サイヤマンユニバースAF グレートサイヤマンVSダーク・サイヤマン 作:無敵のカイロ・レン(邪悪な願い)
全王宮──十二の宇宙とは別の場所にあり、界王神や破壊神、天使しか行くことができない全王の宮殿。
第七宇宙の老界王神でさえも三回しか訪れたことがない特別な聖域である。
巨大な青いクラゲの上に聳える「全」という文字を模した宮殿の周囲には、十二本の石柱が立ち並んでおり、石柱の上にはこの次元に存在する十二の宇宙の姿がそれぞれ浮かんでいた。
しかし、元々この場所に立っていた石柱は全部で十八本であり、宇宙もまた十八個存在していた筈だった。
今この場に六つほど石柱の数が足りないのは、かつてこの宮殿の主である全王がその手で「消してしまった」からである。
全王は現存する十二の宇宙を統べる神々の王であり、その神格は大界王神や破壊神よりも遥かに高い。
その気になれば全ての宇宙を一瞬で消すことも出来ると言われている彼は、見た目こそ可愛らしいものだが、この次元において誰よりも圧倒的な力を持っている彼の前では何人たりとも逆らうことは出来ず、絶対的な王として玉座に君臨していた。
その日、王宮内では普段と何ら変わりのない風景が広がっていた筈だった。
──事件は、あまりにも唐突に起こった。
この時代にいる全王と未来世界から来た全王。同一人物である二人が隣り合ったそれぞれの玉座に座りながら和気藹々と談笑していたその時──突如として彼らの背後の空間に亀裂が走り、穴が空いたのである。
その異変に最初に気付いたのは二人の使用人として玉座の間に控えていた付き人たちであり、広間から離れた場所にいた大神官もまた、即座にその侵入者の存在に気づいた。
しかし大神官が神速を飛ばして現場に到着した頃には、時既に遅かった。
その場に広がっていた光景に、大神官は驚愕に目を見開く。
異変を察知して辿り着いた玉座の間には……上半身が「破壊」され、無惨な姿で辺りに散乱している付き人たちの肉片と、物理的に玉座から引き摺り下ろされ、全身が鎖に縛り付けられた状態でモガモガと床に転がっている全王の姿があったのだ。
そしてその全王は二人の内一人しかおらず……未来の世界から来た方の、もう片方の姿がどこにも見当たらなかった。
しかし犯行現場である玉座の上には、犯人が残していったものと思われる一本の剣が突き刺さっていた。
大神官は無言でその剣を引き抜くと、煌びやかに飾りつけられたその剣の鍔を見つめる。
「! この、剣は……っ!」
この剣は、犯人が二人の付き人を殺害する為に使った凶器──ではない。
剣身に血の一滴も付いていないのもそうだが、剣で斬ったにしてはあまりにも不自然な形で殺害されている付き人たちの遺体を見れば、この手の現象に精通している大神官には即座に正しい情報を読み取ることができた。
剣を手に取った大神官は数拍の間この惨状を引き起こした人物について思考を巡らせた後、光の鎖でミノ巻きにされた全王の姿に目を移し──その剣を振り下ろした。
「ふーっ、助かったのね」
「申し訳ありません、全王様。私がいながら……」
剣の一振りで、全王の身動きを封じていた光の鎖を断ち切ったのである。
我ながら心臓に悪い拘束の解き方をしたと内心冷や汗を掻きながら、しかし大神官は、自らが下した推測が正しいとするならば、全王を捕らえていた鎖に素手で触れるのは危険と判断したのである。
「神の力だけを無力化する能力とは……」
彼が剣で断ち切った光の鎖は辺りに散らばると、朧のようにその場から消滅していく。
全能の神である全王様の力を封じていた光の鎖にしては、外部からの衝撃に対してはあまりにも脆かった。他の衝撃の前では脆弱だが、神に対してのみ絶対的な力を発揮する鎖──それを生み出すことができる存在に、彼は心当たりがあった。
「まさか……そんなことが」
「?」
不思議そうに首を傾げる全王を他所に、大神官は脳裏に犯人の姿を思い浮かべる。
永い時を神の世界で生き、この全王宮にいる誰よりも広い見識を持っている大神官にはその術について一度だけ、見覚えがあったのだ。
