ホラゲーの世界に効果エフェクトが追加されました。 作:ulo-uno
「お、なんか見っけ」
「何々?結構なお宝な感じ?」
時計の針がぐるりと回り空の光も絶った深い夜、瓦礫の山に登る二つの影があった。
彼らを照らす明かりはこの瓦礫の山に来るために使った車のヘッドライトとスマホの明かり程度。しかしながら彼等は何かを探してはその瓦礫の山……否、廃屋を荒らしていた。
「いや、見た目の割にかなり重たい感じの木箱なんだけど……開かないな」
そう言った一人の男が手に持つのは一辺が一尺(30.3cm)程度の正方形の木箱。木箱の周りには所狭しと文字が書かれているがかなり古いのモノなのか何と書いてあったは分からない。まぁ、もとより男たちが読めるようなものでもなかったが。
「なんかヤバそうじゃん。これ持って帰るつもりか?」
「当たり前だろ。いかにもヤバそうな箱ですって感じのいい雰囲気を出してんだ。動画のサムネイルにゃもってこいだろ」
「でもなんか嫌な予感がするんだよな……」
そう言ったもう一人の男は今一度箱を見る。
「多分だけど、これは本当に駄目な奴だと思うんだ。動画にするならもっと別のモノでもいいんじゃないか?」
そう言って男は足元にあった罅の入った壺を持ち上げる。
「ほらこの壺なんか多分昔は味噌か何かを入れてたやつだろうしそれがいい感じにこびりついてるからさ、新聞紙でも濡らして巻いて汚せばそれっぽいいい絵になるよ」
「駄目だ。それだと汚してるとこ見られでもしたら作りもんってすぐにばれちまうだろ?それに俺はこれがいいんだ。そんな壺なんかよりもこっちの方が再生回数も稼げるに決まってる」
「だがな、ホントにやばいもんだったらどうすんだよ?」
そうやって未だに怯える男を鼻で笑うような態度で一蹴する。
「ならこうしよう。今回の撮影は俺がやる。箱を開けるのも中身を調べるのも俺がやる。その代わり後で映像を送っとくから編集は任せる。今回は役割を分担する……どうだ、これなら文句もないだろ?」
そう言われた男はしばらく悩むそぶりを見せるが暫くすると男の提案にうなずいた。
「分かった。編集はいつも僕の担当だから何の負担にもならない。後で映像を送ってくれれば僕の方でそれっぽい題名を考えとく。完成したらいつも通りそっちに送るから改善する様な所が無ければ投稿しといて」
「うし!決まりだな。分解は俺の住んでるアパートでやっとくから帰りにお前の家によってブルーシート貰ってくわ」
「ちゃんと洗って帰してね」
「あいよ。……よし、車の運転は頼んだ。もう遅くなってるし安全運転で頼むぜ」
そう言って男たちは廃屋から去って行った。
◆◆◆◆
主人公との不意の会合もいざこざも過ぎ、漸くいつもの平和な日常に戻りつつある。
だがやはり平和とは言いつつもいざ蓋を開ければ危険なんざいくらでも転がってるようなどうしようもない日常だという事は変わらないのだが。
矛盾するだろって?
仕方ないどうせこの世はそんな
だから大切なことは表面上だけでも平和だってこと。これさえ叶っていればこの世は万々歳だ。
さて、主人公と言う名の突発的予測不可の災害を乗り切った訳だがだからと言って俺の生活に何か影響するわけでもない。朝起きて、飯を食い、学校に通って昼寝して、それでもって頭空っぽのまま帰宅して諸々の身支度を済ませて寝る。
要するにだらけてる生活が一番ってことだ。
だから、そんな一日が脅かされるのを俺は何よりも嫌っているのだ。
「何故またここにいる、聖歌隊」
「……その名前を知っていることについても色々と聞きたいところですが今日は貴方の処遇が本国より届いたので知らせに来マシタ」
本国とか言っていい事なのか?明らかに後ろに何かいるって言っているようなもんなんだが。
「別に我らの名前を知っているのデス。今更隠したところで無意味でショウ……隠し通すのもあなた相手ならば無意味なのかもしれませんガ」
「顔に出てたか?」
「ええ、顔に出やすいタイプでもないでショウにわざとらしイ」
無自覚だったんだがまぁ良しとしよう。
「で、俺の処分ってのは一体なんだ?まさか殺処?」
「それならばどれだけよかったことか……ですが本国の意見としては信仰の対象ではないがこの国における神霊の類であるならば手を出すのは危険であるため監視に留めるそうデス」
ま、そうなるか。何しろ神霊が相手では相手の力量の底が分からない。下手に手を出して個人が呪われる程度ならまだましだが組織単位で呪われるようではリスクとリターンが見合わない。
むしろ神霊であろうとお構いなしと言ったように封印してしまう陰陽師の連中がイカレてるだけか。
「で何でそれをわざわざ俺に?俺は別に神霊でも何でもないだろ?」
「ええ、ですので私としてはここで貴方を処分したいところなのですが本国としては現状において"霧鬼"の唯一の関係者である貴方を処分してしまえば霧鬼を見失う可能性が高いと判断しまシタ。だからこそこうしてまだその首が繫がったままでいるのデス」
さらっとえげつないことを滅茶苦茶いい笑顔で話すグレーシア。
そんなに嫌われるようなことをした覚えしかないので内心冷や汗で洪水が起こっている。
「あっそうでした。ついでに一つ聞きたいことがありマシテ、鈴木 水奈さんと橋森 涼子さんのご自宅って何処か分かりますカ?」
「鈴木と橋森って確か隣のクラスの……それなら箱川公園前の古いアパートの2階と5階にだったはずだ。どっちが何階とか部屋番号とかは忘れたから」
「そうですか。担任の先生から病欠の彼女らに自己紹介もかねて授業で使用した資料を持って行ってほしいと言われたのデスガ」
「あ?授業?自己紹介?」
なんか嫌な予感がしてきたぞ。
それじゃまるで───
「言い忘れていましたが貴方の監視の任務に当たるにおいて私"メゾーニャ・グレーシア"紫田高校に転校生として編入することになりまシタ。よろしくお願いしますね?ミスタ」
前言撤回、平和な日常なんてものは儚い夢だったようだ。
感想、誤字報告を下さった方々誠にありがとうございます。
漸く今回のお題を何にするか決まったので投稿しました。
一応はホラー、階段(←何が違うのかいまいちわかってない)をいろいろ漁ってるうちに結構怖い話を見てしまい夜中トイレに行くのが怖くなった筆者デス。
なるべく夜中は読まないようにしている筈なのにふと寝る前とかに思い出してしまうアレ何なんでしょうね?
フラッシュバック?
何はともあれまたぼちぼちと更新していきますのでどうか良ければまだまだお付き合い願います。