「フー……難しいな」
カカシ先生が僕が木の葉の里を嫌ってる事に関しては深くは追求してこない。
僕もその辺りについては深くは追求しないし、言及しない…………現実的な話、文句の1つでも言う暇があるのならば自分でどうにかすればいいだけの話で、僕はその事に関してめんどくさい、そこまで面倒を見る義務もやる気も無いと逃げている。
「片手では難しい……潔く千鳥の様な技を会得するのも頷くね」
光臨冷菓発起旋毛自来也双式ノ丸もとい螺旋丸を片手で出来るようになる特訓をしている。
第1段階と第2段階は既に終えている……最後の段階である留めると言う事が出来ていない。両手を使えば螺旋丸を使えるが、コレだと実戦向けの術じゃない……地獄の転生者養成所じゃ最低でも螺旋丸を使いこなせる様にはなれと言われているが、片手の螺旋丸は難易度が高いね。
カカシ先生が螺旋丸を多用せずに潔く千鳥を会得したのも頷ける。
とは言え、螺旋丸を使えること自体がカカシ先生的には凄まじいと言っている……あくまでも僕個人の意見だけども血筋じゃないと使えない専用の忍術、所謂血継限界と呼ばれる忍術以外ならば情報開示すれば大抵の術は会得難易度が大幅に下がる、シンプルに会得難易度が高すぎるのは情報が無いからだと思うね。
「ダァアアア!!クソっ!!」
「ナルト、焦るな、少しずつ成長してきてる証拠は確かに出来ている」
片手で螺旋丸を会得するために風船で頑張ってる真正面でサスケとナルトは木登りを行っている。
カカシ先生と一緒に帰ったあの日、ナルトはコッソリとサクラにコツを聞いたので少しだけ登る事が出来ている。サクラの様に一発で登る事が出来ていないけども、徐々に徐々に上に登る事が出来てる。
「赤羽とサクラちゃんは一発で成功してるってばよ!サスケの奴だって……」
チラリと視線をサスケに向けるナルト。
サスケはナルトと異なりサクラからのアドバイスを受けていない聞いていないけども、それでも登り切ることが出来ていない。
ナルトは一定量のチャクラを保つことが出来ていない、サスケは一定量のチャクラを保つことが出来ているけどもチャクラを多く使いすぎている、そんなところだね。
「僕だって一発で成功したわけじゃないさ……とは言え、キッカケの様な物は必要だね」
僕はそう言えばギターを取り出す。
「ナルト、サスケ、木登りのコツを掴みたいならば力を貸すよ……」
「サクラちゃんからコツを聞いたから……前より進めてるってばよ!」
「…………どうすればいい?」
おや、意外な反応が帰ってきたね。
ナルトはサクラから聞いたコツを活かすのでアドバイスを受けたくないと言っているが、サスケは逆にどうすればいいのかを尋ねてくる。
ナルトは木登りをする。サスケはどうすればいいのかと真剣に聞く。
「今から君に幻術をかける」
「は?…………幻術なんぞ、精神攻撃にしか使えないだろう?」
「そうだね、幻術は精神や魂に干渉する術だ……1番最初にカカシ先生が歩いて木を歩いていたのは覚えているね?カカシ先生は僕達に最終的にはこうなるようになれと言った」
僕はそう言えばゆっくりと歩いて木の上を歩く。
サスケはそれがなにが関係しているのかと言いたいのでゆっくりと説明をする。
「今の僕は意識してチャクラを使っていない……そうだね、ごはんを食べる時にいただきますとごちそうさまを言うのと同じぐらいの感覚で足にチャクラを纏わせている」
「最終的にそうなるのは分かってる……だが、今の俺は意識して歩く事が出来ねえ」
「そう、じゃあその認識を変える……僕個人の意見だけども、サスケは単純に力を入れすぎているんだよ……興奮したり力んだりしないように脳に幻術をかける……まぁ、平たく言えば自己暗示だよ」
「……お前、そんな事が出来るのか?」
「出来るよ……ただし、あくまでもこれはキッカケで自分の本来の能力の一部を引き出しているに過ぎない」
幻術にかかっている事を認識しないレベルの幻術なんてそれこそ万華鏡写輪眼がなくちゃ出来ない。
僕の今の時点で使える幻術は痛みの感覚を麻痺させたりするぐらいの簡単な幻術、サスケにかけてもパワーを出しづらくする感じの幻術だよ。
「…………やってみてくれ」
「フー……
負けるたびに またひとつ強くなってく
マジ ピンチも 逃げることなど ありえナイ!
