サイヤマンユニバースAF グレートサイヤマンVSダーク・サイヤマン   作:無敵のカイロ・レン(邪悪な願い)

1 / 11
 でもオラは、おめえのこと本当の家族だと思ってるぞ(ソンゴクウ氏)


ダーク・サイヤマン襲来
ダーク・サイヤマンは激しい怒りをコントロールできない……


 サイヤ人、トランクスはタイムパトロール隊員である。

 ザマスとの戦いが終わり、恋人のマイと共に新たな未来に飛び立った彼は今、紆余曲折を経て宇宙から外れた時間の管理区「トキトキ都」で働いていた。

 

 トランクスはかつて、時空法に触れる禁忌を侵した。ドクターゲロによって造り出された人造人間によって蹂躙され、多くの戦士たちが散っていった地獄のような地球──その未来を変える為、彼は母ブルマが造り出したタイムマシンに乗って過去へと渡ったのだ。

 

 そこで彼は、本来確定していた筈の「孫悟空の病死」という歴史を改変した。

 

 それによって時空の流れは大きく分岐することとなった。

 孫悟空という多くの歴史に名を残す稀代の英雄の運命が書き換わったことで、本来存在する筈の無い新たな未来が拓かれたのである。

 トランクス自身も長時間滞在した過去の世界で過酷な修行をしたことで、それまでの超サイヤ人を遥かに超えた力を手に入れることができ、自らの未来でも悲願の人造人間討伐を果たすことができた。

 そして、セルも。その後に続く魔導師バビディの脅威も、彼という希望によって地球は乗り越えてみせたのだった。

 

 彼が来訪した過去の世界もまた、彼が救った孫悟空の活躍によって多くの人々が救われることとなった。

 どちらの世界にとっても、トランクスの行動は間違いなく世界を良い方向に変えていた。

 

 

 ──しかし、歴史の改ざんは重罪に相当する。

 

 

 正しい行いをしたつもりだったトランクスは、後にそれを罪と咎められることとなった。

 トランクスの行動は常に善行であったとは言え、本来在るべき時間の流れを強引にねじ曲げる行いだったのだ。それは厳正に取り決められた時空法において、最も許されざる悪行だった。

 

 罪の重さで判断すれば、即刻死罪を言い渡されてもおかしくはなかっただろう。

 しかしそんなトランクスに対して救いの手を差し伸べてくれたのが、今のトランクスの上司である時の界王神だった。

 

 時空の管理者として高い地位に立つ彼女は、先頭に立って彼を擁護した。

 

 彼のいた地球ではタイムマシンの技術自体過去に存在例のない代物であり、そもそもの前提として彼らには「時空法」などという法律が宇宙にあること自体知る由がなかったこと。

 何より時間を渡ったトランクスには決して悪意があったわけではなく、元をと言えば彼が時間を渡らざるを得ない状況まで追い込んだ「人造人間」などという悪魔を生み出した科学者にこそ問題があったのだと、彼を弁護してくれたのだ。

 

 そんな時の界王神の恩情によって、法に裁かれる筈だったトランクスは救われることとなった。

 

 そしてその恩義に報いる為に、彼は今、彼女の下でタイムパトロール隊員として働いている。

 タイムパトロール隊員の仕事は主に時空犯罪の取り締まりであり、時空犯罪者の中には宇宙の中でも並外れた力を持っている実力者が多い為、高い戦闘力を持つ彼の存在は万年人材不足のトキトキ都の中でも非常に重宝されていた。

 勤勉で生真面目な性格も含めて、客観的に見れば割と向いている仕事ではあったのだろう。トランクス自身もまた、ここに来るまでに住んでいた「自分がもう一人いる世界」よりも幾分気楽でいられる気がしていた。

 

 

 ──ゴクウブラックもザマスもいない。子供たちが生きているあの平和な世界にいると、ふとした拍子に胸が締め付けられるのだ。

 

 

 俺は彼らの笑顔を、何一つ守れなかったんだな……と。

 

 

 