「……いや、彼女は既に消滅した筈。しかし、これは……」
それは信じ難い推測であったが故に、一度は首を振って自らの考えを否定しようとする。
しかしその人物以外の可能性が考えられないほどに、状況証拠は整いすぎていた。
全王の力を封じていた鎖だけではない。
何の前触れもなく異次元から現れては消えていく神出鬼没さも。
「生前」の彼女を象徴していたこの剣も。
付き人二人の肉体を跡形も残らず消し去ることができただろうに、わざわざ自分から「破壊」の痕跡を残すように中途半端な状態で残していたことも。
何より……慌てふためくこちらの反応を楽しむように、それらの情報をこれ見よがしに晒していった劇場的な犯行スタイルが、大神官の知るその「神」の特徴に当てはまっていたのだ。
「無から蘇ったと言うのですか……破壊神ルアリス」
苦虫を噛み潰したような顔で、大神官は忌むべき人物の名を呟く。
彼が「ルアリス」と呼んだその名前は、今となっては存在しない宇宙の一柱を意味していた。
──数日後、彼は第一宇宙が消滅したという報告を耳にした。
そしてさらにその数日後、ズタボロの姿で王宮に帰還してきた神官たちから寄せられた「だ……第十二宇宙が消滅しました……!」という報告に彼の疑念は確信へと変わり、この世界の命運に対してかつてない危機感を抱くこととなった。
それは一人の破壊神による神々への反逆か。それとも……
全王の一人が行方不明になったことと、人間レベルのツートップである第一宇宙と第十二宇宙の消滅。
いずれも宇宙の成り立ちを根本から揺るがす未曾有の大事件であったが、第七宇宙の辺境惑星で日常を謳歌する地球人たちにとっては、遙か彼方の世界で起こった知る術もない出来事である。
事件が起こったその日以来、大神官主導による全王及び犯人の捜索活動が不眠不休で行われているその時間軸の世界で、目の覚めるような青い地球は今日も平和な時間を過ごしていた。
しかしその時期は決して、のどかな春真っ盛りというわけではない。
それは地球人類にとって三年に一度開催される武道家たちの祭典、「天下一武道会」の第二十八回大会が直近に控えているからだ。
時はエイジ784。
言わずと知れた地球人類のスーパーヒーロー、ミスター・サタンが台頭した第二十四回大会以降、あらゆる武道武術の達人たちがしのぎを削り合う夢の武道大会は一大興行イベントとして人々から親しまれていた。
この日も町の人々の間では「やっぱり今年もミスター・サタンだろ! サタンが五連覇するよ!」「いや、今年こそ猛血虎が貰う!」「私のキラーノきゅんが最強よ!」「わしは30年天下一武道会を見ておるが……今年のミスター・ブウはいいぞ」などと、巷では老若男女が推しの武道家の活躍予想に盛り上がっていた。
そんなシーズンに入ると、特に英雄ミスター・サタンの名前を付けられたこの「サタンシティ」では各種メディアによるプロモーション活動が普段にも増して活発になっており、町は日中収まらぬ賑わいを見せていた。祭りの準備期間というのは、ともすれば祭り当日よりも盛り上がるものなのである。
そんなサタンシティのある日のこと。
白昼の日差しが眩しい時間、町の大通りでは迫る天下一武道会絡みの活気とは全く別の件として、非日常的な光景が広がっていた。
「~♪ ~♪♪」
その光景自体は何も、特別な出来事ではない。
ただ一人の少女が、ソフトクリームを片手に鼻歌を歌いながら街を歩いているだけだ。
しかしその少女が放つ圧倒的な存在感が闇雲に周囲の注目を集め、すれ違う者たち全員の心を引き込んでいたのである。
「んー! 地球の食べ物は特別美味しいって言うけど、これは想像以上かも……こんなのがちびっ子のお小遣いで買えるなんて、美食の基準が破壊されるよ~」
舌先から伝わってくる甘さと程良い冷たさ、噛まなくても口の中で溶けていくかつてない食感に対して、少女は周囲から注がれている視線に気づかないほど夢中になっていた。