背中向けて目をそらさず
ライバルなら 自分自身!
超最強!
グズグズ ヘコまない!
ガッツリ ケちらせ!
ビビるな! ブチかませ!
カッコつけだけじゃない
自分と向き合え!
心の声 確かめろ!
「……歌う必要あったのか?」
「言葉には力が宿るものだよ…………僕が会得しようとしている忍術の中には印を結ばずに言葉だけの術もある。今聞いた音楽のおかげで君の気持ちは十二分に落ち着いている…………今回は烈しくビートを刻むのでなく一定のリズムを刻む。様々なサウンドでシンフォニーを生み出すのでなく、1つの楽器で一定のリズムを刻むだけ……」
何はともあれサスケに幻術をしかける事に成功している筈だよ。
僕の言っている事に関して疑いしか持っていないので普通に木登りをするのだが、一度も落ちる事なく頂上まで辿り着いた
「コレは……っ!?」
「言っただろ?幻術をかけたって……今の君は木登りの修行に必要なチャクラを纏わせるコントロールの基礎の部分のみしか出来ない様に精神を脳を経由して操っている。君は今、木登りに成功したと喜びたいけども、その感情を抑えてしまっている……その感情は今の君の木登りの修行を邪魔するものだからね……とりあえず体全体からチャクラを放出しなよ、そうすればその幻術は簡単に解けるから」
僕の幻術がホントに効果があったことに驚くサスケだけど、今のサスケは感情系の部分を幻術で支配下に置かれている。
変に興奮したり喜んだりする部分を制限されているから大喜びは出来ないので幻術を解除する様に言えばサスケはあっさりと幻術を解いた。
「よし……今度こそ!」
サスケはキッカケさえあればコツを掴めば大抵の事が出来る天才型なのでこれでよし。
今のでコツを掴んだのか今まで以上の高いところに登る事が出来たのだがナルトは相変わらずでサスケが順調に行っている事に関して嫉妬してた。
「ドーピングとかズルいってばよ!!」
「ドーピングじゃない、自己暗示だよ……ナルトも同じくやるかい?」
「……………………サスケとは違う方法はないってばよ?」
「フー……そうだね……いっそのこと、サスケみたいに凹ませるのはどうだい?」
「凹ませる?」
「よく見てみなよ、サスケは失敗した時は必ず足に纏わせるチャクラが多すぎたパターンだ。対する君はチャクラの少なすぎと維持が上手く出来ていない……だったらいっそのこと限界ギリギリまで引き出してみるのもいいことだ」
「でもさでもさ、それやったらサスケみたいに凹んで木を登れないじゃん?」
「うん……だからコツを掴むのにすればいいんだ。自分が限界ギリギリまで引き出してみたチャクラとさっきからやっている木登りのチャクラの中間を維持し続ける……最初は意識して最後はそれこそラーメンを啜るぐらいの感覚で出来るようになればいいと思う」
「おぉ!流石、赤羽!!」
「それほどでもないさ……」
頭が回っても実戦で使えるようになっているかどうかはまた話が別だ。
僕が理論や理屈、原理が分かっているシンプルな螺旋丸を片手で会得する事が出来ていないのがその証拠だよ。
利き手じゃない手で螺旋丸をやっているやっていないはいいわけだ、やろうと思えば自来也さんやカカシ先生も両手で螺旋丸を出せる。天才である四代目が会得に半年かかった。ナルトはやり方は違うけれども一応は螺旋丸を会得した……ふむ……
「方向性を変えてみるか」
螺旋丸の正しい使い方が正直なところ、よく分からない。
極端な話、チャクラを纏わせた掌底で殴打すれば敵を確実に仕留めれる。カブトの様に医療メス代わりにすることも出来るには出来るし、螺旋丸の必要性…………なんでも出来るのも考えものだね。
とはいえ、四代目が出来なさそうだった螺旋丸を投げるという事を僕は出来る。
これをどうにか派生させてと普通に螺旋丸を投げるがコレではチャクラ量が勿体無い。
確実に当てたり、相手の死角や不意打ちに使えないか……極端な話、飛雷神の術で相手をマーキングすれば確実に相手をしとめる事が出来るんだよね。
