絶対にデレない敵役生徒   作:有機栽培茶

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高評価ください。(もはや挨拶)
生きてます(生存報告)
ちょっと時間ができたのでやってきました。ちなみに今話は私の(暴力的な)癖が一部詰め込んであるので注意を。皆さんはこの程度問題ないと思いますけど一応ね。

そういえば皆さんは配信見ましたか?やばいですね。コラボですよコラボ。私も昔ちょこっと見てました。推しは一方通行な人でした。
石は貯めましたか?私はダメそうです。


2.ぶつかり合う矢印

 

 シャーレの業務は書類仕事だけでは終わらない。

 

 連邦捜査部S.C.H.A.L.E。通称シャーレ。キヴォトスで暮らすあらゆる生徒たちの相談に応じ、その問題を解決する。同時に学籍や所属に関係なくあらゆる生徒たちの協力を仰ぐことができ、そしてその目的ゆえにあらゆる規約や法律による規制や罰則を免れる超法規的機関。 この馬鹿が僕を無理やりシャーレに入部させられたのもそのせいだ。

 

 そして前述したシャーレの業務内容である『あらゆる生徒たちの相談に応じ、その問題を解決する』というのは文字通り、トリニティのトップからゲヘナの不良まであらゆる生徒から依頼を受け付け、それを解決するというもの。

 

 つまりその依頼内容もまた捜索や輸送から、戦闘行為が必要になることまで幅広く……というよりもそのほとんどが戦闘行為の必要になるものだ。

 

 ゆえにシャーレに所属するものたちの練度は高く、それを指揮する先生の実力もまた侮れない。

 

 

 

「作戦終了。みんな、お疲れ様」

 

 

 

 あいつが“先生”として今回の作戦に参加したメンバーを労っている様子を僕は遠くから眺める。

 

 ……悔しいが、認めざるを得なかった。あれだけ僕にだらしなく情けない姿を見せておきながらも、他の生徒たちの前で見せる姿は生徒たちのお手本たる先生そのもので、あの日僕が興味を持った光も依然そのままだった。

 

 苛立つ。

 

 手慣れた指揮、無駄のない命令、迅速な判断。無数にある選択肢の中から一度の間違いを犯すことなく正しい一本の糸を選び抜く才能はまさしく主人公と言えるもの。

 

 彼女は今日もそうやって依頼を……毎日のように給食のプリンを奪いに来る不良たちの成敗というこれまたくだらない依頼を達成して退けた。

 

 

 こんな些細なことでさえ、助ける者の声を聞き逃すことなく答え、救ってみせた。

 

 

 

────ギリッ

 

 

 

 ……腹が立つ。僕には何が足りなかった。僕とお前の差はなんだ。なんでお前にできて僕にはできなかった。

 

 認めたくない事実。

 認められず、否定しようと挑んだ結果、証明されてしまったこの感情。

 

 

 

「……本当に、むかつくなぁ…」

 

 

 

 僕はこの馬鹿に、憧れを抱いてしまったんだ。

 

 

 この思いは、あの時以来ずっと大きくなっていく。

 風船のように膨れ上がり続けていた。

 

 ああどうして僕は…

 

 

 

「ヒバナちゃん、見てた?私今日も頑張ったよ?だから褒めて欲しいなって」

 

 

 

 こんな間抜けに憧れを抱いてしまったのかという後悔と共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒバナちゃん、見てた?私今日も頑張ったよ?だから褒めて欲しいなって」

「……本当に君は鬱陶しいな」

 

 

 

 心底嫌そうな顔をしながらも私を拒絶することはないヒバナちゃん。私はそんな彼女の優しさに今日も甘える。

 

 彼女が今までどんな感情を抱いて私に接してきたのか、そして今も彼女が私をよく思っていないことも知っている。それが私じゃどうしようもないことも知ってる。

 

 そして彼女が、私が……“先生”が正しい道を示してあげないといけない子だってことも。

 

 

 でも私はしなかった。できなかった。彼女の優しさに甘え、いつしか泥沼に沈んでいくように抜け出せなくなってしまっていた。

 

 

 

「やっぱヒバナちゃんおっきいね」

「君さぁ……何事にも限度はあると思うんだよね。僕は」

 

 

 

 ヒバナちゃんの前でだけ、私は先生という皮を脱ぐことができる。ありのままの姿で、先生ではなく私としてヒバナちゃんを見て、見られることができる。

 

 明るく笑った彼女、優しそうに微笑む彼女、呆れながらも手を貸してくれる彼女、恥ずかしくて照れる彼女。

 

 

 そして冷たい目で見下してくる彼女。

 

 

 私はヒバナちゃんの全てが好きで好きで好きでたまらなかった。

 

 

