絶対にデレない敵役生徒   作:有機栽培茶

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2話連続投稿
ちょっと雑になっちゃったけどとりあえずの完結です。
本当はヒバナちゃんも幸せなハッピーエンドも考えてたけど、それだと後に続けなさそうだったし、それに多数決だからね。しょうがない。この国は民主主義だから。みんなのせいです。あーあ。

参考にしなくてもいいって言ったのは自分?何それ私の記憶にはありませんね。


終幕

 

 透き通るような青空の学園都市、キヴォトス。

 

 ここは学生達が当たり前のように銃火器を発砲し、喧嘩がわりに銃撃戦を行うような世界。

 

 特にゲヘナ学園では毎日のように行われている。

 そのため、テロ行為やクーデターが行われようと、そのほとんどは数週間、もしくは数日後には皆の記憶から消え失せてしまっているものだ。

 

 

「…はぁ。やあやあ先生。今日もわざわざご苦労様」

 

 

 それ故に数週間前に僕が起こしたテロ行為もまた、いつも通り過ぎていく日常によって押し流され忘れ去られてしまっているのだろう。

 

 別に、それはいい。害獣どもを駆除できなかったのは残念だが、やることはやった。僕はヒナちゃんと先生に全力を持って挑み、そして敗北した。それが全てだ。だからこれは終わったことであり、忘れ去られていく過去の出来事。

 

 そんなことを考えながら僕は呆れ顔で強化プラスチック越しにその例外とも言える存在を見つめ、ため息を吐く。

 

 

「はは…久しぶり、ヒバナちゃん」

 

 

 嗜好品でも買ってきてくれたのか紙袋を掲げてパイプ椅子に座る先生。もう一人ほど例外はいるのだが……全く、なんのようでこんなところに来ているのだか。こんな場所で時間を潰すほど暇じゃないんだろう君たちは。

 

 

「久しぶりと言っても昨日ぶりだけどね」

 

 

 再び深いため息を吐く。

 

 みんなもうわかっているだろうけど、ここは矯正局。悪いことをした子達に罰を与えていい子にしようっていう生温い思想でできた無駄な施設。

 

 そんなクソみたいな施設に彼女たちはわざわざ僕に会うためやってきているのだ。もし他の理由があるんだったらよかったんだが、わざわざこいつらは僕に会うためと断言しやがった。

 

 ほんと暇なのか君たちは。

 

 

 

「……で?今日はどんな理由をつけてやってきたんだい?確かに僕は暇だが……君達に会うよりも何も考えず寝ていた方が有益だと思っていてね」

「ひどいなあ……」

「こっちは本気で言ってるんだけどね」

 

 

 四度目のため息。

 

 

「で?さっさと今日の用事をすませてくれないかい?僕は今すぐにでも自分の部屋に帰りたいんだが」

「…じゃ、じゃあ、お願い」

「はぁー…馬鹿馬鹿しい」

 

 

 監視役の局長殿が強化プラスチックの小窓を開けると、僕はそこに手を突っ込む。すると待ってましたとばかりに先生はその頭の上に僕の手を乗せて要求してくるのだ。

 

 よしよししろ、と。

 

 ……馬鹿馬鹿しい。本当に、大人としてどうかと思うがね。さらにいえばこんなことをするだけで僕の刑期が短くなるなんて言い出した局長殿もどうかと思うけどね。まあやるけどさ。

 

 こんなことで僕みたいな凶悪犯が外に出られるようになるってちょっと考えたらやばくないかい?

 

 なんなら先生の他に、もう一人の例外ちゃんも要求してくるものだから、通常じゃありえないスピードで刑期が短くなってるんじゃないかな。

 

 馬鹿かな?

 

 

「……毎回思うんだけどさ。これ、そこのカンナちゃんにやって貰えばいいんじゃないかい。わざわざ僕がやる意味がわからない。疲れるしね」

「やだ。カンナじゃだめ。ヒバナがいい」

「な、あ……!?」

「ほらー、君がそんなこと言うからショック受けちゃってるよ。どーすんの」

「……」

「…はぁ。馬鹿馬鹿しい」

 

 

 どうしてこんなことに。何度も思ったその言葉は、しかし言わない。なんでってわかってるから。僕の自業自得ってことも、これが馬鹿な僕への罰だってことも痛いほどよくわかってる。

 

 だけど、だけどね。それでこのアホみたいな状況に納得できるかっつったら別なんだよ。

 

 

「……はいはい。もう時間は終わったでしょ?もういいな?」

「………………ありがと」

「そう思うんならさっさと離してくれないかな」

「………ごめん」

 

 

 ようやく解放された手を急いで小窓から引き抜く。

 

 

「はぁ……で?もう今日はこれで終わりでいいだろ?さっさと帰ってくれないかい?」

「…まだ、用事は終わってないよ」

「まだあるのかい?さっさと済ませてくれ。僕はもう疲れた」

「ちょっと待っててね……えっと、あった」

 

 

 そう言って先生が嗜好品が入っていると僕が勝手に思っていた紙袋から取り出したのは一枚の紙切れだった。それを彼女は若干の不安が混じった視線とともに僕に渡してくる。

 

 

「……これは?」

「シャーレの入部届」

「…へぇ?」

 

 

 一番上に大きく『シャーレ』、そして『入部届』と描かれた紙を手に取った。色々と細々とした注意事項や入部条件など細々としたものが書かれており、一番下には先生のサインを記入する場所と、それに並んで入部希望者のサインの記入欄がある。

