【IF】アヤベさんの妹に転生したけどこれキャラ崩壊する奴じゃんってなる話   作:煎餅さん

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これは本編が特定の条件を満たした場合に発生する一つの未来のカタチです

つまり見方によっては本編のネタバレです、そう言うのは苦手って人は撤退してください。ちなみに続きは考えてません、単発です

ちなみに上記条件は所謂アプリでの目標レース以外の対象レース、その勝利時の隠しエピソードが前提になります
また煎餅さんは競馬詳しくないので賞金とか諸々の計算雑に算出してるので、今後本編で走ったりするレース含めてもそんなに稼げなくね?ってのはご愛嬌と言う事でよろしくお願いします

ここからはこの話の簡単な説明として、トプアヤが結婚してます。ウマ娘が介せばウマ娘×ウマ娘・ウマ娘×ヒトミミ♀でも子が成せる時空となっています。それらが苦手な方も撤退してください
これはそんな世界での、義姉になったトプロとその義妹となったザーガのちょっとした小話となります。マジで勘の良い人とか多少競馬詳しいぞって人なら色々察せちゃうだろうなって内容詰めてる自覚あるので気を付けて読んで……


義姉と義妹

 トレセン学園を卒業し、早数年が過ぎた。

 

 姉さんことアドマイヤベガは元々の趣味であった天体観測が高じ、星空を専門としたカメラマンとなった。後輩でもあるマンハッタンカフェの薦めと指導もあり、気付けば登山と並行して行われていた。

 山岳の極地から撮影される星空は、それなりに人気がありそこそこ売れているんだとか。

 まぁ、別に売れなくても趣味の延長でしかないから問題は無いんだけど。売れたら撮影の為の旅費になるという事で助かるとかなんとか。

 

 次いで義姉のナリタトップロードだが、こちらは自身のトレーナーの薦めもあって子ども達のスポーツコーチをしている。興奮すると語彙が致命的になるのが難点ではあるが、普通に指導する分には問題無い為に今の所支障は無いとの事だ。

 スポーツと言っても、基本的に走る事に関する物を専門としている。こればかりは私達ウマ娘の宿命とも言えるが、まあ他のスポーツも出来ない訳じゃない。水泳とか最たる例だ。

 

 そして、私アナザーベガはと言えば。

 

 

 

「お見合い~?」

 

「ええ、今そういう話が来てるってお祖母ちゃんが言ってたわ。モテモテねザーガ」

 

 実家で、母と対面してそんな話をしていた。

 

 事の経緯としては、なまじ名家に連なる者ゆえに一人身であるならば是非にと、祖母経由で話が上がったという物だ。

 一人二人ならば私が身を固める予定が無い事など祖母は承知しているから、直ぐに断っていた筈だ。だが今回こうして私の下にまで話が回ってきたという事は、すなわちそういう声が多数あったという事だろう。

 

「私がというより、私の財産がモテてるだけじゃない?」

 

「思っても言わないモノよ? それにわざわざお祖母ちゃんを通せるって事は、貴女の財産なんてはした金に思える様な所の人ばかりよ?」

 

「それもそうか」

 

 意地悪で言ったつもりだったが、母からはそんな返答。

 言われてみればそうだ。それも私の様に一過性の物では無く、能動的に動く資産として有しているから20億に満たない額などはした金だろう。いやそんな認識できる奴と仲良く出来そうにないけどさ、レース賞金を自由に使えるようになって既に数年が経ったにも関わらず1億も消費出来ていないし私。

 

「アヤベもトップロードさんと結婚したし、貴女も誰か良い人見つけるのもありだと思うのよね。いい機会だし顔合わせだけでもしてみたら? 誰かイイ感じの人が居るかもだし」

 

 なんて事を言う母に、私は困った様に笑うしか出来ない。

 そうは言うが、珍しくもないというだけでこの世界ではウマ娘同士や同性での結婚はまだまだメジャーではない。まして名家に関わる事だと特にそうだ。

 というのもウマ娘同士やウマ娘と女性との間には、一般的にウマ娘しか生まれないのだ。長男を家長に立てるやや古い形態に囚われている名家にとって、私に男性をあてがうのは至極当然の流れではある。時折新しい形態を取り入れた所から、ヒトミミの女性やウマ娘がというのもあるらしいんだけどね。