 多分、恋とかそんな生やさしいものじゃないと思う。恋人とかになりたいとは思わない。ただ、私は彼女の全てが見たくて、そして彼女にも私だけを見て欲しい。嫌われててもそれでよかった。できれば好きでいて欲しかったけど、何より怖いのは無感情。

 

 ヒバナちゃんに見捨てられた時、私はどうなるかわからない。

 

 

 

「………柔らかい」

「っ……先生、そろそろやめてくれないかい?僕にも、我慢の限界というものがあってだね」

 

 

 

 あの日、リンちゃんに声をかけられて目覚めたあの日。私は何も、それこそ右も左もわからないままこの世界に放り出された。常識も何もわからず、自分自身が何者かもわからないまま。『先生』という仮面を無理やり被せられて、それをあたかも本当の自分であるかのように振る舞って過ごしてきた。

 

 みんなの頼りになる大人、先生として。

 

 そうして過ごしてるうちに何かが摩耗し罅が入っていくような感覚を感じて、何か大切なものが壊れそうになっていた時。彼女は私の前に現れた。

 

 

『となり、座ってもいいかな?』

 

 

 あの日あの時あの瞬間。ヒバナちゃんは隠れて埋もれてしまった私自身を見つけてくれた。私を先生としてじゃなく、一人の他人として接してくれた。私でさえも見失っていた自分を拾い上げてくれたんだ。

 

 世界が開けた気がした。

 

 先生という私が必死に作り出した虚像じゃなく、本当の私を見てくれる人。さらけ出せる人。それを真正面から受け止めてくれる人。

 

 気づいたら私はもう彼女のこと以外考えられなくなっていた。

 

 ずっとヒバナちゃんのそばにいたい。もっといろんな私をヒバナちゃんに見られたい。もっといろんなヒバナちゃんを見てみたい。

 

 

 もっと、ヒバナちゃんを奥深くまで知りたい。

 

 

 

「……いい加減にしてくれよ」

「っ!」

 

 

 

 手首を掴まれ、そのまま一緒に座っていた椅子から床に押し倒される。ドンっていう大きな音と、背中に少し鈍い痛みが響くが関係なかった。

 

 

 

「……君さ……いい加減にしてくれないかい?」

 

 

 

 赤く染まった頬に荒い息づかい。

 私の見たことのない、私の見たかったヒバナちゃんの一面がそこにあった。

 

 

 

「ヒバナ…ちゃん…?」

 

 

 

 今すぐ逃げないとまずい事になる。そう理性は叫んでいるのに、私はヒバナちゃんの目から目を離せないでいた。熱い熱のこもった目。あの時見た冷たい目じゃなくて、アツアツで、私だけを見つめている。

 

 

 ずっと見たかった新しい一面。

 だけどその瞳に少しの恐怖を抱いている自分がいる。

 

 

 

「僕の気持ちも知らないで、さぁ」

「いっ!?ヒバナ、ちゃん?ちょっと、こわい、よ?」

「怖いっていうんならさ……もっとちゃんと抵抗しないと」

「抵抗…してるんだけど……」

 

 

 

 さらに体重が乗せられる。手首を掴まれてガッチリと抑えられた両手は動かせずその上馬乗りにされてしまっては逃げ出す事もできない。

 

 

 

「………へぇ」

 

 

 

 ぷっつん。

 

 目の前のヒバナちゃんが、何かを堪えているような、まだ理性を保とうとしているような表情から一転。何かが吹っ切れた音がした気がした。

 びくりと体が震える。ヒバナちゃんのその表情を見た瞬間蛇に睨まれたカエルのように身体中が凍りつき動かなくなってしまう。

 

 ああ、食べられる瞬間のカエルはこんな気持ちなんだろう。

 

 

 

「…先生が……僕が、いくら手を伸ばしても、必死に走っても、追いつけない、先生が……」

 

 

 

 手首から手が離され、そしてそれはゆっくりと私の首元へと移動していく。

 

 

 

「……僕のできない事を、ムカつくくらい、呆気なくやって見せた先生が」

 

 

 

 そしてゆっくり、ゆっくりと力が入っていき、首が締まっていく。

 

 

 

「僕の、手の中にある」

 

「ぅ……ヒバナ、ちゃん…?」

「あは」

 

 

 

 力が入っていく。気管が締められていく。苦しくて、視界が点滅して、涙で前が見えなくて。それでもヒバナちゃんの歪んだ笑みが目に入って。

 

 見たかった、新しいヒバナちゃんがそこにいて……そして私だけをまっすぐ見てくれている。

 

 

 

「細くて柔らかい。後少しでも力を入れれば折れてしまいそう」

「あ、がっ…ヒバナ、ぢゃ…」

 

 

 

 視界が徐々に暗くなっていく。それでも、それでも私の目が完全に見えなくなる前にヒバナちゃんの恍惚とした表情が目に入って。それがまっすぐ私を見つめ続けてくれていて。

 