「フー…………止まれ」
螺旋丸を投げて空中でピタリと止める。
とりあえず思い浮かんだのは空中に触れるだけでアウトな爆弾を大量にバラまく事、空中に螺旋丸を大量に浮かせた状態で維持してみる。
螺旋丸を作ってしまえば割と簡単な事だから、十数個の螺旋丸を空中に維持する事が出来るがコレはコスパが悪いので圧縮螺旋丸を作る。螺旋丸以上の威力を秘めており螺旋丸以下の消費エネルギーをそこかしこにバラまく。これだったら触れればアウトな陣形を作れる……確かカービィのボスで攻撃してフィールドの端にある電流にぶつけないとダメージを与えられない奴が居たな。そんな感じかな。
「……名付けるならば蜻蛉螺旋丸……動き出せ」
空中でピタリと止まっている圧縮螺旋丸が一気に動き出す。
ドラベースのトンボールと螺旋丸を融合させた蜻蛉螺旋丸、何れは直角やUターンしたりする赤蜻蛉螺旋丸や空中で制止と移動を激しく繰り返す塩辛蜻蛉螺旋丸を会得したいね。
「フー…………なんだ、やれば出来るじゃないかい」
「ヘヘッ、コツを掴んだ気がするってばよ!」
「何時までもお前達に先を行かれては困るからな……うちはをなめるな!」
「じゃあ、第2段階に行こうか」
僕のアドバイスが上手く行ったようでサスケとナルトは本来よりも少しだけ早くに木登りを会得する。
開花の速度云々はさておきどちらも実際に忍術を扱う才能そのものはあるから、こうなったとしても大して驚かない。
カカシ先生も若い方が才能の開花や伸び代が高いと認めており、ナルトやサスケが木登りを終えた時に次の試練を与えてくれと言ってくれている。曲がりなりにも担当上忍なのに同じ下忍に頼み込むのは正気かなと聞けば固まってたよ……まぁ、別にいいんだけどね。
「第2段階?この修行に第2段階があるのか?」
「別に難しくないことだよ……ただ歌を歌いながら木登りをするだけさ」
「え〜……なんかこう、もっとドカン!としたのないの?」
「口で言うのは簡単だけど実際にやるのは難しいこと……はい」
ナルトとサスケに歌詞が書かれたメモを渡す。
「曲名を言うからそれを歌いながら木を登ってくれ、歌詞カードは見ていいからね」
「……歌わないとダメなのか?」
「歌わないとダメだよ。歌うということに関して意識を向けて、足にチャクラを纏わせることに関して意識を向けない訓練……楽譜を気にしながら演奏するバンドマンはバンドマンじゃない、暗記してやるのがギタリストさ」
「音楽関係ねえってばよ!」
「無駄口を叩かずに」
とにかくやってみてくれよ。
ナルトとサスケは僕の言っていることならばと一応の信頼と信用を得たので僕はギターを演奏する。
「人は誰でも幸せ探す、たびぃ!?」
「希望の星に巡りあっ!!」
ギターの演奏に合わせて木登りをするナルトとサスケだけど、歌うことに意識を割いて木登りに必要な足に纏わせるチャクラを疎かにする。
折角の名曲を綺麗に歌いきらないのは流石の僕も許すことは出来ないと木登りをしながら歌う
「汽車は闇を抜けて光の海へ
夢が散らばる無限の宇宙さ
星の架け橋渡ってゆこう
人はだれでも幸せ探す旅人の様なもの
希望の星に巡り合うまで歩き続けるだろう
きっと何時かは君も出会うさ 青い小鳥に」
「うぐっ…………」
ナルトとサスケの目の前で堂々とギターを弾きながら歌いながら木登りをする。
それを見たナルトはぐうの音も出ない。自分が全くと言って出来ていない事をサラリと成し遂げている。
「足にチャクラを纏わせることに意識を向けていれば、戦いなんて出来ないよ」
「………俺はやる!赤羽、さっさと演奏しろ!」
「フー……やれやれ、ガツガツ行くのは僕の好みじゃないんだけどね」
言っていることと理屈と理論にサスケは納得してくれる。
歌を歌いながら木登りが出来るようになれば意識を無理に割かずに木登りが出来る様になり戦闘に集中する事が出来る。