 

「そうは言っても、私男の人とお付き合いする気は無いからなぁ」

 

「まあそうよね、昔からそう言って告白してきた子皆振ってるし」

 

 ただそんな理由があって根本的に、私自身がそういうお見合い相手に向いていないのである。この身体になって20年は経つし、確かに色々な出来事があって一人のウマ娘として、女性としての心持ちは出来た。それでも私は、推しがどうこうという考えを前世からずっと引っ張り続けていた身でもあった。

 

 要は前世での考えが、未だに定着したままなのだ。ウマ娘である以上、この身体が女性の物である自覚はキチンと持っている。だがそれはそれとして、恋愛観とかそういう部分に関しては未だに男性的な物のままなのである。

 あと前世だと百合至上主義でもあったので、男性とのお付き合いとか考えたくなかったし。姉さんもトプロと結婚したから良い物の、もし何処の誰とも知れない男とお付き合いしますとか行ったら卒倒してたかもしれない。

 

「そう言う訳だから、お祖母ちゃんには全部断って貰う様に伝えなきゃね……私からした方が良い?」

 

「いいわよ、こっちで伝えておくわ。それより貴女、就職は考えないの? いくら現役時代の自分のヒモになれると言っても、体裁があるでしょう」

 

「体裁ねぇ……分かってはいるんだけどね。でも下手に就職した先で色々言い寄られても、面倒だなって思っちゃう自分が居るのよね……」

 

 良くも悪くも私達姉妹は有名人になってしまったからなぁ。

 片や強敵が居る中でもダービーを制し、その後も覇王の凱旋に待ったをかけた流星。アドマイヤベガ。

 私も私で、大概な活躍をしている。20億近く稼いでいる、という点でまぁお察しだ。

 

 改めて振り返ると、下手をすれば姉を上回る勢いの活躍してるな。推しを立てろよと思わなくも無いが、これについては私の中に居るウマソウル由来の結果なので仕方がない。

 いやまぁ、ウマソウル由来だからこそ下手すると死んでたと思うと未だに寒気がするけどさ。

 

「それは有名税として諦めるしかないわね。それこそさっさと結婚しちゃった方が避けられそうだけど? アヤベやトップロードさんと要相談になるけど、数年前に施行された多重婚制度を使って貴女もトップロードさんと結婚するとか」

 

「ちょ、そういう冗談はやめてよ。ただでさえトプロ義姉さんが浮気しない様に見張っててって姉さんに言われてるのに、その浮気相手に私がなったら世話無いでしょ」

 

 急になんて事を言い出すんだこの母は。

 確かにそんな制度が出来たと、一時期話題にはなっていた。だからと言ってそれを自分が使おうとは思わない。それこそ自分が前世で嫌っていた、俗にいう『百合に挟まる』行為だ。

 加えて姉さんからトプロが浮気しないか見張っておけと命じられているのに、そんなのはごめんだ。いや本気ではなく冗談めかしたものだと分かってはいるが、だからこそ本当に浮気させたら後が怖い。

 

「大丈夫よ、制度を使うんだから浮気じゃないわ」

 

「詭弁が過ぎるわよ母さん……」

 

 確かに制度を使って結婚すれば形式上は浮気にはなりえないのだろうけど、そういう問題じゃないだろうに。

 そりゃ本人達との相談の上で決めたならその限りじゃないんだろうけど、誰がそんな話を切り出すんだ。恐くて出来ない。

 

 兎に角お見合いの話は全てお断りにして貰い、その日の話はそれでおしまいになった。

 弟達が帰って来たので出迎えて、おかえりのハグをしようとしたら避けられた。私は悲しい。

 

 

 

 

 

 

「で、そういう話をお義母さんから伺ったのですが。ザーガさんとしてはどうお考えですか?」

 

 そして場所は変わり、トプアヤの愛の巣。現在はヒマラヤに登山、もとい撮影へ向かっている姉さん不在のその場所に私は居た。

 寂しいのでお話ししましょうと誘われて、トプロに部屋に通された所で以前の話を蒸し返された。なんて事をするんだ母さんめ……。

 

「……私としては、あんまり乗り気じゃないかな。二人の間に割り込むみたいでさ」

 

「そんな事無いですよ、アヤベさんも話せば理解してくれますって。というか、現に前向きな考えを持っているみたいですよ?」

 

 前向きな考えを?

