絶対にデレない敵役生徒   作:有機栽培茶

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ちょっと更新が遅れたぜ!新生活に向けて色々大変だから…(言い訳)
とりあえず高評価コメント諸々ください(挨拶)

便利屋68のイベが良過ぎて引き篭もりアーカイブの方更新しようか迷ってる。それかこっちでさっさとコモリちゃん出して、番外編みたいなのでやるか。一応の裏設定だけど、この小説は『引き篭もりアーカイブ』のIF世界での話なのでね。


4.委員長の苦悩

 

 意識不明であった先生が目覚めた。

 だからと言ってその瞬間から、今尚侵攻を続けるアリウス及びユスティナ聖徒会に対し攻勢に出ることは当たり前ではあるが、できない。麻痺した行政。失われた指揮系統。混乱する生徒たち。先の強襲を受け負傷した生徒たちの治療。そして───風紀委員長空崎ヒナの失踪。

 

 一つ一つ丁寧かつ迅速に解決すべきことであり“先生”に求められていることである。

 

 しかしそれら全てを彼女がやるわけではない。彼女に付き従う生徒たちはいるし、そもそもの話。先生とは生徒に道を示して正しい方向へ導く者。彼女は生徒を支え、アドバイスを与え、それに則って生徒たちが物事を解決してゆくのであって、その課題自体に立ち向かい、答えを導き出すのは生徒たちなのだ。

 

 故に。戦華ヒバナもまた1人の生徒として……先生の生徒としてこれらの問題に立ち向かっていた。

 

 

「ヒナちゃんのことは僕に任せるといい。心当たりがある」

 

 

 そう言って彼女は1人重大な問題に立ち向かっていく。

 

 

 ───そうして、数時間の時が経ったのであった。

 

 

「……流石に心配だよね」

 

 

 そう言いながら先生はドアノブを握る。

 そのドアには『空崎ヒナ』という表札が。詰まるところ、ヒナちゃんの部屋であり、そして同時に、ヒバナちゃんの首w……いや、チョーカーに仕込まれたGPSが指し示して数時間の間ぴくりとも動かない場所でもある。確実にここにヒバナちゃんはいて、そして彼女が探していたヒナちゃんもいると踏んでいいだろう。

 

 先生は生徒のことを信頼せず、様子を見に来るというのはあまり良くないのでは、という感情を抱きながらもドアノブを捻り、ドアを開けた。

 

 

「ヒバナちゃん。い……る……?」

 

ん゛ーー!!!ん゛ーー!!(先生!?助けてくれ!!)

「……先生」

 

 

 そこに広がるのは布団の上で頑丈そうな縄で亀甲縛りにされ押し倒された状態のヒバナと、その上に自前のふわふわな髪の毛で覆い被さるように座るヒナちゃんの図であった。

 

 

「……お邪魔しましたー」

ムグゥ!?(待てよ!?)

 

 

 なぜこうなったのか。

 

 それを説明するのなら、ヒバナがヒナちゃんの部屋を訪れた数時間前に遡らなくてはならない。

 

 

「……やあ。ヒナちゃん」

「……ヒバナ……なんで…」

 

 

 勢いよく開かれた部屋のドアと、その向こうに立つ、少し息切れを起こしたヒバナの姿。空崎ヒナは毛布に包まれ、枕を抱きしめ、パジャマ姿のままそれを目にしていた。

 

 

「は……はは。元気そうで何よりだ」

「……ヒバナ。ごめん」

「ど、どうしたんだい?急に謝ったりして」

「私は……私は……」

 

 

 ヒナは言い淀む。これを言ってしまったら嫌われてしまうのではないか。そう考えたから。

 長年ヒバナと共にいた彼女は知っていた。ヒバナが先生をよく思っていないことを。そして、信じ難いことであったが、先生がヒバナに対して他の人にはしないような対応……まるであの日自分がヒバナにしたように、“甘え”ているのだということを。

 

 故にあの日だって恥ずかしさと同時に、ヒバナに失望されないかという不安から彼女を早々に家から追い出してしまった。そしてその不安は、今も肩を掴んで離さない。

 

 この言葉を、“諦めの言葉”を吐露してしまったら失望されてしまうのではないのか、と。

 

 けれど、それを抑えられるほど。彼女の心は強くなかった。

 

 

「私には、もう、無理なの。私は……もう、ダメなの。これ以上、私は風紀委員長を、やれない……だから……悪いけど、帰って欲しい」

 

 