 

 そして、一方の記入欄はすでに入れられていた。

 

 

「……ヒバナちゃんに、シャーレに入って欲しい」

「………で?」

「ヒバナちゃんがシャーレに入ってくれるなら、今の刑期を無視して最低限の自由を約束できるし、ヒバナちゃんがあの時言っていた『トリニティ及びゲヘナのいじめ問題』への活動についてもヒバナちゃん自身が参加できるようになる。それに私の立場なら、トリニティのトップであるティーパーティの3人と話すこともできる。……どう、かな」

 

 

 不安げに見上げてくる先生を僕は脚を組んで見下す。

 

 なるほどなるほどなるほどねぇ。

 

 確かに好条件だ。君たちに媚を売って出所の時を待つよりもただシャーレに入るだけで解放されるってのはいい。

 

 トリニティの害鳥どもと話すことができるってのも、良い。あの時は建前なんていったけど現状に不満がないわけではないし、僕としても“あの子”のような子が出るのは、不愉快だ。

 

 

 だけど……

 

 

「あ……」

 

 

 ビリっ、ビリっ。

 

 僕は先生に見せつけるように彼女の目の前でその書類を引き裂いた。

 

 

「悪いけど、断るよ」

「……どうして?」

「トリニティやゲヘナの害獣どもと同じ空気を吸うのはごめんだ。それに、僕自身誰かの下につくのは好きではないし……それが君なら尚更だ」

「……そっか。そんなに…私はヒバナちゃんに嫌われてたんだね」

「あっはっは!ようやく気づいた?でも遅かったね。僕の演技が上手かったのか、君が鈍感すぎたのか……どっちにしろ気づいてくれてよかったよ」

「………うん」

「ははは。そう悲しい顔しないでよ。ほら、周りを見てごらん?君には僕の代わりなんていくらでもいるんだからさ。さ、わかったのならさっさと帰りな」

 

「ヒバナ!貴様先生にそれは───」

「…カンナちゃん。……大丈夫」

「しかし…」

「私は、大丈夫だから。ね?」

「………はい」

 

 

 そう言うと先生は顔を伏せたままパイプ椅子から立ち上がり、僕に背を向け扉に手をかけた。

 

 

「……また、会いにくるから」

「結構。来なくていいよ」

 

 

 その言葉を最後に、彼女はようやく重くもないはずの扉をゆっくりと開けて部屋を出ていった。最後に局長殿に睨まれたが、そんなの怖くもなんともないさ。なんたって…

 

 

「……ぷ」

 

 

 ────あはははははは!!

 

 見たかいあの顔!傑作だ!あの先生が!生徒みんなの味方であると豪語する先生が!僕一人から拒絶されただけであんな死にそうな顔をするなんて!あー傑作。実に愉快。

 

 あの時ヒナちゃんと二人で僕を打ち破ったあの人が。あの子の時は救いにこなかったくせに主人公気取りでみんなのお悩み解決なんてしていた先生が。

 

 たった一人。ただの脇役風情にあんな顔を晒すなんて。

 

 これ以上に笑える話はないだろうね。

 

 

「あー笑った笑った。今夜はよく眠れそうだ」

 

 

 これで“戦華ヒバナ”の物語は終わり。

 

 何も成せず、何も得られなかったバッドエンドだったけれど最後の最後で面白いものが見れた。

 

 くく……それだけで僕は満足だ。

 

 では、さよなら読者諸君。

 僕の記録は楽しんでくれたかな?楽しんでくれたなら結構。楽しくなかったとしてもここまで読んでくれたことに感謝だ。

 

 じゃあ、もう二度と会うことはないだろうけど。

 

 

「さようなら」

 

 

 

 ───記録終了──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──記録開始──

 

 

 

 爛々と輝くうんざりするほど熱い太陽の下。アスファルトが僕たちに向けて容赦なく反射熱を向けてくる炎天下。

 

 再び訪れようとした平穏な日常。

 運命とは残酷なもので、それは最も簡単に壊される。

 

 美人か否かで言えば美人であると肯定され、しかし美女か否かと問われれば少し疑問が残る程度の幼さを残した顔立ち。

 道端を歩けば10人中10人が振り返るとは言わずとも、よくよく見れば魅力的だと気づくその女性は、日傘を片手に笑みを浮かべ僕を待っていた。

 

 

「いったでしょ?また会いにくるって」

 

 

 突然言い渡された出所命令。

 渡されたサイン済みの一枚の紙切れ。

 局長殿から言い渡された命令が信じられずそれが何かの間違いであることに希望をかけながら外に出た僕を悪魔は暗い笑みを持って迎え入れる。

 

 

「…ふふ。これでずっと一緒だね」

 

 

 “先生”としての権力と僕の罪人としての立場を利用したシャーレへの強制入部。

 

 

「……ああ、本当に……」

 

 

 どうかこれが何かの悪い夢であってくれと天を仰いだのだった。

 

 

 

 ──記録終了──




これにて「絶対にデレない敵役生徒」本編は終わりです。
少し駆け足になったのは申し訳ありません。作者もテストとか色々あるので、後々修正するかも。テスト前の心残りを潰しておきたかったのじゃ。
前作同様に小話とかはちょいちょい書いていくので引き続きよろしくお願いします。
とりあえず、ここまで読んでくださりありがとうございました。

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ヒバナは先生に

  • デレない(不屈の精神)
  • デレる(タイトル詐欺)
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