着水は離陸以上に強烈な衝撃を乗員たちに与えていたが、訓練されているだけあり、船自体は軋むことすらなかった。
着水後は各設備に異常がないか速やかに確認され、並行して出撃組の出航準備が行われていた。
出撃組の選定は先行出撃していた舞鶴鎮守府より送られた情報をもとに軽空母を中心とした機動部隊を編成することとなり、旗艦を千歳とし、随伴に千代田、酒匂、照月、吹雪、藤波が選ばれた。この選定自体は着水前には決まっており、着水成功に一番喜んだのもこの6人だったりする。(不可の場合は落下傘付けて降下スタートと思えば心境も理解できるだろう。)
千歳機動艦隊は通常装備が整うのと点検終了を確認したうえで戦闘海域へと抜錨していった。
残りの艦娘や艦内クルーは停泊処理を進めたり基地航空隊の運営を手伝っていたりと各々の仕事を着々と進めていた。
艦橋兼司令室では各所との通信を行いつつも千歳たちから接敵情報が入っていないこともあり、今のところは落ち着いていた。海図も艦隊の位置情報もテーブルタイプのデジタルマップで確認できる状況のため、スイッチ数個ポチるだけの簡単設定という最新鋭様々なシステムを見せつけられた。
「下手したら大本営の設備より高性能に見えるのは気のせいじゃないわよね。」
満潮は艦橋兼司令室の設備を見て呆然と言う。
「なのです。この鎮守府で最後まであえて完成させなかったのがこの部屋でして、完成時点で最新鋭機材を限界まで注ぎ込んだ最も予算がかかっている場所なのです。」
「その分改修は向こう10年以上は必要無いハイエンドスペックだよ。おかげで改修予算は全部艦娘用設備に回せる。」
「それはそうなのです。お風呂が最新式になったのは皆喜んでいたのです。…ん、通信なのです。」
電と提督は機材を操作しながらも答えを返す。その後すぐに電の通信機に連絡が入った。
「…暗号通信、宛司令室、発千歳機動艦隊。敵艦捕捉、戦闘区域に入った模様。敵編成、軽巡1、駆逐5の水雷戦隊。交戦許可求む。」
「暗号にて返信、交戦許可、陣形単縦陣にて状況開始せよ。」
電は送られる暗号を即座に解読して読み上げる。提督は即座に必要事項を電に伝え、電は暗号化してすぐに返信を送った。
デジタルマップの方も艦隊から送られてきたデータが反映されて敵艦隊の情報が映し出される。報告通りの編成が艦隊の進行方向にて待ち構えるように映されている。しかし、こちらは空母を主軸とした機動艦隊。戦闘が開始されるとまずは先制の攻撃隊が鮮やかに2隻の敵駆逐艦を撃沈し、続く酒匂の砲撃は狙いを定める途中の敵旗艦軽巡洋艦を的確に撃ち抜いた。それにより敵艦隊は混乱し始めるが、構わず駆逐組が適確に掃討し、一切の被害も出さずに初戦は勝利を収めた。