横須賀鎮守府食料生産農場(仮)   作:らいな

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半年くらい経過してしまったができたのでどうぞ


侵攻 春の深海棲艦祭り1

「こちら長野県支部司令室。」

鳴り響いた黒電話に飛びつくように出た司令官は平坦な声で応答する。

『こちら横須賀総合司令部です。緊急連絡、福井県沖に大規模な深海棲艦の艦隊が発生。現在は舞鶴鎮守府が一次対応中、至急救援に当たられたし。なお、本作戦において飛行母艦「乗鞍」の運用を許可する。急行し対応せよ。』

電話からは緊急作戦が伝えられた。その声は大きなもので、近くにいる満潮にも聞こえるものであった。

「福井沖にて深海棲艦発生、当支部は対応のため飛行母艦「乗鞍」にて現場へ急行する。」

司令官が復唱する。

『よし、暁の水平線に勝利を刻め!緊急連絡終わり』

内容に問題がなかったため司令部員は電話を静かに切った。

司令官は受話器を本体に戻すと満潮の方を再び向いた。

「聞こえていたと思うが非常事態発生だ。丁度いいから君はそこで待機していてくれ。」

司令官が満潮に待機を命じると、そのすぐ後に電がお茶の入ったグラスを持って戻ってきた。そこで司令官は電の方を向く。

「電、済まないが緊急連絡が入った。通常業務を全て中断し出撃準備始め。詳細は発艦後に通達するので守備隊を除く総員は準備が整い次第至急飛行母艦「乗鞍」へ乗艦するように通達を行ってくれ。」

司令官は電に指示を出した。

「なのです!総員に通達するのです。」

電は近くのテーブルにお茶を置いてから速やかに敬礼を行い、その後に壁に設置された放送設備の電源を入れ、数あるスイッチの一つを押した。すると学校で時間を知らせるチャイムのようなものが流れた。

対して司令官は机の下から引っ張り出した無線機を使い、どこかと通信を行っていた。その交信は全て英語で行われており、通信先が東京の何処か程度しかよくわからなかった。

満潮はそれを見ながらも一体何が起こっているのかすらわからなかった。いや、電話口から聞こえていた内容は理解できた。しかしそれがなぜこんな山奥と言っても問題ないような僻地の鎮守府に命令が下るのかがもうわからない。

理由が分からず言われた通り待機すること5分も経たずに部屋の入口の扉が勢いよく開き、この鎮守府に在籍しているであろう艦娘が順番に、しかし急ぎ足で入ってきた。

艦種毎に整列まで終えると提督に向かって敬礼した。

「横須賀鎮守府長野県支部在任艦娘、総員乗艦完了したのです。」

電は確認を終えてから提督に告げる。提督のその頃には通信を終えて艦娘達に答礼をする。

「総員ご苦労。大本営司令部より緊急出動命令が発令された。我々はこれより福井沖へ進軍を開始する。目標は敵艦隊の撃破になる。目標到達時間は約1時間後になる予定だ。諸君は準備を整え次第到着まで待機せよ。なお、出撃法はよほどの事態にならなければ通常通り行うが、非常時は空挺着水もありうる。覚悟だけはしておくように。以上!行動開始!!」

提督が言い切ると一部の艦娘を除き、順序よく退室していった。

残ったのは大淀と電、提督。そして意味のわかってない満潮だった。

「すまないが、電と大淀で船員に離陸準備の進捗と地上との切り離し確認を頼む。満潮はもう少し待機してくれ。離陸完了までは時間が惜しい。」

提督の言葉に電と大淀は答礼で返してすぐに作業に移った。

満潮も状況をなんとなく理解しているので答礼後言われた通り待機する。

提督は再び無線を使い英語でやり取りを始め、電と大淀は内線電話を使い複数箇所に確認を入れている。5分ほどそれを行うとひとしきりの作業は終わったようで、電が確認完了を提督に知らせた。

「よし、こっちも離陸手続きが完了だ。艦内放送をつなげてくれ。」

電は提督の指示に従い艦内放送の電源を入れて提督にマイクを渡す。

「艦内総員に伝達!飛行母艦『乗鞍』は全ての離陸準備を完了した。これより離陸を開始する。繰り返す、これより離陸を開始する。離陸時は大きな振動が発生するため着席、もしくは近くの手すり等に速やかに掴まれ!」

提督が離陸を宣言すると同時に大淀は壁のパネルを再度操作する。すると、床の一部が開きその下から船の艦橋設備一式がせり上がってきた。提督は舵輪に近づき、そしてもう片方の手で握った。同時に電は各種メーターやレバー、スイッチが並ぶ操作盤前の椅子に座り、備え付けのヘッドセットをつけてからベルトを締める。大淀はレーダー機材の前の椅子に座り、電同様ベルトを締めた。

「飛行母艦『乗鞍』、緊急抜錨!動力繋げ!」

「動力接続。出力は緊急抜錨のため中速2段二設定するのです。

通常作戦時より高いGになるので総員に全力で固定物に掴まるのです!」

電がスイッチとレバーを操作をしながら警告を発する。次の瞬間には、今まで乗った飛行機でも味わったことのない強力なGを満潮は体感した。

そんな中でも提督は舵輪を体勢すら変えずに操舵を行い、併設している建物を壊さないようにしていた。ある程度まで上昇したのだろうか、上昇する時に感じたGは五分もせずに収まった。

「指定高度に到達完了。水平移動に変更するのです。速力変更、高速4段。自動操舵システム起動。到着予定は定刻なのです。」

電は再度スイッチとレバー操作を行い、到着予定は変わらないことを告げる。提督は操舵の自動化を確認してから舵輪を手放す。

「電には目的地までの制御を任せる。大淀は各種観測装置の監視を行い、異常があれば逐次知らせてくれ。」

提督は電と大淀に指示を飛ばすと、漸く満潮の方へ向く。

「さて、随分待たせてしまったが、これ自体が君への答えだ。この鎮守府では表向きは食料生産を、もう一つの顔としては、日本各地へ攻撃してくる深海棲艦をこの飛行母艦を運用して速やかに迎撃する役目がある。基本が作戦海域への強襲になるため、ここに配属される艦娘は高練度かつ最低限は独自の判断で動ける者を全国からかき集めているんだ。」

提督はニヤリと笑い、「ブラック鎮守府の下郎をぶん殴れるくらいの判断力を持った艦娘達をね。」と付け足した。

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