廻り廻れ黒い◯子   作:天廻シーカ

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感想より質問あったので答えさせていただきます。

Q.あの数の精子いるのに釘崎が全部にダメージ与えられたの、呪力的にどうなの?
A.釘崎は今回魂そのものを傷つけるのではなく、身体を軽く傷つけることを選択しました。
そのため呪力が足りたという設定です。ごじょせんに刺しても呪力自体は大量に消費しなさそうだし、そういう感じで認識してもらえるとありがたいです。

作者自身知識が至らないところあると思いますが、よろしくお願いします。
黒い精子が村田版で強すぎるのもなんとかします。


4 特級術師受肉体・黒井

俺は、真希さんにコイツが呪霊じゃないと聞いた瞬間に耳を疑った。

だって明らかに呪霊なのだ。この見た目も、増殖した時の恐ろしさも、京都の先輩を一瞬でボコボコにする恐ろしさも。

これ全部含めて、ただの人間に出来ることじゃない。

 

「で、アンタはなんなんだ?

 昔の術師の受肉体といえど、こんな真似簡単に出来るわけがない。

 俺の聞いた限りだが東堂は京都校の方では最高戦力なんだぞ?」

「あー、そゆこと。

 オレ実は山籠りしてたからあんまり世間と関わってなかったんだわ。

 だからまあ身体いじったりとか、術式の鍛錬何十年も出来てたわけよ。

 それで知名度全然ないのかもしれねぇな。知らんけど」

「お前の術式、なんて言うんだ?」

「増殖術式。エネルギーがあれば身体を増やせる術式だよ。

 スゲーだろ」

 

すごいとかいう次元ではない。

さっきの戦闘時、あれ何体まで増えていたんだ。

100体?1000体?いやそれ以上だろう。

あんな数の暴力を喰らえば、普通の術師なら肉団子にされるのに1分もかからない。

 

「最初は大変だったんだぜ?

 100体が限度だったり、1000体が限度だったりな。

 鍛えに鍛えて、やっと今まできたわけよ。

 努力の賜物だ」

「で、今は何体まで増やせるの?」

「知らん」

「「は?」」

「もう増やせる数はわからん。数えることも出来ない」

 

化け物が。

やっぱりこの術師、特級まですでに成り上がっている。

少なくとも1級術師程度ではもう太刀打ち出来ないだろう。

 

「でも伏黒、コイツ別に敵対するつもりじゃないんでしょ?

 あの東堂ってやつとは練習試合をしてたっていうんだし」

「あのなぁ……、お前」

 

釘崎は呑気にしているが、実際俺もどうコイツを扱えばいいのかわからない。

だってコイツが協力関係を結んだのはあの五条先生だぞ?

五条先生を信じないわけではないしやる時はやる人だと思っているんだが、今あの人がちゃんとやる時だと思ってくれているのかわからない。

最悪別に勝てるからと適当に考えている可能性がある。

 

「そもそも協力関係がなんなのかもわかっちゃいねぇんだ。

 五条悟と手を組んでなんの益がある?これ系の術師は身の安全より自分の欲望を優先するタイプだぞ。

 そうじゃなきゃ山籠りして術式鍛えるとかしない」

 

俺が思っていたことを全て真希先輩が言ってくれた。

だが、これを聞いたヤツはやれやれと肩をすくめてため息をつく。

 

「オレが奴と協力関係を結んでるのは死にたくないからだよ。

 術式鍛えてたのは人間関係ダルくなったってのもある。だが今生では人と関わってみたくなってな。

 あ、そういや五条悟と縛りも結んでるし、てかそれ聞かねぇと信用出来ねーか。

 1.お互いがお互いのことを殺せるようになるまで互いに相手の仲間と思っている存在を攻撃しない。

 2.お互い相手のことを尊重する。

 これがオレたち2人のやった縛りだ」

「本当だな?」

「マジだ」

 

俺は即五条先生へ電話をかける。

そこから出てきたのは五条先生の完全に寛いでいる声。

うーん、縛りは事実らしいがこの舐め腐った様子は平気なのか?

先生から聞くと一応無下限はもう教えたらしい。力の差を知らせるって意味でやったんだろうか。

その後の先生の話を適当に聞き逃して、電話をそのまま切る。

 

「釘崎、真希先輩。あと真依先輩。

 一応マジでこの縛りは結んだらしい。

 いくら数増やせるって言っても五条先生の無下限は突破できないだろうから多分大丈夫、だと思う」

「だから言ったろ?