 恐る恐る。しかし、突き放すように、彼女はそう言った。そして言い終わってから不安は限界に達し、目には涙が浮かんでくる。ああ、ヒバナはどんな顔で自分を見ているのだろう。今彼女は私をどう思っているのだろう。恐怖渦巻く頭の中。しかし、不安は容赦なく私の瞼をあげ、ヒバナの姿を、その表情を捉えようと動く。

 

 だが、そこにあったのは───

 

 

「……はは。そっか……そっか。よかった」

 

 

 へにゃりと、安心し切って力が抜けた様に笑った彼女の顔だった。

 

 

「……ヒ、ヒバナ…?どうして……」

「……僕が言えた立場じゃないんだけどさ。ヒナちゃんにはもう無理してほしくないんだ。風紀委員長として、ゲヘナの治安を維持する立場の負担は、そばでずっと見てきた僕が一番わかっているつもりだ。だから、そんな辛い役を友人であるヒナちゃんには、もうやってほしくなかった」

 

 

 見るからに限界だったしね、と続ける。

 

 

「本当は、もっと早くこうするべきだったんだろうね。早く、僕の方から話を切り出すべきだった。ほら君内気だし。限界まで頑張っちゃうし、それ超えても君はうちに抱えたままだろ?」

「……」

「休んでいいよって、もっと早くいうべきだった。けれど、言えなかった。僕が……いや、僕たちが君を必要としてしまっていたから」

「ヒ、ヒバナ……」

「だから、あとはゆっくり休んでいてくれ。この問題は、僕が解決する。僕が、何とかしてみせるよ」

 

 

 じゃあね。

 

 

「あ………ま、まって!」

「っ!? ひ、ヒナちゃん!?」

 

 

 瞬間、ヒナは布団から抜け出し、ドアノブに手をかけ出て行こうとしていたヒバナの服を強く掴む。

 

 

「違うの……私は、強くない。頑張ったよ。でも……やっぱり、私は小鳥遊ホシノみたいには、なれなかった」

「ホシノ……ああ、アビドスの…?」

「アビドスの生徒会長を……ものすごく、ものすごく大切な人を失って……それでも折れなかった彼女みたいにはなれなかった…!」

「ヒナちゃん……」

「私だって頑張った!わかってもらえなくても、それでも頑張って、頑張って……それで…私は……大事なところで……私は……私だって!先生に構ってほしかった!ヒバナにもっとずっとそばにいてほしかった!」

 

 

 グッと服を掴む力が強くなる。それに、彼女は思わず声を漏らしてしまった。

 

 

「いっ…!」

 

 

 痛みに苦しむ、そんな声。

 

 

「っ!ご、ごめん……ヒバ…ナ……」

「いや、いいさ。それに僕もすまなかった。もっと君のそばにいてあげられれば……」

「ねぇ」

「……ん?」

 

「なに、これ」

 

「……あ」

 

 

 そうしてようやくヒバナは気づく。自分の服が捲れて、素肌が顕になっていることを。そしてヒナは目にする。彼女の、青あざと、血の滲んだ包帯やガーゼの巻きつけられた彼女の白い肌を。

 

 

「……あー、いや、あはは。参ったね。恥ずかしいから見せたくはなかったんだけど」

「なにこれ」

「気にすることはないさ。少しヘマしてしまっただけさ。すぐに治る」

「ヒバナ」

「本当はこんなものヒナちゃんに見せたくはなかったんだけどね。だってそうだろ?恥ずかしいじゃないか。敵の攻撃を速度自慢の僕が受けてしまうなんてさ」

「ねぇ」

「……安心してよ。このくらい直ぐに治る。少し寝てれば元通り……」

 

「ちゃんと答えて」

 

 

 グイッとヒナの顔が近づけられる。そして同時に強くなる拘束。

 

 

「……だからヘマしただけさ。害獣どもに噛みつかれただけ。大丈夫。もう痛くないし、動いてもへっちゃらさ」

「…………そう。その状態で、向かうつもり?」

「あ、ああ。大丈夫。僕の体も今直ぐにだってあの害獣どもを蹴散らしたいってウズウズしているところ───

 

「ダメ」

 

「……へ?」

 

 

 

 

 

「……と、いうわけさ。猿轡を外してくれたのはありがたいんだけどさ。他の拘束も外してくれないかい?後それ以上くっつくのはやめようか。熱いよ」

 

 

 まいったねぇ、と軽口を叩きながらわざとらしく笑うヒバナとひっついて、その上少し睨みつける様に先生を見つめるヒナちゃん。それを見て先生は大きくため息をついた。

 

 

