ホラゲーの世界に効果エフェクトが追加されました。   作:ulo-uno

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禁解匣 その弐

箱川公園前のアパート。

未だ太陽は高く上ってはいるものの学校終わりの放課後には付近の小学生等のたまり場になっているためこの街ではそれなりの活気があるスポットである。

 

「……の筈なんだけどな」

「来る道を間違えた……と言う訳ではなさそうですネ」

 

こんな所に俺を連れてきた張本人の顔を伺うかなり深刻な表情をしている。

監視と言う名目で無理やり同行させられたが今はそれどころではないと本人の直感が言っているようだ。じっとりと肌に重く感じるようなこの感覚は()()なものだと俺自身の人の本能がそう告げている。

 

「悪いが俺が同行できるのは此処までだ。俺はアンタらみたいに誰かの為に自分の命を秤には載せられない」

 

流石にこんなものが近くにあると分かって同行させられるのは勘弁だ。そう思い急いで回れ右してきた道を戻ろうとしたが後ろから延びてきた手がそれを阻止した。

 

「グェッ」

「無理に決まっているでショウ。私の受けた命令はアナタの監視デス。そう簡単に逃がす可能性を与えるような真似はできませン」

「だからと言って服を引っ張るな首が絞まる所だったぞ」

 

目の前の聖職者のその細い腕のどこにそんな力があるのか。いや、そもそも人であるかすら怪しい。むしろ人の皮を被ったゴr───

 

「そう言えば今更ながらアナタの手足を切り落として監禁してしまえばワタシの任務も楽になりますカ?」

「さぁ世の為人の為俺の為、原因究明と意気込みますか!!」

 

俺の本能が身の危険を感じた。

女性の勘と言うものは恐ろしいと言うのはフィクションではなかったという事か。

 

「とは言えこの辺りで昔から厄介な鬼が居たという言い伝えはなかった筈だ」

「霧鬼という例外があるもののワタシ個人としても同じ考えデス。それにこの辺り……いえ、この街全体は恐らくあの霧鬼のナワバリ。そんなところに他の強力な鬼が居ても互いにつぶし合いが過去に起こっていた筈」

 

鬼同士の縄張り、か。当然ながらそんな大層なモノがこの街にあるかどうか知らないが普通に鬼が出て来る辺りきっとそんなものは存在しない。

強力な鬼の縄張りでないなら別にそう問題ないかもしれないと思うが言い換えれば無法地帯と言う事でもある。

 

まぁ、大層な縄張りがないだけで神社や廃墟なんかにはいくつかの縄張りがあったりするものなので実際の所無法地帯になる所はほとんどない。

 

「ってことは外から流れ着いた可能性が高いかな?」

「十中八九そうでしょうネ」

 

となると妖しくなってくるのが公園かアパートのどちらかだろう。

 

「ワタシはアパートの方を確認します。公園の見回りはアナタがしてください」

 

は?馬鹿なのかコイツは。

さっきまで監視だとか言って逃がさなかったくせに見回りに行けとは。監視対象に対して逃げて下さいと言っている様なものだぞ。

 

「ああ、因みにですがもしお逃げになられた場合は必ず見つけ出して四肢をそぎ落としたのちに監禁しますのでそのつもりデ」

「分かったよ。俺は公園、アンタはアパート、分担作業で行こう」

 

そう言いつつ俺はカバンの中に仕舞っておいたスマホを取り出しあることを確認する。

 

「やっぱりな……圏外になってる。せめて別れる前に連絡手段くらいは教えてくれ」

 

やはりこういった心霊現象的なところではお約束と言うべきかスマホなどの携帯機器は使えなくなっていることが多い。

合流するにも居場所を知らせるにも連絡手段がない事にはいざというときに対処のしようがない。主に俺が危険になった時。

 

「それもそうすね。……あまり私物をあなたに貸したくはないのデスガし方ありませンいざというときはこれを使いなさい」

 

そう言って肩に下げたカバンから取り出すのは銀製の独特な光を反射する装飾が施された万年筆。

彼女はその筆先を外すと俺にソレを渡してきた。

 

「ペン型の単発銃デス。予備の弾丸はないのでお気を付けを。……トリガーはペンの中央にある十字架の装飾を強く押せば発射される仕組みデス」

「おいおい……学校にこんなものまで持ってきてたのかよ。物騒な野郎だな」

 

まぁ、元から物騒な組織ではあるしこのくらいは当たり前なのかもしれないが。

 

取り敢えず見た目が偽装されているとは言え物騒な物には変わりないので慎重に扱う。もしも万が一、暴発などでもしたら打ちどころによっては重傷じゃぁすまないだろう。

 

と渡されたペンの扱いに思案しているとふいに肩を強くつかまれる。

前を向くとにこやかな笑顔のはずなのに妙にどすの聞いた表情ですごんでくる彼女が居た。

 

「ど、どうしやした?」

「……おひとつ訂正してください。私は"物騒な野郎"ではありません。花のように可憐な乙女デス」

 

……そんなこと気にするんだこの人。

物騒オブザベストみたいな組織の物騒オブザイヤーを受賞しそうな人なのに"花のように可憐な乙女"?学校に暗器を平然と持ってくるような……やつはまぁいるが平然初見殺しを仕掛けてくる……奴もいるな。

あれ、よくよく考えると意外と普通なのか?

 

いやいやいや、目を覚ませ俺。こんないまにも肩を粉砕してきそうなやつが普通なんてどう考えてもおかしい。

危うく俺まで常識を見失いかけてた。

 

「いや、これは失礼した。"毒花のように可憐で物騒な乙女"と言うべきだった」

「そうそう……毒化のように可憐で…物騒な……は?」

「これにて失礼ッ!!」

 

さて追いつかれないうちに公園の見回りを終わらしてしまおう。

あーヒトダスケッテスバラシイナー。

 

「……後で覚えていなさイ」

 

ハハハ……スバラシイナー。




感想、誤字報告を下さった方々誠にありがとうございます。

投稿が遅くなってスイマセンでした。(n回目)
( TДT)ゴメンヨー



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