 オレはただ生き残りたいだけなんだ。

 五条悟に勝てる気がしないんだから人間に味方する、それだけだ」

 

事実言われても信用が無いんだよ、呆れられてもこっちが呆れたい。

信用があればこっちが疑うことはしないんだから。

せめて初手京都の先輩とのボコり合いで会いたくなかった。

いや、待て、京都の先輩?

 

「なんで京都の先輩がここにいるんすか。

 ここ東京ですよ」

「学長同士で交流会に向けての打ち合わせがあるのよ。

 それでどうせならってことで一緒に来たの。

 お友達が亡くなったって聞いたから様子気になったのもあるんだけどね」

「なにが言いたいんですか」

「器なんて言ってるけど、あなたたちの同級生は半分呪いの化け物でしょ?

 本当は死んで清々したんじゃないのかしら」

 

わかった。

この先輩、完全に煽りに来ている。

俺たちを煽ってどう出るかを見ているのだ。

だからこの煽りに乗ってはいけない。

 

「ちょっとアンタ、調子乗ってんじゃ──」

「おい、ひとついいか?」

 

激昂しかけた釘崎を止めて前に出るのは、例の受肉体。

体の外に一気に呪力を出していて完全に威嚇の姿勢に入っている。

だが威嚇といっても特級術師レベルの威嚇だ。俺たちの本気と呪力量が違う。

 

「俺、半分呪いの化け物なんだけど、言いたいことないか?」

「──ッ。ごめんなさいね。

 今の話はなかったことにしましょう」

「よくやった!」

 

釘崎、お前はソイツの肩をパンパン叩いているけどコイツはさっき自分のことを精子と言っていたぞ。

別にダメとは言わないが、女としてそれでいいのか?

 

「で、本当の理由は?

 まさか冷やかしって言うだけじゃないだろ、真依」

「東堂が一年生を見に来たいって言ってね。

 三年だから、今年で交流会最後なのよ彼。

 だからじゃないかしら」

「乙骨も今年は来ないし、秤先輩もどうせ来ないしな。

 1年の奴らを見に来たってのもアイツのことだしあり得るか」

「肝心のアイツは家入送りだがな」

「「「お前が送ったんだろうが」」」

 

ああ、なんか気が抜けた。

警戒してた俺が馬鹿だったのかもしれない。

実際コイツ敵意ないみたいだし話に普通に溶け込んでるしな。

 

 

 

「おお親友!

 さっきはありがとう。いい試合が出来た。

 交流会が楽しみだ」

 

は?

そんな声がした方をみると、遠くから猛スピードで走ってくる筋肉。

後ろのパンダと狗巻先輩より速いしあの人5分前まで怪我してたよな?

 

「ハァ、ハァ……!

 今日は久しぶりにお前と会えて良かった、俺としてはそれだけで大満足だ」

「思ったんだけどオレって交流会に参加していいの?

 そもそも交流会知らねぇんだけど」

「そうなのか、黒井!?」

「いやだってオレこの高校昨日来たし」

 

東堂が胸を張って筋肉が肥大し、さらにデカい筋肉の塊になる。

え、なんで今この人胸張ったんだ?

どういう心境?

 

「今年はどうなるかわからないが、例年京都校と東京校で呪術ありの競技が指定されてな。

 このままなら結構激しめなモノになりそうなんだ。黒井も楽しみだろ?」

「オレ参加出来るか分からねぇけど」

「そこは俺が学長にあとで掛け合う、安心しろ」

 

いやダメだろ、お前ですら1分しか止められない化け物が戦闘したら間違いなく全員圧殺されて終わりだろうが。

間違いなくアウト。絶対アウト。

 

「そういや俺の術式は説明したんだけど、お前らの術式ってなに?

 パンダとかマスクのお前とかの術式知りたいんだけど」

「あー、そう言えばみんな自己紹介してないのか!

 私も黒井に術式説明しといたほうがいいと思うし、みんなやる?

