied Weapon Systems)製バーストライフル、ベイラムのハンドガン、大豊のバズーカ。

 特徴的なものとしては、左肩のパルスシールド。このタキガワ・ハーモニクス製シールドは敵の攻撃に合わせて展開する形式をとっている。

 

 621の見る限り、バーストライフルは良さそうだった。攻撃力、衝撃力共に高性能で、軽量だ。セミオート式で、残弾の管理も容易に行える。

 

 フレームパーツは高いうえ、置いておくところがない。621はこの欄を無視した。

 

 続いて内装を見る。ブースタはまだ困っていない。FCSは余裕があったら変えるべきだと、621は判断した。

 ACの基本的な交戦距離、近距離と中距離のアシスト性能が、今搭載しているFCSの倍ある優れものが売られていたのだ。

 

 そしてジェネレータ。ラインナップにあるのはひとつ。

 大豊の「霊台」というモデルだ。

 

 EN出力、容量共に今のものより低くなるが、6割増しの供給復元性能と、2000という驚異的な補充性能が特徴だ。

 つまり、エネルギーの回復速度が速い。

 

 そうはいってもエネルギー管理がシビアになるから使い辛そう、というのが621の評価だったが、今のジェネレータよりはいい。購入する。

 

 結果、バーストライフルを2丁、4連装ミサイルを1基、FCSとジェネレータを新調することとなった。

 

 新しい機体構成はこうだ。

 

 武装は右腕にバーストライフル、左腕にパルスブレード。両肩に4連装ミサイルを搭載する。

 

 フレームは土着企業、RaD(Reuse and Development)製の探査用中量二脚フレーム「C-2000」。

 

 ノスタルジックなデザインの機体だ。脚部の付け根で主張する前方ブースタや、いかにも装甲をとってつけたような腕部。簡素な頭部で光るメインカメラが、見るものに素朴な印象を与える。

 

 探査ACらしく、EN負荷が極めて小さい。これは操縦にEN負荷が影響する第4世代にとって重要なことだった。

 

 内装はFCSがファーロンの第2世代、ミサイル特化を謳ったP10SLT。

 ブースタもファーロン製だ。こちらは第1世代のP10というモデル。名前が似ていて紛らわしい。このブースタは旧式だが低燃費で、水準以上の性能を発揮する。

 ジェネレータは大豊製「霊台」を搭載する。

 

 武装が一つ増えたのと、ジェネレータの重量分でスピードが僅かに落ちたが、EN供給効率は向上している。

 

 621は早速組み付ける。作業そのものは、設定さえすれば自動で行われる。そのため人手を必要としない。

 

 機体名は「ローダー4」といった。狩猟における装填役を意味する。4は第4世代の4だ。コアの先端部に小さく「C4 ARCHITECTURE N-621-491-04」と、621のフルネームが示されていた。

 

 内装を変更したから、上書きしないよう「LOADER 4.1」として621は保存する。

 データを分けておけば、瞬時に元の機体構成に戻すことが可能だ。

 

 新しい機体で、621は大豊の依頼に出撃した。

 グレネード持ちの敵がいたものの、これも簡単な仕事だった。

 

 

 

 

 

 

 帰投すると、再びオールマインドから連絡があった。

 

『登録番号Rb23、コールサイン、レイヴン。貴方の実績情報が更新されました。これより貴方には「ログハント・プログラム」への参加権限が付与されます。我々の指定する対象機体を撃破した際は、その戦闘ログを送信ください。参加者には送信件数に応じてパーツ提供が行われます。奮ってご参加ください』

 

 これはつまり、賞金首だ。提供パーツの一部ラインナップも添えられており、独自開発のフレームパーツがその存在を主張していた。

 

 そうこうしていると、大豊から名指しの依頼が入った。

 解放戦線の補給物資を搭載した輸送ヘリを、地上撃破しろという内容だ。

 

 この仕事も簡単だった。四脚のMTが出て来たが、ライフルとミサイル、ブレードのコンボの前には無力だった。

 

 帰投した621に、ウォルターからメッセージが届いた。

 

『戻ったか、621。企業にとってルビコン解放戦線は、コーラル調査領域を拡大するための障害となる。ルビコニアンから見れば、お前の行いは侵略への加担と映るだろうが』

 

 ウォルターは一瞬間を置いて、続けた。

 

『それも仕事だ』

 

 621の仕事は上々の滑り出しをみせていた。

 そのもとに、新たな依頼が届く。

 

 依頼名『テスターAC撃破』。621は初めての対AC戦に臨むこととなった。

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