 ……その点についてもトランクス自身も、自分にはこの仕事が向いているのではないかと思った。

 自らの利益の為に歴史を乱す凶悪な時空犯罪者たち。彼らと戦っている間だけは、鬱屈とした感情を忘れることができる気がしたから。

 

 

 そんな彼は今日も今日とて任務を受けて時空犯罪者を収監施設へ送り届けた後、このトキトキ都の重要施設の一つである「刻蔵庫」で書物を読み漁っていた。

 タイムパトロール隊員の仕事は主に時空犯罪者の取り締まりだが、犯人を捕まえればそれで解決というわけではない。時空犯罪によってねじ曲がってしまった歴史を修正し、本来の流れに戻す。そこまで終わらせて初めてタイムパトロール隊員による一連の任務は完遂となるのだ。

 

「時空の歪みは……今回は無さそうだな」

 

 トランクスは先ほど捕縛した時空犯罪者のいた時代の「時の巻物」を閲覧し、その内容を確認して安堵の息を吐く。

 この刻蔵庫に保管されている数多の「時の巻物」には、過去に起こった歴史上の出来事が映像記録として保存されており、本来の歴史を大きく改変してしまうような異常が発生した場合にはその影響がリアルタイムで更新されていく仕組みとなっていた。

 しかし彼が先ほど捕縛した時空犯罪者による歴史改変は、大宇宙の時代のうねりの中では然程大きな影響をもたらすものではなく、トランクスによる発見と対処が迅速だったのもあってか混乱的な「歪み」をもたらすことは無かった。

 その事実を確認した後で複雑な胸中になりながらトランクスは一人溜め息を吐いた。

 今日の任務は肉体的には何とも無いが、精神的に少しだけ来るものがあった。

 「俺の父ちゃんを殺し屋から助けることぐらい、見逃してくれてもいいじゃないかァ!」と泣き叫んでいた犯人の叫びを思い出すと、自身の過去も相まりつい同情的と言うか、気が滅入ってしまう。

 その相手は歴史の改変が犯罪であることを知っていた上で行っていたものだが……今回が初犯だったこともあり、彼のこともどうかかつての自分のように便宜を図ってもらえないだろうかと時の界王神への進言を考えながら、トランクスは時の巻物を元の棚に収めると刻蔵庫の外へ向かおうとする。

 

 

 ──その時だった。

 

 

 

 大地が揺れる。

 

 爆音が響く。

 

 トランクスは突如としてこのトキトキ都に、とてつもなく大きな「気」の出現を感知した。

 その気配はこの心臓に突き刺さるような鋭さを持っており、深く煮えたぎった闘志が渦巻いている。

 それは明らかに、訓練中のタイムパトロール隊員から発せられる「気」ではなかった。

 

「こ……この気は……っ」

 

 孫悟空──の「気」にしては、あまりにも荒々しく。

 

 ベジータ──の「気」にしては、あまりにも淀み過ぎている。

 

 

 今しがた知覚したこの「気」に対して不吉な印象を抱いたトランクスは、しかしどこか、比較の対象として挙げた二人にも似た懐かしさを感じていた。

 この強大な「気」を、トランクスは誰よりも知っている。

 

 それは、過去の世界で地球人類を恐怖に陥れた最強の人造人間セル──と対峙した、優しき心の中で激しい怒りを爆発させた少年の迸る力であり。

 

 

 ……トランクスが生まれた本来の世界では、彼のことを兄のように導いてくれた青年の「気」に似ていた。

 

 

 しかし、違う。

 この「気」は、彼とはあまりにも、決定的に違う。

 こんな禍々しい「気」が、彼のものである筈がない。なのに何故、こうも共通点を感じるのか。

 そもそも、あの人は十年以上も前に……

 

 

「っ……」

 

 気づいた頃にはその場を駆け出し、刻蔵庫の外へと飛び出していた。

 懐かしくも決定的に違う、不可思議で禍々しい「気」の元へと飛翔し、トランクスは急行していく。

 

 

「……ト……トランクスさん……」

「ッ!? 君は警備の……」

 

