ホラゲーの世界に効果エフェクトが追加されました。 作:ulo-uno
『丑三参り』。
それはこの世とあの世の境が最も薄くなる宵の時間。
その中でも丑三つは鬼門に繋がる時間として古くから不吉なことが起こると言われる時間でもある。
そして煙の立つところには火があるようにそれには何かしらの下となる理由がある。
と言うのがこのゲームのあらすじである。
要するに夜な夜なお化けが出る的なそんな感じである。
そして陰陽師の主人公と同じく学校に通うその仲間たちはそんな怪異に立ち向かい事件を解決していくというものだ。
そしてこのゲームが一躍話題になったのはそのストーリー性やエンディングの数もあるがそれが一番の理由かと聞かれると首を振らざるを得ない。勿論横にだ。
このゲームが一躍人気を馳せたのはシーンごとに挟まれる叡智なシーンが主だろう。
それはもう叡智だ。
この叡智をおかずにした人の数は計り知れないだろう。
と言ってもほとんど意味をなさない年齢制限があったため肝心の叡智な場面は見れるわけではないのだが物語のストーリーから察するにもう致しているような言動やコマ挟み言い回しがたくさん含まれている。
まぁ、紳士諸君がお世話になるのも致し方ないだろう。
それに何といってもこのゲーム、叡智なシーンの範囲が広い。
何がとは言わないが合法げふんげふんに怪異との……まぁ、あれだそんな叡智が詰まっている。
原作では何とか逃げ出せているようにも見えるがそれがプレイヤーの想像力を掻き立てる。
もしかしたらと言い出したら止まらないのが俺達だ。
とまぁ長々と語ったが結局は俺もプレイヤーだったわけだ。
そしてその『丑三参り』の世界に転生してきた訳だがここでよくある小説のように自分から主人公に絡みに行くかと言われると断じて否である。
何故かと言われるとまず主人公の周りだが頻繁に怪異の類が起こる。と言うか自分から首を突っ込みに行く。
そしてなまじっか力があるせいで主人公自体は大丈夫でもその周りはそうとも行かない。
依頼者が物理的な意味で食われたりするのは当たり前。依頼者自体が怪異の黒幕だってこともある。
そんな世界に自分から行こうとするやつは居ないだろう。
そして何よりも危険なのが百瀬 小百合の先祖がマジでヤバい奴ということだ。
これは過去編と京都襲撃編で登場してくる鬼が小百合達一家の秘密について言及していることからも分かる。
何ならこの日本そのものを呪う事ができるくらいにやばすぎる奴だ。
以上の事から自分から主人公に近づくようなことはしない。
と思っていたのだがそれも今日失敗した。
何故ならいつも通り同級生の奴らと飼っている猫の様子を見に廃アパートに来ていたらそのまま寝てしまい帰ろうとしたところを偶然にも出くわしたからだ。
そして小百合の性格からしてこんな時間にこんなところに居る奴をそのまま返すわけがない。
何かと説教をし家まで送ってくれるだろう。それだけ彼女はお人好しなのだ。
しかし、それでは友人フラグが立ちかねない。そうなれば俺も怪異の類に巻き込まれることになる。
転生時にチートらしきものは貰っているとは言え所詮は効果エフェクト。相手の五感をごまかし錯乱させそうあるように見せるだけで実際は何も変わらない。
そんな俺が怪異の前に行けばどうなるか?
間違いなくくちゃくちゃにされるだろう。物理的に。
そんな未来は到底ごめん被る。
だからこそうっかり出くわしたと気づいたときにとっさに効果エフェクトを使った。
効果は冷気、霧、恐怖だ。
因みにだがこの効果エフェクトにも制限がある。それは同時に使えるエフェクトの数は3つまでと言う縛りだ。
この縛りが無ければ俺はもっと簡単にこの窮地を抜け出せたのかもしれない。
そしてことが過ぎた後に思った。
これもしかしなくても俺のこと怪異として探すフラグ建ってね?
それに気付いた時には既に後の祭りだった。
◆◆◆◆
あの後私たちは半ば逃げるようにあの廃アパートを後にした。
元々はあそこに猫又が住み着きここらの高校の生徒を惑わしているとの噂があったために確認もかねての調査だった。
確かに猫又は強力な鬼だがかといって対処できない程でもない。そもそも敵対すること自体が少ない怪異の一つだ。
なので今回も怪異を見つけやすい時間にここに調査しに来たわけであったがまさかあんなのが居るとは思いもよらなかった。
霧に包まれた人型の鬼。
あの凍り付きそうなほどの霊気を帯びていたあの鬼は今の私たちには……いや、お母さんでも無理かもしれない。
あんなのに勝てるのはそれこそ本家のおおばあ様くらいではなかろうか。
嘗ての日本には国をたやすく落とすことのできた怪異が蔓延っていたと聞く。あれもその類なのであればこの件は私だけでは荷が重すぎる。
そこまで考えふぅ……と長い息をつく。
此処まで逃げてきて疲労が体を支配している。
それはマイの方も同じなようで膝に手を突き肩で息をしている。
「はぁ……怖かった。何とかここまで逃げてこられたね」
「うん、そうだね」
いや違う。
見逃された。明らかに。確かに。
あの時アレはいつでも私達を始末できた。なのにそれをしなかったのはきっと気まぐれだ。
次があるとは思っていない。
そしてもし次があるのなら……
私はマイを守れるだろうか?