 

 

「………い゛ぃ…よ」

 

 

 

 私は満たされた気持ちになっていた。このままヒバナちゃんに溺れてしまいたい。そんな思いは、しかし叶わない。

 

 突然首に込められていた力がパッと消えた。

 

 

 

「っあ゛!げほ!ごほっ!ごほっ!……ヒバナ、ちゃん…っ!?」

 

 

 

 そして涙で歪んだ視界越しにヒバナちゃんが私の首から離した手を握りしめて、思いっきり自分の頭を殴っているのを見た。

 

 

 

「はぁ…はぁ………なんだよ、くそ」

「けほっ…けほっ…ひ、ヒバナちゃん!大丈夫!?」

「……それは、あんたがいう言葉じゃ無いだろ」

「で、でもほっぺが…」

「……少し、外の空気を吸ってくる………それと、悪かった」

 

 

 

 ヒバナちゃんが私の上から立ち上がり部屋を出ていく。

 助かった。死ななかったという安心感。未だ胸の内では心臓が死の恐怖に怯えて激しく脈打っている。にも関わらずヒバナちゃんが私から離れることに寂しさを覚えていた。

 

 そして同時に覚える優越感。

 

 また一つ、私しか知らないヒバナちゃんの一面を見れた。きっとずっとヒバナちゃんと一緒にいたヒナちゃんやイオリたち風紀委員のみんなも知らないヒバナちゃん。

 

 私たちだけの、秘密。二人を繋ぐ忘れられない記憶。

 

 

 

「えへ…えへへ……」

 

 

 

 それが嬉しいかった。

 そして同時に妬ましかった。

 

 

『…ぅ……ごめん…ごめん、なさい……コモリちゃん…俺を、許さないで…』

 

 

 思い出すのはいつかの記憶。ヒバナちゃんが寝言で呟いていたあの言葉。“あの子”への、罪の意識。

 

 きっと“あの子”は私以上に私の知らないヒバナちゃんの一面を知っているんだろうな。

 

 羨ましい。妬ましい。ずるい、ずるいずるいずるいずるい。私もそこに立ちたかった。ヒバナちゃんにとって忘れられないかけがえのない一人になりたかった。ヒバナちゃんの唯一無二になりたかった。

 

 

「……でも、大丈夫。あの子は今いないから。少しずつ、少しずつ。焦らずゆっくり慎重に行こ。きっと、いつかはわたしだけを見てくれるようになるはず」

 

 

 ヒントは掴んだ。少なくとも、さっきのヒバナちゃんはわたしだけを見てくれていたから。

 

 

 

「……だーいすきだよ。ヒバナちゃん」

 

 

 

 私だけの、救世主。




ヒバナ
理性との戦い。手を出したら終わりなのは理解している。でもイラつきながらも憧れを抱いてしまった存在が自らの手の中にいて、簡単に壊せると知ってしまって、危うく一線を踏み越えそうになった。ヒバナはどちらかといえばSという、基本M寄りの子が多いうちの子にしては珍しい属性持ち。首締めは作者の性癖。

先生
生徒を正しく導く存在のくせに思いっきり道を外させようとした人。何もわからないままこの世界に産み落とされ先生としての役目だけを求められるいわゆる人形劇の操り人形のような存在だったが、完全に精神崩壊する前にヒバナちゃんに先生という仮面のうちに隠れた自分を見つけてもらえたことで立ち直る、が同時に激しく依存するようになった。ヒバナの全てを知りたいしヒバナのには自分お全てを知って欲しいしずっと見ていて欲しい。Mっ気がある。こんな先生失格な駄目人間だが他の場面ではしっかり先生をしており、この一面を知っているのはヒバナと一片を垣間見てしまったカンナちゃんくらい。

カンナ
先生疲れてるんだろうな。まだ関わりは少ないけど出来る限り迷惑をかけないようにしよう。

あの子(ネタバレあり)
今のヒバナちゃんを構成する全ての元凶。以前、多分この作品には登場しないといったが話の進み方次第では出ることになるため設定を記す。
前作主人公の新戸コモリとほぼ同一人物ではあるがあくまで前作とは別の世界線の存在。気弱で陰キャで非力。前作を読んだ方は知っているかもしれないがヒバナが嫌悪するような後ろめたいことをやってる。しかし先生がヒバナの口からこの子の名前を聞いても特に反応しなかったように先生との“直接の”接点はない。便利屋68も原作通りの4人組のままであり、引き篭もりの情報戦担当とその相棒のオートマタはいない。ただし前作一章の出来事は一部を除いて起こっている。この子について書く場合、この作品は前作の続編というわけでもないから前作を読んでいない人でもわかるように書くつもりではあるが読んでいたほうがわかりやすいかもしれない(遠回しな催促)
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