サスケはさっさと演奏しろと言ってくるので先程と違う曲を弾く。
「俺達は何時も2人で1つ」
「歌詞が違う。SI俺達は何時でもだ」
「……歌詞の部分は気にしなくてもいいだろう」
「大いにあるね!1人の音楽好きとして替え歌ならまだしも変に抜けてる歌は嫌い、音楽性の違い云々の話だ」
「サスケ、赤羽はこういうところあるから諦めろってばよ!」
「っち……」
因みにだけどもサクラは歌を歌いながらでも余裕で木を登る事が出来る。
前々から思ってたけどサクラはいったいなんなんだい?スゴい血筋じゃないのに物凄く才能がある……知識面も知恵の面も、最終的には精神力も強くなるし昔のよくある戦えない系のヒロインじゃないね。
「さて、そろそろ帰る……と言っても無理か」
歌を歌いながらでも木を登る事が出来る訓練は停滞している。
足にチャクラを纏わせることに集中すれば木を登る事が出来るようになっただけ大進歩、日が沈んで月が見えるようになったのでそろそろ帰る事を言おうとすればナルトとサスケはピクリとも動かなかった。
修行にチャクラを使いすぎてスタミナが全然残ってない……限界ギリギリまで頑張るのはいいことだけれども、後始末をする僕の身にもなってほしいね。
「ただいま戻りました」
「おう……どうだった?」
「アドバイスを送れば意識を集中させれば木登りは出来るようになりましたけど、歌を歌いながら、他の事に関して意識を割きながらの木登りはまだまだです」
「まっ、それをされちゃアカデミーの立場が無いからな…………いや、若い奴等の成長は早いな」
タズナさんの家に帰ればカカシ先生が寝ながらも成果を聞いてくる。
今までよりも一歩大きく前進する事に成功している、それだけでもカカシ先生はいいことだとウンウンと頷いている。
「とりあえず、寝かせますか……この様子だと食事も」
「飯は、食うってばよ……」
「食って風呂入ってから寝る……」
「君達、何時から起きてたんだい?」
この様子だと後は寝かせるぐらいしかないなと思っていると僕に担がれているナルトとサスケは動き出す。
僕が運んでいる間に僅かだけども体力が回復したみたいで食事を求めているのでタズナさんの娘さんの手料理を頂く。
その後はイナリが忍者なんてダサいだ夢なんて見ても無駄だなんだ言ってナルトがイナリとのイベントを発生させてる。
「カカシ先生」
「なんだ?」
「結局のところ、忍の増援来ませんね」
サクラは木登りを完璧に出来るのでタズナさんの護衛についている。
現段階のサクラは護衛の役に立つのか?と思ったのだが、そこは気にしちゃいけない。タズナさんや橋職人達を狙うガトーカンパニーからの魔の手から守るのが仕事だけども再不斬以降来ない。
「ま、そうだな。再不斬クラスの忍は早々に居ない、雇うのにも莫大な金がかかるし聞いた感じだとタズナさんの作っている橋は波の国の貿易の重要拠点だ。再不斬みたいな抜け忍ならまだしもちゃんとした国の傘下にある忍の里に依頼する事は早々に出来ない。依頼をすれば波の国の貿易に関わってしまうからな……ある意味、最初に再不斬が出てきてくれたのは幸運だったかもしれない。再不斬クラスの忍でも失敗するならば例え報酬が良くても早々に挑む奴はいない」
ほぼ毎日、カカシ先生が簡単に倒せるけれども忍が襲ってくると想像すれば怖いものだ。
ナルトとサスケは伸び代が尋常じゃない程に高い存在だから、この修行期間は非常にありがたい……が
「今度はあの偽の追い忍も敵として襲いかかってくる……」
「なに、大丈夫……サスケもナルトも物凄い速さで成長していってるし、何よりもお前が居るからな!」
「カカシ先生、そういうのをフラグという……」
とはいえ、下手に目立ちすぎているわけでもない。
再不斬が白を引き連れて今度こそはと襲いかかってくる……原作通りに事が運んでくれればそれで良し……原作ブレイクするのが転生者なんじゃないのかって?……いや、僕はそこまでの人間じゃないさ。