 どういうことだと思っていれば、ウマホを差し出すトプロ。不思議に思いながら画面を見れば、トプロと姉さんのLANEのトーク履歴だった。

 

『と、そんな話がお義母さんから上がっているんですがアヤベさん的に如何ですか?』

 

『事情は分かりました。帰国次第、制度を利用する方向で検討したいと思います』

 

 そんなやり取りが残っていた。やだ、私の姉夫婦コワイ。

 なんでこの人達こんなに重婚に積極的なの。

 

 

 

「それで、どうしますか? 形式だけ結婚して、生活は普段通りというのも可能ですけど」

 

 たっぷり頭を抱えて数分、長い溜息も済ませてからそう切り出された。

 

「それが出来るならそうしたいけど、トプロ義姉さん達としてはどうなの?」

 

「もちろんご一緒できるなら、同棲を希望しますよ。その方が家族って感じがして良いじゃないですか!」

 

 おお、眩しい。全くどうしてこうも眩しいのだろう、嫌いじゃないんだけど後光で目が潰れてしまう。

 

「アヤベさんも口にはしませんが、ザーガさんとこうして離れて暮らしているのを寂しがってます。加えて今は撮影の為に単身で海外に行ってしまいますから、ひとしおでしょう」

 

「学園での一件があるからなぁ。アレは原因が原因だったから仕方ないけど、それでもちょっと気まずい気はするな……」

 

 姉さんが私を求めてくれるのは嬉しいが、学園で起きた出来事がいまだに尾を引いている。ある意味原作のアヤベさんに近づいたと言えるが、長年仲良し姉妹として生きて来たから精神的に来るものがあった。

 そう言う訳で、姉さんが内面で寂しがっていても表面的にはあの態度だと思うと……。

 

「あはは、あれ以来すっかり変わっちゃいましたからね。でも、寂しがってるのは本当ですから」

 

「そこは疑ってないわよ、私じゃどうしようも出来なかった姉さんを助けてくれたのはトプロ義姉さんだし。それぐらい姉さんの事を見て、想ってくれてたのは妹として嬉しい限りだわ」

 

 本当に、嫉妬してしまうぐらい。もっともあの時の姉さんは、私限定で拒絶をしていたから仕方ないとも言えるが。

 

 いやうん、正直15年の歳月で中身が大人と思春期少女の間でグチャグチャになってる所にアレは堪えた。

 意図的な無視に加えて、あの扱いはキツイ。原因が分かっていたのがせめてもの救いだったけれど、もしも私が前世の知識が無い……もしくはウマ娘の知識を持たない存在だったらと思うと恐ろしい。

 

 もしかしたら今頃、私はこの世に居なかったかもしれない。

 

「あの時は本当に酷かったですからね……。でも、今はだいぶマシになりました。ザーガさんには後ろめたさがあるみたいで言いませんが、事ある毎に心配してますからね? 今更また姉として振舞って、赦されるのかしらって」

 

「赦すも何も、私は何時だって姉さんの妹なのに。いや、あの時自分を見失ってボロボロになってたのが言っても説得力無いけどさ……」

 

 いやうん、本当にあの時は酷かった。

 

 

 

 さて、いつの間にか話が長くなっていたらしい。気付けば外は真っ暗だった。

 

「あれ、そんなに時間経ってたっけ?」

 

「いえ、まだ夕方なのでこんなに暗くは……」

 

 しかしトプロの言う通り、時間を見れば夕方。今の時期ならまだ明るい時間だ。

 何故こんなに暗いのだろうと、外を見ようとして。

 

「きゃっ!」

 

 閃光と、ほぼ間髪入れずに雷鳴が鳴り響いた。

 ウマ娘はヒトよりも野性的な本能行動が強く出やすく、特に私の様にウマソウルの割合が強い場合はそれが顕著であった。

 

 とっさの防御姿勢。しかし場所も、姿勢も悪かった。上半身が浮遊感を覚え、倒れると理解する。

 だが突然の閃光と轟音に対する防御が優先されてしまい、受け身を取る事が出来ない。

 

