絶対にデレない敵役生徒   作:有機栽培茶

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イベントのヒナちゃんが可愛すぎる件。狂う。
狂った。キャラ崩壊注意です。ヒナちゃんのリミッターが外れてます。
作者もヒナちゃんもヒバナも全員深夜テンションでお送りいたします。


8.ヒナヒナのシナ

 

 ゲヘナの治安の悪さはキヴォトス随一だと言っても相違ない。

 それ故に、ゲヘナの治安維持に尽力する風紀委員の負担は膨大な物であり、その象徴たるヒナ委員長の負担は1人の少女が抱え込める量を遥かに超えている。

 

 

「……疲れた」

 

 

 その証拠に、就寝前の彼女の髪はボサボサのシナシナとなり威厳ある翼はヘニョっている。そしてその目の下には深い隈ができている。シナシナゲヘナシロモップの完成だ。

 

 

「……ヒバナ……今、何してるんだろう。また、一緒に話したい……一緒にいたい……」

 

 

 故にそんな彼女が──

 

「……シャーレ……業務内容は、『キヴォトスで暮らすあらゆる生徒の相談に応じる』こと……」

 

「…そう、か。簡単なことだったんだ」

 

 

 ──ああなってしまったことも無理はないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、ヒバナ」

「はいはい、なんだい?」

「私……頑張ってるわよね?」

「ああ。ヒナちゃんは頑張っているとも」

「じゃあ、偉い?」

「もちろん」

 

 

 シャーレの業務は連邦生徒会から送られてくる書類の処理だけにはとどまらない。不良の鎮圧から生徒たちの相談事に乗ることまで。時にはキヴォトスを脅かす問題の解決にまで。依頼を受けたならばそれが正当な物であるか判断した上で解決に尽力する、それが連邦捜査部シャーレの役割だ。

 

 そしてそんな組織に所属(強制的にだが)しており、現在トリニティの問題解決に向かっている先生の代行としての役割を担っている(押し付けられたとも言う)僕はその仕事を遂行しなくてはならないわけで。

 

 

「ふふ……そう……もっと撫でてくれないかしら?」

「あ、はい」

 

 

 その結果がこれだ。

 いや何故だ???

 

 現在時刻夜の10:30分あたり。

 シャーレでいつも通り書類仕事を行いながらウトウトしていた僕は突然かかってきた電話によって叩き起こされることになる。こんな時間に誰だ?あのバカか、それともマナーというものを知らない別の馬鹿か?そうおもってとった結果出てきたのはかつての上司、ヒナちゃん委員長。

 

 驚き半分で何の用か聞いてみたら風紀委員に来いの一点張り。ヒナちゃんのお願いを断る理由もない僕は彼女のいう通り風紀委員の彼女の執務室に向かって────そのまま彼女の家に誘拐された。

 

 何故?

 

 

「……どうしたの?」

「あ、いや、どうしたのって聞きたいのは僕なんだけど……用事ってのはなんだい?こんな時間なんだ。手早く済ませたいのだけれど」

「……ヒバナは、私のこと…嫌い?」

「そ、そんなわけないじゃないか!どうしたんだい急に!?」

「……そう」

「質問に答えて……あー……いや、やっぱいいや」

 

 

 少し観察して……というか観察しなくてもわかる。今のヒナちゃんはおかしい。変なものでも食ったのか、と思ったが違う。目の下の隈が全てを物語っている。明らかな寝不足だ。

 立派な羽も、凛としていた髪もシナシナになってしまって。パジャマ姿に可愛いという感想を抱くよりも先に『可哀想』という思いがまさってしまう。

 

 僕が副委員長をしていた頃も度々あったが……ここまで酷いのは初めてかもしれない。彼女は僕に対してあまり弱い一面を見せなかったから、僕のみていないところでこうなっていたのかもしれないが…。

 

 原因はわかっている。おそらく、僕が風紀委員を抜けたことによるヒナちゃんの負担の爆増だ。書類仕事も不良生徒どもの相手も、今では全部ヒナちゃんが担うことになってしまっている。僕と2人でこなしていた時でも大変だったアレを、だ。人間がこなせる量じゃない。

 

 だからこそ友達として寄り添ってあげたいという気持ち以上に申し訳なさから彼女の助けになってあげなきゃという思いがある。

 

 仕事は……これが終わってから僕が死に物狂いで頑張ればいいだけだ。僕が今すべきなのはヒナちゃんに寄り添って話を聞くこと。

 

 聞くこと……なのだが。

 

 

 

「……ねえ、ヒバナ」

「なんだい?」

「貴方にとって……私ってなに?」

「何って、そりゃあ友達だろう?」

「…………そう」

 

 

 

 ───やり辛い。

 

 しばらくずっとこの調子だ。ヒナちゃんの方から話しかけてきたと思ったらすぐに黙り込んでしまう。そしてしばらくそのまま無言の時間が続く。ヒナちゃんが口下手なのは以前からだが、この場合、僕の方からどう話しかければいいのかがわからないからやりずらい。普段だったらこの無言の間だって気にすることはなかったのだが、ヒナちゃんの助けにならないといけないという状況と、ベッドの上に僕を座らせた上でその隣に隙間なくピッタリと座りながらチラッチラッと様子を伺ってくる彼女がそれを許さない。

 

