絶対にデレない敵役生徒   作:有機栽培茶

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本当は今日の朝投稿するつもりだったの……間に合わなかった…


<上手く小説に入れられなかったため補足情報>
新戸コモリ(掃除屋)
前作主人公であり転生者。追加された転生タグの元凶。前作では原作の記憶がほぼ喪失した状態であったが今作の世界線では何らかの差異で保有している。戦華ヒバナの親友として描写される。ゲマトリアとして登場。


冒険の書

 

 ───冒険の書。

 

 おそらくほとんどの人なら知っているであろうこの単語。某王道RPGに置いてセーブデータを作中で表現するための言葉であり、それが失われてしまったらセーブデータ(世界)で遊ぶことはできない……──って、そんなことはもう知ってるだろう。

 

 さて、そんな冒険の書が消えてしまったら。プレイヤーが世界から消えてしまったら……。残された世界はどうなるのだろうか。

 

 普通に考えるのなら、所詮はただのデータの塊。それを世界と定義するのなら破損or削除した時点でそれは消え去っていると考えられる。

 

 

『だが、もしも。もしも、だ。冒険の書が消えた後も主人公という立場には代理が立てられ、世界は変わらず続いているのだとしたら?』

 

 

 先生(プレイヤー)と、世界と外界を繋ぐ案内人(アロナ)は消え、代わりに生まれた代理役。

 

 

「それが……今の先生だというのですか?“観測者”」

『そうだ、黒服。貴方がかつてアビドスで対峙した先生はもういない』

 

 

 アビドス時点では青色に確認されていた先生のタブレット画面。それがパヴァーヌ後、そしてエデン条約前に先生と便利屋68を巻き込みながら対峙した際に紫色に変更されていることを確認。また変更前の発光は確認できなかったが先生の防護障壁、通称アロナバリアーの発光も紫色となっていることを確認。

 そして接触時に確認した“外界”の情報の未所持。そしてドローン等を用いて確認した、物語の開幕と言っていいアビドスからある特定の日時からの先生の挙動、会話から推定される性格の明らかな変更。

 

 私が元プレイヤー現生徒という曖昧な立ち位置のせいか、色のみで姿自体は確認できていないが、アロナが通称“プラナ”に変更されていることは間違いない。以上のことから私はこの世界からのプレイヤーの喪失を推定。おそらく確定と言っていいだろう。

 

 一体何処のタブレットに隠れていたのか……おそらくこの世界にはもういないであろう連邦生徒会長が残した対策なのか、はたまた世界の修正力やら不可思議な力で埋め合わされた“先生”という役割。そのおかげでハリボテでありながらも未だその物語を進める主人公は存在しているが、それもいつ正しいルートから外れるかわからない不安定な人形。

 

 

『故に、我々が物語をチャート通りに進めなければならない。そのため、マダムには悪いが舞台装置として活躍してもらう。異論はあるか?』

 

「ありません。……なるほど。何度聞いても俄かに信じがたい話ではありますが、あなたの提示した、我々ゲマトリアも知り得ない情報群の前にはその疑問も無駄と言っていいでしょう。わかりました。我々としてもこの箱庭が今壊されるのは不都合です」

 

 

 

───以前の会合で決定した通り我々ゲマトリアは観測者、貴方をゲマトリアとして向い入れ、出来うる限りの協力をすると約束しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「救いようのない害獣がウジャウジャと……一列に並べ。まとめて処断してやる」

 

 

「あ、圧巻ですね……へ、へへ…あんなのを敵にしていたと思うとゾッとしますね…」

「……別に、今だって完全に味方になってくれたわけじゃないけどね。ことが終わったらああなるのは私たちかもよ」

「そんなぁ!?もうおしまいです…!」

「安心しろ。その姫様とやらも全員まとめて豚箱にぶち込んでやる」

「うわあああん!!」

 

 

 真夏の一軒家でもの陰よろ這い出てきるGの如くどこからともなく湧いて出てくるアリウス兵たちをスクワッドの3人とともに先生の指揮の元でちぎっては投げちぎっては投げ。

 戦い方からしてもサオリのいう通りカタコンベ外で相手取った連中よりも練度が明らかに高くエリートと呼ばれるのも納得といったところだが、そんな連中を相手に私たちはたった4人で今の所大した消耗もなく蹴散らすことができている。

 

 単純にエリートだとしても獣は獣。雑魚は所詮雑魚ということもあるが……やはり一番は先生の指揮だろう。あれがあるとないとでは戦いやすさが大違いだ。あのバカがそんな戦闘式の天才だとは思えないし思いたくないからおそらく彼女が肌身離さず持っているタブレットのおかげなのだろうが何ともすごい力だ。今の僕ならヒナちゃんを相手どってもある程度善戦することができるのではないかと過信するほどに。

 

 

「………」

「……どうした?先生」

「っ!あ、えっと……なんでもないよ。行こう」

 

 

 だが……そうだな。

 

 

「…おい。バカ」

「ヒ、ヒバナちゃん…?」

「あまり無理はするなよ」

「っ……」

 

 

 戦闘が開始するとともに露骨に物陰に隠れるようになったり、隠しているつもりだろうがスクワッドの連中と会話する時声が僕じゃないとわからないくらいだが震えていたり。今だってタブレットを持つ手の震えが止まっていない。

 そして、タブレットと共に強く“カード”を心の支えかのように強く握りしめている。

 

 嫌でもわかる。こいつは強がってはいるが今すぐにでも逃げ出してしまいたいほどの恐怖に包まれている。あの日、こいつが銃弾に腹を穿たれたその日から。より確固たるものとなった“先生”としても自覚と反比例して高まる死への恐怖。