 彼がその場へ到着した時、最初に目にしたのはクレーターの空いた地の中でボロ雑巾のように横たわっているフロスト族の青年の姿だった。

 あの宇宙の帝王フリーザと同じ種族である青年は、しかしフリーザとは違って善の心を持ち、類い稀な才能を正しく世界平和の為に扱っていた正義漢である。

 時々何の前触れも無く唐突に怪しいダンスを踊り出したり妙な奇行に走ることがあるが、タイムパトロールの仕事に対してとても実直な性格であり、時の界王神からの覚えも良い期待の若手隊員だった。

 そんな彼は、この日は刻蔵庫周辺の警備を担当していた筈である。

 その戦闘力は高く、かつてトランクスが過去の世界で叩き切った当時のフリーザに近い実力を持っているのだが……その彼が今、息も絶え絶えに虚空を見つめていた。

 

「ひ、酷い怪我だ……今すぐ仙豆を持ってきます!」

「ぼ……僕に構わず奴を……奴を止めてください……」

「奴?」

 

 焼き焦がされた全身は、直ちに手当てしなければ生命力の高いフロスト族とて危うい状態である。

 急いで万能の治療薬である仙豆が保管されている医務室へ運ぼうとするトランクスのもとに、「奴」と呼ばれたその男は姿を現した。

 

「!!」

 

 心臓の鼓動が激しくなる。

 思考が乱れる。

 

 

 それは。

 

 やはり。

 

 あまりにも、トランクスの知る「彼」に似ていた。

 

 これほどまでに、禍々しく。

 

 これほどまでに、おぞましく感じるのに。

 

 似ても似つかない筈のその男の「気」とその顔は、トランクスの心には忘れられない既視感を抱かせていた。

 

 

「む……? お前は……」

 

 空からゆっくりと降下してきた男は、驚愕に目を見開いたトランクスの姿を見て口を開く。

 

 

「トランクス、か……? そうか……俺ではなく、お前が生き残った世界もあったんだな」

 

 

 その声も、知っている男のものだった。

 信じられない……あり得ない、と、トランクスの心にさらなる動揺が広がる。

 

「まさか……そんな……貴方はっ!」

 

 トランクスにとってその男は、十年以上も前に死んだ筈の人物だった。

 その身に纏う山吹色の道着ではなく、神聖な印象を受ける司祭の礼服にも似た白い胴着を纏っていたが──逆立った黄金色の髪に目元に刻まれた一筋の傷跡、そして何より郷愁にも似た感情を浮かべたその眼光は、トランクスが彼の「気」を感じた時から抱いていた疑心を確信に変えるものだった。

 

 

「悟飯さん……!」

 

 

 かつてトランクスを救い、導いた男──孫悟飯。

 

 黄金の超戦士(スーパー)サイヤ人に変身した姿でトランクスと相対した男の瞳は、彼が同じ時代を共に生きていた頃を想起するものだった。

 

 

 ──しかし、違う。

 

 

 今目の前に立っている青年からは、彼がよく知る人物とは決定的なまでに違っていた。

 いつだって優しく、温かかった筈の瞳は──どこまでも深く、深淵を覗いているかのように冷たかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、トキトキ都を──(スーパー)サイヤ人が襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時の巻物と共に刻蔵庫に保存されていた、宇宙の歴史が事細かに記載された「宇宙の年表」が、襲撃者によって強奪される事件が発生したのである。

 負傷者は二人。

 一人は刻蔵庫周辺の警備を担当していたフロスト族のタイムパトロール隊員。

 そしてもう一人は、現在のトキトキ都の最高戦力であるトランクスであった。

 どちらも後で駆けつけてきた時の界王神の救助によって命を落とすことは無かったが……トキトキ都の者たちが重大な事件の発生を認識するには十分すぎる出来事であった。

 

 

 そして、それから数日後のことである。

 

 

 

 

 

 

 

 全王様が一人、行方不明となり──「第一宇宙が消滅した」という報告が、神々を震撼させたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サイヤマンユニバース Alternative Future

 

 グレートサイヤマンVSダーク・サイヤマン

 

 

 




 次の映画の導入がこんな感じだったらいいなと思ったので初投稿です。
 多分最後はオラたちのパワーが勝つ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。