 僕だってコミュニケーション強者ではないのだ。

 確かに、ヒナちゃん以上に風紀委員のメンバーや街の住民や生徒たちとフランクに話せていた自信はある。だがあれはあくまで“他人”との会話。ただの世間話であり、ちゃんと相手のことを“認識”して“見て”“考えて”話しているわけじゃない。例えるのなら、相手の望む『友達』や『風紀委員副委員長』、もしくは『戦華ヒバナ』というキャラクターを演じているだけだった。真の意味で相手と向き合って話したことはほとんどなかった。

 

 だからこそ、こういう状況で自分はどうすればいいのかが、僕はわからない。

 

 彼女は僕に何を求めているのか。彼女は僕にどういうキャラクターであって欲しいのか。どうすれば彼女に寄り添うことができるのか。

 

 今までの『ヒナちゃんの友達である戦華ヒバナ』ではダメ何だろう。アレは僕の素とも言えるキャラクターなのだが、それではダメらしい。先ほどから疑念や不安や不満が彼女の視線に見え隠れしている。

 

 ああ、わからない。いっそあの馬鹿みたいにグイグイ来てくれればわかりやすいのに。

 

 

「……ねえ、ヒバナ」

「な、なんだい?」

 

「貴方にとって、私は何?」

 

 

 そう思っていたら、突然ヒナちゃんは立ち上がって、僕の目の前に立って、僕の目をじっと見ながらそう言った。先ほどと全く同じ質問を。

 

 

「……い、嫌だなぁヒナちゃん。さっきも言ったじゃないか。友達だって。もう眠くなっちゃったのかな?」

「違う」

 

 

「“貴方”じゃない」

 

 

 まっすぐ。じぃっと“俺”の目を見つめて。

 

 

「……ねえ、ヒバナ。貴方は、私のことが、嫌い?ゲヘナの私が嫌い?それとも、友達だって、本当に思ってくれてるの?好きだって、本当に、そう、思ってくれてるの?」

「ひ、ヒナちゃ……わっ!?」

 

 

 頬を抑えた小さな手が僕を彼女から逃さない。

 その大きく見開かれた紫色の宝石からは彼女の心象が手に取るようにわかった。それは不安だ。本当に僕が…いや、“俺”が本心から彼女を友達と思っているのかという不安。長いこと一緒にいながらも、数多くの言葉を交わしながらも、彼女はそんな不安を溜め込んでいたのだ。

 

 それが、抑えきれなくなった。あの時、僕が彼女を裏切ったから。

 

 

「……お願い。教えて。……嫌いなら、嫌いだと言って欲しい。突き放して欲しい」

「そんなことっ!」

「きっと……貴方のことがわからないままの方が、ずっと辛い…から……」

 

 

 じっと僕の目を見つめて離さなかった宝石は、宝石の方からその視線を外した。頬から手も離され、彼女も一歩後ろに下がる。

 

 

「っ……ごめんなさい。こんなこと、聞くべきじゃ…なかった。ごめんなさい。今日は……もう、帰ってくれても───

 

「ヒナちゃん」

 

「っ」

 

 

 僕は……いや、俺は、いつだって大事なところで間違いを犯してきた。あの時だってもっと早く駆けつけていれば。我を忘れずもっと別の方法をとっていれば。”あの子“と今でも“友達”でいられたのではと今でも後悔する。だからこそ。もう間違えたくはなかった。

 

 

「ヒナちゃん。僕は………いや、俺は、お前の言う友達というものが何かをわかっていないのかもしれない」

「……」

「だけど、これだけは言える。俺はヒナちゃんのことを大切だと思っているし、失いたくないと思っているし、嫌われたくないと思っている。だから……その、なんだ」

 

 

「これからも俺と、“友達”であって欲しいと思っている」

 

 

「っ!……そう、よかっ……た」

 

 

 だから、僕は自分の思いをそのまま彼女に伝えることにした。

 

 それを聞いた彼女は、僕の思いが伝わってくれたのか、まんまるく目を見開いて、そして安心したように僕の胸に倒れ込んだきた。そしてすぐに聞こえてきた寝息。ヒナちゃんは安心し切った表情で、僕の胸の中で眠りについていた。

 

 

「……あー。これで、よかった、のか?」

 

 

 何かちょっと伝え方を間違えたのではないかと思ったが、ヒナちゃんが安心して満足してくれたのならそれでいいのかもしれない。

 

 そう思ってヒナちゃんをゆっくりベッドに降ろして帰ろうとするも───彼女の細腕が僕をガッチリホールドして離さない。

 

 結局僕も彼女と一緒のベッドで眠りにつくことになってしまった。仕事は……ユウカちゃんがなんとかしてくれるだろう。明日のことは明日の自分に任せておけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、僕は昼過ぎに目覚めることとなった上に、目も合わせてくれないヒナちゃんにほとんど会話もさせてもらえないまま家を追い出された。

 

 解せぬ。




ヒナちゃん
いわゆる深夜テンションで不安をぶっちゃけたらヒバナの本心を聞き出すことに成功した。けれど予想以上に恥ずかしい言葉を言われて、翌朝そのことに気がついて嬉しくも恥ずかしくて、そう言う気持ちになってしまって目を合わせられなかった。しばらくヒバナと目が合わせられなかった。

ヒバナ
“あの子”案件以降、“僕”という仮面の上に重ねるようにして相手に好かれるようなキャラを自然と演じてきたがそれら全部をヒナちゃんにひっぺがされた。告白紛いをした馬鹿。本人はただただ友達だと思っている。LOVEじゃなくてlike。けれど一般的に言う友達以上には思い気持ちを抱いている。ちなみに先生に対しては嫌われてもいい、むしろ嫌われたいと理由でそう言う演じ分けはしていない模様。
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