ホラゲーの世界に効果エフェクトが追加されました。   作:ulo-uno

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始まりの肆

どうも、三上 仁だ。

つい最近主人公たちを見かけた時にふと思ったのだがこの世界において俺の立場と言うものはどうなるのだろう。もしかすれば俺も陰陽師からすればやはり鬼として扱われるのだろうか。と言うか俺の唯一の知り合いである陰陽師も初めての会合では中々に敵意むき出しだったことを考えるとやはり陰陽師からすれば鬼として扱われるかもしれない。

まぁ、その陰陽師のおかげで俺に対する討伐案は握りつぶしてくれるから不安には思っていない。

 

この国には日本全土を同時に監視、観測する大結界と呼ばれるものが存在する。

そしてそれを張っているのが現存する最古の陰陽師……いや、霊媒師と呼ぶべきか。

 

霊媒師とは陰陽師や神職など霊感を持つ人を含めた総称の事だ。

だからそこまで強力でもない鬼が見えるだけの霊感を持ってる奴なんかも一応は霊媒師と言う事になる。

 

まぁなんだ。要するにそんな中でも一二を争うほどにバケモノじみたやつが居る。と言うかそいつこそが知り合いだ。

その名を壱与(いよ)

作中では大おばあ様と呼ばれている人物である。

外見こそ若々しく身長も153cmしかないのでそこらの中学か高校生と間違えられることが多い。

しかし、齢1800歳を超える若作りBBAだ。

そして俺が今のところ唯一関わりを持っている原作の登場人物でもある。

 

まぁ、関わりを持つきっかけの具体的な話はこの際省かせてもらうが簡単に纏めるとほんの遊び心で効果エフェクトを使って遊んでいたら見つかったというような感じだ。

まぁ、最初こそ殺伐としていたが今となっては親しいなかだ。

ふと街をぶらつくとたまに一緒にお茶をすることになる。俺のおごりで。

 

まぁ、陰陽師から俺に対する大々的な討伐が出ないと思えば安いものだ。

因みに最近の彼女の好物は駅前の苺タルトだったりする。週一回は必ず朝から並んでいるのを見かけるほどだ。

 

思うに彼女も色々と大変なのだろう。

今でこそ面影はなくなったがであった当初は原作同様まるで人形かと言うほどに表情が無かった。むしろ等身大の人形ですと言ってくれた方が納得しそうなほどに。

まぁ、1800年というものは彼女にとっても果てしなく長い月日だ。

それこそ言ってしまえば俺らみたいな凡人からしたら永遠に等しいほどに。

そんな悠久の中を彼女は別れ続けてきた。寿命や病、事故死に殉職した友と別れ続けてきた。

生きてきた時の流れを別れ続けてきた彼女は次第に心を閉ざすようになっていったのも当然と言えるだろう。

 

陰陽師において鬼とは即ち敵であり禁忌であり、その為陰陽師が死後鬼になることはできずそれゆえに式神になることもできない。

そして周りの陰陽師は彼女を敬うばかりで彼女自身を見ようとしなかった。

原作ではルート選択によって小百合と彼女の間に絆ができるシーンがある。

自分の事を唯一大おばあ様ではなく壱与として見てくれる小百合に対して心を開いて行った。

 

まぁ、独りぼっちは寂しいもんな。

そう言うところは彼女もまた普通と同じ人間なのだ。

 

でも仕事を放り出して遊びに来るのは果たしていいのだろうか?

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「はぁ……」

 

ああいかん。部下の前だというのにため息をついてしまった。

ああもうそんなに心配そうな顔をするな。一々私の言動や行動にかまうな。

きっと一度口に出てしまえば濁流のごとく吐き続けてしまうであろう愚痴を何とか心の底に押し込む。

 

部下も長年私の御世話を担当する侍女も私の行動一つ一つに反応する。

たかだかため息の一つや二つ誰でも吐きたくなる時があるだろうて。

 

これもどれもあ奴のせいだ。

あの男の事になるとどうも調子が出ない。

決して嫌いとかそう言う訳じゃなくむしろその逆であの男の為ならば大抵のことは成せる気がする。

しかし肝心のあの鈍感男、私の夢にわざわざ何度も出てきたくせに何のアプローチもなしだ。

何故私はこんな朴念仁を相手にせねばならん。チェンジじゃチェンジ。

 

まぁ、と言ってもあ奴以外に私を見てくれる奴も居ないだろうが。

 

そう考えると余計に腹が立ってきた。

今度また何か奢ってもらうとしよう。

 

「はぁ……」

 

再びため息をつく。

余計に不安がる周りが鬱陶しい。

 

こんなんだから此処は嫌いなのだ。

飯は確かに美味いが毒見やなんやらで必ず冷めた状態で出て来る。

なんだ毒見って。今更この私に毒ごときが効くと思っているのか?

そんなんだったら仁の作った大して上手くもない味噌汁の方がよっぽど美味い。

 

そう仁だ。

あ奴め、いつかやるだろうと思ってはいたがとうとう面倒事を持ってきおった。

それも原作きゃらとか言う百瀬家の次期当主がらみの一件とは。

ああ、いかん。頭痛がしてきたぞ。

 

「大おばあ様……」

「……」

 

そもそも大おばあ様ってなんだよ。

確かに歳はそうかもしれないが見た目はまだまだぴちぴちなんだぞ。

その言い方に悪意があると思えてならないのは私だけか?

普通に名前でよかろうて。壱与で。

 

まぁ、良い。

いや、決して良くはないが今更どうこうしようなどとは思えない。と言うかめんどくさい。

昔の私は良くこれを承認したな。

まぁ、他の事に関心なんて持てなかったと言うのもあるが。

 

そう考えると今の私になるきっかけをくれた仁には多大な恩がある。

本人の前では決して言いたくないが。

 

それに奴は私情だけではなく公的にも貴重な人材だ。

奴が私だけに教えたこの世界の最大の秘密。可能性の未来。

幾重にも分岐する木の枝のようなこの未来を()るあやつは公私ともにいてもらわなければならない存在となってしまった。

 

「少し席を外す。百瀬家の次期当主からの件だ」

「はっ、ではおつきの者を……」

 

それはだめだ。

あやつの事は私だけの秘密なのだ。

 

「要らぬ。邪魔になるだけだ」

「し、しかし……」

 

なお食い下がる部下。

コイツなめとるのか?

 

「余を心配するとは中々じゃのう。ええ?であればおぬしだけで行くか?」

「い、いえ。申し訳あるません!!」

 

む……少し言い過ぎたか。

これでは私が悪者みたいではないか。

 

「すまぬ。少し言い過ぎた」

「いえ、そんなことはありません」

「いや言い過ぎた。心配してくれるものに対しての態度ではなかったな」

 

まぁ、大人げなくはあったのは認める。

しかし、だ。

 

「かといって今回の件は他の者を連れて行くわけにはいかぬ。じゃが安心せい。此度の件については余の友故にな」

 

さてと久々にあの朴念仁を出迎えに行ってやろう。




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