 ああ、これは顔面から行くなぁ。盛大に転ぶとか何年ぶりだろう、小学一年生以来かな。なんて事を考えて、次第に近づく床と痛みに備えてギュっと目を瞑る。

 

「……大丈夫ですか?」

 

 そんな声が耳元でした。

 

「……ふぇ?」

 

 状況を確認する。

 

 確かに私は転んだ。そしてそのまま転倒して、床に顔を叩きつけるコースを取っていた。

 だが実際には、私の顔は何か柔らかい物に押し付けられていた。そして頭と、背中もがっちりと何かに掴まれている。

 

 耳をすませば、ドクドクとやや緊張気味な心音。私の物では無い。

 そして耳元でした声の主は、この場には私とナリタトップロードしか居ないので該当者は一人だけ。

 

「良かった、間に合った。……夕立でしょうか、凄い雷でしたね」

 

 ギュッ、と掴む力が強まる。

 私は今、トプロに抱き留められる形になっているらしい。顔を胸に押し当てられている状況から察するに、豊満なそれをクッション代わりに受け身を取れない私を庇ったらしい。

 

「あ、あの。もう大丈夫だから離して」

 

「ダメです。震え、止まってませんよ? ザーガさん、あの時から大きな音や光に弱くなってるんですよね、無理はしちゃダメです」

 

 あの時、とは私が自らの中に眠るウマソウルを自覚したときの事だ。

 その時から私は、一層速く走れるようになったのと引き換えに、半ば野性動物のような本能的な行動を抑えられなくなってしまった。

 流石に限度はあるが、今回のような生命危機に関わる物が特に抑えられない。大きい音や強い光を浴びると、一時的にパニックに陥るのだ。

 

 それをトプロは知っていた。姉さんとトレーナーにしか打ち明けていなかったから、きっと姉さんが伝えたのだろう。

 

「……ごめん、ありがとう」

 

 普段ならば推しの胸に顔を埋めるなんて言語道断だが、今回はそうも言っていられない。

 今でこそパニックも瞬間的なもので、すぐに復帰できるようになってきている。だがどうしても恐怖感は拭いきれず、寒くもないのに身体が震えるというのは抑えられなかった。

 普段はトレーナーや、関係が落ち着いてからは姉さんに手を繋いで貰ったりして落ち着かせていた。

 

「大丈夫です、アヤベさんは中々させてくれないのでむしろドンと来いですよ。……アヤベさんも、本当はこうしてあげたかったって、教えてくれた時に言ってたんです。だからまたこうなったら、是非甘えてあげてください。きっと喜んで、同じようにしてくれますよ」

 

 確かに、手を繋ぐだけよりもこうしている方がずっと心地よかった。

 姉さんも同じようにしてあげたいと、そう思っていたのかと考える。

 

 凄く、嬉しい。

 

「……帰ってきたら、頼んでみる」

 

「はい、そうしてあげてください」

 

 頭を抱え込むように掴んでいた手が離れ、しかしすぐにその手が戻ってくる。

 髪をすくように、彼女の手が私の頭を撫でる。とても心地良い。

 

「この感じだと、当分やみそうにありませんね。折角だから泊まって行ってください、雨が止んだらパパっと買い出しに出ちゃいましょう。止まなくてもパスタや作りおきがありますから、安心してください」

 

「うん……」

 

「────ええ、ですから今はゆっくり、おやすみなさい」

 

 魅力的な提案だなと、うつらうつらとする意識の合間に頷いた。

 

 けれどそれが最後の力だったらしく、ガクンと落ちるような錯覚と共に意識が遠退いていく。

 

「おやすみ、ねえさん」

 

 かろうじて、そのことばをのこす。

 

 いいゆめが、みれそうだ。




アヤベ:色々あって原作アヤベさん状態。卒業前の時点で色々解決してるけど、卒業後も引きずっちゃって姉妹の仲はあんまり良くない

ザーガ:上記の通り。ただ必要な連絡は常々取ってるから互いの近況が分からない訳じゃない。アヤベには留守中トプロが人の好さからくる人誑しで変な虫が付かない様にって意味合いで浮気しない様見張ってろと連絡を受ける

トプロ:人誑し。実の妹だからこそ出来なかった事をしたため実はザーガに嫉まれてる
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