 黒井は過去の術師だし知ってること多くあるんじゃない?」

 

そんな黒井と釘崎の言葉で、なぜか自己紹介が始まろうとしている。

おい、東堂が震え始めてるけどなんか平気か。

どうした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の術式は増殖術式。

 エネルギーがあれば身体を増やせる。何体までかは知らん」

 

さっきも言っていた。

コイツが敵じゃなくて本当に良かった。

敵だったらマジで蹂躙されている。

 

「私は釘崎野薔薇。1年の紅一点よ。

 使うのは芻霊呪法。

 黒井もさっき食らったから分かるだろうけど、身体の一部があれば遠距離から呪い殺せるわ」

 

それを聞いてはえーという顔をする黒井。

コイツが真面目に聞いてるかわからないけど、次は俺の番。

──紅一点、か。今の1年は2人なんだがな。

 

「俺は伏黒恵。1年生だ。

 十種影法術っていう式神を扱う術式を使う。

 ちなみにさっき使った空を飛ぶ奴は鵺だ、よろしくな」

「さっきお前自体が飛び降りてたけど、もっと落とした時に火力出る式神とかいねーの?」

「俺はまだ式神全部を調伏出来てないんだよ」

「そうか」

 

よくそんなこと思いつくな、普通わからないだろ。

洞察力がすごい。

 

「俺はパンダ。呪骸だ。

 ぬいぐるみの体を持ってるが、普通の術師と同じと考えてくれ。

 戦ったら強いぞ?」

「そうか、楽しみだな」

 

黒井に軽くあしらわれてショボンとするパンダ先輩。

というか流石に無理がある、強いといってもさっきアンタも戦っただろうが。

標的が違ったら一瞬でボコボコにされてたぞ。

 

「しゃけ。

 ツナツナツナ。

 ツナマヨ」

「は?」

「ああ、狗巻は呪言を使う。

 他人に呪いを送り込む術式だな。

 いつもは暴発しないようにおにぎりの具で話してる」

「ツナツナマーヨマヨ」

「そういやアンタ、狗巻がめっちゃ喉痛めたらしいんだけどどうしてだ?

 なんか知ってる?」

「オレが強いからでは?」

「ツナー」

 

なんで真希先輩翻訳できるんすか。

いやこれは前から思っていたから今はいい。

だが、会話の内容からしてやっぱりコイツは化け物のように強いかも知れない。

 

「私は禪院真希だ。真希で呼べ。

 呪霊は素では見えねーがこうやって眼鏡をかけることで見えてる。

 あと基本は呪具で祓ってる」

「わかったお姉ちゃん!」

「お姉ちゃんじゃねぇブン殴るぞ」

 

黒井、完全に煽ってやがんな。

会ったばかりなのに扱い方わかるの早すぎだろう。

真希先輩もめちゃくちゃ嫌がってるわけじゃなさそうだからいいのか……?

 

「私は禪院真依。真依って呼んでくれると嬉しいわ。

 呪力は一応使えるけど、私も武器を使うことが多い。

 よろしくね」

「わかった禪院真依」

「なんだコイツ」

 

思わず口に出た。

なんか急に煽りモード終わってスンとなりやがった。

それを見て爆笑する釘崎。

少し真依先輩可哀想だぞ。

 

「じゃあ最後は俺だな!

 俺は東堂葵、高校3年生だ!

 術式はさっき体験した通り、でいいな親友だし前から会ってるし!

 高田ちゃんの握手会に行きたいです行っていいですか!?」

「「「声でっか」」」

 

うるさいうるさい。

というかなんで敬語になったんだよ、あと大声すぎてこえーよ。

ご自由に行ってくれ、そもそも勝手に来たのお前らだろ。

 

「親友、チケット2人分あるから一緒に行くぞ!」

「無理だろ見た目的に行けねーよ!」

「中学平気だったしいけるいける!

 いくぞ相棒!」

「いつから相棒にクラスチェンジしたんだよ!」

「うるせェ、行こう!!」

「「「うるせぇ!!!」」」

 

猛ダッシュで逃げる黒井にそれを猛ダッシュで追いかける東堂。

激しい砂埃と共に、地面がどんどん削られていく。

アメリカのコミックを実写で見ている感じだ。

 

「思ったより黒井面白そうじゃない?

 虎杖にも会わせたかったなぁ」

「──そうだな」

 

走り回る2人を見て、俺たち1年2人は静かにため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記録───2018年○月×日

 五重塔修理費 5500万円

 請求書由完全顕現

 これは、東堂葵と黒い精子、2人で半額ずつ払うものとする。

 

 

「──は?」




金欠の危機。

コミカルはコミカルに、シリアスはシリアスに行きます。
今だけは学園生活を楽しんでもいいと思うんです。
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