美味しさのあまり白い頬をほんのりと紅潮させながら、その頬を押さえて「くぅ~っ」と内股で悶絶する姿は無邪気な子供のようにも見えたが、どことなく艶やかな色気を感じさせる仕草だった。
少女の歳の頃は10代半ばと言ったところか。
上下共に露出度の高いビキニ水着のような服を身に纏っており、その上を丈の短いパレオで覆うことでスラリとした肢体を慎ましやかに装っている。
この町の中でも一際浮世離れした服装は、まるで祭りのステージで踊る踊り子の衣装のようだった。
その衣装の合間から覗くみずみずしい白い肌にはシミひとつなく、身長とスタイルこそ150cm弱と小柄だったが、程よく均整とれたプロポーションは健康的な一方で官能的ですらある。
ふわりと背中まで下ろされた髪の色は赤く、パッチリと開いた瞳の色はサファイアのような透き通った青に煌めいている。
そして上質なベールで着飾った側頭部からは、くるりと山羊のようなツノが伸びていた。
一見アクセサリーのようにも見える二本の小さな銀色のツノは、少女自前のものである。それは彼女がこの星の人間ではないことの証であったが……逆に言えば人間離れした美貌以外には地球人との身体的特徴の差異はそのぐらいの為、行き交う町の人々は誰一人としてその事実に気づくことはなかった。
そんな能天気とも言えるこの星の人々の姿を視界から外すと、少女はふと空を見上げて呟く。
「この星の雰囲気、結構好きかも。ビルスが見逃すわけだね」
美食を売りにした惑星が真っ青になりそうな食べ物の美味しさと言い、やたらと重力が軽くて動きやすいことと言い──何より空が青いのが高評価である。
その身をあしらう踊り子のような衣装が青を基調としていることからも窺えるように、少女は地球の特徴とも言えるこの空の色が好きだった。
しかし見上げた空から町の景色に視線を戻してみると、やはりどこを向いても目についてくるアフロヘアーの中年男性の姿が気になった。
「聞いたことない名前だけど、ミスター・サタンって言うのはそんなに強いのかな? よっぽど凄い英傑なんだろうなぁ~」
この星に住んでいるであろう自分の知る人物を差し置いて、惑星一のヒーローとして定着した存在に対して感心しながら、少女はコーンに残ったアイスクリームを完食する。クリームだけではなく、入れ物に過ぎないコーンまで美味しかったのには彼女の味覚にとって衝撃的であった。何ならこれだけでも美食自慢の惑星が泣いて謝る代物だと思う。
「……はっ、いけないいけない。あまりの美味しさにトリップしちゃった」
唇に残ったクリームを舌で拭い取った後、少女は食事の後の夢見心地な思考を切り替える為、両腋をさらけ出すような姿勢で「んーっ」と声を漏らしながら背筋を伸ばしていく。依然多くの人々から注目を浴びているが、彼女はそれらの眼差しを一切気にしていなかった。
「だけど美味しいものを食べると、つい夢中になっちゃうよね~。久しぶりに良い気分だよ」
誰に語りかけるわけでもなく、そんな独り言を呟きながら満面の笑みを浮かべる。
そして──少女は軽快なステップを踏みながらその場でターンを決めると、その場から100m上のビルの屋上まで跳躍していった。
露出の多い格好をした美少女が幸せそうな顔でアイスクリームを舐めている姿に見惚れていたその場の者たちからしてみれば、少女が不意に見せた人外的な行動は自分の頭がおかしくなったのかとしか思えない光景だった。
一体何が起こったのか……あの子は何者だったのだろう? 俺らが見た幻想だったのではないかと混乱する下界の風景を置き去りにした後で、少女は自分以外の者がいない涼やかな高所からサタンシティの町を見下ろした。
「いい気分だ。よーし、こんなに美味しい食べ物を生み出してくれたこの星の子たちに敬意を払って、お礼のダンスを踊っちゃおーっと」
透明なベールの下にイタズラっぽい笑みを浮かべると、少女は腰のパレオを靡かせながら両手を広げる。
瞬間、少女の立つビルの屋上は、彼女による一人舞台へと姿を変えた。
タイトルは「破壊神の祝福」と言ったところか。水面を跳ね回るような軽やかな足捌きを以て、少女は回り回って舞い踊る。