 それから逃れるようにしてそのカード……あの日トリニティのアズサとかいう子に聞いた、魔法のような“先生の力”を発揮することのできる魔法のカードとやらに縋るようになっている。こいつがあれほど嫌悪し恐れていた己という存在を飲み込み書き換えようとするかのような、“先生”という偶像に縋っている。

 

 

「そのカードは、しまっておけ」

「………ぇ?」

 

 

 そのことが、僕は何となく“ダメ”だと感じたから。

 

 

「…大いなる力には代償が必要。悪魔との取引、テンプレっちゃテンプレだが……そうなんだろ?」

 

 

 あの日。エデン条約の時僕の知らないところでこいつはそのカードを使ったのだといっていた。そしてそれを境に、こいつには違和感を感じる程度だが変化が起こっていた。

 「ぼぉー」とどこか遠くを見つめ意識ここにあらずといったような様子が多く見られるようになったり、以前よりも”理想の大人“として、”先生“として振る舞うことが多くなった。それを義務感と、強迫観念とまで表現していた以前とは違う明確な、そして不気味な変化だった。……僕に泣きついたり甘える頻度が減ったのは良い変化であったが。

 

 とにかく、そのカードを使ってからあまりに不自然で不気味な変化が彼女には起きっているのだ。

 

 

「確かに……ヒバナちゃんのいう通り。あの時カードを使ってから……私が、私じゃなくなるような……私が削られて、何かに置き換わるような、そんな変な感覚……。でも、これがなくちゃ私は“先生”としてみんなを守れn───おわっ!?」

 

 

 僕は彼女の手を強く握った。

 

 

「僕が憧れたのは自分の意思で生徒たちを導き悪に立ち向かった姿だ。そんな道具に操られるお人形じゃない。そんなものは、“先生”じゃない。もしあの時……エデン条約の時のお前がそうだったのなら、僕はどうやら見誤っていたみたいだな」

「っ……で、でも……」

「怖いのなら、僕を頼れ。1人で抱え込むな。お前が先生であろうと足掻く限り、僕はお前を支えてやる」

「ヒ、ヒバナちゃん……!

「……勘違いするなよ。その緩み切った顔のままだったら見捨てるからな!」

 

 

 ふにゃっと気持ち悪い顔でこちらを見上げてくる彼女の手を振り解いて前に進む。

 

 

「……止まれ、敵が───

「目ぇ閉じろフラッシュバン(閃光弾)だ!」

 

 

 カランコロンと硬く冷たい地面を叩く金属音と共に横道から投げ込まれた小さな133mmほどの金属管を目にしたと同時に僕は声をあげ、先生を抱え込みながら背を向ける。

 瞬間瞼越しでもわかる光量と爆音。視界と聴覚は使えないため地面に着いた手の平から伝わる振動から状況を確認。

 スクワッドの4人は動かず。こちらの意図を察してくれているのか助かるな。先生は腕の中ゆえに問題無し。敵は……1、2、3、4、5、6。練度は……なるほど、小隊長格がひとりと。

 

 

「伏せてろ」

 

 

 聞こえているかわからないので、少し乱暴ながらに先生を地面に押し付け、振り向きざまに釘を投擲。少し回復した聴覚から被弾1、2、3。残り3。対象とのおおよその距離14mと確認。対象をABCと仮称。

 地面を蹴り、跳躍。距離を詰める。被弾は無視して問題なし。奴らの使用する通称アリウス製アサルトライフルは一マガジン被弾したとしても致命傷にはなりえない。最低限首や目などにあたらなければそれでいい。

 

 

「なっ!?」

 

 

 先頭を進むAを足蹴りし、同時に持ち込んだショットガンでBを銃撃。ノックアウト。最後にCへショットガンの反動のまま体を回転させ、腰から抜いた杭を叩きつけ───

 

 

「──っ!」

「……む」

 

 

 ──防がれた。

 

 

「…へぇ?害獣のくせにやるじゃないか。」

 

 

 回復した視力で敵を見据える。装備は他と変わらないが、なるほどよくよく見れば動きやすいようにカスタマイズされていたり無駄な箇所を削ぎ落としてある。こいつが小隊長格だな。

 

 

「名前は?明日の朝ごはんまでは覚えておいてあげるよ」

「………貴様らに明日は来ないがな。教えてやる。私は無慈悲なるアリウス生徒、m──

 

 

 

ドゴォ!!!!

 

 

 

「な、名前も知らないモブー!?!?!?」

 

 

 突然吹き飛ばされた側壁。名も知らないアリウス生徒の名乗りは、その破壊音に彼女の姿ごと呑まれかき消されてしまった。

 

 

「な、なにが…」

「ふふっ、やっぱりここにくると思ったよ。大当たり!」

 

 

 明るい声と共に、大きな穴の空いた壁から立ち上がる土煙を書きわけ姿を表したのはピンク色の髪が特徴的な、まさにお姫様といったような服装をした、典型的なトリニティ生……否、トリニティ生のお手本といっていいような生徒。

 

 

「聖園、ミカ……」

「悪役登場⭐︎ってところかな!……会えて嬉しいって顔じゃなそうだけど、どうしたの?」

「お前は…」

 

 

 そう、僕が風紀委員会だった頃何度か会ったことのあるティーパーティの1人。

 

 

「そんな、魔女でも見たみたいな顔しちゃっt──

「性悪お姫様!!!」

 

「は?」

 

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