「……はぁ。ヒバナちゃん。何で隠してたの?」

「なんでって、言ったじゃないか。恥ずかしいからさ」

「それだけじゃないよね?」

「う゛…」

「それに何で急に私に進んで協力してくれる様になったの?」

「それは君のその先生としての姿勢に心を揺さぶられたから…」

「他にもあるよね?」

「う゛……」

 

 

 図星だらけでなにも言い返せないヒバナに先生はさらにため息をつく。

 

 

「正直に言ってくれないと、ヒバナちゃんにはヒナちゃんとそこで安静にしててもらうことになるけど」

「ぐ………わかった!わかったよ!」

 

 

 あーもう!と諦めた様に彼女は叫ぶ。

 

 

「僕だって罪悪感くらい感じるんだ!」

 

「アリウスの奴らが古聖堂にミサイルを打ち込んでみんなが傷ついたのも!そのまま襲撃をうけてヒナちゃんが倒れて。あんたが撃たれたのも。全部俺のせいなんだ。俺が、奴らの計画を知っていながら黙っていたから。だから、みんな傷つくハメになった」

 

「俺はバカだった。ただただゲヘナとトリニティの奴らが痛い目に遭えば良いって、エデン条約なんてクソみたいな条約がなくなって仕舞えば良いって、心の底から思って、ただそれだけしか考えてなくって。そのゲヘナとトリニティって枠に、ヒナちゃんやアコちゃん……“友達”が、大切なみんなが含まれてることくらい、少し考えればわかったはずなのに。なのに俺はその事実を見ようともしなかった!!俺は…馬鹿だった!」

 

「……前言ってたよな、先生。トリニティの裏切り者の話。なら、俺がゲヘナの裏切り者だ。こんなことになるってわかっていて黙っていた。友達を傷つけた裏切り者だ」

 

 

 そう言い切って彼女は俯く。

 

 

「俺は……本当に馬鹿なんだ。2回目。2回目だ。2回も、俺は友達を傷つけた。もう間違えないって決めていたのに。あいつを守れなかった時、そう誓ったのに………だから、今度こそは、今回こそは。責任を取らないといけない。罰を……いや、贖罪をしないといけないんだ。自ら蒔いた種を、俺が全部、燃やし尽くさないといけない。責任を取らないといけない」

 

「だから行かせてくれ先生。ヒナちゃん。俺は、行かないと───

 

 

 彼女がそう言い切り終わる前に、先生は彼女に近づいて一発。部屋に乾いた音が鳴った。

 

 

「───っ……せん、せい?」

 

「本当に馬鹿だよヒバナちゃんは」

 

「っ!」

「責任とか、そういうのはまだ早いよ。そういうのは大人である私に押し付けちゃえば良いの」

「そ、それは……」

「それに!そういう時はさ。まずは『ごめんなさい』でしょ?みんなにまずは謝らないと」

「……だ、だけど、その程度で済ませられるわけじゃ…」

「だまってなさい。先生が喋ってる」

「っ…はい」

「まずは謝って……その後。“みんなで”その間違いをただしに行こう」

「…え?だ、だが……そんな、許してくれるわけが」

「許してくれるはずだよ。みんなを信じてあげて。少なくとも私はヒバナちゃんを許すし、そこのヒナちゃんだって、そのつもりだと思うよ」

「っ!」

 

 

 ヒバナが振り向くと、彼女をまっすぐ見つめたままヒナはその言葉に頷く。

 

 

「友達っていうのは、間違いをしちゃっても謝って、みんなでその間違いを“一緒に”正してくれるんだよ。それでも許してくれないのなら、その後に行動で示せば良い。だからまずは謝ろう。みんなにまずは向き合うことから始めよう?」

 

「だから、一緒に行こう」

 

 

 そう言って先生はヒバナに手を差し出し、それに彼女は────

 

 

 

「……ヒバナ」

「ヒナちゃん?ヒナちゃんは、休んでてくれて良いんだよ?僕も君に無理してほしくない…」

「いいえ。友達の………ヒバナの間違いは、私も一緒に謝る。友達だから。あとそんな体の貴方を放っては置けない。それに───」

 

「先生でも、ヒバナは渡さない」

「え?」

 

「あはは…」

 

 

 ポカンとした表情を浮かべるヒバナを横に先生は彼女の言葉に苦笑いを浮かべたのだった。




本当はシナちゃんセラピー回にしたかったんですけど、このキヴォトスだとすでにヒバナが事前にヒナヒナ状態を癒してしまっているので少し軽度に。そんでもって、流石にエデン条約そのまま流すわけには行かないし二次創作なんだからうちの子活躍させたいよねってことでヒバナちゃんにヒバヒバしてもらいました。こいつも大人ぶってはいるもののただの馬鹿な子供ってわけです。

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