「フーンフーン、フフフーン、フフフフッフッフッフーン、フーッフフフッフッフフーン全ちゃんも~!」
時に力強く、時に優雅に。
可愛らしい声から紡がれるどこか怪しげなメロディーを垂れ流しながら、少女は屋上スペースを端から端まで円を描くように跳び回り、リズミカルなステップを刻んでいく。
神々しさすら感じる明らかに人間離れした運動量でひらりと舞い踊った少女は、ひとしきり踊り終えると青空に向かって両手を差し出し、唱えた。
「はい、解放」
──その瞬間、サタンシティに住む人々の「気」が、一斉に跳ね上がった。
人間の誰もがその肉体に秘めている「気」の潜在能力。
彼女はそれを、演舞を通した自らの術によって一度に何千人以上もの人々を対象に解放させたのである。
それと同じ能力を持つ者は、この星から遥か遠くにある聖域「界王神界」にいる。
しかし今しがた彼女が発動した術は魔女と合体したかの老界王神よりも圧倒的に短い時間と効果範囲を以て、大勢の人々に影響を与えてみせたのだ。
それは間違いなく、彼女だけが扱うことができる特殊な技能と言えた。
「私からのささやかなプレゼント、みんな喜んでくれたかなー?」
解放された力の量は個人差にもよるが、武道の人気が高いこの星の人々にとっては最適なプレゼントだろうと少女は自らの優しさを自画自賛する。
戦う者も戦わない者も、肉体が強くなることに越したことはないのだ。これならみんな喜んでくれる筈だよねと本心で期待しながら、ワクワクを百倍にした少女は逸る気持ちで柵の上に立ち、身を乗り出しながら町の様子を見渡していった。
「神」として洗練された千里眼が、人々の姿を映し出す。
「うわっ! なんだ!?」
「うわ、コップ握り潰すとかゴリラかよお前」
「お前も潰してるだろ!」
「ああー! 私のタブレットが!」
「ハンドルが! うわあああっ!?」
「サタンさんすげえ! パンチ一発でサンドバッグごと壁をぶっ壊したー!」
「えっすご……ま、まあ私に掛かればこのぐらい簡単なことだハッハッハッ! お前たちも精進するんだぞ!」
「流石ですミスター! サーターン! サーターン!」
……なんか、思っていたのと違う反応だった。一部を除いて。
自らの力が突然湧き上がったことに困惑するのは予想通りとしても、食器を握りつぶしたり通信端末を壊したりと、大多数の人々の間では力をありがたる以前の問題として自分自身の力に振り回されている姿が目についた。
車の運転中にハンドルを壊して交通事故を起こす者も相次ぎ、予想外な展開に少女は「あれー?」と気の抜けた声を漏らした。肉体が強化されたおかげで人的被害が皆無だったのは良かったが、いずれは彼女の望んだ光景ではなかった。
「うーん……おかしいな。もしかして、この星の子たちは力の使い方を知ってる子が少ないのかな? 地球人は力のコントロールが上手いって聞いたけど……」
彼女がやったことをわかりやすく説明するならば、5や4程度の戦闘力しかなかった者たちが突然100にまで上昇したようなものである。
それは少女からしてみれば誤差程度にしかならない本当にささやかなプレゼントに過ぎなかったが、客観的に見れば混乱が発生するのは至極当然のことだった。
これは善かれと思って悪いことをしちゃったかなと、彼らの力を善意で解放してしまった彼女はバツの悪い表情を浮かべた。
「ルアリス」
そんな少女の名を呼ぶ声が、ふと背後から聴こえた。
「あっおかえり。待ってたよー」
「……こんなところで何をしている?」
「踊ってた!」
「ルアリス」と──そう呼ばれた少女が振り向いた先には、聖者のような白い胴着を纏った黄金色の髪の青年の姿があった。その髪は天に向かって逆立っており、見据える瞳は翡翠の色を映している。
超サイヤ人──その姿を知る者は、誰もがそう呼ぶ。
彼はその姿でありながら、ルアリスが名を呼ばれるまで接近に気づかないほどにまでその力を抑えることができる。それだけでも青年の卓越した「気」のコントロール技術が窺い知れるものであろう。
そんな彼に対して流し目を向けた後、ルアリスは柵の上で器用にステップを踏みながら口を開く。
「地球は良い星だね。君のいた地球もこんな感じだったのかな?」
鼻歌混じりに柵の上をスキップすると、右脚で爪先立ちになりながら両手と左脚で体幹のバランスを取っていく。
地上から100メートルはある高層ビルの屋上で行うにはあまりにも危険な度胸試しだったが、少女からしてみれば自分が足を踏み外すことなど有り得ないし、そもそも落ちたところで何ともないことを熟知しているので何のスリルも感じなかった。
「楽しいビンッゴ! ……いや、もうちょっと前屈みだったかな。このぐらいだっけ?」と呟きながらそのまま柵の上で謎のダンスを続行する少女の言葉を無視し、青年は先の質問に答える。
「覚えていない。だけど俺が生まれる前の時代には、こういう景色があったのかもな」
「そっか」
彼が質問に答えるまでの間に要したしばしの沈黙から、その心情を推し量ったルアリスはぴょんと柵から降りると彼のもとへ歩み寄り──その顔から笑みを消した。
サファイアブルーの瞳で翡翠色の青年の目を見つめ、少女は訊ねる。
「第十二宇宙は、もう消してきた?」
その質問に、青年は彼女の望む答えを返す。
「ああ、破壊神も殺してきた」
「オッケー、お疲れ様! これでイワンに続いて二人目かぁ……ふふ、悔しがる大神官の顔が目に浮かぶよ」
「それはどうでもいいが、どこを拠点にするのか決めたのか?」
返答が満足のいくものであったことに喜んだルアリスは、その少女めいた無垢な顔に再び屈託の無い笑みを浮かべる。
「町の中を気ままにさすらって、嫌いな宇宙を消し去り、美味いアイスを食い美しい景色に酔う。こんなに楽しい時間は無いぜー」と……そう呟きながらはしゃぐルアリスはその場でまた踊り出すと、ビシッと青空を指差して宣言した。
「うん、決めた! ここを始まりの宇宙とする!」
楽しそうに告げたその言葉に対して、黄金色の髪の青年は表情一つ変えずに口を開く。
「……それをやるにはまだ、この宇宙には壊さなければならない障害がある」
「そうなんだよねー。なんか頭を打って性格が変わったらしいカカロットに、愉快な愛妻家になってるベジータ、それと……この宇宙の君も厄介そうだし、敵は多いね!」
全王の身はこの手に落ちた。
トキトキ都から奪ってきた宇宙の年表からは、自分がいなかった頃の銀河の状況を理解することができた。
後は、計画を進めていくだけだ。
自分たちがこれから行うことについて心を踊らせるルアリスに対して、青年は浮かれ気分の少女に忠告するような調子で告げた。
「そいつらも要注意だが、この宇宙には他にも何人か、破壊神に匹敵する存在がいるらしい」
「新しい変身を身に付けたフリーザと……ブロリーだっけ? 君が持ってきてくれた本で確認したけど、凄いよねこの宇宙。人材の宝庫で目移りしちゃう。なんでこんな宇宙がクソみたいな序列だったんだろ?」
「人材の宝庫すぎたんだろう。特にブロリーは神の力を持たずして、生身でビルスを超えた実力を持っている……お前の天敵だな」
「そだね。勝てるわけがないよー」
「ふざけてるのか?」
「うん」
注意深くこの宇宙の戦力に対して的確な評価を下す青年の心には、油断も慢心も無い。
そしてそれは、かつて「破壊神」として多くの武人を見てきた少女も同じだった。
故に──二人の野望は達成に向けて大胆不敵かつ、慎重な行動を行っていた。
これまでは。
「でも、君なら勝てるだろう? 頼りにしてるよ──ザイコー」
未来を見据えた二人の瞳はどこまでも美しく、どこまでも深い憎しみを宿していた。
ルアリスと、ザイコー。それがこの地球と、神々を巻き込んだ全宇宙存亡の危機を招くこととなる──新たな脅威の名前だった。
オリ主と言うかオリボスと言うかどちらかと言うとパラガスポジションだけど、出番が多くなりそうなので保険でオリ主タグを付けておきました。
ねっとり描写しましたが姿のイメージは大体ニィロウなのは内緒。